宅建の正式名称とは?履歴書にはどう書くべき?

宅建は就職や転職活動時に履歴書に書いてアピールできる資格です。

履歴書には正式名称で資格名を書く必要があり、宅建士の正式名称は「宅地建物取引士」となっています。

また、宅建士は合格しただけでは資格を生かして業務を行うことができないので、段階に合わせた書き方をする必要があります。

そこで、宅建の正式名称と履歴書への書き方を解説します。

宅建の正式名称とは?名前が変わったって本当?

「宅建」の資格が不動産業界をはじめとする各業界で重宝することは広く知られていますが、意外にも正式名称を認識していない方も多いようです。

当然ながら正式名称が一度変更されていることもあまり広く認識されていません。

まずは宅建の正式名称や、名称の変化の経緯、変更による影響について解説します。

  • 宅建の正式名称は「宅地建物取引士」
  • かつての名称は「宅地建物取引主任者」
  • 名称変更による影響

宅建の正式名称は「宅地建物取引士」

「宅地建物取引士(たくちたてものとりひきし)」が宅建の正式名称です。

このうち「宅」と「建」の文字を取り「宅建(たっけん)」の略称で呼ばれています。

同様に、「宅建試験」と呼ばれる試験の正式名称は「宅地建物取引士試験」です。

一般的には「宅建」「宅建資格」「宅建試験」などの略称で通じることが多いですが、履歴書などの書類においては正式名称で記載する必要があります。

資格の取得を目指す方は読み方も含めてぜひ覚えておいてください。

かつての名称は「宅地建物取引主任者」

現在の名称は「宅地建物取引士」ですが、2015年4月1日の改正宅建業法が施工されるまでは「宅地建物取引主任者」が正式名称でした。

宅地建物取引主任者時代も同様に「宅」と「建」の文字を取った「宅建」の略称が一般的に使われていました。

略称は変更することなく、正式名称のみが変わっている数少ない事例といえるでしょう。

宅建の正式名称が「宅地建物取引士」に変わったことにより、制度上も若干の変更点が加わりました。

しかし、従来からの義務であった従業員の中の5人に1人は有資格者を置かなければならない設置義務など重要な運用には変更はありません。

不動産業界において欠かせない資格であることには変わりはないのです。

名称変更による影響

名称変更による影響について解説します。

まず、宅地建物取引「士」の文字が表すように、弁護士、行政書士などと同様の「士業」に仲間入りしました。

これは高度な専門分野を持ち、活躍する資格として位置づけられたことを象徴します。

「宅地建物取引主任者」の時代に比べ、より高い専門性を持つ資格となったのです。

2013年以前に宅地建物取引主任者試験に合格していた場合、改正後の宅地建物取引士に合格したものとみなされます。

したがって、後述する所定の手続きを経ることにより、改正後の試験合格者と同様「宅地建物取引士」を名乗ることが可能です。

なお、名称変更後はより高い専門性を有する資格となったことから、資格更新時の法定講習は宅地建物取引主任者時代よりも講習時間が長くなり、受講料も高くなっています。

宅建に合格した!履歴書にはどう書いたらいい?

宅建に合格すると、不動産業界で大きなアドバンテージになるのはもちろんのこと、さまざまな業界で有利になる可能性があります。

ただし、合格しただけでは「宅建士」を名乗ることはできないため、履歴書に記載する際には注意が必要です。

宅建士は登録が必要!段階によって書き方を変えよう

宅建試験に合格してから実際に宅建士の肩書を活用できるようになるまでには、複数のステップがあります。

登録を終えるまでは「宅建士」と名乗ったり履歴書に記載したりすることができません。

登録を進めている段階で就職活動をする場合や試験の合格だけでもアピールしたい場合などは、段階によって書き方が変わります。

段階別の書き方は次の通りです。

  1. 試験に合格しただけの段階:宅地建物取引士試験合格
  2. 実務講習の受講を終えた段階:宅地建物取引士試験合格(実務講習受講)
  3. 登録申請を完了した段階:宅地建物取引士登録(登録申請中)
  4. 登録が完了した段階:宅地建物取引士登録(登録済)
  5. 取引士証の交付を申請し、交付される前の段階:宅地建物取引士登録(取引士証交付申請中)
  6. 取引士証の交付を申請し、交付された後の段階:宅地建物取引士登録(取引士証交付済)

