
この記事では、税理士の資格制度について解説します。
税理士試験の出題範囲は?
まずは税理士試験の制度について、一緒に学んでいきましょう。
試験の区分について
税理士試験は11科目あり、会計2科目と税法3科目の計5科目で合格する必要があります。
会計科目の「簿記論」「財務諸表論」は必須です。
税法科目は「所得税法」「法人税法」のいずれかの合格が必須で、そのほかの税法科目と合わせて3科目の合格を目指します。
| 必須科目 2科目とも合格が必要 | 会計科目 | 簿記論、財務諸表論 |
| 選択必須科目 どちらか1科目以上合格が必要 | 税法科目 | 所得税法、法人税法 |
| 選択科目 残りの科目から選び、合計で5科目になることが必要 | 相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税 |
科目合格制で、一度に5科目全てに合格する必要がありません。
合格は各科目60点以上が目安となります。
科目によっても差がありますが、例年受験者の10〜20%が合格しています。
各科目の出題範囲について
各科目の出題内容は下記のとおりです(項目をタップすると詳しい解説が表示されます)。
- 【必須科目】簿記論
▼簿記論とは?
簿記とは企業の日々の取引内容を帳簿に記録し、記録を整理・再計算することで、簿記論は企業の経営状態、財産状況を把握する手続きを学ぶ科目です。▼出題内容は?
簿記論の出題はすべて計算問題で、出題範囲は商業簿記と工業簿記です。複式簿記の原理、記帳、計算、記帳組織に関する知識が問われます。ただし、原価計算は除かれます。
- 【必須科目】財務諸表論
▼財務諸表論とは?
財務諸表とは帳簿に記録した企業の経営状況や財産状況を、株主などに報告するための書類です。財務諸表論とは、こうした財務諸表の作成手順や理論を学ぶものです。▼出題内容は?
財務諸表論の出題は計算問題と論述問題があります。出題範囲は会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法中計算等に関する規定、会社計算規則(ただし、特定の事業を行う会社についての特例を除く。)、財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則です。
- 【選択必須科目】法人税法
▼法人税法とは?
法人が事業をすることで得た所得に対し課税する国税、すなわち「法人税」についての理論と解釈に関する科目です。▼出題内容は?
法事税法の出題は計算問題と理論問題であり、出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
- 【選択必須科目】所得税法
▼所得税法とは?
所得税法は、個人の所得に課される国税、すなわち「所得税」についての理論と解釈に関する科目です。▼出題内容は?
所得税法の出題は計算問題と理論問題であり、出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
- 【選択科目】相続税法
▼相続税法とは?
死亡した人の財産を子供や配偶者などが引き継いだときに課される「相続税」や、他人から財産の贈与を受けた場合に課される「贈与税」に関する科目です。▼出題内容は?
相続税法の出題は計算問題と理論問題であり、出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
- 【選択科目】消費税法
▼消費税法とは?
お店で商品やサービスを購入したときに、料金に上乗せして消費者に課税される、国民に最も身近な「消費税」についての科目です。▼出題内容は?
消費税法の出題は計算問題と理論問題であり、出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
- 【選択科目】酒税法
▼酒税法とは?
酒類(アルコール度数が1度以上の飲料)に対して課される税金である「酒税」に関する科目です。▼出題内容は?
酒税法の出題は計算問題と理論問題であり、出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
- 【選択科目】国税徴収法
▼国税徴収法とは?
納付期限までに納付されなかった税金を徴収する手続に関する法律である「国税徴収法」に関する科目です。▼出題内容は?
他の選択科目と異なり、国税徴収法の試験問題は計算問題よりも理論問題にかなりのウェイトがおかれた出題がされます。出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
- 【選択科目】住民税
▼住民税とは?
地方自治体が行政サービスを行うために、所得のある個人や法人に対し課される「住民税」に関する科目です。▼出題内容は?
住民税の出題は計算問題と理論問題であり、当該科目に係る地方税法、同施行令、施行規則に関する事項のほか、地方税法総則に定める関係事項及び当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
- 【選択科目】事業税
▼事業税とは?
法人の行う事業及び個人の行う一定の事業に対して、地方税法に基づき都道府県が課す税金である「事業税」に関する科目です。▼出題内容は?
事業税の出題は計算問題と理論問題であり、当該科目に係る地方税法、同施行令、施行規則に関する事項のほか、地方税法総則に定める関係事項及び当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
- 【選択科目】固定資産税
▼固定資産税とは?
土地、家屋、償却資産といった国民の「固定資産」に対して課される固定資産に関する科目です。▼出題内容は?
固定資産税の出題は計算問題と理論問題であり、当該科目に係る地方税法、同施行令、施行規則に関する事項のほか、地方税法総則に定める関係事項及び当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
税理士試験の受験資格は?
