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司法書士試験の難易度や合格率は?他資格と比較して難しさを分析

司法書士試験は、法律系国家資格の中でも難易度が高いといわれています。難関試験を受験して、自分も合格できるのだろうかと気になりますよね。

この記事では、司法書士試験の難易度や合格率、他の資格との難易度の違いなどをまとめました。難易度は高いですが、適切な方法で勉強を継続すれば合格できる資格です。司法書士試験受験を考えている方はぜひ参考にしてください。

司法書士試験の難易度や合格率は?他資格と比較して難しさを分析

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司法書士試験の難易度は?過去15年間の合格率の推移

難易度が高い試験といわれている司法書士試験の合格率は、近年では約4~5%を推移しています。

司法書士試験には、筆記試験と口述試験があります。

口述試験は受験できなかったなど、よほどのことがない限り、不合格にはなりませんので、約4~5%の合格率は筆記試験の合格率ともいえます。

過去15年間の司法書士試験の合格率の推移

▼過去15年間の司法書士試験の結果

年度申込者数受験者数合格者数合格率
平成22年度33,16626,9589482.86%
平成23年度31,22825,6968792.81%
平成24年度29,37924,0488382.85%
平成25年度27,40022,4947962.91%
平成26年度24,53820,1307593.09%
平成27年度21,75417,9207073.25%
平成28年度20,36016,7256603.24%
平成29年度18,83115,4406294.07%
平成30年度17,66814,3876214.31%
平成31年度16,81113,6836014.39%
令和2年度14,43111,4945955.17%
令和3年度14,98811,9256135.14%
令和4年度15,69312,7276605.18%
令和5年度16,13313,3726955.20%
令和6年度16,83713,9607375.27%

▼過去15年間の司法書士試験の合格率と受験申込者数、受験者数の推移

申込者・合格率の推移

近年の合格率はわずかに上昇していますが、依然として低く、非常に難しい試験といえます。

100人が受験しても合格者は5人程度なので、「こんな難易度の高い試験を受験しても本当に合格できるのか」と不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ただ4~5%程度の合格率は、司法書士試験の合格を目指すうえでは、あまり気にする必要はないでしょう。

なぜなら司法書士試験は年齢や学歴に関わらず、受験申請さえすれば、どなたでも受験できる試験だからです。

そのため、試験範囲の学習が終わっていない方や、学習途中の受験生が次年度の本格受験に備えて受験する方など、さまざまな学習状況の方が受験されています。

受験資格が特別に設けられていない分、受験生の受験時点の学力が一定とはいえません。

学習途中などの受験生を除き、改めて司法書士試験を分析していきましょう。

司法書士試験の仕組み

まずは、司法書士試験の仕組みを確認していきます。

司法書士試験に合格するには、筆記試験と口述試験の両方に合格しなければいけません。

司法書士試験のスケジュールは、表のとおりです。

▼司法書士試験の日程

受験申請受付期間4月下旬〜5月中旬
筆記試験日7月の第1週目(第2週目)の日曜日
筆記試験の合格発表日10月上旬〜中旬頃
口述試験日10月下旬頃の平日
最終合格発表日11月上旬〜中旬

筆記試験は1日ですべての科目の試験が実施されます。

午前の部と午後の部に分かれて実施され、午前の部では択一式問題、午後の部では択一式問題と記述式問題が出題されます。

そして、筆記試験に合格すると、口述試験を受験することができます。

口述試験にも合格すると、司法書士試験に合格となる流れです。

前述のように口述試験は受験すれば、ほぼ合格する試験ですので、ここでは筆記試験を中心に確認していきます。

試験の出題範囲

司法書士試験は、全部で11科目から出題されます。

筆記試験の出題科目と問題数は表のとおりです。

▼司法書士試験の出題科目と配点

出題科目
午前の部・択一式(計35問)憲法〔3問〕
民法〔20問〕
刑法〔3問〕
商法(会社法)〔9問〕
午後の部・択一式(計35問)民事訴訟法〔5問〕
民事執行法〔1問〕
民事保全法〔1問〕
司法書士法〔1問〕
供託法〔3問〕
不動産登記法〔16問〕
商業登記法〔8問〕
午後の部・記述式(計2問)不動産登記法〔1問〕
商業登記法〔1問〕

