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税理士になるためには?資格を取得する方法について

税理士の資格を目指したいのですが、試験制度が複雑でわかりにくいです。出題範囲や受験資格、試験日程などについて教えてください。
税理士の資格制度についてご説明します。

税理士試験の出題範囲は?

まずは税理士試験の制度について、一緒に学んでいきましょう。

試験の区分について

税理士試験で受験する科目には、3つの区分があります。

  1. 必須科目(2科目必ず受験)
  2. 選択必須科目(2科目から1科目または2科目を必ず受験)
  3. 選択科目※(7科目から2科目または1科目を選んで受験)

税理士資格としては、計5科目の合格が必要となります。
※選択科目のうち、消費税法と酒税法はいずれか1科目しか受験できません。住民税と事業税も、いずれか1科目しか受験できません。


【税理士試験科目区分と合格率】

科目区分

科目名

出題形式


28年度試験の合格率

必須科目

簿記論

計算問題

12.6%

財務諸表論

計算問題

理論問題

15.3%

選択必修科目

法人税法

計算問題

理論問題

11.6%

所得税法

計算問題

理論問題

13.4%

選択科目

相続税法

計算問題

理論問題

12.5%

消費税法/酒税法

計算問題 / 理論問題

13.0% / 12.6%

国税徴収法

理論問題

11.5%

住民税/事業税

計算問題 / 理論問題

11.7% / 12.9%

固定資産税

計算問題

理論問題

14.6%

※合格基準点は各科目とも満点の60パ-セントです。
※合格率については国税庁公式サイトを参照。

各科目の出題範囲について

必須科目

・簿記論
企業の日々の取引内容を帳簿に記録し、記録を整理・再計算することで、企業の経営状態、財産状況を把握する手続を学ぶ科目です。
出題は全て計算問題で、出題範囲は商業簿記と工業簿記です。複式簿記の原理、記帳、計算、記帳組織に関する知識が問われます。ただし、原価計算は除かれます。
・財務諸表論
財務諸表とは、帳簿に記録した企業の経営状況や財産状況を、株主などに報告するための書類です。財務諸表論とは、こうした財務諸表の作成手順や理論を学ぶものです。
出題は計算問題と論述問題があります。出題範囲は会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法中計算等に関する規定、会社計算規則(ただし、特定の事業を行う会社についての特例を除く。)、財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則です。

選択必須科目

・法人税法
法人税法は、法人が事業をすることで得た所得に対し課税する国税、すなわち「法人税」についての理論と解釈に関する科目です。
出題は計算問題と理論問題であり、出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
・所得税法
所得税法は、個人の所得に課される国税、すなわち「所得税」についての理論と解釈に関する科目です。
出題は計算問題と理論問題であり、出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。

選択科目

以下の7科目から2科目または1科目を選んで受験します。
消費税法と酒税法はいずれか1科目しか受験できません。
同様に、住民税と事業税も、いずれか1科目しか受験できません。

・相続税法

死亡した人の財産を子供や配偶者などが引き継いだときに課される「相続税」や、他人から財産の贈与を受けた場合に課される「贈与税」に関する科目です。
試験問題は計算問題と理論問題であり、出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。

・消費税法
お店で商品やサービスを購入したときに、料金に上乗せして消費者に課税される、国民に最も身近な「消費税」についての科目です。
試験問題は計算問題と理論問題であり、出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
・酒税法
酒類(アルコール度数が1度以上の飲料)に対して課される税金である「酒税」に関する科目です。
試験問題は計算問題と理論問題であり、出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
・国税徴収法
納付期限までに納付されなかった税金を徴収する手続に関する法律である「国税徴収法」に関する科目です。
他の選択科目と異なり、国税徴収法の試験問題は計算問題よりも理論問題にかなりのウェイトがおかれた出題がされます。出題範囲は当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
・住民税
地方自治体が行政サービスを行うために、所得のある個人や法人に対し課される「住民税」に関する科目です。
試験問題は計算問題と理論問題であり、当該科目に係る地方税法、同施行令、施行規則に関する事項のほか、地方税法総則に定める関係事項及び当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
・事業税
法人の行う事業及び個人の行う一定の事業に対して、地方税法に基づき都道府県が課す税金である「事業税」に関する科目です。
試験問題は計算問題と理論問題であり、当該科目に係る地方税法、同施行令、施行規則に関する事項のほか、地方税法総則に定める関係事項及び当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。
・固定資産税
土地、家屋、償却資産といった国民の「固定資産」に対して課される固定資産に関する科目です。
試験問題は計算問題と理論問題であり、当該科目に係る地方税法、同施行令、施行規則に関する事項のほか、地方税法総則に定める関係事項及び当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含みます。

税理士試験の受験資格は?

