「宅建士の資格が気になるけれど、年収はどのくらい期待できるの?」と思っている人はいませんか?宅建士の資格は就職のアドバンテージになることも多く、年収アップや多種多様な職業へのチャレンジ機会も生まれます。
この記事では、はさまざまな観点から見た宅建士の年収と、さらに年収を上げるための方法についてまとめました。
宅建士の年収
宅建士を目指す人にとって「資格をとった後、どの程度の年収をもらえるのか」は気になるポイントではないでしょうか。
宅建士として活躍する人の業界、年齢、性別はさまざまで、それぞれ収入も異なります。
まずはいろいろな角度から宅建士の年収について探っていきましょう。
宅建士の年収の公的データはない
実は「宅建士の年収」に関する公的なデータは存在しません。
宅建士の資格を活かせるのは不動産業界だけではなく、金融業界や建設業界などさまざま。このため、平均的な宅建士の年収を把握することは難しいのです。
そこで今回は宅建士の資格を活かせる業界として代表的な「不動産業界」の年収に着目して紹介します。
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」の産業別の賃金を見ると、不動産業・物品賃貸業の全従業員の平均年収は530万1,100円と推定できます。
同調査によると、全産業の推定平均年収は489万3,100円なので、比較すると不動産業・物品賃貸業は全体平均よりも約40万円高いことがわかります。
ここから年齢別・男女別にそれぞれくわしく見ていきましょう。
※本稿での平均年収(推計)の計算方法は下記のとおり。
「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与」
年齢別の年収
まずは年齢別データです。
前述のとおり、不動産業・物品賃貸業の全従業員の平均年収は530万1,100円です。年収のピークは55〜59歳の679万800円です。
60歳までは年齢に比例して、年収も上がっていることがわかります。
全産業における55〜59歳の推定平均年収は580万7,500円なので、不動産業・物品賃貸業では年収のピーク時に全体平均よりも約100万円高い年収を得られるということもわかります。
年齢 | 月収 | 年間賞与 | 年収(推計) |
~19歳 | 18万2,700円 | 7万3,400円 | 226万5,800円 |
20~24歳 | 24万7,400円 | 37万1,500円 | 334万300円 |
25〜29歳 | 28万5,500円 | 83万8,500円 | 426万4,500円 |
30〜34歳 | 31万7,500円 | 101万1,400円 | 482万1,400円 |
35〜39歳 | 36万9,000円 | 127万1,500円 | 569万9,500円 |
40〜44歳 | 38万0,800円 | 131万5,800円 | 588万5,400円 |
45〜49歳 | 40万3,000円 | 137万5,000円 | 621万1,000円 |
50〜54歳 | 42万3,500円 | 146万8,400円 | 655万400円 |
55〜59歳 | 43万5,200円 | 156万8,400円 | 679万800円 |
60〜64歳 | 31万6,500円 | 76万4,600円 | 456万2,600円 |
65〜69歳 | 26万4,900円 | 35万8,600円 | 353万7,400円 |
70歳〜 | 22万8,000円 | 25万8,700円 | 299万4,700円 |
【参考】厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」不動産業,物品賃貸業
男女別の年収
続いて、男女別で見ていきましょう。
男性の不動産業・物品賃貸業における推定平均年収は595万6,700円です(全産業の推定平均年収は546万4,200円)。
女性の不動産業・物品賃貸業における推定平均年収は404万9,700円です(全産業の推定平均年収は385万9,400円)。
性別ごとに比較しても、不動産業・物品賃貸業は全産業の平均年収よりも高い傾向にあるということがわかります。
また、不動産業・物品賃貸業の男女それぞれのピーク年収は、男性が762万8,900円、女性が451万8,700円です。
▼男性
年齢 | 月収 | 年間賞与 | 年収(推計) |
~19歳 | 18万4,900円 | 4万9,600円 | 226万8,400円 |
20~24歳 | 25万8,000円 | 34万4,400円 | 344万400円 |
25〜29歳 | 30万4,900円 | 91万9,700円 | 457万8,500円 |
30〜34歳 | 34万9,600円 | 118万8,900円 | 538万4,100円 |
35〜39歳 | 40万8,100円 | 149万2,900円 | 639万100円 |
40〜44歳 | 42万7,200円 | 157万4,400円 | 670万800円 |
45〜49歳 | 45万6,800円 | 165万8,200円 | 713万9,800円 |
50〜54歳 | 48万5,100円 | 180万7,700円 | 762万8,900円 |
55〜59歳 | 48万2,500円 | 183万8,200円 | 762万8,200円 |
60〜64歳 | 33万7,000円 | 84万5,600円 | 488万9,600円 |