税理士試験のうち税法科目を受験するには「学識」「資格」「職歴」「認定」の条件のうち、1つを満たす必要があります。
ここからは、受験資格の詳細をみていきましょう。
税理士試験に必要な受験資格①:学識
「学識」資格で受験する際は、以下のいずれかに該当しなければなりません。
- 大学、短大または高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
- 大学3年次以上の学生で社会科学に属する科目を含め62単位以上を取得した者
- 専修学校の専門課程(1:修業年限が2年以上かつ、2:課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る)を修了した者等で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
【出典】国税庁「受験資格について」
現役の大学生の場合
現役の大学生であれば、自分が62単位以上取得していて、その中に「社会科学」に属する科目が含まれているかを確認する必要があります。
社会科学に属する科目の例は以下の通りです。
- 改正前(令和4年度の税理士試験以前)の「法律学に属する科目」に該当していた科目
法学、法律概論、日本国憲法、民法、刑法、商法、行政法、労働法、国際法等 - 改正前(令和4年度の税理士試験以前)の「経済学に属する科目」に該当していた科目
(マクロまたはミクロ)経済学、経営学、経済原論、経済政策、経済学史、財政学、国際経済論、金融論、貿易論、会計学、簿記学、商品学、農業経済、工業経済等 - そのほかの科目
社会学、政治学、行政学、政策学、ビジネス学、コミュニケーション学、教育学、福祉学、心理学、統計学等
履修した科目が社会科学に属する科目かどうか判定できない場合、授業内容が記載されている学生便覧や担当教授の専門分野等がわかるものを取り寄せた後、文部科学省ホームページの「学科系統分類表(Excel/707KB)(文部科学省ホームページへのリンク) 」をご参照ください。
【参考】国税庁「受験資格について」
既に大学を卒業している場合
既に大学を卒業されていて、働きながら資格取得を目指す方であれば、「成績証明書(卒業年月の記載がないものは卒業証明書も必要)」「専門課程証明書」を取り寄せた上で、受験資格を満たしているかをしっかりと確認するようにしてください。
▼「学識」による受験資格と提出書面
| 受験資格 | 提出書面 |
| 大学・短大又は高等専門学校の卒業者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 | 成績証明書(卒業年月の記載がないものは卒業証明書も必要) |
| 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者 | 成績証明書(大学3年次以上であることが確認できるもの)(年次の記載がないものは大学3年次以上であることが確認できる書類として、年次の記載がある在籍証明書等も必要) |
| 専修学校の専門課程(1:修業年限が2年以上かつ、2:課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る)を修了した者等で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 | 成績証明書(卒業年月の記載がないものは卒業証明書も必要)および専門課程証明書(当該専門課程が左欄の1および2の要件を満たす課程であることについて都道府県知事等が発行した証明書を専修学校が原本証明したもの) |
| 司法試験に合格した者 | 所管官庁の合格証明書 |
| 旧司法試験法の規定による司法試験の第二次試験または旧司法試験の第二次試験に合格した者 | 所管官庁の合格証明書 |
| 公認会計士試験短答式試験合格者(平成18年度以降の合格者に限る) | 公認会計士・監査審査会会長発行の「公認会計士試験短答式試験合格通知書」または「短答式試験合格証明書」 |
| 公認会計士試験短答式試験全科目免除者 | 公認会計士・監査審査会会長発行の「公認会計士試験免除通知書」または「免除証明書」 |
税理士試験に必要な受験資格②:資格
日商簿記1級合格者や、会計士補の方がこの受験資格に該当します。
該当する場合は、「合格証明書」を発行してもらえば受験できます。
▼「資格」による受験資格と提出書面
| 受験資格 | 提出書面 |
| 日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者 | 日本商工会議所発行の合格証明書 (合格証書は不可) |
| 公益社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る) | 公益社団法人全国経理教育協会発行の合格証明書 (合格証書は不可) |
| 会計士補 | 日本公認会計士協会発行の登録証明書 |
| 会計士補となる資格を有する者 | 公認会計士・監査審査会発行の旧公認会計士試験第二次試験合格証明書または同試験の免除科目が全科目に及ぶことを証する書面 |
税理士試験に必要な受験資格③:職歴
以下の職歴も受験資格となります。
- 法人又は事業を営む個人の会計に関する事務
- 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務
- 税務官公署における事務又はその他の官公署における国税若しくは地方税に関する事務
- 行政機関における会計検査等に関する事務
- 銀行等における貸付け等に関する事務
提出書類として「職歴証明書」が要求されている場合、その様式には注意するようにしてください。
▼「職歴」による受験資格と提出書面

税理士試験に必要な受験資格④:認定
「学識」「資格」「職歴」の3つの受験資格は、内容が明確に決まっています。
しかし、税理士試験を行っている国税審議会は、上記受験資格にある者と同等の資格があると個別認定を受けた者については、税理士試験の受験資格を付与しています。
具体的には、海外の大学で法律学や経済学を履修して卒業した者などが挙げられます。
▼「認定」による受験資格と提出書面
| 受験資格 | 提出書面 |
| 国税審議会より受験資格に関して個別認定を受けた者 | 国税審議会会長発行の受験資格認定通知書 |
※ご自身の受験資格の有無について正確に判断するため、国税庁ホームページ(※1)をご確認ください。
税理士試験の試験日程は?
