令和2年度(2020年度) 司法書士試験 講評と令和3年度(2021年度)の対策

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令和2年度 司法書士試験を受験された皆さまへ

令和2年9月27日(日)に令和2年度の司法書士試験(筆記試験)が行われました。
受験をされた皆様、お疲れさまでした。

今年は新型コロナウィルス感染症の影響で、令和2年7月5日(日)に予定されていた試験が、令和2年9月27日(日)に延期されたため、学習のピークを試験にあわせるタイミングが難しかったのではないかと思います。ひとまず、今まで頑張ってきた自分を褒めてください。


講評と次年度の対策

ここでは、令和2年度(2020年度)の筆記試験について感じたことをお伝えするとともに、今回の試験傾向から令和3年度(2021年度)の対策を検討していきたいと思います。現在、令和3年度(2021年度)の試験に向けて勉強中の方もご参考にして頂ければ幸いです。

午前多肢択一式

民法第16問~第19問が債権法からの出題でした。
第17問の解約手付に関する問題を除き、債権法は、改正後の規定からの出題でした。

第17問の定型約款は、対策をしていなかった方が多かったのではないかと思いますが、その他の第16問と第19問は条文からの出題でしたので、準備をしていた方も多かったのではないかと思います。

その他の問題については、過去問を検討しつつ、周辺知識を確認しておくことで、対応できた問題が多かったのではないかと思います。

今年度は、全問が組み合わせ問題であり、5つの肢のうち2~3肢の判別ができれば正解を導くことができる問題が多かったように思います。

今後の対策としては、例年と変わりませんが、過去に出題されている知識の習得は当然として、過去に出題されている知識については、少し掘り下げて勉強をしておくといいでしょう。さらに、過去に出題されている知識の周辺知識及び関連知識までおさえられれば、十分合格レベルの実力がつくはずです。

午後多肢択一式

第1問~第11問までの民事訴訟法、民事保全法、民事執行法、供託法、司法書士法は、過去に出題されていた知識から大きく外れた出題はなかったと思います。

第12問~第27問までの不動産登記法は、相変わらず総合問題が多く出題されました。
不動産登記法を学ぶときには、所有権に関する登記手続、抵当権に関する登記手続、根抵当権に関する登記手続というように、分野ごとに学んでいくものですが、出題されるときは、選択肢の5肢のすべてが所有権に関する出題という問題よりも、すべての肢が違う分野から出題されている総合問題が多く出題されています。
いきなり横断的に知識を覚えておくことは難しいので、各分野の勉強をしっかりと行い、過去問を通して横断的知識を身につけていくようにしましょう。

また、不動産登記法の多肢択一式は、記述式を解くために必要となる知識よりも、より細かな先例の知識等が問われます。
しかし、より細かな先例の知識等を理解しつつ覚えるためには、記述式で問われる知識の理解が必要となりますので、記述式の対策をしつつ、多肢択一式の過去問を通して、より細かな先例の知識等を身につけるようにしましょう。

第28問~第35問の商業登記法は、不動産登記法とは異なり、各分野からまとまって出題される問題が多く、本年度も同様の傾向で出題されていました。

商業登記法の多肢択一式で必要とされる知識も、記述式の対策で身につく知識で多肢択一式も解答を導き出せる問題が多いので、記述式の対策を通して知識を身につけていくようにしていけばいいと思います。

午後の部の不動産登記法、商業登記法の択一の対策では、いきなり細かな先例を覚えていくのは得策ではありません。
まずは、記述式の学習を通じて、不動産登記法及び商業登記法の基本的な仕組みを理解し、基本的な知識を身に付けることが大切です。
基本的な仕組みの理解と知識が身につけば、細かな先例も覚えやすくなっていますし、知らない先例が出た場合でも、解答を導き出せる可能性が増えてくるからです。

スタディングで学習されている方は、スマート問題とセレクト過去問を解けるようにすることは当然として、解説も覚えるくらいまで繰り返すようにしてください。これにより、過去に出題されている重要知識はしっかりと身につきます。そして、このレベルになりますと、自ずと何をすべきか分かってくると思いますので、各自で足りないと思うところの学習を進めて仕上げていきましょう。


記述式

(1)不動産登記法

今年の出題で特徴的だったのは、問題を検討するに際して、読むべき資料の指示が明確になされていたということです。

具体的には、問2及び問3を検討するに際しては、【事実関係】1から9までを参照してください、問4及び問5を検討するに際しては、【事実関係】10~13までを参照してくださいと明確に書かれていました。

今までの試験でも、各設問ごとに使う【事実関係】は決まっていましたが、今年の試験では、明確に支持されていましたので、検討しやすかったのではないかと思います。

では、簡単にですが、具体的に各設問を検討していきたいと思います。

問1では、相続法の改正に関する規定の知識が問われました。択一式対策で学習しているところです。

問2は、前提として、第36問の最初の頁の問題文に「申請情報と併せて提供すべき登記識別情報を提供することができない者から、資格者代理人による本人確認情報を作成及び提供することの依頼を受けた。」との記載があることから、登記識別情報を提供することができない登記がなされているのではないか、資格者代理人による本人確認情報を作成及び提供しなければならないのではないかと予測がつきます。

