この記事を書いた人 ケン先生
「自分の得た知識が、受講生の進路を切り開くファースト・ステップになれば」との思いから会計系講座の講師に。 |
簿記論や財務諸表論は学習のボリュームが大きく、学習期間は約1年程度の長丁場となります。
独学で学習する場合、
といったことが具体的にわからず、手探りで学習を進めることになるでしょう。
ここでは、簿記論や財務諸表論の試験内容などを紹介しながら、独学で学習することが難しい理由についてお伝えします。
税理士試験は難関国家資格の1つといわれており、簿記論と財務諸表論の平均勉強時間はそれぞれ450時間程度ともいわれています。
ただし、これはあくまでも目安であり、学習開始時の簿記の知識レベルなどにも大きく左右されます。
また、詳しくは後述しますが、財務諸表論の出題内容は「理論50%/計算50%」となっており、理論の学習には一定の暗記学習が必要となりますので、暗記の得手不得手によっても学習時間に差がつくことになります。
450時間はあくまでも目安です。
受験勉強は「合格に必要な知識とスキルの獲得」が目的である点を意識していただくといいでしょう。
なお、近年の税理士試験では簿記論と財務諸表論の合格率は以前に比べて高い水準で推移しています。
受験をするなら今がチャンスと言うこともできるかもしれません。
▼税理士試験 簿記論・財務諸表論の合格率
試験年 | 簿記論 | 財務諸表論 |
令和5(2023)
第73回 |
17.4% | 28.1% |
令和4(2022)
第72回 |
23.0% | 14.8% |
令和3(2021)
第71回 |
16.5% | 23.9% |
令和2(2020)
第70回 |
22.6% | 19.0% |
令和元(2019)
第69回 |
17.4% | 18.9% |
簿記論の試験範囲は、「複式簿記の原理、その記帳・計算及び帳簿組織、商業簿記のほか工業簿記を含む。ただし、原価計算は除く。」となっています。
試験時間は120分で、各25点配点の【第一問】と【第二問】、50点配点の【第三問】で構成され、【第一問】と【第二問】は学者試験委員から【第三問】は実務家試験委員から出題される計算問題となります(過去に論述形式で一部問われたこともあり)。
▼簿記論の試験内容・特徴
【第一問】と【第二問】では、仕訳、集計、資料の読み取りなど様々な角度から簿記に関する知識を問われます。
そして、【第三問】では、主として決算整理後残高試算表の作成が問われ、出題形式や内容は比較的安定していますが、高い集計能力が求められ、一部に実務的な知識なども問われることになります。
また、【第一問】から【第三問】に共通していることとして、全体的にボリュームが多く、部分的に難度の高い問題が出題されるため、試験時間内での完答が難しい内容となっていることがあります。
合格するには、基本的な問題を確実に正答する能力のほか、難易度の高低やボリュームなどを見極めて問題を取捨選択するテクニックも必要となります。
▼なぜ簿記論は独学が難しい?
簿記論の独学が難しい理由は、論点の理解に追われ一面的な学習になってしまいやすいことです。
また、効率的な集計方法なども自分で考えなければなりませんし、問題の取捨選択のテクニックの習得も非常に難しくなります。
財務諸表論の試験範囲は、「会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法中計算等に関する規定、会社計算規則、財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則」となっています。
試験時間などは簿記論と同じです。
▼財務諸表論の試験内容・特徴
簿記論が計算100%であるのに対し、財務諸表論は理論50%・計算50%である点が大きな違いです。
各25点配点の【第一問】と【第二問】が学者試験委員から出題される理論問題、【第三問】が実務家試験委員から出題される計算問題となっています。
【第一問】と【第二問】の理論問題では、択一方式、空所補充、論述形式などで会計理論の知識が問われます。
また、【第三問】では、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表の作成が問われます。
理論問題は難易度が高いため、基本的な内容をいかに確実に解答するかがポイントとなります。
論述形式の対策としては、各論点についてポイントとなる用語をおさえながら理論の展開を、頭の引き出しから素早く取り出せる状態で本試験に臨む必要があります。
本試験では、理論問題はあまり深入りせず要領よく解答し、計算問題にある程度の時間を確保しましょう。
計算問題は出題傾向が安定しているため、高得点を獲得することが合格のポイントとなります。
▼なぜ財務諸表論は独学が難しい?
