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宅建に合格しよう!農地法の覚え方をわかりやすく解説!

農地法とは、農業を保護するための法律です。一見宅建とは関係ないように思えるかもしれませんが、毎年農地法は宅建試験に出題されています。農地法の条文は似ていて混同しやすいため、正確に覚えることが大切です。

宅建合格のためにおさえておきたい農地法の覚え方をわかりやすく解説します。

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農地法とは?

まずは農地法の基礎知識について見ていきましょう。

そもそもどのような法律なのか、法律に記載される「農地」の定義にも触れつつ、法律の趣旨についても解説します。

また、宅建試験における位置づけや、農地法をしっかりと学習し得点源とすべき理由についても、出題傾向を踏まえて説明します。

  • 農地を保護するための法律
  • 農地の定義
  • 宅建試験では「法令上の制限」で出題される問題

農地を保護するための法律

農地法が定められている理由は、国にとって重要な資産である「農地」を保護することにあります。

農地は食料を作り出すための非常に重要な土地です。

放置して耕作できなくなってしまったり、家を建てる宅地などへの「転用」を無計画に実施したりすると農地が減ってしまいます。

農地が減少すれば、食糧の生産量や日本の自給率にまで影響する可能性があります。

そのため、農地は売買や貸し借りなどの権利移動や転用に制限が設けられているのです。

特に転用においては規制が強くなります。

農地の定義

農地法で定義される農地には「農地」と「採草放牧地」の2つが含まれます。

  • 農地:耕したり肥料を加えたりと、人為的に手をかけて野菜や米など作物を栽培する畑や水田のこと
  • 採草放牧地:家畜の餌や肥料作りのための雑草を刈り取ったり(採草)、家畜を放し飼いにする(放牧)土地のこと

「農地」は、一般的に多くの方がイメージしやすい農地といえるでしょう。

一方「採草放牧地」は、耕作したり作物を栽培したりする農地ではありませんが、食糧生産のための土地であるため、農地法による保護の対象とされています。

ただし、農地と採草放牧地では条文において適用範囲が異なるケースもあるため、区別が必要です。

宅建試験では「法令上の制限」で出題される問題

農地法は、宅建試験の科目としては「法令上の制限」内の6つのうちの1つとして出題される問題です。

農地法からは、基本的に例年1問出題されます。

宅建試験においても、一定以上の位置づけであるといえます。

農地法は試験での出題範囲は広くなく、着実に学習してポイントを抑えておけば得点しやすい分野です。

実際に受験する試験本番においてもほぼ確実に1問出題されるため、確実に攻略したい分野といえるでしょう。

農地法でおさえておきたい3つの条文

農地法は全69条の法律ですが、宅建試験で出題されるのは3条(権利移動)、4条(転用)、5条(権利移動と転用)に関わる分野のみです。

各条文について具体的な場面や、誰が誰に対しどのようなアクションが必要か、守らなかった場合の罰則や、例外となる事項について解説します。

それぞれが正誤判定の重要なポイントであるため、正確に抑えておきましょう。

  • 3条(権利移動)
  • 4条(転用)
  • 5条(権利移動と転用)

3条(権利移動)

農地法3条は、農地の所有権や耕作権の権利移動について定めています。

権利移動では、権利が移動したあとも権利者は農地として利用し続けることが前提です。

農地の売買や贈与、貸し借りなどの権利移動を行うには、農業委員会の許可を得る必要があります。

転売目的での安易な売買など、農地の適正な管理・利用を目的としない権利移動による農地の荒廃を防ぐことが目的です。

農地法3条の許可を得ていない権利移動は法律上無効となり、保護の対象にもなりません。

また、場合によっては刑事罰の対象ともなります。

なお、相続や時効取得で権利が移動する場合は、農地法3条の許可は不要です。

また、国や都道府県、地方自治体による公共事業での買収などにおける権利移動でも許可を必要としません。

4条(転用)

農地法4条は、農地の転用に関する条文です。

農地の所有者が農地を宅地や駐車場といった耕作以外の用途に転用する際には、都道府県知事の許可を得る必要があります。

なお、ここでいう農地には「採草放牧地」を含みません。

農地を無計画に他の用途に転用することは、転用した土地の分の食料生産量が低下するだけでなく、近隣の他の所有者の農地の効率的な利用を阻害するおそれもあります。

そのため、権利移動と比較してもより慎重な判断を得ることが必要です。

農地の無許可での転用は刑事罰の対象となりかねないだけでなく、原状回復(農地に戻す)の義務が生じます。

なお、公共事業における転用や2アール未満を農業用施設に供する場合は許可が不要です。

また市街化区域内であれば、農業員会への事前の届出を都道府県知事の許可に代えることができます。

5条(権利移動と転用)

