【税理士登録】要件・実務経験の計算方法・費用・必要書類は?流れを解説

税理士試験に合格後、税理士として働きたい場合は必ず「税理士登録」を行うよう法律で定められています。

税理士登録の要件は基本的には「税理士となる資格」+「実務経験」で、これを満たす人が登録申請手続きへ進めます。

今回は税理士登録の要件の詳細、実務経験の内容・計算方法、かかる費用、登録申請の流れ・必要書類などを解説します。


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税理士登録までの流れ

税理士になるには、まず「税理士試験」を受験する必要があります。

税理士試験は科目合格制となっており、試験合格(官報合格、5科目合格)までに複数年(早い人は2〜3年程度)かかります。

この受験と並行して、税理士事務所や一般企業の経理部門などで働きながら実務経験を積むケースが多いです。

そして試験合格後は、税理士としての活動を開始するにあたって登録のための手続きが必要です。


税理士登録の要件は【税理士となる資格】+【実務経験】

税理士登録の要件は、基本的には「税理士となる資格」+「実務経験」です。それぞれの概要について、ここから詳しくみていきましょう。


税理士登録の要件1【税理士となる資格】

「税理士となる資格」があるのは、下記のいずれかに当てはまる人です。

  • 税理士試験の合格者(5科目合格または一部科目免除で合格)
  • 税理士試験の全科目が免除となる人
  • 弁護士
  • 公認会計士

【参考】日本税理士会連合会「税理士の資格取得」


税理士試験の合格者(5科目合格または一部科目免除で合格)

税理士試験は科目合格制をとっていて、科目合格が会計科目2科目、税法科目3科目の合計5科目に達すると試験合格となり、「税理士となる資格」を得られます。

受験科目を選べること(必須科目以外)、科目合格は生涯有効であることなどから、

どんな科目・スケジュールで試験合格を目指すのか、受験者一人ひとりが自由にプランニングしやすいことが特徴です。

また、税理士試験には免除制度があり、下記のケースでは一部科目が免除となります。

  • 大学院で学位を取得した人(修士または博士)
  • 税務署に10年または15年以上勤務した国税従事者

免除科目と受験して合格した科目が合計5科目に達すると試験合格となります。


税理士試験の全科目が免除となる人

23年または28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、税理士試験の全科目が免除となるケースがあります。

つまり試験を受験することなく「税理士となる資格」を得られるのです。

一部科目または全科目が免除となる要件については細かい要件が定められています。くわしくはこちらの記事で解説しています。

【あわせて読みたい】税理士試験が免除されるって本当?免除の条件を分かりやすく解説


弁護士

弁護士は「税理士となる資格」のひとつです。また、司法試験に合格して司法修習を終えた段階の人も同様です。


公認会計士

公認会計士の資格を有していることも、「税理士となる資格」のひとつです。公認会計士は企業の会計監査に関わる業務を担っており、税理士と関連性の高い仕事内容です。


公認会計士の「無条件」の税理士登録は廃止

公認会計士については、かつては無条件で税理士登録が可能でした。

しかし現在は、2017年4月以降に公認会計士試験に合格した人は、税理士登録を行いたい場合に所定の研修を修了することが必要となっています。

【参考】日本公認会計士協会「国税審議会における実務補習の指定について(官報掲載のお知らせ)」


税理士登録の要件2:実務経験

税理士として登録するためには「2年以上の実務経験」が必要です。

ここでは実務経験として認められる業務と、そうでないもの、さらに実務経験が不要なケースについて解説します。

また実務経験の期間の算出方法について詳しくは、次の章で紹介します。

【参考】日本税理士会連合会「税理士登録の手引(令和元年7月改訂)」


実務経験になる業務

税理士登録に必要な実務として認められる具体的な業務は下記のとおりです。


▼租税に関する事務

税務署、その他の官公署、企業などでの税務に関する業務です。

ただし、税を扱う部署に所属していたとしても、簡単な事務内容の場合は実務経験とみなされません。

(例:書類作成や数値のみを打ち込む作業など、簿記会計の知識を不要とする内容)


