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宅建の頻出分野「相続」とは?過去問と重要用語を解説!

宅建の頻出分野「相続」とは?過去問と重要用語を解説!

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宅建試験における「相続」とは?

宅建試験における相続とは、出題されることが多いテーマです。

特にここ数年は法改正が続いており、注目されているテーマの一つです。

実際に経験したことのある人だとイメージしやすいかもしれませんが、若い世代のなかには相続を難しく感じる人も多いでしょう。

そこで、宅建試験における相続とは何かを解説します。

「権利関係」分野のテーマの1つ

相続は宅建試験のなかで「権利関係」分野における「家族法」の1つとして出題されます。

相続というと、世間的に注目されやすいのが「相続税」に関する事柄です。

しかし、宅建の業務で知っておきたいことは、土地や建物の権利が誰にあるのかということです。

そのため、次のようなテーマについて出題されやすい傾向にあります。

  • 法定相続人と法定相続分
  • 代襲相続
  • 遺留分

これらはすべて、遺産を誰がどのように受け継ぐのかにかかわる重要なテーマです。

宅建士として業務する際も、知っていることが前提の知識となります。

十分な知識がなければ宅建士としての信頼が損なわれる可能性があるので、資格取得時にしっかり知識を身に付けておくと良いでしょう。

例年1問は出題される頻出テーマ

相続は、宅建試験でここ数年毎回1問は出題されるテーマです。

年度によっては相続から2問出題されることもあるため、過去問を繰り返し解いて理解を深めてしっかり得点できるようにしましょう。

2024年1月から改正相続税法が施行されました。相続登記とは、相続した不動産の名義変更を正しく行うことです。

空き家問題など、相続と不動産がかかわる問題は近年注目されているため、今後も宅建試験において相続関連の出題は続くと予想されます。

相続とは?知っておきたい用語と相続の仕組み

相続とは、亡くなった人の財産を継承することです。

しかし、誰でも遺産を相続できるわけではなく、誰がどのくらいの割合で受け継ぐのかは、法律でルールが決まっています。

宅建試験では相続に関する用語や仕組みなど、基本的な事柄を理解しておくことが大切です。

ここでは、相続の仕組みや知っておきたい用語を解説します。

  • そもそも相続って何?概要を簡単に説明
  • 法定相続と指定相続
  • 法定相続人の範囲・順位・相続割合
  • 遺留分

そもそも相続って何?概要を簡単に説明

そもそも、相続とは人が亡くなったときにその人が持っていた財産や権利・義務のすべてを継承することです。

相続の世界では、故人のことを「被相続人(ひそうぞくにん)」と呼びます。

相続する財産は、被相続人が所有していたものすべてが対象になります。

具体的には次のようなものです。

  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 土地や建物
  • 借金や住宅ローン
  • 賃借権や著作権など

このように、引き継ぐべき遺産のなかには、プラスの財産もマイナスの財産も含まれています。

被相続人の財産を継承する相手は、民法によって定められています。

配偶者や子、親などが遺産を相続する対象ですが、被相続人との関係性によって継承できる順位や分割割合が決まっています。

被相続人が所有していた財産のなかには、土地や建物といった不動産のように簡単に分割できないものがあります。

また、被相続人名義の建物が相続されることで、住む場所を失ってしまう人が出てしまう可能性もあるでしょう。

このため、誰がどのくらい遺産を継承できるのかは民法で決まっていますが、必ずその通りに分ける必要はありません。

「遺産分割協議」という相続人全員による話し合いで遺産相続の方法を決定するのが一般的です。

また、被相続人が生前のうちに遺言を準備していた場合、一般的には法定相続よりも遺言の内容が優先されます。

法定相続と指定相続

相続には法定相続と指定相続の2つがあります。

それぞれの相続について解説します。

▼法定相続

法定相続とは、民法で決められている通りに行う相続のことです。被相続人との関係性(配偶者・子など)によって遺産を継承できる割合が決まっているので、その通りに分けることをいいます。

▼指定相続

指定相続とは、被相続人が生前に作成した遺言で指定された通りに遺産相続を行うことです。遺産は被相続人が築いたものなので、その処遇も自分自身で決める権利を持っています。そのため、指定相続は一般的に法定相続よりも優先されます。

法定相続人の範囲・順位・相続割合

法定相続人の範囲や順位、相続割合は民法で決まっています。

そのため被相続人と生前に親しくしていた家族であっても、相続人の対象とならないケースがあります。

▼法定相続人の範囲と順位

法定相続人の範囲と順位は、被相続人との関係性によって次のようになっています。

  • 必ず相続人:配偶者
  • 第1順位:直系卑属(子や孫)
  • 第2順位:直系尊属(父母や祖父母)
  • 第3順位:兄弟姉妹

※直系卑属(ちょっけいひぞく)とは?
 子や孫など、自分よりあとの世代にあたる、直通する系統の親族のこと

※直系尊属(ちょっけいそんぞく)とは?
 父母や祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族のこと


被相続人に配偶者がいれば、必ず相続の権利を持ちます。

続いて、子どもや孫といった直系卑属、子や孫がいない場合には父母や祖父母といった直系尊属が相続人です。

なお、直系卑属に関しては、被相続人より先に本来相続人となる人が亡くなっている場合は何代にわたって「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」が発生します。

