宅建と管理業務主任者のダブル合格はできる?狙う人が多い理由は

宅建とともに不動産業界での需要が高い管理業務主任者。
どちらも独占業務のある国家資格ですが、ダブル受験をする人が多い資格として知られています。

どちらか1つを取得するだけでも大変というイメージがあるのに、なぜダブル合格を狙う人が多いのか、ダブルライセンスのメリットや難易度の違いを解説します。
目次 Contents

宅建と管理業務主任者のダブル合格を目指せる理由とは?


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管理業務主任者とは?

管理業務主任者は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」に基づいて設けられた国家資格です。

不動産会社や不動産管理会社にとって欠かせない存在といえます。


とはいえ、宅建などと比較すると、一般的な認知度は低い資格です。

ここでは管理業務主任者の概要、仕事内容について解説します。

  • 管理業務主任者の仕事内容
  • 管理業務主任者になる方法


管理業務主任者の仕事内容

管理業務主任者とは、マンションの管理に関する専門家です。

管理業務主任者は独占業務を有する国家資格でもあります。

管理業務主任者の主な業務内容は次のようになっています。

  • 管理組合などに対して行う管理事務の報告
  • 管理委託業務に関する重要事項の説明
  • マンションの設備や組合運営に関するマネジメント

近年日本は超高齢社会といわれていますが、マンションに関しても高齢化が問題になっています。

マンションの入居者が高齢化することで、管理組合が機能しなくなるケースが増えているのです。


また、建物自体も老朽化するものの、補修するための予算が足りないという例もあります。

そういった社会的背景もあり、管理業務主任者は安定的な需要がある仕事といえます。


マンション管理業者は、事務所ごとにマンション管理主任者を設置しなければなりません(設置義務)。

原則として、管理事務委託を受けた管理組合30組合に対して、1人以上は専任の管理業務主任者を設置することが必要です。


管理業務主任者の独占業務4つ

管理業務主任者には4つの独占業務があります。

1.管理受託契約に関する重要事項説明

2.重要事項説明書への記名

3.管理受託契約書への記名

4.管理事務に関する報告

4つの業務は、管理業務主任者の交付を受けた人しか認められていません。

重要事項説明や管理事務に関する報告を行う際は、管理業務主任者証を提示することが求められています。


管理業務主任者になる方法

管理業務主任者になるためには、まず管理業務主任者試験に合格する必要があります。

ただし、試験に合格しただけでは管理業務主任者としての業務は行えません。


合格した後、管理業務主任者として登録、さらに管理業務主任者証の交付を受けることで、初めて管理業務主任者としての業務ができるようになります。

管理業務主任者の試験概要は以下の通りです。

  • 試験日時:12月の第1日曜日
  • 試験方式:四肢択一マークシート式の筆記試験
  • 試験問題数:50問
  • 試験時間:2時間
  • 受験資格:特になし
  • 受験手数料:8,900円(非課税)
  • 事務手数料:275円(税込)

試験合格後、管理業務主任者として登録するには、以下のどちらかの条件を満たす必要があります。

  • 実務経験が2年以上あること
  • 国土交通大臣の登録を受けた者が行う登録実務講習を受講し、修了試験に合格すること

無事に登録が完了すると、登録通知書を受領できます。

その後、管理業務主任者証の交付申請書を管轄する地方整備局へ提出すれば、主任者証を受領することが可能です。


宅建と管理業務主任者はダブル受験をする人が多い理由とは?