▼会計に関する事務

企業において以下のような業務を行っていた場合、実務経験とみなされます。

  • 企業の会計帳簿の作成
  • 仕訳帳や総勘定元帳作成・仕分け
  • 決算手続きに関する事務作業
  • 財務諸表の作成に関する事務
  • 帳簿組織の立案や整理

これらはあくまで一例です。


実務経験にならない業務

上記のような事務に携わった場合でも、単に会計ソフトに数値を入力するだけでは実務経験と認められません。

なぜなら、便利な会計ソフトを使用すれば税の知識がまったく無くても、会計帳簿が作成できてしまうからです。

つまり「経理や会計の内容を把握して行う業務」と認められないと、実務経験の年数に加算できないのです。


実務経験が不要なケース

税理士の登録にあたって、実務経験が不要なケースは以下の2つです。

  • 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む)
  • 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む)

上記以外の「税理士試験の合格者」と「税理士試験が免除となる人」については、2年以上の実務経験を積まなくてはなりません。


税理士登録の実務経験期間の計算方法

税理士登録の実務経験期間の計算方法を解説します。把握しておくべきポイントは以下の3点です。

  • 複数の勤務先での実務経験期間は合算できる
  • 合格前の業務も実務経験期間に含まれる
  • パート・アルバイトも実務経験期間に含まれる

正しい計算方法を把握しておかないと、登録申請の際に困ってしまうケースがあります。細かい規定が多いですが、よくチェックしておきましょう。


複数の勤務先での実務経験期間は合算できる

税理士登録に必要な「2年の勤務期間」は、複数の勤務先での実務経験期間を合算できます。

通算で2年以上の実務経験を証明できればよいので、「勤務先Aで1年半、勤務先Bで半年」のようなキャリアでも問題ありません。


合格前の業務も実務経験期間に含まれる

2年の実務経験期間には、合格前の業務も含めることが可能です。

税理士試験に一度で合格できる可能性は低く、働きながら何度も受験に挑戦する人が多くいます。試験の合格時点で2年以上働いていた実績があれば、すぐに税理士登録できます。


パート・アルバイトも実務経験期間に含まれる

税理士登録に必要な実務経験は、正社員だけでなくパートやアルバイトとしての勤務期間も含まれます。

パートやアルバイトなどの時間制労働の場合、実際に税務・会計に関わる勤務をした時間だけを抽出して計算(積上げ計算)する必要があります。


「積上げ計算」が必要な事例

積上げ計算は、たとえば下記のようなケースで必要になります。


▼パート・アルバイト・非正規社員など時間制で勤務していた場合

業務のなかで実際に税務・会計に携わった時間のみを申請します。

その際に指定の「勤務時間の積上げ計算書」が必要です。


▼大学院に通学しながら会計事務に従事していた場合

この場合も積上げ計算で実務経験に算入できます。

必要書類は「勤務時間の積上げ計算書」と「大学院の通学状況説明書」の2通です。


▼税理士事務所に勤務しながら家業の手伝いをしていた場合

税理士事務所での勤務とあわせて、家業でも実務経験にあたる業務を行っていた場合は、双方の稼働時間を合算することが可能です。

その場合、家業においては実際に税務・会計に従事した時間のみを確認し「勤務時間の積上げ計算書」を作成する必要があります。


税理士登録の費用

税理士登録をするためには、登録にかかる費用や税理士会への入会にかかる費用などが必要になってきます。

全国一律で同料金のものと、地域によって費用が変わる項目があるので事前に把握しておきましょう。


登録にかかる費用

税理士登録にかかる公的な費用は以下の2点です。これらは全国一律の金額となっています。


▼登録免許税:6万円

登録免許税法に基づき、登録免許税として6万円を納付します。


▼登録手数料:5万円

日本税理士会連合会会則に基づき、登録手数料として5万円を納付します。


税理士会にかかる費用

「税理士会にかかる費用」は、各地域の税理士会によって必要な料金や内訳が異なります。「主要地域ごとのブロック単位の大きな税理士会」と「支部単位の小さな税理士会」に分かれているので、それぞれの例を紹介します。


