![]() |
司法書士は独立開業しやすいと聞いたのですが、実際どうなのでしょうか?また、仕事を続けていくうえでどのような魅力があるのでしょうか? |
---|---|
![]() |
独立系資格のなかでも、司法書士は独立しやすいといわれており、「一国一城」の主を目指して独立する司法書士も少なくありません。ここでは、司法書士がなぜ独立しやすいのか、その理由と仕事の魅力について迫っていきたいと思います。 |
独立開業の道を選ぶ司法書士は多いです。資格を取得したばかりの頃は勤務スタイルを選ぶ人が多いものの、そのうち多くの司法書士は自ら事務所を開業して「一国一城」の主となります。独立するケースが多いということは、それだけ司法書士が独立しやすいことを意味します。
独立しやすい理由はいくつかありますが、もっとも大きいものは、「資格ひとつで食べていける」ことにあるでしょう。司法書士は登記や供託などの専門家です。資格があれば、一般人には難しい法的手続きに関する業務を引き受け、報酬が得られます。信頼をつかみ取れば、定期的に仕事を獲得でき、地域にしっかりと根を下ろして活動できるようになります。
また、「頑張った分だけ稼げる」点も、独立司法書士の魅力であり、事務所開業を後押しするポイントです。勤務司法書士では、いくら頑張っても報酬は事務所の給与システムの範囲内です。それに比べ、独立司法書士の収入に限界はありません。中には年収1,000万円を超える人たちもいます。そのような環境も独立を生みやすい面は否定できません。
関連記事:司法書士は稼げる?稼げない?平均年収から見る仕事と本音
独立も良いことばかりではありません。独立を志す司法書士の中で、大きい懸念事項と言えば、資金でしょう。先立つものがなければ、独立したくてもできません。一般的に、独立開業には以下のコストを必要とします。
もちろん、水道代や電気代などの光熱費、インターネットや電話などの通信コストも考慮しなければなりません。さらに、事務員や秘書を雇えば人件費がかかるでしょう。事務所開業には、これらの初期投資、事務所を維持するためのランニングコストが発生し、その負担は経営者が負わなければなりません。
独立したばかりの頃は、顧客も少なく、売上も限られます。収入がなくても、維持コストは毎月発生するため、無収入が続けばあっという間に経営を圧迫します。リスクを最低限に抑えるため、家賃がかからない自宅開業を目指す人も多いですが、それでも50万円程度は必要です。開業するからには、ある程度の資金準備が前提となるでしょう。
独立すれば年収1,000万円も夢ではない。しかし開業にはコスト的リスクが大きい…。こんな話をすると、稼ぐことだけが司法書士になる目的のように思われるかもしれません。しかし、それはちょっと違います。司法書士はその高度な知識と実務スキルを生かして、多くの困っている市民をサポートできる職業であり、そこにやりがいを覚えて目指す人も多いです。
遺産相続の相談や、障害を抱えた人の消費生活を支える後見人制度、借金トラブルや債務整理の相談など、司法書士事務所に足を運ぶ依頼者は、これら難しい問題を抱えて困っている人ばかりです。解決方法が分かっていても、一般の市民は法律の知識がないため、動けません。司法書士は、そんな困った人たちに代わり、書類作成や申請手続きを代行することで、市民の身体的・精神的負担を軽減してくれます。
業務以外でも、司法書士はさまざまな場面で社会や市民生活に役立つ取り組みを行っています。
最近では、「プロボノ」という社会貢献活動が注目されています。プロボノとは、司法書士や弁護士などの法律家が、公益に資する事業や活動を無報酬で行うこと。司法書士や弁護士は公的施設や各種イベント会場などで法律の無料相談会を実施することがありますが、これなどは典型的なプロボノ活動の一環でしょう。
無料で法律相談できる機会が増えれば、それだけ法的トラブルに悩む人々の手助けとなります。努力して身につけた知識とスキルを公共の目的のために活用する。そんな思いで活躍する司法書士もたくさんいることに、もっと目を向けたていきたいです。