税理士試験の相続税法とは?難易度や勉強時間の目安、攻略法を解説

税理士試験の相続税法は、相続税・贈与税について、税額の計算方法、申告・納付など必要な事項について定めた法律です。

実務上、相続税の申告件数が増える中、税法科目の中で安定した人気を集めています。

法人税法・所得税法に次いで学習範囲が広い科目で、合格レベルに達するためには、理論・計算ともに多くの学習時間が必要となります。

合格率は他の科目と同程度ですが、実務での必要性が高く受験者間の競争が激しい科目です。

この記事では、税理士試験の相続税法について解説します。

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相続税法とは

相続税及び贈与税について、納税義務者、課税財産の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めた法律です。

相続税法は、他の税法とは異なり、1つの税法の中に相続税と贈与税という2つの税目が定められているため、「1税法2税目」と呼ばれています。

人の死亡によって相続税が課税される場合がありますが、この負担をできるだけ軽くしたいと考え、生前に財産を贈与するケースがあります。

しかし、これを無条件に認めてしまえば、相続税の負担を回避・軽減することが可能です。

そこで、相続税を補うために、生前の贈与に対して贈与税が存在します。

このように贈与税は相続税を補完する役割があり、相続税法の中で相続税と並び一税目として規定されているのです。

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税理士試験における相続税法

ここでは、税理士試験における相続税法について、以下3つのポイントを見ていきます。

  • 相続税法は選択科目の一つ
  • 試験日程
  • 合格基準

相続税法は選択科目の一つ

税理士試験は科目合格制で、会計2科目と税法3科目の計5科目に合格する必要があります。

相続税法は、税法科目のうち選択科目の一つです。

税理士試験では、以下の通り科目を選択する必要があります。

必須科目
2科目とも合格が必要
会計科目簿記論、財務諸表論
選択必須科目
どちらか1科目以上合格が必要
税法科目所得税法、法人税法
選択科目
残りの科目から選び、合計で5科目になることが必要
相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税

会計科目の「簿記論」「財務諸表論」は必須科目です。

一方、税法科目は各自が選んで受験します。

「法人税法」または「消費税法」は、いずれかの合格が必須です。

相続税法を含むその他の選択科目と合わせて、税法科目で計3科目の合格を目指します。

試験日程

税理士試験は、例年8月上旬の平日3日間で実施されます。

相続税法は2日目の正午から午後2時まで行われ、試験時間は120分です。

下記は、2025年度(令和7年度)試験の日程です。

試験日時間科目
8月5日(火)午前9時~午前11時簿記論
午後0時30分~午後2時30分財務諸表論
午後3時30分~午後5時30分消費税法または酒税法
8月6日(水)午前9時~午前11時法人税法
正午~午後2時相続税法
午後3時~午後5時所得税法
8月7日(木)午前9時~午前11時国税徴収法
正午~午後2時固定資産税
午後3時~午後5時住民税または事業税

【参考】国税庁「令和7年度(第75回)税理士試験公告」

合格基準

相続税法の合格基準点について、国税庁は「満点の60%」としています。

しかし、実際には絶対評価で合格が決まっているわけではありません。

成績上位者が合格する相対評価の試験となっています。

後述の通り、相続税法の合格率は近年10〜18%で推移しています。

合格するためには「6割得点できれば大丈夫」ではなく、全受験者の中の上位10〜15%を目指しましょう。

税理士試験における相続税法の出題傾向

税理士試験における相続税法は、理論・計算がいずれも50点で合計100点満点の試験です。

出題範囲は、「当該科目に係る法令に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含む」となっています。

大問が2つ設定され、その大問の中に小問が設定されていることが多いです。

2025年度(令和7年度)試験は、第1問が理論問題、第2問が計算問題となっていました。

相続税法の理論問題

理論では、相続税法や租税特別措置法などの各種規定を説明させる問題や、事例形式の問題が出題されています。

個別理論のほかに、複数の規定に関する応用理論として出題される場合もあります。 近年では、直近の改正論点が取り上げられる傾向にあるため、欠かさずチェックしておきましょう。