宅建と管理業務主任者は、どちらも試験が実施されるのが年1回で、同じ年の合格が理想的です。

実際、試験日程が近く、試験科目に重複する部分が多いなどの理由により、両方の試験をダブル受験する方も少なくありません。

ここでは宅建と管理業務主任者をダブル受験する人が多い理由を解説します。

  • 試験日程が近く勉強しやすいから
  • 試験科目に重複する部分が多いから


試験日程が近く勉強しやすいから

宅建と管理業務主任者は試験日程が近いという特徴があります。

どちらも毎年1回実施され、日程は宅建試験が10月の第3日曜日、管理業務主任者試験が12月の第1日曜日となっています。

試験の時期が近ければ、同じ年に集中して勉強できるので、モチベーションを保ちやすいメリットがあります。


また、近いといっても同じ月に実施されるわけではありません。

宅建試験の後、管理業務主任者試験まで1カ月強ほど期間が開くので、頭を切り替える時間もあるでしょう。

ただし、実施日程は今後変わる可能性もあるので、受験する場合は公式な発表を常に気にしておく必要があります。


試験科目に重複する部分が多いから

宅建と管理業務主任者試験は、どちらも民法、借地借家法、不動産登記法などの法令に関する問題が多い傾向があります。

試験科目に重複する部分が多く、約3割~4割が共通範囲といわれているため、効率的に学習を進められます。


一方で宅建と管理業務主任者試験をそれぞれ別の年に受験する場合、以前に受けた試験内容を忘れてしまっている可能性があります。

その場合、重複している内容をまた一から覚え直す必要があるので、非効率な学習になってしまいます。


宅建と管理業務主任者はどちらが難しい?受験者数や試験内容は?

宅建と管理業務主任者を比較すると、知名度は圧倒的に宅建のほうが上ですが、難易度に差はあるのでしょうか。

また、受験者数や試験内容など、具体的な違いを知っておくこともダブル合格のためには大切です。

ここでは宅建と管理業務主任者の受験者数や試験内容、難易度の違いを解説します。

  • 資格取得にかかる勉強時間を比較
  • 難易度はやや宅建士のほうが上
  • 受験者数と合格者数は宅建士のほうが圧倒的に多い
  • 試験内容や方式は類似しているところが多い


資格取得にかかる勉強時間を比較

初学者が必要な勉強時間は、宅建200~300時間、管理業務主任者200~250時間といわれており、やや管理業務主任者のほうが勉強時間は多くなる傾向にあります。

勉強時間はあくまで一般的な目安であり、予備知識や実務経験などによって異なることは理解しておきましょう。


難易度はやや宅建士のほうが上

宅建と管理業務主任者の難易度に大きな違いはありませんが、やや宅建のほうが上であると考えられます。

以下は宅建・管理業務主任者、直近5年間の合格率の推移です。

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
10月 12月 10月 12月
宅建 17.0% 17.6% 13.1% 17.9% 15.6% 17.0% 17.2%
管理業務主任者 23.2% 23.9% 19.4% 18.9% 21.9%


宅建のほうが4~5%ほど合格率が低いことがわかるでしょう。

合格率から考えると管理業務主任者より宅建のほうがやや難易度が高いと考えられます。


もちろん、合格率だけでは判断できないことも事実です。

どちらが難しいと感じるかは受験者によって異なるので、実際に資格学習をしてみて感触を確かめることが大切です。


受験者数と合格者数は宅建士のほうが圧倒的に多い

受験者数と合格者数を比較すると宅建士のほうが圧倒的に多いのが実態です。

以下は宅建・管理業務主任者、直近5年間の受験者数と合格者数の推移です。

(単位:人)

宅地建物取引士 管理業務主任者
受験者数 合格者数 受験者数 合格者数
2023年 289,096 40,025 14,652 3,208
2022年 226,048 38,525 16,217 3,065
2021年(12月) 24,965 3,892 16,538 3,203
2021年(10月) 209,749 37,579
2020年(12月) 35,258 4,609 15,667 3,739
2020年(10月) 168,989 29,728
2019年 220,797 37,481 15,591 3,617