65〜69歳 | 27万100円 | 37万900円 | 361万2,100円 |
70歳〜 | 23万400円 | 27万5,800円 | 304万600円 |
▼女性
年齢 | 月収 | 年間賞与 | 年収(推計) |
~19歳 | 18万200円 | 9万9,500円 | 226万1,900円 |
20~24歳 | 23万5,500円 | 40万1,800円 | 322万7,800円 |
25〜29歳 | 26万700円 | 73万5,000円 | 386万3,400円 |
30〜34歳 | 26万6,700円 | 72万9,700円 | 393万100円 |
35〜39歳 | 28万1,000円 | 73万3,300円 | 410万5,300円 |
40〜44歳 | 30万1,900円 | 87万5,600円 | 449万8,400円 |
45〜49歳 | 29万9,500円 | 82万9,800円 | 442万3,800円 |
50〜54歳 | 30万7,400円 | 82万9,900円 | 451万8,700円 |
55〜59歳 | 30万2,600円 | 81万2,100円 | 444万3,300円 |
60〜64歳 | 24万6,000円 | 48万6,200円 | 343万8,200円 |
65〜69歳 | 23万5,700円 | 28万9,500円 | 311万7,900円 |
70歳〜 | 20万9,100円 | 12万7,700円 | 263万6,900円 |
【参考】厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」不動産業,物品賃貸業
不動産取引業の年収
ここまで紹介してきた「不動産業・物品賃貸業」のうち「不動産業」は、より細かく見ていくと「不動産取引業」と「不動産賃貸業・管理業」に分類されます。
不動産取引業には、不動産代理業や不動産仲介業、建物や土地の売買業が含まれます。
具体的には、持家売却の仲介やアパート賃貸借の仲介、戸建てやマンションの分譲、中古住宅の売買などです。
これらは宅地建物取引業法によって規制されており、宅建士が活躍できる業務です。つまり宅建士の年収を探る上で参考になるカテゴリーとなります。
そこで不動産取引業に業種を絞り、全体の平均年収(推定)と男女別の平均年収(推定)を見てみましょう。
不動産取引業 | 不動産業・物品賃貸業 | |
全体 | 595万8,100円 | 530万1,100円 |
男性 | 678万2,800円 | 595万6,700円 |
女性 | 429万3,000円 | 404万9,700円 |
前述のとおり不動産業・物品賃貸業全体の推定平均年収は530万1,100円でしたので、不動産取引業ではより高い年収を獲得できる傾向です。
また、不動産業・物品賃貸業全体における男性の平均年収は595万6,700円、女性の平均年収は404万9,700円でしたので、
男女別に見ても、より不動産取引業の年収のほうが高めであることがわかります。
宅建士の年収を求人サイトで調査!
ここからは、求人サイトに実際に掲載されていた情報から宅建士の年収を紹介します。今回は下記の求人に注目しました。
- 不動産営業(住宅販売系)
- 不動産営業(賃貸仲介系)
- 不動産コンサルタント・営業
- 司法書士アシスタント
応募に宅建士の資格が必要な求人や、宅建士の資格を歓迎している求人の年収例を見ていきましょう。(情報は2022年7月現在)
宅建士の年収としてはハイレベルな年収例も記載されていますが、あくまで数ある求人の一つです。参考情報としてお読みください。
不動産営業(住宅販売系)
仕事内容:都心部の高額な住宅・土地の営業
給与:30万円以上+報奨金
宅建士の資格手当:月4万円
年収の例:入社6年目で約2,000万円
不動産営業(賃貸仲介系)
仕事内容:法人向けに賃貸物件の紹介・仲介
給与:25万円以上
宅建士の資格手当:月2万円
年収の例:38歳で約600万円
不動産コンサルタント・営業
仕事内容:土地や収益不動産、賃貸等のコンサルタント及び営業
給与:20~25万円
年収の例:34歳(入社3年目)で約600万円
司法書士アシスタント
仕事内容:司法書士のアシスタント業務(不動産登記など)
給与:25万円以上
宅建士の資格手当:あり
年収の例:40歳(入社3年目)で約500万円
以上の求人からもわかるように、宅建士の資格をもっていると、資格手当てがついたり歩合給が支給されたりするケースもあります。
比較的安定した収入を得やすいと言えるでしょう。
宅建士の資格をいかして年収を上げる方法
ここまで見てきたとおり、年齢や職種によって宅建士の年収はさまざまです。
宅建士の資格保持者が年収を上げるためには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは3つの方法をご紹介します。
- 不動産営業の歩合給で稼ぐ
- 不動産営業は賃貸よりも販売で稼ぐ
- 他の資格も取得して価値の高い人材になる
不動産営業の歩合給で稼ぐ
不動産営業は、宅建士の資格を活かせる代表的な職業のひとつです。
歩合給を支給している会社が多いため、年収を上げたい人には適した職業と言えます。契約数を増やし歩合給を増やすことができれば、大幅な年収アップが目指せるでしょう。
不動産営業は賃貸よりも販売で稼ぐ
前項で「不動産営業は歩合給で稼ぐ」とお伝えしましたが、多くの会社で歩合給は、売り上げた金額に応じて計算されます。
