「司法書士を目指すのはやめとけ」と言われる理由
司法書士を目指している方の中には、家族や友人などから反対された経験のある方がいるかもしれません。
「司法書士を目指すのはやめとけ」と言われるのには、以下の3つの理由が考えられます。
- 簡単に合格できる資格ではない
- 人口減少に伴って仕事が減る可能性がある
- AIに仕事を奪われる可能性がある
周囲の方が反対するのは、司法書士資格の難易度の高さや昨今の社会の状況が影響しているのでしょう。
3つの理由を具体的に紹介していきます。
簡単に合格できる資格ではない
「司法書士を目指すのはやめとけ」と言われる理由のひとつに、簡単に合格できる資格ではないことが挙げられます。
司法書士の業務は登記や後見人制度と多岐にわたり、多くの法務知識を要します。
そのため資格試験の範囲は広く、試験で出題されるのは民法や不動産登記法、商法(会社法)、商業登記法をはじめとした11科目です。
難易度は非常に高く近年の合格率は約4~5%を推移しており、司法書士になるのは狭き門と言えるでしょう。
合格に必要な学習時間は3,000時間程度と言われており、1日に3時間勉強しても3年はかかります。
資格取得のためには並々ならぬ努力が必要で、環境や日々の勉強時間によっては合格までに3年以上かかるケースもあります。
少し勉強した程度で簡単に合格できる資格ではないため、「やめとけ」という意見が出るのでしょう。
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人口減少に伴って仕事が減る可能性がある
司法書士に限った話ではありませんが、人口減少に伴って仕事が減る可能性があり、「目指すのはやめとけ」と言われる場合があります。
近年の日本は超高齢化社会で人口が減少傾向にあり、それに伴って不動産取引や相続そのものが減る可能性があります。
取引や相続が減少すればそれらに関わる登記業務も少なくなり、少ない業務をめぐって司法書士同士の競争も激化するかもしれません。
しかし、登記業務が減少する可能性はあるものの、以下のような分野の需要が注目されています。
- 成年後見業務
- 簡裁訴訟の代理業務
- 遺産や相続に関わる財産管理業務
成年後見とは、年齢や病気といった理由で財産管理ができなくなった人を保護・支援する制度で、超高齢化社会の日本では、特に需要の高まりが予想されています。
司法書士は成年後見人になれるため、活躍するチャンスも多くなるでしょう。
AIに仕事を奪われる可能性がある
AIに仕事を奪われる可能性があるため、「司法書士を目指すのをやめとけ」と言われるケースもあります。
今後はAI技術の発達によりさまざまな職種の書類作成をAIが行い、業務の自動化が進んでいくと考えられます。
司法書士の業務でも、ひな形のある単純な書類作成やオンライン上の申請はAIが代替する可能性が高いと言えるでしょう。
しかし、司法書士の業務にはAIにできないものもあります。
たとえば、不動産登記の背景に複雑な経緯があれば、司法書士は丁寧にヒアリングを行って適切に対処する必要があります。
依頼者からの相談はワンパターンではないためコミュニケーションが重要で、現状ではAIが代替するのは難しいでしょう。
裁判や後見人制度に関わる業務も同様で、依頼者の状況によっては臨機応変に対応を変える必要があり、AIが対応するのは困難です。
依頼者とのやり取りに重要なコミュニケーションスキルを磨いておけば、AIに仕事を奪われるリスクを最小限に押さえられるでしょう。
司法書士の資格取得を目指すメリット
司法書士は難易度の高い資格ですが、司法書士試験は受験資格がないため、誰にでも資格取得のチャンスが開かれています。
司法書士の資格取得を目指すメリットは、以下の5つです。
- 有資格者の信頼感が得られる
- キャリアの一発逆転が狙える
- やり方次第で高収入が期待できる
- 独立開業できる
- 男女関係なく活躍できる
具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
有資格者として信頼が得られる
司法書士の資格を持っていれば、周囲からの信頼を得られます。
資格試験は合格率は低いものの、試験に受かれば専門的な法律知識を所持している証明となります。
司法書士資格は更新の必要がないので、取得すれば一生の財産になるでしょう。
たとえ司法書士として働かない場合でも、転職や就職時には難関資格を取得した事実をアピールでき、学力の高さや継続的に努力できる人柄を評価してもらえます。
評価が得られるだけでなく、資格を持っていれば自分の自信にもつながるでしょう。
一生使える資格を持って周囲からの信頼を得られるのは、資格取得の大きなメリットといえます。
キャリアの一発逆転が狙える
司法書士の資格を取得すれば、キャリアの一発逆転が狙えます。
司法書士試験は受験資格がないため、学歴やこれまでのキャリアに自信がない方でも試験を受けられます。
受験に回数制限がないので何回でもチャレンジでき、資格を取得すれば司法書士として新たなキャリアを築けるでしょう。
司法書士になれば独立開業も可能であり、転職や就職の際のアピールポイントとなります。
資格を取得すれば働き方の選択肢が増え、場合によっては人生が大きく変わる可能性があるでしょう。
やり方次第で高収入が期待できる
司法書士になれば、業務のやり方次第で高収入を得られる可能性があります。
日本司法書士会連合会の「司法書士白書2021年版」によると、年収1,000万円以上の高収入を得ている司法書士が一定数存在します。
そして、独立開業して1,000万円超の年収を得ている方は12.8%(無回答を除く割合)にものぼります。
資格取得後の働き方によりますが、司法書士は実力次第では1,000万円を超える高収入が期待できる職種と言えるでしょう。
【合わせて読みたい】司法書士の平均年収はどれぐらい?働き方別の年収や年収アップの方法を紹介