相続税法の計算問題

計算では、相続事例に基づく総合問題が出題されています。

各種財産の評価から、税額の加算・控除を行い、各相続人・受遺者の課税価格・相続税額を計算する問題です。

現在の日本では、社会の高齢化に伴い相続が多数発生し、相続税法の改正により相続税の課税割合も増加しています。

相続税の申告件数が増える中で、実務でも使える相続税法は安定した人気を集めています。

ただ、相続税法の改正により、学習のボリュームが増え続け、法人税法・所得税法に次ぎ多くの学習時間が必要です。

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相続税法の合格に必要な勉強時間の目安

相続税法に合格するための標準的な学習時間は、450〜500時間です。

ただし、この時間はあくまでも合格レベルに到達するための学習時間の目安です。

理論では税法の規定が法人税法・所得税法に次いで多く、計算でも宅地・家屋、上場・非上場株式を中心に各種財産の評価に加え、暦年贈与・相続時精算課税贈与を行い、課税価格を計算できるようにする必要があります。

さらに相続税額の加算や贈与税額控除などを経て各相続人・受遺者の相続税額まで算出できるように集計にも慣れる必要があるため、必要な学習時間は多くなります。

ただ、各論点は学習を一通り行えば、十分理解できるものばかりです。

合格のためのポイントためには、理論の苦手項目を作らず、相続税法全体の幅広い知識を身につけましょう。

そして、計算では財産評価を確実に行いつつ、集計スピードを上げ、取りこぼしのないようにすることが大切です。

相続税法の合格率と難易度

税理士試験の相続税法の合格率は下記の通りです。

税理士試験の合格ラインは、建前上「満点の60%以上」とされていますが、税法科目の場合、受験者の上位10~15%が合格するという競争試験です。年によって合格率の上下はありますが、一定範囲の合格率で推移しています。

年度受験者数合格者数合格率
2024年度(令和6年度)第74回2,515名471名18.7%
2023年度(令和5年度)第73回2,428名282名11.6%
2022年度(令和4年度)第72回2,370名336名14.2%
2021年度(令和3年度)第71回2,548名325名12.8%
2020年度(令和2年度)第70回2,499名264名10.6%
2019年度(令和元年)第69回2,897名338名11.7%

次に難易度の面では、理論の出題は、一つ一つの問題は比較的シンプルなものが多いのですが、幅広い学習範囲の中から解答を的確に記述することが求められます。

また、受験生の競争が激しいため、他の受験生より精度の高い理論答案の作成が必要です。

計算の出題は、総合問題において各財産を正確に評価するとともに、素早く集計して各相続人・受遺者の課税価格と税額を計算することが要求されます。

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税理士試験で相続税法は選ぶべき?

税理士試験で相続税法を選ぶべきか迷っている方向けに、ここでは以下2つのポイントを解説します。

  • 他科目との難易度比較
  • 相続税法を選ぶメリット

それぞれ見ていきましょう。

他科目との難易度比較

税理士試験に必要な科目ごとの勉強時間目安は以下の通りです。

 科目合格率
令和6年度
配点(例年)勉強時間(目安)
理論計算
必須簿記論17.4%0%100%450時間
財務諸表論8.0%50%50%450時間
選択必須所得税法12.6%50%50%600時間
法人税法16.4%50%50%600時間
選択相続税法18.7%50%50%450時間
消費税法10.3%50%50%300時間
酒税法12.1%30%70%150時間
国税徴収法13.0%100%0%150時間
住民税18.2%50%50%200時間
事業税13.7%50%50%200時間
固定資産税18.0%50%50%250時間

