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まず、近年の宅建における合格率や合格ラインとなる点数について解説していきます。
宅建の合格率は、令和5年度(2023年度)試験までの5年間は16.8~17.7%で推移しています。
「6人に1人程度しか合格しないの?」と思うと難易度が高く感じられますが、宅建は法律系の国家資格の中ではそれほど難しくない位置付けです。
合格率が低い理由として、下記のことが考えられます。
▼誰でも受験できる
宅建には受験資格がありません。年齢、学歴、実務系経験などの制限がなく、誰でも受験できます。
そのため毎年約20万人が受験している、非常に人気の高い資格試験になっています。
様々な受験者がいることで合格への本気度にもばらつきが生じるため、全体の合格率が10%台と低くなると考えられます。
▼試験範囲が広い
宅建は試験範囲が広いことが特徴です。約20万人の受験者の中には、試験範囲をすべて勉強しきれなかったけどとりあえず受験し、不合格になる人も一定数いると考えられます。
必ず受験する意思があり、計画的に勉強をした人の場合、実際の合格率はもっと高いと言えるでしょう。
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「資格試験に向けて勉強を始めようかな」と思ったとき、本屋さんでテキストを選んで独学する、資格スクールに通う、通信講座を受講するといった選択肢があるかと思います。
「コストが安いし、まずは独学でチャレンジしてみたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
では、宅建の独学での合格率はどの程度なのでしょうか。残念ながら、宅建の合格率に関する公式データの中に「独学での合格率」という項目はありません。
しかし、宅建は国家資格の中では独学で合格しやすい資格とされています。理由としては、以下の2つが考えられます。
▼法律系国家資格の中では「登竜門」的な存在
宅建は、法律系国家資格の中では「登竜門」的な存在と言えます。法律について初めて学ぶ方が一発合格することも難しくありません。
また、大学で法律の勉強に取り組んだことのある方なら、比較的スムーズに理解をしながら勉強を進めやすいでしょう。
▼記述式問題が出ない
宅建は、同じ法律系国家資格の行政書士等とは異なり、記述式の問題が出題されません。問題がすべて四肢択一式のため、過去問を繰り返し解き理解することが点数アップに直結します。
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宅建試験は全50問が出題され、1問1点です。相対評価方式のため、合格点は年によって変わります。
令和5年度(2023年度)までの5年間は34〜38点でした。
宅建に合格するには満点を目指す必要はなく、おおむね35点程度、得点率にして7割程度が合格点の目安となっています。
学習を始めるときは、少し余裕をもって38点程度が取れることを目標にするといいでしょう。
ちなみに、その年の試験の合格点が何点なのかは、例年、合格発表の日に公表されます。
つまり、受験生は試験終了後に自己採点をしている段階では、合格しているかどうかを確実に知ることはできません。
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次の表は、平成20年度(2008年度)以降の宅建試験の受験者数、合格者数及び合格率・合格点を示したものです。
年度(西暦) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点 |
---|---|---|---|---|
平成20 (2008) |
209,415人 | 33,946人 | 16.2% | 33点 |
平成21 (2009) |
195,515人 | 34,918人 | 17.9% | 33点 |
平成22 (2010) |
186,542人 | 28,311人 | 15.2% | 36点 |
平成23 (2011) |
188,572人 | 30,391人 | 16.1% | 36点 |
平成24 (2012) |
191,169人 | 32,000人 | 16.7% | 33点 |
平成25 (2013) |
186,304人 | 28,470人 | 15.3% | 33点 |
平成26 (2014) |
192,029人 | 33,670人 | 17.5% | 32点 |
平成27 (2015) |
194,926人 | 30,028人 | 15.4% | 31点 |
平成28 (2016) |
198,463人 | 30,589人 | 15.4% | 35点 |
平成29 (2017) |
209,354人 | 32,644人 | 15.6% | 35点 |
平成30 (2018) |
213,993人 | 33,360人 | 15.6% | 37点 |
令和元 (2019) |
220,797人 | 37,481人 | 17.0% | 35点 |
令和2 (2020)※ |
204, 250人 | 34,338人 | 16.8% | 10月実施分 38点 12月実施分 36点 |
令和3 (2021)※ |
234,714人 | 41,471人 | 17.7% | 10月実施分 34点 12月実施分 34点 |
令和4 (2022) |
226,048人 | 38,525人 | 17.0% | 36点 |
