現在の司法書士試験には、2つの免除制度があります。
それぞれの免除制度の具体的な内容を確認していきましょう。
一部の公務員には、試験免除制度があります。対象になるのは、下記のいずれかに当てはまる方です。
ただし、規定の年数勤めたからといって、必ずしも司法書士になれるわけではありません。
上記の条件に当てはまった方のうち、法務大臣に司法書士業務を行うための能力や知識があると認められた方のみが、司法書士試験を受けなくても司法書士になれます。
司法書士法第2条には、「司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力を有するかどうかの判定は,口述及び必要に応じ筆記の方法によって行う。」と記載されています。
つまり、上記の条件に当てはまる人も、何らかの口述試験や筆記試験が行われているということです。
難関国家試験は免除されるものの、試験免除制度で司法書士になるのは狭き門です。
実際に令和2年度に司法書士になった580人のうち、法務大臣認定で司法書士になったのは、58人だけでした。
司法書士には試験免除制度がありますが、ほとんどの司法書士は国家試験を突破して司法書士になっています。
司法書士試験には、筆記試験免除制度もあります。
筆記試験免除とは、司法書士試験の筆記試験合格者のうち、司法書士試験が不合格だった方は次回の筆記試験が免除になる制度です。
とはいえ、筆記試験合格後に行われる口述試験は、基本的にほとんどの受験者が合格する試験です。
つまり、筆記試験に合格したものの、司法書士試験に合格できなかった方は、病気やケガなど何らかの事情で受験できなかったと考えられます。
これから司法書士試験を受験する方も、何らかの事情で口述試験を受験できなかったときは、筆記試験免除の対象になります。
万が一のときのためにも、こういった制度があることを頭に入れておくと良いでしょう。
新司法書士試験は、実在するものではありません。
日本司法書士連合会出版の「THINK」という雑誌に、以前掲載された試験制度の変更提案のことです。
新司法書士試験の提案として発表されたのは、一部の条件をクリアした者は司法書士試験の科目免除の対象になるというものでした。
この案での免除の対象になる条件は、以下のとおりです。
上記の条件は、法学の基礎が身についている人は、司法書士試験を免除しても問題ないのではないかという考えに基づいています。
この提案が発表されたのは2016年のことであり、2023年現在も司法書士試験の制度は以前と同じです。
そのため、法科大学院を修了したり、司法試験予備試験に合格したりしたからといって、司法書士試験の科目免除になる可能性は低いでしょう。
司法書士の免除制度に関して、よくある質問をまとめました。
司法書士試験に合格したからといって、行政書士試験は免除になりません。
司法書士試験と行政書士試験は比較の対象になりやすく、両資格を有している人も多くいます。
とはいえ、司法書士試験合格者が行政書士の資格を取得したいときは、試験を受験して合格する必要があります。
法科大学院を卒業したからといって、司法書士資格を付与されることはありません。
法科大学院を卒業している方は、法学の知識が備わっていると考えられますが、司法書士の資格を取得するには、試験を受験して合格しなければいけません。
司法書士試験の免除制度について、お伝えしました。
司法書士試験に試験免除制度はありますが、ほとんどの司法書士は試験に合格して司法書士になっています。
裁判所事務官や裁判所書記官を10年以上経験して司法書士になる道は、あまり現実的ではないため、これから司法書士になろうと考えている方は試験合格を目指しましょう。
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社会人や学生、主婦など忙しい生活を送りながらも司法書士試験合格を目指している方は、ぜひご活用ください。
この記事を監修した人 山田 巨樹 講師(司法書士・スタディング 司法書士講座 主任講師) 司法書士試験合格後、1998年から大手資格学校にて司法書士試験の受験指導を行う。その後、大手法律事務所勤務を経て独立し、東村山司法書士事務所を開設。2014年、「スタディング 司法書士講座」を開発。実務の実例を交えた解説がわかりやすいと好評。 |