【引用】令和6年度(第74回)税理士試験結果

相続税法の合格率は2024年度以前は10%台前半で推移しており、他の科目に比べて合格率が低い傾向にあると言えます。

また、勉強時間も他の選択教科よりも長い時間が必要とされています。

ただし、前述の通り税理士試験は相対評価です。

科目ごとの「受かりやすい・受かりにくい」は一概には言えないため、「将来に生かせるかどうか」といった考え方で選ぶのがよいでしょう。

相続税法を選ぶメリット

相続税法は、死亡した人から財産を引き継いだ際の「相続税」や、他人から贈与を受けた際に課される「贈与税」に関する科目です。

人生の重要な局面に関わる法律なので、相談件数は多く見込まれます。

開業後も高収入につながりやすく、税理士としてのキャリアに生かせる可能性が高いです。

科目ごとの合格率や必要な勉強時間はあくまで目安と捉え、将来やりたい仕事や目指すキャリアを念頭に置いて、自分に合った科目を選びましょう。

相続税法 短期合格勉強法

相続税法は、幅広く正確な理論に関する理解と、財産評価と集計を素早く行うスキルが問われる試験です。

したがって、以下の項目と順番で学習するのがおすすめです。

相続税法の理論の勉強方法

  1. 各論点の概要を理解する
    (完璧にするのではなく、一通り全体像をつかむ)
  2. 簡単な例題を解いてみる
    →個別の理論の確認
  3. 少しまとまった分量の問題を解いて、内容理解を深める
    →どういう形で出題されるか?を理解する
  4. 演習問題や過去問題を時間を決めて解き、解答力を身につける
    →演習後、解答・解説と照らして、自分に足りない記述や解法を補う
  5. 改正論点もおさえ、一通り解答できるようにする

相続税法の計算問題の勉強法

  1. 個別論点の計算問題を練習する
    (完璧にするのではなく、一通り解いてみる)
  2. しばらくしてからもう一度問題練習をして、定着しているか確認する
    →定着していない場合は、復習して繰り返し学習で記憶に定着させていく
  3. 本試験に近いレベルの問題で実力をチェックする(どこで間違えたか・忘れていることなど)
    →復習する
  4. 本試験レベルの問題を本試験と同様に時間を決めて解く練習をする
    →復習する

このように、繰り返し練習をして、理論の幅広く正確な理解と計算・集計に関するスキルを積み上げていくのが相続税法攻略の道です。

相続税法については、テキストを読み理解を深めると同時に、問題練習を通じて幅広い知識の定着と補充を繰り返していく必要があります。

理論では各論点の概要を一通り理解しておけば、試験直前期の理論問題演習においてコンスタントに高得点を取りやすくなります。

計算では基本の個別論点を着々とマスターし、直前期に課税価格・相続税額の総合問題を解けるようにすれば、本試験突破も可能です。

相続税法では、学習のボリュームが多いため、一定の努力が必要ですが、一方で理論・計算で偏りなく得点する要領の良さも必要となります。

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税理士試験で相続税法は独学で合格できる?

相続税法をはじめ、税理士試験は独学で勉強するのは難しいと言われています。

まず、税法科目に関する市販の書籍はありますが、スクールや通信講座などの講義を受けた上で使うのが一般的です。

内容が難解なため、独学で理解し、疑問点を解消していくのは簡単ではありません。

また、必須科目の簿記論と財務諸表論に加え、例えば法人税法・相続税法・国税徴収法を選択した場合、勉強時間の目安は合計2,100時間程度とされます。

独学で取り組むには、長期的なモチベーションの維持も求められます。

着実に税理士試験の合格を目指すなら、効率的なカリキュラムで学べる予備校や通信講座を受講するのがよいでしょう。

スキマ時間を活用して、好きな時間に好きな場所で勉強したいという方には通信講座がおすすめです。

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スタディングを利用して税理士試験に合格した人の声

【実例】あいたくさん 2024年合格

スタディングのみで相続税法に科目合格できました。初学1発での税法科目合格です。

相続税法の田高先生は説明が非常にうまく、難解な相続税法もスッと理解できました。ユーモアのあるちょっとした小話を挟んでくれたり(「信じるか信じないかは…」のところはメチャメチャ笑いました)、毎日の受講が楽しみで苦なく学習を進められました。