▼近畿税理士会(大ブロック)

入会金 4万円
本会費 8万2,800円/年
日税連電子認証局分担金 5,000円
書籍代(任意) 2,376円
合計 13万176円

【参考】近畿税理士会「税理士登録をされる方へ」


▼東京税理士会(大ブロック)※他の税理士会から転入する場合

入会金 4万円
会館建設費 2万円
年会費 8万1,000円/年
合計 14万1,000円

【参考】東京税理士会「【参考】他の税理士会から東京会に転入する場合」


▼支部別の年会費の例(エリアごとの大ブロックの配下にある支部)

支部名 年会費 施行日または更新日
東京税理士会芝支部 3万6,000円 令和元年(2019年)7月
九州北部税理士会鳥栖支部 1万8,000円 平成27年(2015年)4月

【参考】東京税理士会芝支部「芝支部規則集」

【参考】九州北部税理士会鳥栖支部「九州北部税理士会鳥栖支部規約」


上記からわかるように、各組織で必要な費用が異なります。

税理士事務所を設ける予定の地区の税理士会に問い合わせて確認してみてください。


税理士の登録申請の流れ

税理士の登録申請の流れを解説します。「税理士となる資格」と「実務経験」が揃ったら、登録申請を行えます。大まかな手順は下記のとおりです。

(1)必要書類を提出する

(2)面接など登録調査を受ける

(3)登録通知を受ける

ここからは、登録申請の流れについて解説します。


登録申請の流れ(1)必要書類を提出する

税理士の登録申請の最初の手順は、必要書類を提出することです。

提出先は、税理士としての業務を行う予定の地区にある税理士会となります。

全国の税理士会の一覧は、日本税理士会連合会のWebサイトで確認できます。

【参考】日本税理士会連合会「全国の税理士会、関連団体」


全員が提出する必要書類

申請する全員が提出する必要書類には、下記のようなものがあります。

  • 税理士登録申請書
  • 履歴書
  • 身分証明書 など

必要書類は全部で10種類以上あります。詳しくは日本税理士会の「税理士登録の手引」で確認できます。

【参考】日本税理士会連合会「税理士登録の手引(令和元年7月改訂)」


試験合格者・試験免除者の必要書類

試験合格者・試験免除者の必要書類は、下記の3種類です。

  • 在職証明書
  • 在職証明書に係る印鑑登録証明書
  • 源泉徴収票または確定申告書のコピー

このほかにも、必要に応じて「職務概要説明書」や「大学院の通学状況説明書」などを提出することもあります。

税理士登録とともにすぐに開業する場合は、「税理士(法人)事務所の設置に関する書類」も用意しておく必要があります。


在職証明書がもらえないトラブルに注意

税理士の登録に必要な書類に関して、まれに在職証明書がもらえないトラブルがあるようです。

税理士として独立することを目指す人に対し、勤務先が「辞められると困る」「自社とライバルになる」といった理由で書類発行を拒否するケースです。

独立を目指している人は、入社の時点で自分の方向性を伝えておくと、こうしたトラブルを回避できるでしょう。


登録申請の流れ(2)面接など登録調査を受ける

書類関係が準備できたら次のステップに進みます。登録申請の2つめの手順は、面接など登録調査を受けることです。

書類が滞りなく受理されると面接に関してのお知らせがくるので、面接日や場所の確認をします。

面接は開業する予定のエリアにある税理士の支部で行われることが多いようです。


内容としては、これまでの職歴の再確認や支部の概要説明など、形式的な質問内容が主になります。

合否を決める面接というよりは「確認のための面談」といった意味合いが強いので、あまり緊張せずに臨んでください。

服装の指定はありませんが、一般的なスーツスタイルが最適でしょう。


申請の流れ(3)登録通知を受ける

面接が終了したら、あとは登録通知の発送を待ちます。

申請書の提出から登録決定までの期間は通常2〜3カ月程度はみておきましょう。


すべての審査が終わり、正式に税理士と認められる前に「税理士業務」を行うことは固く禁止されています。

具体的には、名刺やホームページに税理士であると記載することや、税理士事務所の看板を掲げることなどはできません。