例えば、被相続人より先に子が他界していたケースでは、その子の子、つまり孫が代襲相続人になります。その孫も他界している場合には、ひ孫に相続の権利が移ります。

子や孫がいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人です。

被相続人より先に兄弟姉妹が他界していた場合には、その子である甥・姪に相続権が移ります。

しかし、兄弟姉妹の場合に代襲相続できるのは甥・姪までです。

甥や姪が他界していたとしても、その子に相続権が移ることはありません。

▼法定相続人の相続割合

法定相続人が遺産を継承できる割合は、次の通り決まっています。

相続人
法定相続分
子がいる場合 配偶者 2分の1
2分の1(人数分に分ける)
子がいない場合 配偶者 3分の2
父母 3分の1(人数分に分ける)
子も父母もいない場合 配偶者 4分の3
兄弟姉妹 4分の1(人数分に分ける)

【参考】国税庁「財産を相続したとき」

▼法定相続人にならない人

被相続人と生前親しい関係を築いていたとしても、法定相続人にならない場合もあります。

間違いやすいのは次のような関係性にある人です。

  • 内縁関係の配偶者とその子
  • 被相続人と離婚した元配偶者
  • 養子縁組をしていない配偶者の連れ子
  • 被相続人の義理の家族

本来、配偶者は必ず法定相続人になりますが、あくまでも婚姻関係にある人が対象となります。

このため、婚姻届を提出していない「内縁関係の配偶者」や「その配偶者との間に生まれた子」は法定相続人になれません。

また、被相続人の死亡時に婚姻関係にあった人が対象となるため、それより前に離婚した「元配偶者」は法定相続人ではないことにも注意が必要です。

さらに、一緒に暮らしていたとしても、配偶者の連れ子は養子縁組をしない限り法定相続人ではありません。

他にも、被相続人と血縁関係のない義理の家族(嫁・婿・義父・義母)も法定相続人になれません。

遺留分

遺留分(いりゅうぶん)とは、法定相続人に最低限保障されている遺産の取得分です。

例えば、被相続人が全財産を慈善団体に遺贈寄付する内容で遺言を残していたとします。

もし遺言通りに遺贈が実行されると、被相続人と家計を共にしていた配偶者や子は、生活できなくなる可能性があります。

こういったケースを防ぐために、被相続人から見て一定の範囲にいる法定相続人には遺留分が認められています。

遺留分が認められているのは、次の人です。

  • 配偶者
  • 直系卑属(子や孫)
  • 直系尊属(父母や祖父母)

法定相続人になり得る人のなかで、兄弟姉妹には遺留分がないことに注意しましょう。

遺留分は遺産全体の2分の1、もしくは3分の1となります。

割合が2分の1になるのは、相続人が配偶者や直系卑属のケースです。

遺産の2分の1を配偶者や直系卑属で法定相続分通りに分けることになります。

割合が3分の1になるのは、相続人が直系尊属のケースです。

父母がどちらも健在の場合には、遺産の3分の1を2人で分けることになります。

過去の出題例と解説

ここからは、実際に過去に宅建試験に出題された問題と解説をご紹介します。

  • 令和3年10月試験出題例
  • 過去問の解説

令和3年10月試験出題例

Aには死亡した夫Bとの間に子Cがおり、Dには離婚した前妻Eの間に子F及び子Gがいる。Fの親権はEが有し、Gの親権はDが有している。AとDが婚姻したあとにDが令和5年7月1日に死亡した場合における法定相続分として、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

(選択肢)

  1. Aが2分の1、Fが4分の1、Gが4分の1
  2. Aが2分の1、Cが6分の1、Fが6分の1、Gが6分の1
  3. Aが2分の1、Gが2分の1
  4. Aが2分の1、Cが4分の1、Gが4分の1

(正解)

1

過去問の解説

相続の問題では関係者が複数出てきて混乱しがちです。

まずは落ち着いて家系図をかくと良いでしょう。

被相続人であるDと死亡時に婚姻関係にあるAには、遺産の2分の1を相続する権利があります。

Dと血縁関係のある子はFとGです。

親権がどうであれ、血縁関係のある子は相続人となります。

一方、連れ子であるCは、養子縁組をしていなければ法定相続人になれません。

このため、A・F・Gが相続人となっている1が正解となります。

まとめ

宅建試験で頻出する相続について基本的な考え方や用語の解説、過去問での出題例を解説しました。

相続では、誰が法定相続人になるのか、どのような割合で相続できるのかをしっかり覚えておきましょう。

法定相続人と法定相続分、法定相続人にならないケースを覚えておくと、登場人物の多い複雑な権利関係も問題なく解けるようになるはずです。

また、たくさんの人物が登場する問題では、家系図をかいて関係性を整理するとわかりやすくなるでしょう。

その他、ここ数年は相続関連の法律改正が続いています。

古い参考書を使っている場合には、法律の改正が反映されていません。

これから受験する宅建試験がどの時点の法律や規定を対象にしているのかを確認して、試験対策を進めましょう。