独学で学習する場合は、各理論のポイントを意識せずに学んでしまい、得点に結びつかない非効率的な学習に陥りがちです。
また、計算問題で高得点を得るテクニックなども自分で考えなければならなくなります。
ここまでで述べてきたとおり、独学には多くの困難があることが実情です。
独学が難しい人は予備校(通学型スクール)で学習するという道もありますが、今度は講義や通学時間の捻出のため、仕事・家庭・学業との調整で苦労することも。
もしあなたが独学したい理由が「通学せずに好きな時間・場所で勉強したいから」であれば、どこでも学習できるオンライン通信講座がおすすめです。
すでに多くの合格者を輩出しています。
ただし「通信講座だけでは不安」という人もいるでしょう。そんな場合は学習上の悩みをコーチがサポートしてくれる「コーチング」をプラスすると安心です。
試験への挑戦が初めてで右も左もわからない人も、迷いなく学習できます。
簿記論の学習をこれから始める場合、「そもそも税理士試験の勉強が初めてで、学習の進め方がわからない」という人がほとんどでしょう。
次のような点で悩むケースが多いと言えます。
また、学習を進めるうちにこんな悩みも出てくるでしょう。
税理士試験の経験者が身近にいれば気軽に相談できるかもしれませんが、なかなかそうもいかないでしょう。
そんな場合、コーチングを利用すればコーチがよき相談相手となり、初めての試験勉強でも悩みを最小限にとどめて学習に集中できます。
コーチングは、学習でつまずいたときにも力を発揮します。
計算の習得は積み上げ式の学習となり、各論点の基本部分がしっかり理解できていないと苦手論点になりがちです。
そんな時、コーチに相談することによってどこに戻って復習すればいいのか相談することもできますし、集計方法やテクニックについても、自分では気付かなかった多くのヒントを見出せるでしょう。
財務諸表論の学習をスタートする人は、初めて「理論」の学習をすることになります。
計算の学習には「正しい金額の算定」という明確な目的があり、問題演習の正誤を見れば自分の習熟度も認識しやすいのですが、
理論の学習の目的は「会計理論の理解」という漠然としたものです。
このことから、多くの人が次のような点で悩みます。
また計算と理論の学習バランスも、財務諸表論の学習において多くの人が悩むポイントです。
そのような時にコーチングを利用すれば、財務諸表論の学習で同じように悩んだ経験を持つコーチに相談できるので、安心して学習に取り組めます。
さらに理論学習の進捗管理をコーチと二人三脚で行えば、コーチと「◯◯をこの日までにやります」といった約束をすることでやり忘れやサボりを防止でき、期限を意識して集中力も高まります。
受験生の中には、簿記論と財務諸表論との2科目同時学習に挑戦する人もいるでしょう。
その場合、学習量が多くなるため学習スケジュールが非常に重要となります。
ここでもコーチのサポートが大きな力になることは間違いありません。
会計科目(簿記論、財務諸表論)を学んだら、いよいよ税法科目(法人税法、消費税法、相続税法など)の学習へ進むことになります。
税法科目は財務諸表論と同様に計算と理論の学習です(100%理論で出題される国税徴収法は除く)。
会計科目と異なるのは「法律の学習」となる点で、新たに吸収しなければならない知識のボリュームが会計科目以上に大きいことが特徴です。
正しいスケジュールや方法で学習を進めて行かなければ、合格まで時間がかかってしまいます。
会計科目の学習でコーチングを通じて正しい学習ノウハウが身についていれば、学習スケジュールや学習方法に悩むことなく自信を持って学習を進めていけるでしょう。
税理士試験は、一般的に合格まで3〜5年を要する長丁場です。
仕事・家庭・学業など忙しい生活と勉強を両立しなければならない人こそ、正しい学習ノウハウを身につけて実践することが合格への近道となります。
スタディング税理士講座のコーチングサービスでは、会計科目(簿記論と財務諸表論)を対象に、オンラインでの1対1の個別指導(月2回)により、個別学習計画表の作成や学習進捗管理などをコーチと一緒に行えます。
指導経験が豊富なコーチが、マンツーマンの手厚い個別サポートにより税理士試験に挑戦する方々に寄り添い、本試験まで一緒に伴走いたします。
悩みや不安を解消して勉強に集中し、短期合格を目指したい方は、コーチングサービスをぜひチェックしてみてください。
今回は「税理士試験の簿記論・財務諸表論に独学で合格できるのか?」について解説しました。
税理士試験は「努力と継続が必ず実を結ぶ試験」といわれています。
あなたのライフスタイルに合った学習方法でスタートを切りましょう。