司法書士の人数は、全国で2万人以上もいます。ただし、地域によって違いがあり、まだ司法書士の数が不足している都道府県があるのも事実です。また、男性が全体の80%以上を占めていますが、女性の司法書士も年々増えており、徐々にその傾向に変化が出始めています。
この記事では司法書士白書などをもとに、司法書士のここ数年の人数の推移、都道府県別、男女別などのデータを紹介します。
司法書士の登録者人数
司法書士の登録者は、全国に23,059人います(2023年4月1日時点)。
司法書士は、全国の都道府県ごとに設立された司法書士会を通じて、相互に連携しながら活動しています。
1960年頃と比較すると、司法書士の登録者数は約2倍に増えました。
司法書士の人数推移
司法書士の人数はどのくらい増加しているのでしょうか。
実際に2007年(平成19年)から2021年(令和3年)までの推移を表したグラフを見てみましょう。
グラフを見てわかるように、年々微増傾向にあります。
また、日本司法書士会連合会が公開しているデータを見ると、1960年(昭和35年)から2020年(令和2年)までの60年間で約1万人増加していることがわかります。
ただし、2021年(令和3年)の登録者数は22,718人であり、前年の22,724人と比較して、わずかに減少しています。
司法書士の分野別の人数データ
次は司法書士の人数を年齢、性別、都道府県など分野別に見ていきましょう。
認定司法書士の人数
認定司法書士は、より幅広い業務を行える司法書士です。
司法書士資格を所持しており、特別な研修を受け認定考査に合格した方が取得できます。
2023年4月1日時点では、司法書士の全国会員数のうち18,027人、全体の80%近い方が認定司法書士の資格を所持しています。
なお、認定司法書士と一般の司法書士の違いは、簡裁訴訟代理等関係業務を扱えるかどうかです。
簡裁訴訟代理等関係業務とは、簡易裁判所において取り扱える民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)などについての代理業務です。
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年齢別の人数
続いて、年齢別の司法書士の人数を見ていきましょう。
司法書士白書(2022年版)によると、現在の司法書士会員数は23,059人(2023年4月1日時点)、平均年齢は54歳であり、もっとも多い年代は40歳代で全体の31.5%を占めています。
全国の司法書士の年代別人数と割合は、下記表のとおりです。
ただし、年齢は地域によって違いが大きい特徴があります。
例えば福井県司法書士会でもっとも多い年齢層は、70代です。
一方、東京司法書士会では40歳代が38%と全国平均よりさらに高く、60歳代以上は少ない割合になっています。
全体的に首都圏や都市部では30歳〜40歳代など比較的若い年代が高い割合を占めていますが、地方では高齢化が進んでいる傾向にあります。
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男女別の人数
司法書士の男女別の人数は、男性が18,606人・女性が4,112人です。
男性が全体の81.9%であるのに対し、女性は18.1%であり、男性の割合が非常に高いことがわかります。
ただし、近年は女性の司法書士が増加傾向にあるため、徐々に男女比は変わっていくでしょう。
実際に2024年度(令和6年度)の司法書士試験の合格者の人数は、男性が495人、女性が242人です。
現状の司法書士会員の男女比率より、女性の比率が大きい結果となっています。
なお、東京や神奈川、京都、大阪など都心部の規模が大きい司法書士会ほど、女性の人数が多い傾向があります。
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都道府県別の人数
次は、都道府県別の司法書士会会員の人数を見てみましょう。
都道府県 | 司法書士会会員数 | 司法書士1人あたりの人口 |
北海道 | 698 | 7425.5 |
宮城県 | 333 | 6876.9 |
福島県 | 272 | 6661.8 |
山形県 | 156 | 6762.8 |
岩手県 | 138 | 8666.7 |
秋田県 | 109 | 8669.7 |
青森県 | 121 | 10090.9 |
東京都 | 4,395 | 3187.7 |
神奈川県 | 1,220 | 7570.5 |
埼玉県 | 911 | 8057.1 |
千葉県 | 747 | 8400.3 |
茨城県 | 334 | 8538.9 |
栃木県 | 233 | 8244.6 |
群馬県 | 291 | 6622.0 |
静岡県 | 493 | 7318.5 |
山梨県 | 130 | 6192.3 |
長野県 | 361 | 5631.6 |
新潟県 | 292 | 7455.5 |
愛知県 | 1,306 | 5755.7 |
三重県 | 242 | 7256.2 |
岐阜県 | 330 | 5942.4 |
福井県 | 118 | 6440.7 |
石川県 | 200 | 5625.0 |
富山県 | 150 | 6833.3 |
大阪府 | 2433 | 3619.4 |
