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司法書士試験の合格率は、どのくらいなのでしょうか? 難関資格とは聞いていますが、果たして合格できる試験なのでしょうか。 |
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司法書士試験の合格率は、約4~5%です。 しかし、試験の仕組みを分析していくと、試験の本当の実態を知ることができます。 |
難しい試験といわれている司法書士試験の合格率は、近年では約4~5%を推移しています。
司法書士試験には、筆記試験と口述試験があります。口述試験は受験できなかったなど、よっぽどのことがない限り、不合格にはなりませんので、約4~5%の合格率は筆記試験の合格率ともいえますね。
年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成19年度 | 32,469 | 26,860 | 919 | 2.83% |
平成20年度 | 33,007 | 27,102 | 931 | 2.82% |
平成21年度 | 32,558 | 26,774 | 921 | 2.83% |
平成22年度 | 33,166 | 26,958 | 948 | 2.86% |
平成23年度 | 31,228 | 25,696 | 879 | 2.81% |
平成24年度 | 29,379 | 24,048 | 838 | 2.85% |
平成25年度 | 27,400 | 22,494 | 796 | 2.91% |
平成26年度 | 24,538 | 20,130 | 759 | 3.09% |
平成27年度 | 21,754 | 17,920 | 707 | 3.25% |
平成28年度 | 20,360 | 16,725 | 660 | 3.24% |
平成29年度 | 18,831 | 15,440 |
629 | 4.07% |
平成30年度 | 17,668 | 14,387 | 621 | 4.31% |
平成31年度 | 16,811 | 13,683 | 601 | 4.39% |
令和2年度 | 14,431 | 11,494 | 595 | 5.17% |
令和3年度 | 14,988 | 11,925 | 613 | 5.14% |
近年は、わずかに上昇していますが、合格率だけみると、依然として非常に難しい試験といえます。100人中、5人程度しか受からない割合になりますので、このような難易度の試験の勉強をしても本当に合格できるのか、不安を感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、約4~5%という合格率は、司法書士試験の合格を目指すうえでは、あまり気にする必要はないでしょう。
なぜなら、司法書士試験は、年齢、学歴に関わらず、受験申請さえすれば、どなたでも受験できる試験だからです。そのため、試験範囲の学習が終わっていない方や、学習途中の受験生が次年度の本格受験に備えて受験する方など、様々な学習状況の方が受験されています。受験資格が特別設けられていない分、受験生の受験時点の学力が一定とはいえないのです。
では、これらの学習途中などの受験生を除き、改めて試験を分析してみましょう。
まずは、司法書士試験の仕組みを確認しましょう。
司法書士試験の筆記試験には、午前の部択一式、午後の部択一式、記述式のそれぞれについて基準点が設けられています。
午前と午後の択一式の基準点をクリアできなければ、記述式の採点はしてもらえません。
受験すれば、誰でも択一式から記述式まですべて採点してもらえるわけではなく、しっかり勉強して一定の基準に達した受験生だけが、記述式まで採点してもらえるという仕組みです。
以下は、令和2年度と令和3年度の司法書士試験の基準点に関するデータです。
午前択一式 | 午後択一式 | 択一式クリア人数 | 記述式 | 合格者 |
25/35問 | 24/35問 | 1,952人 | 32.0/70点 | 595人 |
75/105点 | 72/105点 | |||
3,643人 | 2,234人 | 999人 |
午前択一式 | 午後択一式 | 択一式クリア人数 | 記述式 | 合格者 |
27/35問 | 22/35問 | 2,082人 | 34.0/70点 | 613人 |
81/105点 | 66/105点 | |||
3,509人 | 2,515人 | 1,113人 |
この表を見ると、午前または午後の択一式いずれかは、2,000~3,000人前後がクリアしていますが、両方の択一式をクリアできているのは、2,000人前後です。
つまり、毎年、記述式の採点がなされている人数は、その程度なのです。さらに記述式にも基準点があり、これをクリアできる人は、毎年1,000人前後です。そして、この1,000人前後の中から上位600人前後が合格者となるのです。
適正に勉強を継続すれば、少なくとも、択一式の基準点はクリアできます。適正に勉強を継続をすれば、それだけで2,000人前後の中に入ることができます。つまり、勝負は、2,000人前後の中で決まる試験なのです。
20,000人前後のなかから600人しか受からない試験ではなく、2,000人前後から約600人が合格できる試験と考える方が、この試験の実態に近いといえるのかもしれませんね。