また開業時に先立って、税理士業務の受託予約をしておくことも不可となるので注意しておきましょう。


登録決定

すべての審査をクリアすると「税理士登録通知」が届きます。

この通知を受け取ったら、正式に税理士としての活動を開始できます。

登録決定の通知とともに税理士証票伝達式のお知らせが届くので、早めに確認しておいてください。

税理士証票伝達式では税理士証票と税理士バッジを受け取ります。


登録拒否

登録申請をしても拒否されるケースがあります。拒否にはさまざまな理由がありますが、以下のような場合は登録できません。

  • 弁護士や公認会計士などで、懲戒処分で業務を停止された者
  • 報酬のある公職に就いている者
  • 国税を正しく納付していなかった者(その事実から2年を経過していない場合)
  • 心身の状態が良くなく税理士業務を行えないと判断される場合
  • 税理士の信用や品位を著しく害する恐れがある者 など

詳しくは「税理士登録の手引」で確認できます。

【参考】日本税理士会連合会「税理士登録の手引(令和元年7月改訂)」


【Q&A】税理士の登録に関するよくある質問

税理士の登録に関するよくある質問を以下にまとめました。


税理士の登録者数の推移は?

令和2年度(2020年度)の税理士の総登録者数は79,404人です。

人数の記録が開始された1960年には10,888人しか登録されていませんでしたが、その後増加を続け2010年にはじめて7万人を超えました。

近年の増加ペースは比較的ゆるやかで、2022年度は前年度比609名増となっています。


今後については、税理士の登録者数の推移に影響を与えそうな要因として「税理士試験の受験資格要件の緩和」が挙げられます。

令和5年(2023年)4月から、会計科目の受験資格が不要化されるなど、より多くの人が試験に挑戦しやすいよう変更されることになりました。

若い世代をはじめ、デジタル化などの社会の変化に対応できる税理士を増やしていくことなどが狙いです。

この変更により、より多くの人に受験が促されれば、今後の登録者数の推移に変化が生じる可能性があるでしょう。


税理士登録しないメリットは?

税理士登録しないメリットは、登録にかかる費用が要らない点や、申請書類を作成しなくていいことです。費用は数十万以上かかることもありますし、申請に必要な書類の数は非常に多く内容も複雑です。

税理士事務所で勤務している場合、税理士登録していなくても行える業務は多くあるため、未登録でも問題はありません。

税理士試験に合格しても、かならず申請しなくてはいけない決まりはありません。

企業のなかで一社員として勤務を続ける予定の人は、税理士登録する必要性をあまり感じられないこともあるでしょう。


自宅開業で登録するメリット・デメリットは?

自宅開業で登録するメリットは、固定費を抑えられる点です。

自宅をオフィスとして併用すれば事務所の家賃が不要なので、毎月の出費を抑えられます。

仕事が軌道に乗るまではあまりコストをかけたくない人には向いているでしょう。


一方、自宅開業で登録するデメリットとしては、持ち家でなければ登記登録が難しいことや、プライバシーを確保しにくい点があげられます。

生活感のある場所だと、仕事に集中できない人もいるでしょう。どちらが自分にあうのかよく検討してから活動拠点を決めるのがおすすめです。


税理士証票・税理士バッジはいつもらえる?

税理士証票と税理士バッジは、税理士証票伝達式で受け取ります。

1人ずつ手渡しされ、記念写真の撮影をすることもあります。

やむを得ない事情により伝達式に参加できない場合は、宅配便で受け取り可能です。


まとめ

今回は、税理士の登録の要件や費用について紹介してきました。

  • 税理士登録の要件は「税理士となる資格」+「実務経験」
  • 実務経験として認められる業務と認められない業務がある
  • 登録の流れは申請書類の提出→登録調査(面接など)→登録通知

「税理士」と名乗れるようになるまでの手順をしっかり把握しておき、スムーズに登録申請を行いましょう。

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