京都府 | 575 | 4453.9 |
兵庫県 | 1,040 | 5223.1 |
奈良県 | 210 | 6261.9 |
滋賀県 | 234 | 6029.9 |
和歌山県 | 163 | 5607.4 |
広島県 | 533 | 5215.8 |
山口県 | 223 | 5955.2 |
岡山県 | 367 | 5111.7 |
鳥取県 | 92 | 5967.4 |
島根県 | 107 | 6215.0 |
香川県 | 175 | 5382.9 |
徳島県 | 138 | 5159.4 |
高知県 | 112 | 6107.1 |
愛媛県 | 241 | 5481.3 |
福岡県 | 998 | 5134.3 |
佐賀県 | 126 | 6396.8 |
長崎県 | 160 | 8106.3 |
大分県 | 164 | 6792.7 |
熊本県 | 334 | 5173.7 |
鹿児島県 | 322 | 4894.4 |
宮崎県 | 165 | 6430.3 |
沖縄県 | 226 | 6495.6 |
※司法書士会員数は司法書士白書2022年版に記載の令和3年4月1日時点のデータを参照
※都道府県別人口は国勢調査基準統計表の令和3年10月1日時点のデータを参照
司法書士の人数を見ると、東京都が突出して多いことがわかります。
ただし、司法書士1人あたりの人口を見ると、東京都は他の地域に比べて人数が少なくなっています。
だからといって、東京都の司法書士が飽和状態なわけではありません。
東京都は政治・経済・文化の中心地であり、さまざまな企業が集まる都市なのでそれだけ司法書士の需要も高いでしょう。
また、地方だからといって司法書士の仕事がないわけでもありません。
特に青森県は司法書士1人あたりの人口が1万人を超えており、人口のわりに司法書士の数が少ないことがわかります。
このような司法書士の人数と人口の割合は、将来的に司法書士として開業する地域を選ぶ際の参考にもなります。
試験区分別の人数
司法書士になるには、司法書士試験(国家試験)に合格する方法以外に、法務大臣の認定を受ける方法などがあります。
試験区分別の司法書士会の人数は、以下の通りです。
資格区分 | 司法書士会員数 |
国家試験 | 18,902人 |
大臣認定 | 1,696人 |
局長許可 | 2,080人 |
所長認可 | 40人 |
※司法書士会員数は司法書士白書2022年版に記載の令和3年4月1日時点のデータを参照
表を見てわかるように、ほとんどの方が資格試験を受験して司法書士になっています。
法務大臣の認定を受けて司法書士になると、難関な国家資格を受験しなくても良いですが、それまでには裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官、簡易裁判所判事などとして5〜10年以上勤務しなければいけません。
さらに、司法書士の業務を行うために必要な知識や能力があるかを判定する口述試験もしくは筆記試験を受験して、合格する必要があります。
試験が免除されるからといって、そう簡単に司法書士になれるわけではありません。
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他の士業と司法書士の人数を比較
最後に司法書士の他の主な士業の人数を比較してみましょう。
士業資格 | 人数 | 人数集計日 |
司法書士 | 23,059人 | 2023年4月1日 |
行政書士 | 80,502人 | 2023年6月末 |
弁護士 | 44,872人 | 2023年7月1日 |
税理士 | 51,041人(個人)1,196人(法人) | 2023年4月1日 |
社会保険労務士 | 44,203人 | 2022年3月末 |
弁理士 | 12,224人 | 2023年5月末 |
単純に数だけを比較すると、司法書士は弁理士の次に少ないことがわかります。
しかし、人数の少なさが資格の取得の難易度に関係しているわけではありません。
人数は仕事の需要や資格の歴史など、さまざまな点が影響していると考えるべきでしょう。
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まとめ
最後に司法書士の人数について、ポイントをおさらいしておきましょう。
- 司法書士の登録者数は年々増加傾向にある
- 年代は40代が多い傾向にあるが、地域によって違いが大きい
- 女性の登録者は全体の20%程度だが、ここ数年で増加している
- 司法書士会員の数は都市部ほど多い
- 司法書士のほとんどが資格試験を受験して司法書士になっている
なお、司法書士は難易度の高い試験なので、勉強時間はしっかりと確保する必要があります。
忙しい社会人の方はスキマ時間を活用することが大切です。
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この記事を監修した人 山田 巨樹 講師(司法書士・スタディング 司法書士講座 主任講師) 司法書士試験合格後、1998年から大手資格学校にて司法書士試験の受験指導を行う。その後、大手法律事務所勤務を経て独立し、東村山司法書士事務所を開設。2014年、「スタディング 司法書士講座」を開発。実務の実例を交えた解説がわかりやすいと好評。 |