税理士試験は例年、次のようなスケジュールで行われています。
| 項目 | 日程 |
| 試験実施官報公告 | 4月上旬 |
| 受験案内・申込用紙(願書)交付 | 4月上旬 |
| 受験申込受付期限 | 5月上旬 |
| 試験日 | 8月上旬(平日3日間) |
| 合格発表 | 11月下旬 |
例年、試験は8月上旬の実施となっています。
受験した科目から確実に合格していくために、試験日程を正確に把握し、ここから逆算した効率的な学習計画を立てていきましょう。
詳しくは、国税庁ホームページの税理士試験のページで確認してください。
税理士試験特有の仕組み
税理士資格の魅力は、その受験制度にもあります。
もちろん国家試験なので難易度がそれなりに高いことは否定できませんが、税理士試験には他の業務独占の国家資格試験と大きく異なる、働きながらでも取得しやすい「受験上のメリット」が2つあるのです。
- 1科目ずつ、無理なく受験することができる
- 自分の得意な科目を選んで受験することができる
科目合格制度
多くの国家資格試験は、1度の試験で一定数の試験科目を受験し、その中で1科目でも不合格になると、仮にいくつかの科目で合格点が取れていたとしても、全ての科目が不合格となります。
しかし税理士試験は、合格に必要な5科目全てを一度に受験し、合格する必要はなく、自分が受験したいと思った科目だけを受験することができます。
その上、一度合格した科目は生涯取り消されることはありません。
また、履歴書に「財務諸表論試験合格」「消費税法試験合格」など、合格した科目を明記できるため、税理士事務所や一般企業への就職・転職活動に有利に働くこともあります。
科目選択制度
税理士試験は、「会計学」から2科目(簿記論・財務諸表論)、「税法」から3科目の計5科目に合格する必要がありますが、税法科目については一定の選択が可能です。
具体的には、①必修科目、②選択必修科目(所得税法・法人税法のいずれか、または両方)、③選択科目(その他の税法科目)に分かれており、自分の好きな科目を選んで受験することができます。
そのため、社会人が仕事で扱ったことのある科目や、自分が将来税理士として扱ってみたい科目を選んで受験することができます。
スタディングを利用して税理士試験に合格した人の声

Y.A.さん
2024年 簿財2科目合格
スタディングを信じて勉強したことで簿記論と財務諸表論の同時合格ができました。
過去2回試験に挑んだものの合格点には至らず、3度目の今回こそ絶対に受かるぞと意気込んで2024年1月から勉強を開始しました。
これまでは基礎をしっかり固めることから取り組んでいましたが、本番を見据えて応用問題を1月から取り組むことにし、テーマ別演習や実力テストを中心に勉強。
解けなかったところや間違えたところのみを基礎から確認するようにしていました。
その成果もあり、5月までには応用問題もほとんど正解できるようになり、試験まで余裕をもって勉強を進めることができたと思います。
働きながらですと仕事の都合で勉強時間が一日取れないこともあり、試験直前まで勉強時間の確保には苦しみました。
そんな中で、スタディングを通して早めに応用問題を履修できたことで、忙しいながらも合格レベルに達することができたと思います。

サイトウさん
2024年 簿記論合格
簿記論に合格することができました。
前回は54点で残念ながら不合格でした。
その時は、他社の応用問題などにも積極的に取り組みました。
難しい問題を解くことが大事だと勘違いしていました。
スタディングで何度も言われてるとおり、基礎が大事だとこの時、痛感しました。
みんなが取れる問題を確実に取ることが本試験で勝つための秘訣です。
私は社会人です。
限られた時間をどう使うか、これが大事です。
遠回りしましたが、基礎です。
スタディングは基礎を徹底してくれるので、社会人に優しいと感じました。
今回の本試験では、最初の問題から今までないパターンの問題で正直焦りました。
その際、ある程度やってダメでも基礎さえできれば、点数は取れると思って最後まで諦めずにやれたのも、スタディングでの教えを徹底できたからだと感じています。
ありがとうございました。