独立開業できる
独立開業できるのも、司法書士を目指す大きなメリットです。
司法書士はパソコンや電話があれば仕事ができ、高額な設備や他職種にあるような商品の仕入れは必要ありません。
事務所を借りずとも自宅で仕事ができるので、資金面での開業のハードルが低く、独立開業しやすい職種といえます。
資格取得後はまずは司法書士事務所に勤務して経験を積むのが一般的ですが、経験を積んで独立すれば自分のペースで仕事ができ、プライベートと両立して働けます。
定年もないので生涯現役で働ける点は、司法書士の魅力のひとつと言えるでしょう。
【合わせて読みたい】司法書士に合格!独立・開業のためにやるべきこと
男女関係なく活躍できる
司法書士は、男女の性別関係なく活躍できる職種です。
主な業務が書類作成や代理申請、法律相談なので、性別による差が仕事に影響しにくいからです。
女性の司法書士の満足度も高く、日本司法書士会連合会「司法書士白書2022年版」によると、「男性も女性も平等に仕事ができる」の問いに対して、女性の司法書士が「非常に満足」「やや満足」と回答した割合は、76.3%でした。
7割以上の女性司法書士が、平等であると感じています。
男女の性別関係なく平等に業務ができ、個人の努力次第で活躍できるのが司法書士の魅力と言えるでしょう。
司法書士の資格取得に向いている方
さまざまなメリットが得られる司法書士の資格取得には、どのような方が向いているのでしょうか。
司法書士の資格取得に向いている方の特徴は、以下の3つです。
- 独立志向が強い方
- 安定して収入を得たい方
- 勉強熱心な方
1つでも当てはまってる方は、司法書士の資格取得を前向きに検討してみましょう。
独立志向が強い方
司法書士は自分で開業できるため、独立志向の強い方に向いています。
独立して事務所を運営し、自分自身でビジネスを展開したい方にはおすすめの資格です。
独立すれば業務や運営方針をすべて自分で意思決定でき、スケジュールも自由に管理できます。
事務所の運営次第では高収入を得られる可能性があり、独立して自分の手腕を試したい方には向いているでしょう。
ただし、独立開業にはリスクや責任も伴います。
独立のメリットとデメリットをよく考えて決断し、独立する場合は綿密に計画を練って実行することが重要です。
安定して収入を得たい方
司法書士は、安定して収入を得たい方に向いています。
登記や裁判、成年後見の手続きといった司法書士の業務は、法務知識のない方が行うのは簡単ではありません。
そのため司法書士の業務は一定の需要があり、依頼案件がなくなることはないでしょう。
また、司法書士は不動産会社や他の士業とのつながりを持てば、新規案件の紹介を受けやすくなります。
不動産業界とのつながりがあれば不動産登記に関わる案件の紹介、弁護士や税理士などの士業同士つながりからクライアントの紹介が期待できます。
自身で獲得した仕事に加えて紹介案件も受けられるので、安定した収入が得られるでしょう。
勉強熱心な方
勉強熱心な方も司法書士の資格取得に向いています。
資格取得のために勉強は必要ですし、司法書士になってからも法律や制度の勉強は欠かせません。
法改正があれば、適切に業務を行うために情報を収集して学ぶ必要があります。
裁判業務においても判例は更新されるので、新しいルールを学習し、変化に対応していかなければならないでしょう。
司法書士は資格取得後も法律の知識を磨く必要があるため、努力して勉強できる方や、法律分野に興味を持って学習できる好奇心旺盛な方が向いています。
司法書士になるのをおすすめできない方の特徴
司法書士は、独立志向の強い方や安定した収入を得たい方におすすめですが、以下のような方にはおすすめできません。
- 学び続けるのが苦手な方
- コミュニケーションが苦手な方
- 不注意やミスの多い方
- 責任感がない方
資格取得後も最新の法令や判例を学び続けなければならないため、学び続けるのが苦手な方には司法書士には向いていないと言えるでしょう。
また、司法書士は依頼人とのコミュニケーションが必要で、信頼を得るためには依頼内容を丁寧にヒアリングしなければなりません。
依頼人とのやり取りが苦手な方は、司法書士として活躍するのは難しいでしょう。
司法書士は依頼内容に沿った正確な書類を作成する必要があり、書類に不備があれば、場合によっては依頼人に不利益をもたらします。
厳重にチェックされた不備のない書類が作成できないと、司法書士として成功するのは困難です。
さらに、提出書類の作成や法務手続きには、期限や添付書類等のルールがあります。
責任を持ってルールを守れない方は、適切に業務を遂行するのは難しいでしょう。
ただし、言い換えると学ぶのが好きな方や人とコミュニケーションを取るのが好きな方、丁寧に仕事に取り組める方は司法書士の仕事が向いているといえます。
まとめ
今回ご紹介した「司法書士はやめとけ」と言われる理由は、以下のとおりです。
- 合格率約4~5%という難関資格で、簡単に合格できる資格ではない
- 人口減少に伴って不動産や相続案件が減り、仕事が減る可能性がある
- ひな形のある単純な書類作成業務は、AIに奪われる可能性がある
難易度が高い点や昨今の社会の状況から、「やめとけ」と言われることがあるかもしれません。
しかし、司法書士には以下のようなメリットがあります。
- 有資格者としての信頼を得られ、一生の財産になる
- 受験資格がなく誰でも受けられ、キャリアの一発逆転が狙える
- 独立開業して自分の裁量で仕事ができ、やり方次第で高収入が期待できる
- 男女関係なく活躍できる職種で、女性の司法書士の満足度が高い
司法書士資格は出題範囲が広く、難易度が高い試験なので、効率よく勉強することが重要です。
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