税理士試験の受験資格には、「学識」「資格」「職歴」「認定」の4種類があり、いずれか1つでも満たせば受験資格が認められます。

受験資格 提出書面
学識 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者 成績証明書(卒業年月の記載がないものは卒業証明書も必要)
大学3年次以上の学生で法律学又は経済学に属する科目を含め62単位以上を取得した者 成績証明書(大学3年次以上であることが確認できるもの)
専修学校の専門課程(1修業年限が2年以上かつ2課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。)を修了した者等で、これらの専修学校等において法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者 成績証明書(卒業年月の記載がないものは卒業証明書も必要)及び
課程証明書(当該専門課程が左欄の1及び2の要件を満たす課程であることについて都道府県知事等が発行した証明書を専修学校が原本証明したもの)
司法試験に合格した者 所管官庁の合格証明書
旧司法試験法の規定による司法試験の第二次試験又は旧司法試験の第二次試験に合格した者 所管官庁の合格証明書
公認会計士試験短答式試験合格者(平成18年度以降の合格者に限る。) 公認会計士・監査審査会会長発行の「公認会計士試験短答式試験合格通知書」又は「短答式試験合格証明書」のコピー
公認会計士試験短答式試験全科目免除者 公認会計士・監査審査会会長発行の「公認会計士試験免除通知書」又は「免除証明書」のコピー
資格 日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者 日本商工会議所発行の合格証明書(合格証書は不可)
社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る。) 社団法人全国経理教育協会発行の合格証明書 (合格証書は不可)
会計士補 日本公認会計士協会発行の登録証明書
会計士補となる資格を有する者 公認会計士・監査審査会発行の旧公認会計士試験第二次試験合格証明書又は同試験の免除科目が全科目に及ぶことを証する書面
職歴 弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士等の業務 職歴証明書
法人又は事業を営む個人の会計に関する事務
税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務
税務官公署における事務又はその他の官公署における国税若しくは地方税に関する事務
行政機関における会計検査等に関する事務
銀行等における貸付け等に関する事務
認定 国税審議会より受験資格に関して個別認定を受けた者 国税審議会会長発行の受験資格認定通知書のコピー

※ご自身の受験資格の有無について正確に判断するため、国税庁ホームページ(※1)をご確認ください。

税理士試験の試験日程は?

国税庁ホームページには、平成29年度(第67回)税理士試験の日程が掲載されています。

項目
日程
試験実施官報公告 平成29年4月3日
受験申込受付開始 平成29年5月9日
受験申込受付締切 平成29年5月19日
試験実施 平成29年8月8日から平成29年8月10日
合格発表 平成29年12月下旬

例年は8月上旬の実施となっています。
受験した科目から確実に合格していくために、試験日程を正確に把握し、ここから逆算した効率的な学習計画を立てていきましょう。


税理士試験特有の仕組み

税理士資格の魅力は、その受験制度にもあります。もちろん国家試験なので難易度がそれなりに高いことは否定できませんが、税理士試験には他の業務独占の国家資格の試験と大きく異なる、働きながらでも取得しやすい「受験上のメリット」が2つあるのです。

  • 1科目ずつ、無理なく受験することができる
  • 自分の得意な科目を選んで受験することができる

科目合格制度

多くの国家資格試験は、1度の試験で一定数の試験科目を受験し、その中で1科目でも不合格になると、仮にいくつかの科目では合格点が取れていたとしても、全ての科目が不合格となります。
しかし税理士試験は、合格に必要な5科目全てを一度に受験し合格する必要はなく、自分が受験したいと思った科目だけを受験することができます。しかも、一度合格した科目は生涯取り消されることはありません。
また、「財務諸表論合格」「消費税法合格」など、科目毎に正式に名乗ることができるため、就・転職活動に有利に働く事もあります。

科目選択制度

税理士試験には
①必須科目(2科目必ず受験)
②選択必須科目(2科目から1科目または2科目を必ず受験)
③選択科目(7科目から2科目または1科目を選んで受験)の計5科目による試験です。

②と③については、自分の好きな科目を選んで受験することができ、社会人が仕事で扱ったことのある科目や、自分が将来税理士として扱ってみたい科目を選んで受験することができます。


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(出典・リンク)

※1国税庁ホームページ