司法書士試験の会社法・商法・商業登記法は、どのように勉強すればよいのでしょうか? | |
会社法・商法を勉強するときには、似たような制度を比較・整理しながら、商業登記法については、択一式からではなく、記述式(登記申請書の雛形)から学ぶことをおすすめします。 |
会社法・商法は、午前の部で出題されます。午前の部は、多肢択一式が35問出題されますが、このうち、会社法・商法は全部で9問です。
この9問のうちわけは、会社法が第27~34問の8問、商法は第35問の1問(商法総則と商行為のどちらか)です。
商業登記法は、午後の部で出題されます。午後の部は、多肢択一式が35問、記述式が2問ですが、このうち、商業登記法の多肢択一式は全部で8問で、第28問~第35問で出題されます。また、記述式も1問出題されます。
会社法、商法は判例も出題されますが、出題のほとんどは条文の知識です。民法とは異なり、条文の文言がそのまま問われる問題も多いのです。
また、条文の内容が事例に置き換えられて出題されるものもあります。
一方、事例を読み、その事例を解決するために必要な条文を自分で導き出し、事例に当てはめて結論を出すということで解くことができるような問題はほとんどありません。
そうだとすると、テキスト等に記載してある条文の知識をそのまま覚えるだけでいいのかと思われるかもしれませんが、似たような制度が比較して問われるため、単に条文の知識をつけるだけではなく、似たような制度を比較・整理しつつ身についておく必要があります。
例えば、株式総会と取締役会では、それぞれ誰が招集することができるのか、招集するためにはどのような機関を置いて、どのような手続きが必要なのか定められています。また、組織再編には合併、会社分割、株式交換・株式移転が定められていますが、それぞれの決議要件や諸手続が定められています。このような、似たような制度が5つの選択肢に織り交ぜられて出題されます。
商業登記法は不動産登記法と同様で、条文も出題されますが、主に先例からの出題になります。
それぞれの制度を単体でおさえているだけでは、比較して問われた場合にどちらの規定だったか混乱して、解答が導き出せないということが多々あります。
したがって、会社法・商法を勉強するときには、似たような制度を比較・整理しておさえることが必要です。
しかし、会社法・商法の条文はたくさんありますので、やみくもにおさえるのではなく、まずは過去問を検討し、そこで問われている知識を中心におさえていきましょう。
こちらも不動産登記法と同様で、登記申請書の雛形から勉強することでイメージをすることができます。
また、商業登記法は会社法と密接に関連します。
例えば、会社法の規定に沿って株式総会等で株式の発行が決定した場合、商業登記の申請が必要になります。つまり、商業登記法の理解は、会社法の理解が前提となります。
したがって、会社法を勉強したら、その該当箇所の商業登記法の勉強をする、そして、商業登記法の勉強をしたら、その該当箇所の商業登記法の勉強をするということを繰り返してください。
会社法・商法は、条文の知識が中心に問われます。似たような制度があるため、一度だけでなく、繰り返し学んで覚えることが大切です。各制度を比較・整理することを意識しながら学んでいきましょう。
商業登記法は、登記申請書の雛形から学ぶことで、各手続きなどをイメージしやすくなります。このイメージができないまま択一式を勉強すると、今学んでいることがどのような手続きに関するものかをイメージできないまま学習することになるので、効率的な学習が行えないからです。
会社法・商法・商業登記法は、司法書士試験では、民法、不動産登記法に次いで出題の多い科目です。多肢択一式、記述式でしっかり得点できるように基礎から固めていきましょう。
この記事を監修した人 山田 巨樹 講師(司法書士・スタディング 司法書士講座 主任講師) 司法書士試験合格後、1998年から大手資格学校にて司法書士試験の受験指導を行う。その後、大手法律事務所勤務を経て独立し、東村山司法書士事務所を開設。2014年、「スタディング 司法書士講座」を開発。実務の実例を交えた解説がわかりやすいと好評。 |