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平成28年度筆記試験合格発表を受けて
9月28日、司法書士試験の筆記試験の合格発表がありました。口述試験は、受験をすれば合格できることから、筆記試験の合格者が事実上の司法書士試験の合格者ということになろうかと思います。
平成28年度は、前年の平成27年度と比較して、合格点がぐっと下がりました。データをみればお分かりだと思いますが、午前択一と記述式の点数がぐっと下がったことによります。
午前択一の点数が伸び悩んだ点につきましては、多肢択一式問題の基準点等が8月に発表された段階でコメントをさせていただきましたが、会社法が難しかったことがあげられます。つまり、会社法自体の問題が難しかったこともありますが、直近の改正点絡みの出題も多くありましたため、多くの受験生がしっかりと対策を取れていなかったことが原因かと思います。
そうだとすると、直近の改正点までしっかりとおさえておかなければならないのではないかと思う方もいるかと思いますが、そうではないと考えます。今年の結果から見てもいえますが、改正直後の知識につきましては、合格レベルにある方もしっかりとおさえられていないのです。重要な点は、改正点に振り回されるのではなく、今までやってきたことをしっかりと使える知識として身につけることです。
もっとも、平成29年度の試験で平成27年度の改正点が出題された場合は、合格レベルにある受験生はおさえてきていると思われますので、平成29年度以降に受験をされる方は、しっかりと抑えておきましょう。
次に、記述式の点数が伸び悩んだ点ですが、この点につきましても以前にコメントをさせていただきましたが、合格レベルにある方でも処理できないくらいの量が出題されたことによります。本試験の会場で、「焦らずにやって下さい!」というのは無理な話ですが、処理できないくらいの量が出題された場合は、「他の受験生も全部処理できないはずだ!」と考えて、確実に解ける部分を順次つぶすことで、合格点を取ることはできたのではないかと思います。
次年度対策~2年目以降の勉強法~
合格発表後、知識不足ばかりが気になって、参考書を買い込んだり、自分にとっての必要性も考えずに予備校の講座の申込みをする受験生の方がたくさんいます。しかし、多くの受験生にとってやらなければならないのは、まずは過去10年間で問われている知識を完璧にすることです。ここをクリアできていないにも関わらず細かな知識を覚えても身につかないと思います。逆に、過去10年間で問われている知識を完璧にした後であれば、自ずと何をやらなければならないのかが分かると思います。
択一式対策編
まず、択一対策についてですが、平成29年度以降の司法書士試験を目指す方は、過去10年分の問題を解いてみて下さい。
(1)過去10年分の過去問が完璧に解ける。
(2)過去10年分の過去問の正誤の理由までいえる。
(3)過去10年分の過去問で問われている知識の関連知識までおさえている。
この(1)~(3)が完璧になっているでしょうか?もしなっていなければまずは(1)~(3)をやりましょう。(1)~(3)が完璧な方は、すでに自分に何が足りないのか、何をやればいいのかがわかっていると思いますので、各自で足りないものを考えて、足りない部分を補う勉強を進めてください。
記述式対策編
次に記述式の対策ですが、平成28年度の記述式の出題が大量に処理をさせる出題だったため、テクニック的な講座が流行るかもしれません。実際、記述式のテクニックを紹介するような書籍も出版されています。しかし、このようなテクニックを自分のものとして使いこなせるようになるのは、基本的な雛形が素早く書け、基本的な雛形に付随する知識が身につき、基本的な問題が素早く解ける状態の後の話です。つまり、テクニック的な勉強をするのは最終段階です。基本的な雛形などが身についていないにも関わらず、テクニック的な勉強をしても効果は無いと思われます。
したがって、記述式につきましても、
(1)基本的な雛形を素早く書ける。
(2)基本的な雛形に関連する知識を覚えている。
(3)基本的な問題を解ける。
といった(1)~(3)を完璧にこなして下さい。この(1)~(3)をこなした後にテクニック的な勉強をすると、記述式の得点率がアップすると思います。
徹底的に基本をやりこみ、合格レベルまで引き上げましょう!
試験講評と次年度対策については、動画でもご覧いただけます。
・動画セミナー「平成28年度司法書士試験講評と次年度対策」(2016年7月収録)
https://member.studying.jp/course/lesson/index/id/1…
※上記、動画セミナーのご視聴には、スタディングアカウントが必要です。
まだご覧になられていない方は、ぜひご覧lください。
スタディング 司法書士講座 主任講師山田 巨樹 プロフィール
1974年山口県生まれ。明治大学法学部法律学科卒業。司法書士試験合格後、1998年から大手資格学校にて司法書士試験の受験指導を行う。教材制作、講義、受講相談、質問回答など司法書士の受験指導に関わるあらゆる業務を担当。多くの合格者を輩出する。 その後、大手通信教育会社に入社し、教材の企画・制作、情報誌の編集等を担当する。 大手法律事務所に勤務し、幅広い業務を担当。その傍ら、宅建の養成講座の制作・指導も担当し、多くの宅建の合格者も輩出。 さらに、司法書士事務所を開設し、独立開業の夢を実現。債務整理、相続・成年後見、交通事故、登記など、地元密着型で信頼される事務所として実績を積む。 2014年、「通勤講座(現スタディング)」を開講していた「KIYOラーニング株式会社」と出会い、同社の「通勤講座」のノウハウに自らの司法書士合格法を融合させた「スタディング 司法書士講座」を開発。2014年12月末の開講以来、驚異的なスピードで受講者を増やす。「す」で、合格者を多数輩出するために講座の開発に燃えている。
東村山司法書士事務所 代表 司法書士、行政書士(有資格)、宅地建物取引主任者(有資格) |
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