令和5 (2023) |
233,276人 | 40,025人 | 17.2% | 36点 |
※令和2年度(2020年度)と令和3年度(2021年度)は、10月実施分及び12月実施分の合計の数値です。
宅建試験には通称「5点免除(5問免除)」という制度があります。
これは、すでに宅建業に従事している方を対象とする免除制度で、本試験全50問のうち5問(46~50問目)の問題が免除となります。
5点免除制度を利用した場合、合格ラインも5点分低くなります。
たとえば合格点が34点の年度なら、一般受験者が合格するには50問中34問以上に正解する必要がありますが、5点免除制度を利用すると45問中29問以上の正解で合格となります。
ただし、試験時間は10分短縮となります。
5点免除制度を利用した受験者の合格率は、令和5年度(2023年度)は24.1%でした。
一般受験者の合格率(17.2%)よりも高い数値となっています。
5点免除制度を利用するには、宅建業に従事していることに加えて、所定の機関が実施している「登録講習」を受講する必要があります。
講習の内容は通信教育(2カ月程度)とスクーリング(2日)で、スクーリングの最後に修了試験を受けます。
合格すれば修了となり、修了の日から3年以内の宅建試験において5問免除制度を利用できます。
講習を受講するには「宅建業従業者証明書」が必要となります。宅建業従業者証明書は宅建業に従事していることを証明するもので、勤務先の事業者が発行するものです。
正社員ではなくパートやアルバイトとして働いていても、宅建業従業者証明書は発行されます。
すでに宅建業界で働いている方は、5点免除制度の利用を検討してみるのもいいかもしれません。
【あわせて読みたい】宅建の5点免除とは?申し込みや講習について徹底解説
【参考】一般財団法人 不動産適正取引推進機構「登録講習について」
「今から宅建士を目指そう!」と思ったとき、チェックしておきたいのは直近の試験や合格発表の日程です。ここでは宅建合格までのスケジュールや合格発表の流れについてみていきましょう。
以下は2024年度(令和6年度)宅建試験のスケジュールです。
受験申し込みから試験当日までのスケジュールは、下記のような流れになっています。
▼試験の公告(官報公告)
2024年(令和6年)6月7日(金)
▼試験案内(申し込み書)の配布
【インターネット】不動産適正取引推進機構ホームページに掲載
2024年(令和6年)6月上旬~7月下旬
【郵送】各都道府県ごとに指定の場所で配布
2024年(令和6年)7月1日(月)~ 7月16日(火)
▼受験申し込み
インターネット:2024年(令和6年)7月1日(月)9:30~7月31日(水)23:59
郵送:2024年(令和6年)7月1日(月)~ 7月16日(火)
▼受験票の郵送
2024年(令和6年)10月2日(水)
▼試験当日
2024年(令和6年)10月20日(日)
※試験時間は13:00~15:00(2時間)、試験会場への集合時間は12:30
▼合格発表
2024年(令和6年)11月26日(火)
このように、受験日から約1カ月後の11月下旬には、結果が発表されていることになります。
【あわせて読みたい】2024年度(令和6年度)宅建試験日と申し込み、合格までのスケジュール
【参考】一般財団法人 不動産適正取引推進機構「令和6年度宅地建物取引士資格試験について」
宅建の合格発表を見るには、下の3つの方法があります。
▼Webサイト
合格発表は、例年「一般財団法人 不動産適正取引推進機構」のWebサイトに合格発表日の9:30から掲示されます。
不動産取引機構のホームページにアクセスし「宅建試験」のページへ進むと、合格発表ページを開くことができます。
そして自分の受験地や受験番号の上4桁を選択すると、合格者の受験番号が発表されているページを見ることができます。
Webサイトでの合格発表は、外出先からでも簡単に合否を知ることができる、もっとも便利な方法です。出先から合格発表を見たい場合は、自分の受験番号を忘れずにメモして持っておきましょう。
▼郵送
合格者には合格証書が、不動産適正取引推進機構より簡易書留郵便で発送されます。例年、合格発表の当日に発送されます。不合格の場合は、通知はありません。
なお、合格証書は宅地建物取引士証(宅建士証)とは異なります。宅建士証を手に入れるには、資格登録と宅建士証の交付申請が別途必要です。
【あわせて読みたい】宅地建物取引士(宅建士)資格登録までの流れ
▼受験した都道府県ごとの掲示
各都道府県の所定の場所において、合格者受験番号一覧が掲示されます。合格した場合は、記念に掲示場所まで足を運んでみてみるのも楽しいかもしれません。
掲示場所や掲示期間、掲示を確認できる時間帯などは、受験地の都道府県によって異なります。Webサイトなどで確認しましょう。
結論から述べると、合格発表では自分の点数はわかりません。
合格ライン(合格点)や合格率はWebサイトで発表されますが、自分が何点を取って合格または不合格だったのかを公式に知ることはできません。
自分の点数を知るには、試験当日に問題用紙にも自分の解答を残しておくとよいでしょう。
問題用紙は持ち帰り可能なので、合格発表時に試験実施機関が発表する正解番号を参考に自己採点をすれば、何点取れていたのかを確認できます。
自己採点はもし不合格だった場合に次回の受験に向けて復習するときにも役立ちます。正解番号は下記ページで確認できます。
【参考】一般財団法人 不動産適正取引推進機構「宅建試験」>「受験生の方」
