不動産資格の三冠(トリプルクラウン)・四冠に必要なことは?

不動産に関連する資格を3つ持っていると三冠、4つ持っていると四冠と言われます。

この記事では不動産資格を複数持っていることで得られるメリットや、三冠(四冠)を達成するために必要なことについて解説しています。

不動産資格の三冠・四冠とは?

不動産業資格の「三冠」または「四冠」を取得していれば、高度な専門知識を持つプロフェッショナルとして認められるでしょう。

三冠とは「宅地建物取引士(宅建士)」「マンション管理士(マン管)」「管理業務主任者(管業)」の3つの資格すべてを取得した状態を指します。

宅建士は不動産取引全般、マン管はマンション管理に関する専門家、管業はマンション管理会社での実務を担う資格です。

四冠は上記3つに「賃貸不動産経営管理士」を加えた4つの資格を指します。

賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理や経営に関する専門家で、近年になって注目が高まっている資格です。

四冠取得者は、売買・賃貸・管理のあらゆる面で高度な知識を持ち、不動産業界で総合的なスキルを有する人材として評価されるでしょう。

不動産資格を複数取得するメリット

複数の不動産資格を取得すれば、不動産業界で活躍しやすくなるでしょう。

宅建士を筆頭に、関連資格を組み合わせることで、キャリアアップや独立の可能性が広がります。

以下に不動産資格を複数取得するメリットを3つ紹介します。

  • 就職や転職に活かしやすい
  • 将来的な実務に役立つ
  • 免除制度が利用できるケースがある

1つずつ詳しく解説します。

就職や転職に活かしやすい

不動産資格を複数取得することは、就職や転職の際に大きな強みとなります。

宅建士資格に加えて、賃貸不動産経営管理士や管理業務主任者などの資格を持っていれば、より幅広い業務に対応できる人材として評価されるでしょう。

また、複数の資格を持つことで、不動産業界以外での就職や転職にも有利になります。

たとえば金融機関や建設会社、不動産投資顧問会社など、不動産に関連する様々な業界で活躍の場が広がります。

キャリアの選択肢を大きく広げられる点もメリットといえるでしょう。

将来的な実務に役立つ

不動産資格を複数取得することは、将来的な実務において大きなメリットをもたらします。

宅建士を基本として、他の資格を組み合わせることで、不動産取引から管理、経営まで幅広い知識と実務能力を身につけられます。

たとえば宅建士に加えてマンション管理士や管理業務主任者の資格を取得すれば、不動産売買だけでなく、マンション管理の専門家としても活躍可能です。

こうした複合的な知識と資格は、クライアントに対してより総合的なサービスを提供することを可能にし、業務の幅を広げるとともに、独立や起業の際にも大きな強みとなります。

免除制度が利用できるケースがある

不動産資格を複数取得する大きなメリットの一つに、試験での免除制度が利用できるケースがあることです。

この制度により、すでに取得した資格を活かして、次の資格取得をより効率的に進められるでしょう。

特に注目すべきは相互免除制度です。

たとえばマンション管理士資格を持っている場合、管理業務主任者試験で5問が免除されます。

逆に管理業務主任者を持っていれば、マンション管理士試験で5問が免除されます。

これは共通する法律や実務知識があるため、学習効率を上げる目的で設けられた制度です。

免除制度を活用することで試験対策の負担が軽減され、合格率を高めることができるでしょう。

また、すでに持っている知識を効果的に活用できるため、学習時間の短縮にもつながります。

不動産資格を複数取得するデメリット

不動産資格を複数取得するメリットは多数ありますが、デメリットも存在します。

特に時間とコストが大きな問題になるでしょう。

  • 時間がかかる
  • 金額がかかる

それぞれについて解説します。

時間がかかる

各資格に必要な学習時間の目安は以下の通りです。

あくまで目安なので、少なく済む場合もより多くかかる場合もあります。

資格勉強時間
宅地建物取引士約200~300時間
管理業務主任者約300時間
マンション管理士約500時間
賃貸不動産経営管理士約100~250時間

金額がかかる

各資格の受験料(令和6年7月25日時点)は以下の通りです。

資格受験料
宅地建物取引士8,200円
管理業務主任者8,900円
マンション管理士9,400円
賃貸不動産経営管理士12,000円

【参考】宅建試験の概要
【参考】令和6年度管理業務主任者試験の実施について
【参考】令和6年度マンション管理士試験実施公告
【参考】令和6年度 賃貸不動産経営管理士試験実施要領

各不動産資格合格率から見る難易度とは

各資格の合格率は以下の通りです。

資格合格率
宅地建物取引士約15~17%
管理業務主任者約19~24%程度
マンション管理士約8~10%
賃貸不動産経営管理士約30%※国家資格化以降

不動産資格の三冠・四冠を達成するには?

