
司法書士試験に合格したら、必要なのが登録手続きです。
本記事では、司法書士としての登録の流れや登録料についてまとめて解説します。
司法書士の資格取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
試験に合格後から司法書士登録するまでの流れ
司法書士は、試験合格後すぐに業務に従事できるわけではありません。
司法書士として業務をするには、研修を受講して司法書士会に登録する必要があります。
試験に合格してから司法書士登録するまでの流れは、以下のとおりです。
- 研修を受講する
- 日本司法書士連合会・司法書士会に登録する
それぞれの内容について詳しく解説します。
研修を受講する
司法書士になるためにはまず、司法書士会や日本司法書士連合会が主催する新人研修の受講が必要です。
新人研修は、中央研修・ブロック研修・司法書士会研修の3種類あります。
開催時期は各都道府県によって異なりますが、12月から翌年3月までの約4カ月にわたって、内容の濃い研修が実施される傾向です。
また、認定司法書士になるためには、特別研修の受講も必要です。
特別研修では、簡易裁判所で扱われる訴訟案件(140万円以下の訴訟額)を担当する際に必要な知識や実務を学びます。
法務省が認定する認定司法書士になるための登竜門ともいえる研修です。
特別研修の時期が新人研修と異なるため、受講をご検討の方はスケジュールを確認してから申し込みに進みましょう。
日本司法書士連合会・司法書士会に登録する
試験合格後に研修まで修了すると、日本司法書士連合会や司法書士会に登録が可能です。
登録が完了すると、司法書士の仕事を受注したり業務に従事できたりします。
日本司法書士連合会とは、司法書士の品位の保持と業務の改善進捗を目的に、指導・連絡・登録に関する事務を行っている組織です。
国にある50の司法書士会によって組織されています。
また日本司法書士連合会を組織している司法書士会は、各都道府県に1つと北海道に4つあるのが特徴です。
日日本司法書士連合会と司法書士会の目的に違いはないため、登録時は該当する都道府県などを確認して手続きに進んでください。
日本司法書士連合会・各司法書士会に登録する方法
日本司法書士連合会・各司法書士会に登録する際の主な流れは、以下のとおりです。
- 管轄地域の司法書士会で登録申請書を発行する
- 必要書類を管轄地域の司法書士会に提出する
- 司法書士会の役員と面談を受ける
- 日本司法書士連合会の登録審査を受ける
- 審査通過後、登録証が交付される
登録に進む際、事前に必要な書類を用意しておくと手続きがスムーズに進みます。
具体的に必要な費用や準備物は後述しますので、ぜひ参考にしてみてください。
司法書士の登録料
司法書士の登録をする際には、「登録手数料」をはじめとするさまざまな料金を支払う必要があります。
必要な費用の例は、以下の通りです。
項目 | 費用 |
---|---|
登録免許税 | 30,000円 |
登録手数料 | 25,000円 |
入会金 | 35,000円前後 |
定額会費 | 月額14,700~17,200円 |
バッジ代 | 6,500円前後 ※登録証交付式に出席後、貸与代金を支払うと受取可能 |
以下、各費用について詳しく見ていきましょう。
登録免許税
登録申請をするために国に納める税金です。
これは「登記や登録等を受ける者」が納税義務者となる税金で、不動産登記や国家資格の登録などをする際に発生します。
国に対して支払うものであるため各司法書士会による金額の違いは無く、全国一律で30,000円です。
登録手数料
日本司法書士会連合会の司法書士名簿に登録するための費用です。
同連合会へ支払うものであるため、前述の登録免許税と同様に各司法書士会による違いは無く、金額は全国一律で25,000円です。
日本司法書士会連合会によれば、この費用は人件費や会員データ管理費、交付金などに使われるものとされています。
入会金
都道府県ごとにある司法書士会へ入会する際に必要となる費用です。
事務所の所在地を管轄する司法書士会に支払うもので、金額は各司法書士会によって異なり、相場は35,000円ほどです。金額は司法書士会によって異なるため、25,000~50,000円程度を見込んでおくとよいでしょう。
定額会費
司法書士会に所属する会員が定期的に支払う会費で、司法書士会の運営費などに充てられています。
金額は各司法書士会によって異なり、相場は月額15,000〜25,000円ほどです。
年間で20~30万円程度の支払いを想定しておく必要があるでしょう。
バッジ代
司法書士は、業務を行う際に専用のバッジを着用することが義務付けられています。
このバッジは貰えるものではなく、司法書士会からのレンタル品です。
司法書士会を退会したり、司法書士として業務停止処分を受けたりすることがあれば、返却する必要があるため注意しましょう。