一方で、毎回のテーマ別演習や実力テスト・直前対策講座はかなりレベルが高く、要求される合格目標点に心折られそうになることも多々ありましたが、逆に「こんなんじゃイカン!」と奮い立てられ真剣に学習に取り組むことができました。

相続税法は官報合格を狙っている猛者が受ける難関科目…というのが通説ですが、それを初学1発で合格できたのは、スタディング、そして田高先生のおかげです。この高品質なサービスが非常に安く受けられ、合格まで勝ち取れるなんて夢のようです。ありがとうございました!

来年は法人税・消費税の2科目合格して、スタディングだけで官報合格を達成したいと思います。

※一部抜粋

出典:スタディング「スタディングのみで相続税法に科目合格できました。」

【実例】シンディーさん 2023年合格

法人税法を受験しました。

勉強を始める前に年間目標学習時間を1,500時間に設定し、実績値と比較しながら勉強を進めていきました。

1,500時間をこなすためには家での学習だけでは厳しいため、車の移動時間を理論を耳から聞くことにより有効的に時間を使うようにしました。

学習方法はスタディングの講義で基本的事項のインプットをし、問題はスタディングの答練に加えて市販の問題集を利用しながらアウトプット力をつけました。

スタディングは3年間利用させてもらい、おかげさまで法人税法に加えて消費税法、相続税法も合格することが出来ました。

講師の皆様ありがとうございました。

出典:スタディング「スタディングは3年間利用させてもらい、おかげさまで法人税法に加えて消費税法、相続税法も合格することが出来ました。」

【実例】ぴぴさん 2023年合格

令和5年度の相続税法に合格できました。

 スタディングの相続税法講座は令和4年度から使っていました。令和4年度はこの他に、他社の講座で法人・消費も勉強しており、計3科目を仕事しながら勉強していたため、相続税法については最終的に理論の暗記が不十分なまま試験を受けざる得ない状態になり再受験という形でした。(令和4年度は30点でした。)

 スタディングの講座は主にインプット教材として使用していました。スタディングのいいところは講座で使用するテキスト(スライド)の分かりやすさだと思います。各講座のテキストをテーマごとにマイノートへ切り貼りして自分なりの勉強教材を作っていくことで財産評価の論点を日々見返せるようにしていました。

 市販テキストの問題集(個別計算問題集、総合計算問題集どっちもやりました)でアウトプットを行いながら理解を確認して、繰り返しインプットを行なっていました。

 また今回の勉強で特に時間を割いたのが、理論の暗記です。理論は市販テキストを1週間で1周することを試験直前まで10ヶ月間ほど継続して取り組みました。令和5年度の本試験の理論問題は大手の出題予想を外れた内容でしたが重要度の濃淡つけずに長期間にわたって理論暗記に励んだ努力があったからこそ多くの人が暗記を疎かにしている部分で得点を伸ばすことができ、それが合否を左右したと考えています。(理論は自己採点でほぼ満点の出来でした)

 相続税法は官報合格目前の受験生がひしめく難関科目ですが、皆さんの合格を心よりお祈りしています。

出典:スタディング「スタディングのいいところは講座で使用するテキスト(スライド)の分かりやすさだと思います。」

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まとめ

今回は税理士試験の相続税法について、出題傾向や難易度を交えて紹介しました。

  • 相続税法は税法科目の中の選択科目で、試験時間は120分で100点満点
  • 「合格基準点は満点の60%」とされているが、実際は上位10~15%が合格する相対評価の試験
  • 相続や贈与は人生の重要な局面に関わるため、資格取得後もキャリアに生かせる
  • 合格には、理論への幅広い理解と計算・集計のスキルが求められる
  • 他の科目と同様に独学での攻略はハードルが高いため、スクールや通信教育がおすすめ

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