司法書士試験は7月実施の筆記試験と、10月実施の口述試験に分けられます。筆記試験合格者のみが受けられる口述試験は、司法書士として必要な資質と能力が試される最終テストといえるでしょう。
口述試験は面接形式で行われます。一室に案内されると、面接官ふたりを前に着席。面接官からの質問に対し、口頭で答えるという流れです。
試験科目は、「不動産登記法」「商業登記法」「司法書士法」です。いずれも司法書士業務を進めるうえで必須となる知識であると同時に、筆記試験でも実力が試された内容です。筆記試験は問題用紙を前に、机上で解くという形式でしたが、口述試験は面接官ふたりが相手。質問に対し、なぜそういう結論にたどり着けるのか、明快な論理で説明しなければなりません。
口述試験は例年10月上旬もしくは中旬に行われます。試験会場は管区法務局が指定する場所で、筆記試験合格者に発送される受験票に記載されています。なお、指定会場以外での受験はできませんので注意してください。
持ち物は、口述試験の受験票および筆記用具です。黒インクの万年筆またはボールペンに限られます。
試験当日は、試験についての注意事項に関する説明があります。そのため、試験開始時間の30分前には着席していなければなりません。万が一、遅刻した場合はどんな理由であれ受験できませんので、当日は朝から気を引き締めるようにしてください。
合格発表は、受験地を管轄する法務局または地方法務局で行われます。それ以外にも、法務局ホームページや官報で確認が可能。合格者には、司法書士試験合格者証が交付されます。合格証書の交付式は、11月下旬に行われるのが一般的です。
面接管ふたりを相手に、口頭で質問に答える口述試験。独特の雰囲気のなかで行われるだけに一見すると難しいそうですが、合格率はほぼ100%といわれるくらいで、基本的には落ちることはほとんどありません。
口述試験とはいうものの、最後に実務知識を確かめるための儀礼的な要素が強い試験ともいえます。
実際、出題される科目は不動産登記法・商業登記法・司法書士法で、このうち司法書士法の内容は毎年決まっているといわれます。内容がほぼ予想されるだけに対策もとりやすいでしょう。
不動産登記法・商業登記法は範囲が広すぎて完全に網羅するのが難しい科目です。
しかし、筆記試験の合格者であればこのふたつの法律に関する理解度は相当高いはずですし、筆記から口述に答える方法が変わっただけ、ともいえます。そのため、筆記試験のおさらいだと思って楽な気持ちで挑むとよいでしょう。
また、答えられないからといって大きな失点になるわけではなく、質問に窮すれば助け船を出してくれる面接官もいるほど。これらの点を踏まえると、筆記試験よりはリラックスした気持ちで臨めそうです。
万が一、口述試験に合格できなかったとしても、来年は筆記試験を受けずに再チャレンジが可能です。
免除制度によって筆記試験合格者は翌年度以降、いきなり口述試験の受験ができるためです。ただし、申請しなければ免除制度の利用はできませんので、合格者は必ず規定の方法に従い、申請手続きを取ってください。