レンタル費用(バッジ代)は各司法書士会によって多少異なっており、6,500円ほどとなっています。
司法書士登録するために準備するもの
司法書士登録を行う場合、お金以外にも複数の書類が必要となります。
登録に必要な準備物は、以下のとおりです。
- 登録申請書(登録免許税30,000円の収入証紙の貼付が必要)
- 司法書士名簿(写真の貼付が必要)
- 誓約書
- 入会届
- 履歴書
- 司法書士試験合格証書
- 戸籍抄本
- 住民票の写し
- 身分証明書
- 未登記の証明書(成年後見人や被保佐人でないことの証明)
- 登録手数料(現金25,000円)
- 司法書士会の入会金(25,000円~50,000円)
- 職印
必要な準備物を事前に揃えることで登録手続きがスムーズに進みます。
登録時に不備があると書類を再度揃えるのにも時間がかかるため、一度登録予定の司法書士会に準備物や必要書類を確認しておくとよいでしょう。
なお司法書士会の入会金は地域により異なるため、詳細は地域の司法書士会のホームページなどでご確認ください。
司法書士登録するメリット・デメリット
司法書士試験に合格したからといって、司法書士会に登録しないといけないわけではありません。
では、司法書士会に登録するメリット・デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。
次は、司法書士会に登録するメリット・デメリットを紹介します。
メリット:司法書士として活動できる
司法書士は、資格を取得しただけの段階で仕事を受注したり、専門的な業務に従事したりできません。
司法書士としての業務に従事するには、司法書士会への登録が必要です。
司法書士として業務を始めたい方は、司法書士会に登録して司法書士事務所に就職したり、独立開業したりして活動をスタートしましょう。
また、司法書士会が定期的に開催する研修会にも参加できるため、業務に必要な知識を学ぶ場としても重要です。
法改正は毎年のように行われているため、司法書士は毎年のように新しい法知識をアップデートする必要があります。
研修は登録していなくても受講できるものもありますが、参加希望者が多くて定員オーバーのものは、会員の参加が優先されます。
デメリット:継続的な費用負担がある
司法書士会に登録するデメリットは、入会金や会費がかかる点です。
司法書士会に登録すると、入会時の初期費用だけでなく月額費・年会費などの継続的な出費が生じます。
司法書士としての受注量が少ない方は、司法書士会に支払う費用が負担になりやすいでしょう。
ただし、司法書士としての活動を継続すれば、少しずつ受注数が増えて収入も安定しやすくなります。
今後長期的に司法書士の仕事を続けるのであれば、司法書士会の登録にかかる費用はデメリットになりません。
司法書士会で行われるセミナーなどに参加して、知識や実力の向上に役立てると良いでしょう。
司法書士会への登録についてよくある質問
最後に、司法書士会への登録についてよくある質問をまとめました。
司法書士会に登録しないとどうなる?
司法書士会に登録しなかったからといって、資格が抹消されることはありません。そのため、自分のタイミングで司法書士会に登録しましょう。
ただし、司法書士会に登録しなければ司法書士としての活動はできません。司法書士としての活動を考えている方は、活動前に登録する必要があります。
司法書士会に登録期限はある?
司法書士会に登録期限はありません。そのため、司法書士の試験に合格してからしばらく経った後に登録しても問題ありません。
もし司法書士の仕事をする予定がない場合は、資格を取得後、仕事への従事を考えたタイミングで司法書士会に登録しましょう。
登録料などの費用負担を抑える方法はある?
司法書士会への登録費用を抑える方法は、以下の2通りです。
- 必要になるまで登録しない
- 会費を負担してくれる司法書士事務所に就職する
まだ司法書士の仕事を始めない場合は、必要になるまで登録しなければ、その間費用はかかりません。
司法書士事務所に就職する場合は、司法書士会の登録費用を負担してくれる事務所に就職するのも1つの方法です。
「司法書士会費全額負担」と書かれた求人を探してみると良いでしょう。
登録料以外にかかる費用はある?
司法書士として働き始める際、登録料以外にかかる費用としては職印の作成費があります。
職印とは、士業の方が仕事をする際に使う印鑑で、資格名と氏名が刻まれているものです。
司法書士の登録をする際には必ず職印の届出も必要となるため、登録をすると決めたら早めに作成しておくとよいでしょう。
価格は印材(=印鑑の素材)によって違いがあり、数千円~数万円ほどの幅があります。
職印は司法書士としての身分を証明する重要なアイテムであり、頻繁に使うものなので、ある程度耐久性の高い印材を選んで長く大切に使っていきましょう。
まとめ
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