配点は午前の部・択一式、午後の部・択一式がそれぞれ1問3点×35問=105点満点、記述式は2科目で140点満点です。

従来の筆記試験午後の部の記述式問題の配点は「2問で70点満点」でしたが、令和6年度以降の筆記試験から140点満点になる旨が令和5年12月4日に発表されました。

試験合格のための基準

司法書士試験の筆記試験には合格点や基準点が設けられており、基準以上の点数を獲得しなければ合格できません。

近年の合格点・基準点は以下のとおりです。

▼近年の司法書士試験 筆記試験の合格点・基準点

年度合格点基準点
令和6年度(2024年度)267.0点/350点満点午前の部・択一式:78点/105点満点
午後の部・択一式:72点/105点満点
午後の部・記述式:83.0点/140点満点
令和5年度(2023年度)211.0点/280点満点午前の部・択一式:78点/105点満点
午後の部・択一式:75点/105点満点
午後の部・記述式:30.5点/70点満点
令和4年度(2022年度)216.5点/280点満点午前の部・択一式:81点/105点満点
午後の部・択一式:75点/105点満点
午後の部・記述式:35点/70点満点
令和3年度(2021年度)208.5点/280点満点午前の部・択一式:81点/105点満点
午後の部・択一式:66点/105点満点
午後の部・記述式:34点/70点満点
令和2年度(2020年度)205.5点/280点満点午前の部・択一式:75点/105点満点
午後の部・択一式:72点/105点満点
午後の部・記述式:32点/70点満点

※令和6年度以降の筆記試験から、記述式の配点が140点満点になる旨が令和5年12月4日に発表されました。
 上記の令和5年度までの合格点は、午前の部・択一式、午後の部・択一式、記述式の総得点280点をもとに設定された基準です。

基準点は、午前の部・択一式、午後の部・択一式、記述式の3つのそれぞれに設定された基準です。

3つの基準点をすべてクリアし、合格点もクリアできれば筆記試験合格です。

合格点をクリアできても、基準点のうちのいずれかを満たすことができなければ不合格となってしまいます。

正しく勉強を継続すれば、司法書士試験は合格できる!

下記表は、令和6年の司法書士試験の基準点・合格点と合格者数を表しています。

▼令和6年度司法書士試験 筆記試験の基準点・合格点と合格者

午前択一式午後択一式択一式記述式総合
問題数35問35問
基準点合格点78/105点72/105点83.0点/140点267.0点
合格者4,445人2,789人2,445人1,292人737人

表を見ると、午前または午後の択一式いずれかは、2,000~4,000人前後がクリアしていますが、両方の択一式をクリアできているのは、2,000人前後です。

つまり毎年、記述式試験が採点対象になる人数は、その程度なのです。

さらに記述式にも基準点があり、これをクリアできる人は、毎年1,000人前後です。

そして、この1,000人前後の中から上位600人前後が合格者となるのです。

正しく勉強を継続すれば、少なくとも択一式の基準点はクリアでき、それだけで2,000人前後の中に入ることができます。

つまり、勝負は、2,000人前後の中で決まる試験なのです。

受験者15,000人前後のなかから600人しか受からない試験ではなく、2,000人前後から約600人が合格できる試験と考える方が、この試験の実態に近いといえるのかもしれません。

司法書士と他の国家資格の難易度を比較

次は、司法書士試験の難易度をイメージするために、下記5つの国家資格と比較してみましょう。

  • 行政書士
  • 社労士
  • 宅建士
  • 土地家屋調査士
  • 司法試験

難易度を確認するための指標として合格率を紹介していますが、各資格は受験資格や試験の仕組みなどが異なります。

そのため、司法書士試験と比較しても、どちらの試験の難易度が高い、もしくは低いとは一概に言い切れません。

その点を踏まえたうえで、各資格の難易度の違いを見ていきましょう。

行政書士

司法書士と行政書士はどちらも法律系国家資格で、業務独占の資格という点で共通しています。

両資格は受験生にも意外と混同されがちですが、試験の難易度は異なります。

合格率を比較すると司法書士は4〜5%なのに対し、行政書士の合格率は10%前後と約2倍の数値です。

また、試験の合否基準も異なります。

司法書士試験は相対評価が取り入れられているのに対して、行政書士試験は絶対評価です。

行政書士試験は出題範囲をしっかりと勉強して基準以上の点数を獲得すれば、他の受験生の成績に関係なく合格できます。

さらに試験科目は、司法書士試験は11科目も出題されるのに対して、行政書士試験は基礎法学、憲法、行政法、民法、商法、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解の8科目です。

このように合格率や試験制度、出題範囲を比較すると行政書士のほうが易しい試験といえます。

ただし、行政書士と司法書士は試験科目が重複する点からも、行政書士試験の勉強が司法書士試験に生かせるのも事実です。

実際に行政書士の資格取得後に、司法書士の資格取得を目指す方も多くいらっしゃいます。

宅建士

宅建士(宅地建物取引士)は、不動産取引を公正に行うための国家資格です。

司法書士の主な仕事の1つに不動産登記があり、宅建士と司法書士は不動産取引の際に接点のある職業です。

両資格の合格率を比較すると司法書士は4〜5%なのに対して、宅建士の合格率は15〜17%程度です。

実際のところ、宅建士試験は仕事と両立しながら勉強しても数ヶ月で合格する方が多くいます。

また、司法書士試験は全部で11科目と試験範囲が膨大なのに対し、宅建士は民法等と宅建業法、法令上の制限、その他関連知識の4科目であり、司法書士試験ほど広くありません。