段階を偽るのは当然のこと、誤った場合でも問題となる可能性があるため、正確な情報を記載するようにしましょう。

日付には合格日や交付日を記入しよう

履歴書の資格記載欄には日付を書く欄があります。

宅建の資格を履歴書に記載する場合「試験の合格日」および「取引士証の交付日」を記載するのが一般的です。

なお、日付を和暦、西暦のいずれで記載するのかは特段の指定がない限り自由ですが、他の資格も記載する場合、表記を統一しましょう。

履歴書に書きたい資格!知っておきたい宅建の情報

宅建資格は試験に合格しただけでも合格した事実は記載することができ、さまざまな場面で生かすことができます。

試験の合格に期限はなく、一生有効です。

そのため、仮にすぐに登録の予定がなかったとしても試験に合格するだけでも大きな意味があるといえるでしょう。

履歴書に記載したい資格である宅建試験の情報について解説します。

宅建試験の概要

まず、宅建試験の概要について解説します。

  • 試験の方法:マークシート方式(四肢択一式)
  • 試験問題数:50問
  • 受験資格:なし
  • 試験地:原則として居住する都道府県
  • 試験日:例年10月の第三日曜日
  • 受験手数料:8,200円(非課税)
  • 合格発表:原則として11月下旬

【参考】一般財団法人 不動産適正取引推進機構「宅建試験の概要」

試験の概要は毎年6月の第1金曜日に公表されます。

受験する年度ごとに概要を確認し、間に合うように申し込みを行うことをおすすめします。

特にインターネットと郵送では受付期間が異なるためご注意ください。

宅建試験の合格点・合格率

宅建試験の難易度を見るために、過去の試験のデータをご紹介します。

年度受験者数合格者数合格率合格点
令和6年241,436 人44,992 人18.6%37点
令和5年233,276人40,025人17.2%36点
令和4年226,048人38,525人17.0%36点
令和3年
(12月実施分)
24,965人3,892人15.6%34点
令和3年
(10月実施分)
209,749人37,579人17.9%34点
令和2年
(12月実施分)
35,261人4,610人13.1%36点
令和2年
(10月実施分)
168,989人29,728人17.6%38点
令和元年220,797人37,481人17.0%35点
平成30年213,993人33,360人15.6%37点
平成29年209,354人32,644人15.6%35点
平成28年198,463人30,589人15.4%35点
平成27年194,926人30,028人15.4%31点
平成26年192,029人33,670人17.5%32点

宅建試験は合格ラインが明確に決まっているわけではなく、合格率が概ね15~18%となるラインで線引きされています。

合格点は31~38点と試験の難易度により毎年異なります。

名称の変更前後で合格率や合格点には大きな変化はありません。

ただし、受験の人数は増加傾向にあり、注目度は上がっていることがわかります。

宅建合格後の流れ

宅建試験合格後、実際に宅建士として独占業務に従事するためには所定の手続きを踏み、宅建士登録を終える必要があります。

まず、資格登録をするための条件は以下の3つです。

  1. 宅建士資格試験に合格
  2. 宅地建物取引業の実務経験2年以上
  3. 登録の欠格要件に該当しない

なお、2年間の実務経験がない場合「登録実務講習」を修了することで要件を満たすことができます。

新卒での就職活動に資格を活用する場合や未経験から業界への転職を目指す場合、登録実務講習が必要なケースが大半なので覚えておきましょう。

要件を満たした状態で、登録申請書や添付書類を試験地の都道府県知事に提出し、不備なく受領されると提出から2カ月程度で登録が完了します。

宅建試験合格から宅建士登録の詳しい流れについては以下の記事でも記載しているので、あわせてご覧ください。

まとめ

宅建の正式名称や、正式名称の変更に伴う影響、履歴書への記載の仕方などを解説しました。

宅地建物取引士、通称「宅建」の資格は名称変更を経て、より重要で専門性の高い資格となりました。

取得すれば、不動産業界を中心に活躍の幅が広がるはずです。

取引士証を受け取り「宅建士」として履歴書に記載するのはもちろんのこと、単に合格した段階でも差別化要素になりうるのです。

ただし、段階に応じて正確な記載をする必要があります。

合格すればキャリア形成を有利に進めることができるため、興味のある方はぜひ資格取得を目指してみてください。