【事実関係4】からDには登記識別情報の通知がなされていないことが分かりますので、Dが登記義務者となる手続では、登記識別情報の提供ができないため、資格者代理人による本人確認情報を提供する必要があるということも分かります。

また、【事実関係9】に「権利の移転の方法によらずに登記の申請をすることとして・・・」と誘導もなされていますので、どのような登記申請書を作成しなければならないのかを抽出することはできたのではないかと思われます。似たような出題が平成29年度にもなされています。

過去問をしっかりと検討されていた方は、申請しなければならない登記手続を抽出することができたのではないかと思います。

問3は、単に根抵当権設定登記の申請情報を書けばいいのですが、ここでDの登記識別情報の提供ができないということを踏まえて解答していくことになります。

問4は、設問に「甲土地について令和2年6月10日に申請した権利の登記の申請情報の内容」を解答していくことになります。ここは試験でよく出るし、実務でもとても重要となるところです。つまり、問5で問われている登記の申請をする前提で「名義変更」が必要となるというパターンです。前提として根抵当権に関する名義変更が必要となる出題は、平成31年度、平成26年度、平成23年度で出題されています。問5では共同根抵当権の追加設定が問われていますので、その前提として、設定者及び債務者の住所変更が必要となります。さらに、住所変更の最後の原因が「住居表示実施」ですかから、非課税になることにも注意が必要です。

問5は、「乙建物について令和2年6月10日に申請した権利の登記の申請情報の内容」を解答していくことになります。共同根抵当権の追加設定の前提として、所有権保存登記の必要があることも気付いたと思います。

問6は、債権法の改正に関する知識が問われています。改正後ですし、多少細かい知識でもありますから、覚えていなかった方もいるかと思います。もっとも、この問に回答できなくても、それ以外の問に回答できていれば、合否に大きく影響しないと思われます。

(2)商業登記法

商業登記法も不動産登記法と同様、問1については【事実関係】1~7、10、問2については【事実関係】8及び9、11といったように、明確に指示をしてくれていました。

問1の「取締役会設置会社の定めの廃止」と「代表権付与」は、平成26年度にも出題があります。「取締役の退任」については、退任できる日と退任する日付に注意しなければならないこと、「剰余金の資本組入れ」、「募集株式の発行」は基本的な知識にしたがって解答すれば問題ありません。また、「監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定款の定めの設定」がなされた場合、たとえ監査役を置いていても監査役設置会社ではなくなるということも基本的な知識です。そして、この知識があれば、問3の回答も導き出せます。

問2の「発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の変更」は、平成27年度に出題されています。株式の併合と監査役の変更は、基本的な知識を有していれば解答できたのではないかと思われます。一方、代表取締役の変更については、取締役設置会社の廃止と共に、代表取締役の退任登記と就任登記が必要となることは、基本的な知識ですが、ひねりを利かせた出題でしたから、気付かなくても大きな減点にはならないのではないかと思います。

問3ですが、「監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定款の定めの設定」がなされた場合、たとえ監査役を置いていても監査役設置会社ではなくなります。そのため、「役員等の会社に対する責任の免除に関する規定の設定」をすることができないということには気づいて欲しかったところです。

毎年お伝えしていますが、記述式対策では、まずは、基本的な雛形を覚えることと、雛形に関連する知識を覚えることです。その後、令和2年度から平成20年度の過去問を何度も繰り返して知識を身に着けることと、資料の読み方などを学んでください。これだけで合格レベルの知識は十分身につくはずです。


今後の司法書士試験の日程

筆記試験の結果発表等

  • 令和2年11月4日(水)午後4時:法務省ホームページに試験問題、多肢択一式問題の正解及び基準点が掲載されます。
  • 令和2年12月24日(木)午後4時:筆記試験合格発表
  • 令和3年1月12日(火)口述試験
  • 令和3年2月1日(月)午後4時:最終合格発表
山田 巨樹 プロフィール

1974年山口県生まれ。明治大学法学部法律学科卒業。司法書士試験合格後、1998年から大手資格学校にて司法書士試験の受験指導を行う。教材制作、講義、受講相談、質問回答など司法書士の受験指導に関わるあらゆる業務を担当。多くの合格者を輩出する。
その後、大手通信教育会社に入社し、教材の企画・制作、情報誌の編集等を担当する。
大手法律事務所に勤務し、幅広い業務を担当。その傍ら、宅建の養成講座の制作・指導も担当し、多くの宅建の合格者も輩出。
さらに、司法書士事務所を開設し、独立開業の夢を実現。債務整理、相続・成年後見、交通事故、登記など、地元密着型で信頼される事務所として実績を積む。
2014年、「スタディング」を開講していた「KIYOラーニング株式会社」と出会い、同社のノウハウに自らの司法書士合格法を融合させた「スタディング 司法書士講座」を開発。2014年12月末の開講以来、驚異的なスピードで受講者を増やす。「スタディング」で、合格者を多数輩出するために講座の開発に燃えている。

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