司法書士試験の免除制度
現在の司法書士試験には、2つの免除制度があります。
- 試験免除
- 筆記試験免除
それぞれの免除制度の具体的な内容を確認していきましょう。
試験免除
一部の公務員には、試験免除制度があります。対象になるのは、下記のいずれかに当てはまる方です。
- 裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して10年以上になる者
- 簡易裁判所判事又は副検事としてその職務に従事した期間が通算して5年以上の者
ただし、規定の年数勤めたからといって、必ずしも司法書士になれるわけではありません。
上記の条件に当てはまった方のうち、法務大臣に司法書士業務を行うための能力や知識があると認められた方のみが、司法書士試験を受けなくても司法書士になれます。
司法書士法第2条には、「司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力を有するかどうかの判定は,口述及び必要に応じ筆記の方法によって行う。」と記載されています。
つまり、上記の条件に当てはまる人も、何らかの口述試験や筆記試験が行われているということです。
難関国家試験は免除されるものの、試験免除制度で司法書士になるのは狭き門です。
実際に令和2年度に司法書士になった580人のうち、法務大臣認定で司法書士になったのは、58人だけでした。
司法書士には試験免除制度がありますが、ほとんどの司法書士は国家試験を突破して司法書士になっています。
筆記試験免除
司法書士試験には、筆記試験免除制度もあります。
筆記試験免除とは、司法書士試験の筆記試験合格者のうち、司法書士試験が不合格だった方は次回の筆記試験が免除になる制度です。
とはいえ、筆記試験合格後に行われる口述試験は、基本的にほとんどの受験者が合格する試験です。
つまり、筆記試験に合格したものの、司法書士試験に合格できなかった方は、病気やケガなど何らかの事情で受験できなかったと考えられます。
これから司法書士試験を受験する方も、何らかの事情で口述試験を受験できなかったときは、筆記試験免除の対象になります。
万が一のときのためにも、こういった制度があることを頭に入れておくと良いでしょう。
新司法書士試験とは?
新司法書士試験は、実在するものではありません。
日本司法書士連合会出版の「THINK」という雑誌に、以前掲載された試験制度の変更提案のことです。
新司法書士試験の提案として発表されたのは、一部の条件をクリアした者は司法書士試験の科目免除の対象になるというものでした。
この案での免除の対象になる条件は、以下のとおりです。
- 法科大学院の修了生
- 司法試験予備試験合格者
- 裁判所事務官などを10年以上勤めている者
上記の条件は、法学の基礎が身についている人は、司法書士試験を免除しても問題ないのではないかという考えに基づいています。
この提案が発表されたのは2016年のことであり、2023年現在も司法書士試験の制度は以前と同じです。
そのため、法科大学院を修了したり、司法試験予備試験に合格したりしたからといって、司法書士試験の科目免除になる可能性は低いでしょう。
司法書士の免除制度に関してよくある質問
司法書士の免除制度に関して、よくある質問をまとめました。
司法書士試験に合格すると行政書士試験も免除になる?
司法書士試験に合格したからといって、行政書士試験は免除になりません。
司法書士試験と行政書士試験は比較の対象になりやすく、両資格を有している人も多くいます。
とはいえ、司法書士試験合格者が行政書士の資格を取得したいときは、試験を受験して合格する必要があります。
法科大学院を卒業すると司法書士資格は付与される?
法科大学院を卒業したからといって、司法書士資格を付与されることはありません。
法科大学院を卒業している方は、法学の知識が備わっていると考えられますが、司法書士の資格を取得するには、試験を受験して合格しなければいけません。
まとめ
司法書士試験の免除制度について、お伝えしました。
- 司法書士試験の免除制度は試験免除と筆記試験免除の2通り
- 裁判所事務官などの条件をクリアした公務員は司法書士試験が免除される可能性がある
- 筆記試験に合格したものの司法書士試験に合格できなかった場合は次回の筆記試験合格者が免除される
- 新司法書士試験は提案が発表されただけで施行されていない
司法書士試験に試験免除制度はありますが、ほとんどの司法書士は試験に合格して司法書士になっています。
裁判所事務官や裁判所書記官を10年以上経験して司法書士になる道は、あまり現実的ではないため、これから司法書士になろうと考えている方は試験合格を目指しましょう。
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