不動産資格の三冠・四冠を達成するのは、決して簡単ではありませんが、効率的な学習方法を取り入れることで十分に可能です。

特に通信講座の活用は、合格の可能性を大きく高めてくれるでしょう。

  • 通信講座を利用する
  • 難易度の低い順番で受験する
  • 出来る限り期間を空けないようにする

1つずつ解説します。

通信講座を利用する

不動産資格の三冠・四冠を目指すうえで、通信講座の利用は効果的な学習方法の一つです。

通信講座は、予備校に通うよりも低コストで学習を進められるため、複数の資格取得を目指す際のお金の負担を抑えられます。

もちろん独学のほうがより費用を抑えられますが、通信講座には独学にはないメリットが多くあります。

たとえば専門の講師によるサポートを受けられる点です。

質問対応や学習進捗の管理など、効率的な学習をサポートしてくれます。

また、通信講座では体系的なカリキュラムが用意されており、複数の資格に共通する分野を効率的に学習できるので、三冠・四冠を目指す方にも適しています。

さらに最新の試験傾向に合わせた教材が用意されており、オンライン講義の視聴もできるため、通勤時間や自宅など、場所や時間を問わず学習を進められる点も魅力的です。

難易度の低い順番で受験する

三冠・四冠の達成を目指す場合、最初から難易度の高い資格に挑戦するのではなく、比較的難易度の低い順番で受験していくことをおすすめします。

特に最初の資格としておすすめなのが、宅建試験です。

宅建士は不動産業界の基本資格であり、他の資格との共通点も多いため、後の学習にも役立つでしょう。

また、取得することによって他の資格試験で一部問題が免除されるメリットもあります。

宅建士取得後は、管理業務主任者か賃貸不動産経営管理士、最後にもっとも難しいマンション管理士の順番で挑戦するのが、難易度的には適切といえます。

ただし、実務経験が豊富にある方や、学習時間に余裕がある方などは、宅建受験後すぐにマンション管理士の取得を目指しても問題ないでしょう。

出来る限り期間を空けないようにする

不動産資格の三冠・四冠を効率的に達成するには、資格試験の受験間隔をできるだけ短くすることが重要です。

試験範囲が重複している部分があり、共通する知識を活用することで、学習効率を大幅に高められるためです。

たとえば宅建士試験で学んだ不動産取引や関連法規の知識は、マンション管理士や管理業務主任者の試験でも役立ちます。

しかし、資格取得後に長期間が経過すると、せっかく身につけた知識が薄れてしまう可能性があります。

そのため、一つの資格に合格したら、できるだけ期間を空けずに次の資格試験に挑戦することをおすすめします。

また、期間を空けずに学習すると、モチベーションを維持しやすいため、集中して学習を続けられるでしょう。

まとめ

最後に不動産資格の三冠・四冠に必要なこと、合格難易度とメリットについて、重要ポイントをおさらいしておきましょう。

  • 不動産資格の三冠・四冠を取得すれば、就職や転職の際に有利になりやすい
  • 実務に役立ち、免除制度が利用できるなどのメリットもある
  • 一方、資格取得のために多くの時間や費用がかかるデメリットがある
  • 三冠・四冠を達成するためには、難易度の低い順番で受験すると良い
  • 効率的に学習するためには通信講座の利用がおすすめ

以上、不動産資格の三冠・四冠を解説してきましたが、どの資格も難易度が高いので独学で学習するのは大変でしょう。

最初の資格としておすすめな宅建士も、200〜300時間程度の学習時間が必要とされているので、忙しい社会人の方はスキマ時間を活用することが大切です。

スキマ時間を徹底活用したい方は「スタディング 宅建士講座」をぜひチェックしてみてください。