宅建に合格したら、せっかくなので宅建をいかした仕事に就いてみたいという方も多いのではないでしょうか。ここでは、宅建合格後の流れや合格後の就職先について見ていきましょう。
宅建の資格を仕事にいかしたい人には、合格後の手続きも重要です。
前述の通り、合格証書と宅建士証は異なるものです。
宅建に合格したのち、受験地の都道府県にて宅建士資格登録の手続きを行い、さらに宅建士証の交付申請を行うことで、晴れて宅建士になることができます。
資格登録をするためには、次の3つの要件を満たさなければなりません。
実務経験が2年未満の場合、資格登録の前に所定の機関が実施する「登録実務講習」を修了する必要があります。
登録実務講習では、まず通信講座を受講します。通信講座終了後は、1〜2日間のスクーリングで不動産業の実務を学びます。
そして、スクーリングの最後に行われる修了試験に合格すると、登録実務講習の修了証が交付されます。
これで実務経験2年以上の要件を満たしたことと同等と扱われます。
一方、「実務経験2年以上」として資格登録をする場合は、実務経験証明書を用意します。
これは過去10年以内のうち直近の2年以上の実務経験を記載して、現在宅地建物取引業免許を受けている業者の証明を受けたものです。
実務経験としてカウントできる業務は、顧客への説明、物件の調査など、具体的な宅地建物の取引に関する業務です。
たとえ宅建業者に勤務していても、受付、秘書、総務、経理といった一般管理業務や、その他の補助的な事務は、実務経験にはカウントされません。
実務経験として認められる要件は細かく規定されていますので、該当しそうな方はよく確認しておきましょう。
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次に、宅建合格後の就職先となる業界についてみていきます。
▼不動産業界
宅建合格後の就職先として代表的なものは、もちろん不動産業界です。
宅建業法では、宅地建物取引業者の事業所において、従業員5人に1人以上の割合で宅建士を設置することを義務付けています。
また、宅建士が退職してしまいこの規定人数を満たさなくなった場合は、新たな宅建士を2週間以内に補充しなくてはならないという規程もあります。
このようなことから、宅建士は不動産業者にとって貴重な存在であると言えます。
不動産業界では、社員全員に宅建士資格を持っていてほしいと考える企業も少なくありません。
一方、宅建士の求人は不動産業界だけではありません。金融業界や建設業界などその他の業界の一般企業にも、宅建士の資格取得者を歓迎する求人は多く見られます。
▼金融業界
銀行では土地や建物といった不動産を担保に融資を行うケースが多いため、宅建取得の際に学んだ不動産取引の知識を直接いかすことができます。
宅建資格を取得していることによって、任される仕事の幅が増え、活躍次第で昇進・昇給も期待できるでしょう。
▼建設業界
大手建設会社では、建物を建てるだけではなく、自社で建てた物件の販売まで手掛けているところもあります。
住宅・マンションの販売には宅建業の免許が必要なため、このような大手建設会社では自社内に不動産を扱う部署を設けるケースがあり、宅建士のニーズがあります。
▼その他の業界
宅建士を始めとした法律系の国家資格は、いずれも少なくとも数カ月間の勉強を要します。一夜漬けなどの少しの努力で簡単に取得できるものではありません。
しかし法律の知識はあらゆる事業で必要となります。そのため専門的な法律知識を持った人材は、様々な業界で重宝される傾向にあります。
宅建合格を通して得た法律知識は現代のビジネスシーンで重宝されるといえるでしょう。宅建に合格していることで、就職や転職の選択肢を多く増やすことができるといえます。
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宅建試験合格後、資格登録の手続きをせずに放置をしても問題はありません。
宅建試験に合格した後の資格登録は任意です。資格登録をしなくても、一度宅建に合格するとその効力は一生失われません。
合格してもすぐに資格登録をせず、就職・転職のために資格が必要になったタイミングで資格登録をすることも可能です。
宅建業の実務経験がない方が合格直後に宅建士証の交付を受けようとした場合、下記の費用がかかります(2023年10月現在)。
合計で約6万円程度かかります、さらに宅建士証の更新には5年に1度、1万6,500円が必要です。
このため、「合格したけれど、今すぐ宅建をいかした就職・転職をするつもりはない」という方は、必要なタイミングがくるまで資格登録はしないでおくという選択もあります。
ちなみに、宅建士試験合格から1年を超えた時点で宅建士証の交付申請を行う場合、「法定講習」を受講する必要があります。
法定講習とは、宅建士証の更新時に受講が必要な講習ですが、試験合格後1年を超えて宅建士の交付申請を行う場合も受ける必要があります。法定講習の費用は1万2,000円です。
ご自分のキャリアプランによって、いつ宅建資格が必要となるかを見極め、資格登録や宅建士証の交付申請をどのタイミングで進めるべきかを判断していくのがよいでしょう。
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今回のポイントをおさらいしておきましょう。
試験を知ることが合格への第一歩です。また、合格への道筋を知ることは、試験勉強のモチベーションアップにもつながるでしょう。
宅建合格に向けて、一緒にがんばりましょう!