宅建の受験者数は毎年約20万人、管理業務主任者は約1万5千人であり、10倍以上の差があることがわかります。

合格者数も同程度の差があります。


なお、宅建は資格試験の中でもトップクラスの人気があり、他の不動産系資格と比較しても群を抜いて受験者数、合格者数が多いという特徴があります。


試験内容や方式は類似しているところが多い

宅建、管理業務主任者はともに四肢択一マークシート式の筆記試験であり、問題数は50問、試験時間は2時間です。

試験内容や方式も類似しているところも、宅建と管理業務主任者のダブルライセンスを狙う人が多い理由の一つといえるでしょう。


また、実際にダブルライセンスを目指す場合は、宅建→管理業務主任者の順で狙うことをおすすめします。

試験内容に重複する部分が多いので、宅建に合格しておくと、管理業務主任者に挑戦する際は、宅建の勉強で得た知識をそのまま活かすことができるためです。


もちろん、宅建より先に管理業務主任者の取得を目指すのも悪くありませんが、管理業務主任者は管理組合の会計、建物・付属設備の維持・修繕に関する問題など、初学者の方にとって対策に時間を要する問題が多い傾向にあります。


そのため、先に宅建を取得して、民法や借地借家法などの分野の理解度を高めてから管理業務主任者試験を目指すほうが、より効率的に学習できるでしょう。


試験日に関しても宅建が10月、管理業務主任者が12月なので、同じ年にダブル合格を目指す場合は、宅建→管理業務主任者の順で取得を目指すスケジュールになります。


宅建と管理業務主任者のダブル合格のメリットは大

宅建と管理業務主任者のダブル合格は、効率的なだけではありません。

両方取得することに大きなメリットがあります。

ここでは宅建と管理業務主任者をダブル合格するメリットを解説します。

  • 業務の幅が広がる
  • 不動産業界で重宝される人材に
  • ダブルライセンス後マンション管理士も取得するともっと無敵に!


業務の幅が広がる

宅建と管理業務主任者を両方取得できれば、不動産の売買・賃貸・管理に関してのエキスパートになれるでしょう。

また、宅建と管理業務主任者には、それぞれ以下の独占業務がある点が大きな強みです。

▼宅建

  • 不動産売買に関する重要事項説明
  • 重要事項説明への記名
  • 契約書への記名

▼管理業務主任者

  • 管理受託契約に関する重要事項説明
  • 重要事項説明書への記名
  • 管理受託契約書への記名
  • 管理事務に関する報告

資格取得で学んだ知識を業務に活かすこともできるため、不動産会社などへの就職や転職の際にも大きなアピールポイントになります。


不動産業界で重宝される人材に

不動産業界ではマンションの販売と管理を行っている企業も数多く存在します。

マンションを販売して大きな売上を上げることも重要ですが、同時に管理業務を受託できれば、管理費という安定した収入が得られるメリットがあるためです。


したがって、販売と管理どちらの独占業務に対応できる宅建と管理業務主任者のダブルライセンス取得者は、不動産業界において重宝される傾向があります。

さらに資格学習で得た知識と経験、独占業務を活かせば、将来的に独立することも可能になるでしょう。


ダブルライセンス後マンション管理士も取得するともっと無敵に!

マンション管理士も不動産業に欠かせない資格といえます。

独占業務はありませんが、マンション管理の専門家としてコンサルティング業務を担当できるためです。


マンション管理士試験の合格率は10%を下回る年もあり、宅建や管理業務主任者よりも難易度が高いため、ダブルライセンス後に目指すのが望ましいでしょう。


試験範囲が管理業務主任者試験と重複する部分が多く、管理業務主任者試験に合格しているとマンション管理士試験が5問免除になるメリットもあるので、合格の可能性が高まります。


まとめ

最後に宅建と管理業務主任者をダブル合格できる理由について、ポイントをおさらいしておきましょう。

  • 管理業務主任者には設置義務と独占業務がある
  • 宅建と管理業務主任者は、試験日程が近く重複する科目が多いので学習しやすい
  • 試験難易度はやや宅建が上である
  • ダブルライセンスによって業務の幅が増え、不動産業界で重宝される
  • 加えてマンション管理士を取得できれば、より活躍の場が広がる

宅建、管理業務主任者はともに難易度の高い試験なので、独学で学習するのは大変です。

忙しい社会人の方はスキマ時間を活用することが合格への近道といえます。

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