つまり契約金額が大きい物件で成約できるほど、歩合給が増えるのです。
契約金額は賃貸よりも販売の方が大きくなります。販売はひとつの案件にかかる時間や労力は大きいですが、それに見合うだけの報酬が期待できるでしょう。
他の資格も取得して価値の高い人材になる
宅建士に加えて、関連する他の資格を取得することも年収を上げるひとつの方法です。
資格の取得は、自身の強みを作ったり、できる業務を増やしたりすることにつながります。
その結果、マーケットにとって付加価値の高い人材になれるでしょう。
資格が増えることで、昇進や転職にも有利になります。またそれぞれに資格手当が支給されるケースもあるため、年収アップが期待できるのです。
宅建士と相性のよい資格には以下のようなものがあります。
- マンション管理士
- 管理業務主任者
- 賃貸不動産経営管理士
- 不動産鑑定士
- FP
- 行政書士
このような資格を取得することで、将来的に年収アップが期待できることも知っておきましょう。
宅建士になるためにかかるお金・時間
宅建士の資格を取得するためには、どの程度の費用と時間がかかるのでしょうか。くわしく紹介します。
市販のテキスト・問題集・過去問集:1万〜1万5,000円
資格を学ぶためのテキストや問題集などを購入した場合、費用は約1万〜1万5,000円が相場です。
「スタディング 宅建士講座」は、市販の教材購入と同程度〜数千円をプラスした費用で受講できます。
基本的な知識はビデオや音声でインプットしていくため、通勤時間などのスキマ時間にも勉強できます。
時間を効率的に使いながら勉強したい人におすすめです。
▼スタディング 宅建士講座/宅建士合格コースの詳細(2023年10月現在)
タイプ | 価格 | 内容 |
ミニマム | 1万4,960円 | 基本講座・WEBテキスト |
スタンダード | 1万9,800円 | 基本講座・WEBテキスト・スマート問題集・セレクト過去問集・13年度分テーマ別過去問集・合格模試 |
コンプリート | 2万4,800円 | 基本講座・WEBテキスト・スマート問題集・セレクト過去問集・13年度分テーマ別過去問集・合格模試・直前対策講座【2024年予想論点】 |
模試:3,000〜5,000円
模試は試験本番前の夏〜秋に実施され、本番同様に会場受験するものもあれば、オンラインで自宅から受験できるものもあります。
模試によって費用が異なり、1回あたり3,000〜5,000円程度です。自身のレベルや受験のタイミングを考えながら、適切な模試を選びましょう。
受験手数料:8,200円
宅建試験の受験手数料は8,200円です。決して安くない金額ですので、一度で合格できるようしっかりと準備を進めたいですね。
宅建はどれくらいの費用で目指せる?
以上をふまえると、宅建の合格を目指すにあたって必要な最低限の予算は2〜3万円程度となります。
- 市販のテキスト・問題集・過去問集:1万〜1万5,000円
- 模試:3,000〜5,000円
- 受験手数料:8,200円
ただし上記の場合は独学となります。
「勉強時間があまり取れない」「今年こそは合格したい」という人は、予算を抑えることよりも合格の可能性を上げることを優先するのではないでしょうか。
では、「スタディング 宅建士講座」を利用する場合の費用を見てみましょう。
- 宅建士合格コース(コンプリート)※オンライン模試1回を含む:2万4,800円
- 模試:0円
- 受験手数料:8,200円
講座内容に含まれるオンライン模試を活用すれば、模試を別途受験しなくても済むため、合計金額は3万5千円弱となります。
独学の場合と同程度の予算で、合格レベルまで効率的に辿り着けます。
宅建の勉強期間の目安は半年
宅建士の資格を取得するためには、標準的に半年程度の勉強期間が必要です。宅建試験の本番は、例年10月の第3日曜日に実施されます。
勉強期間を半年確保するなら、4月から勉強を開始するといいでしょう。
宅建合格に必要な勉強時間は200〜300時間と言われてます。
仮に総勉強時間を300時間とした場合、半年で合格を目指すなら、平日に2時間・休日に1時間勉強するイメージです。
「平日は忙しいから、休日にまとめて勉強したい」という人は、平日1時間、休日3時間という配分ができそうです。
▼総勉強時間が300時間の場合(初学者におすすめ)
平日 | 休日 |
2時間 | 1時間 |
1時間30分 | 2時間 |
1時間 | 3時間 |
宅建はコスパよく年収アップが目指せる資格
宅建士の資格は「コスパよく年収アップが目指せる資格」と言えます。
仮に、資格を取ることで会社での手当が月1万円上乗せされた場合、勉強にかけた費用は半年も経たないうちに回収できる計算になります。
もちろん資格手当だけでなく、宅建士の強みをいかした新しい職種へのチャレンジも可能です。
また、他の資格と組み合わせることでのキャリアアップなど、年収アップを狙える可能性が大きく広がります。
まとめ
今回は、宅建士の年収について解説しました。
- 宅建士が活躍する不動産業界の平均年収は約530万円で、全体の平均より高い
- 宅建士の資格を活かして働ける求人には、年収2,000万円を目指せるものもある(2022年7月現在)
- 資格を活かして年収を上げるには「歩合給」「賃貸より販売」「他の資格も取得」がポイント
自身の可能性を大きく広げてくれる宅建士の資格取得に、ぜひチャレンジしてみてください。