現在、宅建試験の勉強中です。合格後、不動産業界で活躍していくために、この業界の現状と課題が知りたいです。 | |
宅建資格の取得を目指す方は、不動産業界が抱える課題や、予想される未来について、気になることでしょう。今回は、この業界の現状の課題と展望を紹介していきます。 |
不動産業界の現状と課題
マンション開発や不動産流通、アパートやオフィスビルなどの賃貸業。一口に不動産業といってもそのジャンルは多岐にわたります。不動産市場を取り巻く現状は、景気や世界情勢、少子化などの国内問題といったさまざまなファクターに左右されます。
データで見る不動産業界
財務省の「法人企業統計調査」によると、不動産業界は国内4位の規模を誇る一大マーケット。その市場規模は39兆円を超え、三井不動産や三菱地所、飯田グループホールディングスといった名だたる大企業がトップシェアを争っています。
不動産市況に目を転じると、全体的に上向きの傾向が見られます。日本銀行のマイナス金利政策の余波を受け、住宅ローンは低金利を推移。その影響もあってか、新築住宅の着工数はここ数年増加傾向にあります。
都心部では、2020年の東京オリンピックを見据え、選手村の予定地となっている勝どきエリアを中心に大規模ビル開発が進んでいます。渋谷や市ヶ谷、虎ノ門などでも商業ビルやタワーマンションの建設ラッシュが続き、売れ行きも好調です。不動産業界は全体的に活況を呈しており、この状況はオリンピックが終わるまで続くと見られています。
人口減少にどう対応するか
不動産市場の好景気はオリンピックまで続くと思われますが、問題はその後です。現在の不動産バブルは、オリンピック需要を見込み、キャピタルゲインが狙いの投機目的の要素が強く、需要が落ち着くと見られるオリンピック開催前になると大量の不動産が売却され、バブルが弾けて地価が暴落するという見方も。実際のところ、地価がどう変動するかそのときになってみないと分かりませんが、今の高需要が永遠に続くものでないことは確かです。
さらに日本が抱える課題として、人口減少問題があります。このまま少子高齢化が加速度的に進み、若者を中心とする生産年齢人口が減っていくと、アパート・マンションの需要も減り、都市部でも空室や空き家が目立つようになるかもしれません。新築・中古住宅の売れ行きや、商業ビルのテナント状況にも影響を及ぼすでしょう。業界4位を誇る不動産業界でも、社会構造の変化に柔軟に対応できる多様なサービスの創出が求められます。
必要な対策は?
人口減少社会を見据え、いかに物件販売の流通網を構築するかが、不動産業界で生き残るカギとなるでしょう。
IT化の動き
中古住宅業界では、ビッグデータ解析を使った情報公開システムにより、住宅購入希望者に「安心感」と「信頼感」を持ってもらうための取り組みが行われています。
不動産情報の活用システムには、業者間で不動産情報を登録・閲覧できる「レインズ」という仕組みがありますが、これは一般ユーザー向けには公開されません。こうしたユーザーと不動産業者の情報格差をなくすためには、情報公開のIT化を推し進め、誰でも簡単に情報のインプットができるシステムの運用が不可欠です。
ビッグデータ解析を活用したマンションスコア(想定価格)のオープン化で、無店舗運営・手数料の割引きを実現している不動産企業もあります。無店舗運営とはいえ、売買に関する相談や契約まで必要なサービスは、スタッフによるサポート提供が基本です。
ブロックチェーン
将来、ビットコインなどの仮想通貨取引の安全性を担保するために、さまざまな業界でプラットフォーム化が進んでいるブロックチェーン技術。この技術を応用した高度な情報管理システム活用の動きが、不動産業界でも見られます。
賃貸物件を例にとれば、住宅の供給から、物件管理、入居者探し、入居希望者の案内、契約の締結まで、一連のプロセスを完成させるには、さまざまな業者とのやり取りが発生します。ブロックチェーン技術をプラットフォームとしたIotアプリケーションでつなげることで、個別対応の壁を取り払い、一括サービスによる提供で顧客満足度の向上が期待できます。
ブロックチェーン技術の応用で、個々の不動産会社が相乗りしやすい標準フォーマットの創出も可能となり、そうなれば不動産業界全体が緊密に連携しあう一大ネットワークの誕生も夢ではありません。
まとめ
今のところ活況を呈する不動産業界も、2020年の東京オリンピックが終われば需要も一段落つくと予想されます。人口減少による空き家リスクもあり、今の段階から課題解決に向けた取り組み強化が不可欠です。情報管理のIT化やブロックチェーン技術の応用も、不動産市場の成長を占う重要なキーです。これからの不動産業界を担う人材には、Iotなどの先進技術にも多少詳しいスキルが求められるかもしれません。
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