農地法5条は、権利移動と転用が同時に伴う場合のケースを規定した条文です。

農地・採草放牧地を別の用途に転用することを前提に、売買を行う場合などが該当します。

権利移動と転用が伴うケースでは、4条の場合と同様に都道府県知事の許可が必要です。

農地の無計画な売買・転用を避けること、周辺の農地の利用を阻害しないことが目的である点は3条、4条と同様ですが、所有者も用途も変更される場合に適用されます。

無許可で権利移動と転用を行った場合、刑事罰の対象となるおそれがあるだけでなく、契約が無効になり、さらに元の所有者に原状回復の義務が生じます。

公共事業のための売買・転用である場合は許可が不要であるほか、市街化区域内であれば農業員会に事前の届出をすることで都道府県知事の許可に代えることが可能です。

宅建合格のために!農地法の覚え方と理解のポイント

農地法は国の食糧生産量、食糧自給率を守るために重要な法律ですが、まずは宅建試験に合格するためのポイントのみ集中して抑えましょう。

具体的にどのようなポイントを押さえて学習すればよいのか解説しつつ、試験で引っ掛け問題として出題されやすい項目を比較表でまとめました。

試験で頻出となる例外的事項についても解説します。

  • 農地法を理解するためのポイント
  • 3条・4条・5条の覚え方

農地法を理解するためのポイント

農地法からの出題範囲は狭く、覚えるべき項目自体は多くありません。

ただし、出題される条文は文言が似ているため引っ掛け問題を出しやすく、得点するにはそれぞれを正確に区別する必要があります。

  • それぞれの条文が規定している場面(権利移動、転用、ないしは両方)
  • 必要な「許可」もしくはそれに代わる「届け出」をどこで行うのか
  • 許可を得なければならないのは誰か

上記のような相違点を3条・4条・5条それぞれに正確に紐づけ、混合しないことが得点のポイントです。

3条・4条・5条の覚え方

3条
4条
5条
対象の場面 ・農地の権利移動

・採草放牧地の権利移動

・採草放牧地を権利移動し、農地利用

・農地を他用地に転用 ・農地を他用地に転用い、権利移動

・採草放牧地を他用地に転用い、権利移動

許可権者 農業委員会 都道府県知事 都道府県知事
無許可行為の取扱いと罰則 ・契約は無効となる
・3年以下の懲役または300万円以下(法人の場合は1億円以下)の罰金
・原状回復義務が生じる

・3年以下の懲役または300万円以下(法人の場合は1億円以下)の罰金

・契約は無効となり、原状回復義務が生じる

・3年以下の懲役または300万円以下(法人の場合は1億円以下)の罰金

許可が不要な場合 ・相続による取得

・財産分与による取得
・国または都道府県の取得

・土地収用法による収用や使用

・民事調停法による取得

・採草放牧地の転用

・国または都道府県が地域振興上または農業振興上の必要性が高い施設のために権利を取得する場合

・土地収用法による収用や使用

・2アール未満の自己所有の農地を農業用施設に供する場合

・国または都道府県が地域振興上または農業振興上の必要性が高い施設のために権利を取得する場合

・土地収用法による収用や使用

市街化区域内の特例 なし あらかじめ農業委員会に届け出ることで許可が不要となる あらかじめ農業委員会に届け出ることで許可が不要となる

許可が不要となるのは主に以下のようなケースです。

  • 国や地方自治体による取得・利用
  • 土地収用法による収用や使用
  • 相続や離婚による財産分与などやむを得ない事情での取得

また、転用については2アール未満の自己所有の農地を農業用施設(作物や資材の保管庫、農機具の倉庫など)に変更する場合も許可は必要ありません。

なお、市街化区域内は都市計画が進んでいる地域であるため、農地を転用するハードルは低くなっています。

そのため農業委員会への届出をすれば、都道府県知事の許可が必要ありません。

まとめ

宅建試験の頻出分野である農地法についてまとめました。

農地法は毎年1題出題される可能性が非常に高く、学習範囲も狭いため、ぜひ得点したい分野です。

一方、条文の内容が似ていることから、それぞれの内容を入れ替えた誤答による失点も懸念されます。

農地法で点を取るには、具体的な事例を想像しながらそれぞれの条文について正確に理解することが重要です。

今回解説した内容もふまえてポイントを押さえ、農地法を攻略してみてください。