さらに宅建士試験はマークシート形式の筆記試験のみという点でも、司法書士試験と比較すると易しいといえます。

ただし、両試験の出題範囲は重複している部分もあり、宅建士試験の勉強を司法書士試験の勉強に活かすことができます。

社労士

社労士は、社会保険労務士法によって誕生した国家資格です。

司法書士と同様に法律系国家資格であり、独占業務を持つ点は共通しています。

社労士試験の合格率は年によって多少差はあるものの6〜7%ほどであり、司法書士の合格率4〜5%と比較すると似たような水準であることがわかります。

ただし、試験の仕組みを比較すると、難易度に差があることがわかるでしょう。

例えば司法書士試験では民法、不動産登記法、商法(会社法)、商業登記法をはじめとする全11科目の膨大な範囲から問題が出題されます。

一方で、社労士も試験範囲は広いですが、大きく労働関係科目と社会保険関係科目の2種類に分けられ、社労士として必要な知識に限定されます。

また、司法書士試験は筆記試験で択一式問題だけでなく、記述式問題も出題され、さらに口述試験があるのに対して、社労士試験は選択式試験・択一式試験の筆記試験のみです。

記述形式の試験と口述試験がない点で、社労士試験の方が易しいといえます。

とはいえ、社労士と司法書士の職域は異なるため、自分が目指したい資格取得を目指すと良いでしょう。

土地家屋調査士

土地家屋調査士は、土地・建物を登記する際に必要な情報を調査・測量する専門家です。

司法書士と土地家屋調査士は、どちらも不動産登記と関わりの深い資格です。

司法書士試験と同様に、土地家屋調査士の試験には合格点・基準点が設けられており、基準以上の点数を獲得しなければ合格できません。

受験資格がなく、試験の形式が筆記試験と口述試験という点も共通しています。

ただし、両資格の合格率を比較すると司法書士は4〜5%なのに対し、土地家屋調査士は10%前後です。

合格率の観点から見ると、司法書士よりも土地家屋調査士の方が易しい試験といえます。

司法試験

司法試験は、司法書士試験と並んでツートップとも呼ばれる法律系国家資格の中でも最難関の試験です。

合格率を比較すると司法書士は4〜5%なのに対し、司法試験は30~40%になっています。

単に合格率を比較しただけだと、「司法試験の方が簡単なの?」と思ってしまうでしょう。

しかし、司法試験は「予備試験合格者」や「法科大学院の修了生」といった受験資格があり、受験生は法律を勉強し、法科大学院や予備試験の関門を突破してきた方しかいません。

一方で、司法書士試験には受験資格がなく、誰でも挑戦しやすい試験です。

受験生には出題範囲を学習途中の方や法律初学者の方なども多く含まれていることが、合格率の数値にも反映されています。

したがって、合格率だけを比較しても、単にどちらが難しいとはいえません。

司法書士試験に独学で合格するコツ

ここまで司法書士試験の難易度を他の国家資格と比較すると、司法書士は最難関国家資格の1つと言われるだけあって難しい試験であることがわかりました。

先ほど「正しく勉強を継続すれば、司法書士試験には合格できる」とお伝えしましたが、もちろん独学でも合格するのは不可能ではありません。

ただし、司法書士試験は全11科目と出題範囲が広い特徴から、合格するには膨大な範囲をカバーするために、計画的に学習を進める必要があります。

独学で勉強を続けるには自分で学習計画を立てて、合格するまでモチベーションを維持し続けなければいけないため、勉強を続けるための環境作りも重要です。

また、司法書士試験に合格するにはテキストや動画などでインプットするだけでなく、問題集や過去問を使ってアウトプットすることも欠かせません。

問題集や過去問を繰り返し解いて着実に知識を身に付けることで、試験本番でもしっかりと実力を発揮できるようになっていきます。

まとめ

司法書士の難易度について要点をおさらいしましょう。

  • 司法書士試験は難易度が高く、合格率は4〜5%程度
  • 合格率が低いのは受験資格がなく、受験生の学習レベルもさまざまな背景がある
  • 難しい試験だが適正に勉強を続ければ、司法書士試験に合格できる
  • 行政書士や宅建士などと比較すると難易度は高い
  • 独学でもモチベーションを維持し、計画的に学習すれば合格できる

司法書士は最難関国家資格の1つといわれる難しい資格ですが、しっかりと学習計画を立てて、勉強を継続すれば合格できるでしょう。

ただし試験範囲は非常に広いので、司法書士試験に合格するには、モチベーションが低下しないように学習環境を整えることも大切です。

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この記事を監修した人
山田 巨樹 講師(司法書士・スタディング 司法書士講座 主任講師)


司法書士試験合格後、1998年から大手資格学校にて司法書士試験の受験指導を行う。その後、大手法律事務所勤務を経て独立し、東村山司法書士事務所を開設。2014年、「スタディング 司法書士講座」を開発。実務の実例を交えた解説がわかりやすいと好評。