
司法書士は、不動産登記や相続手続き、裁判事務などの多岐にわたる業務を担う法律のプロフェッショナルです。
登記や供託に関する専門知識だけでなく、依頼者の権利を守る使命感と細やかな対応力が求められます。
本記事では、そんな司法書士の仕事内容や試験難易度、年収、資格の活かし方までわかりやすく紹介し、学習を始めるうえで押さえておきたいポイントを網羅的に解説します。
資格取得を目指す方は、ぜひ最後までご覧ください。
司法書士とは
司法書士は、法律上の手続きを専門に行う法律家です。
主に登記や供託手続きの代理、法務局や裁判所、検察庁に提出する書類の作成業務などを担当しています。
これらの手続きや書類作成には法律に関する専門知識が必要なため、司法書士が個人や法人から依頼を受けて代行します。
また、司法書士は各種手続きだけでなく、法律相談を受けてクライアントの法的問題を解決するためのアドバイスや助言を行うことも仕事のひとつです。
法務大臣の認定を受けた司法書士は、クライアントの代理人として簡易裁判所での訴訟手続きを行うこともできます。
このように依頼人が求める手続きを、適切かつスムーズに進めることが司法書士の役割です。
司法書士はどんな仕事?
司法書士は登記や供託、成年後見業務など、幅広い業務を請け負う仕事です。
「司法書士はどんな仕事?」と聞かれれば、主な業務内容としては以下の8つが挙げられます。
- 不動産登記業務
- 商業登記業務
- 簡易裁判所での訴訟代理業務
- 成年後見業務
- 相続業務
- 債務整理
- 供託業務
- 企業法務
それぞれの分野の仕事内容を見ていきましょう。
不動産登記業務
不動産登記は、土地や建物の物理的状況、権利関係に変化が生じたときに、その旨を法務局が管理する登記簿に記載し、社会に公示することで、国民の権利と取引の安全を守る制度です。
司法書士は、このうち権利関係に関する登記の書類作成や申請代理を担います。
不動産取引では、登記手続きを司法書士に依頼するのが一般的です。
融資を行う金融機関や不動産仲介業者なども、法律上適切な取引を行うために、登記手続きは司法書士への依頼を求めます。
商業登記業務
商業登記は、法人の設立から清算までの一定事項を法務局で登記して、法人の内容を公示することで法人に関する取引の安全性を確立する制度です。
司法書士は、商業登記手続きに関する書類作成や申請代理業務を行います。
商業登記を行わなければ法人として認められないため、会社設立時は登記手続きが必須です。
また、会社の重要事項変更時や新役員就任時などにも、変更登記手続きを行います。
簡易裁判所での訴訟代理業務
訴訟代理業務とは、簡易裁判所で行われる訴額140万円以下の民事訴訟の際に、法務大臣に認定された司法書士が訴訟代理人になることです。
簡易裁判所は「貸したお金が返ってこない」「家賃が未納」などの身近なトラブルを、簡易手続きで迅速に解決するのが目的の裁判所です。
司法書士は簡易裁判所での訴額140万円以下の民事訴訟において、顧客に代わって弁論したり、調停や和解の手続きをおこなったりできます。
成年後見業務
成年後見は認知症や知的障害、精神障害などの理由で判断力が乏しい方の財産を保護し、支援者を選任する制度です。
司法書士が成年後見人担った場合は、後見人になる手続きだけでなく、財産の調査・管理や成年後見登記、官公庁・金融機関の手続きなどさまざま業務を担当します。
相続業務
司法書士の行う相続業務は、相続による不動産の名義変更手続きや戸籍の収集、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成などです。
身内が亡くなった際は個人が所有する遺産に関して、誰がどの財産を相続するのかを決定し、名義変更しなければいけません。
このとき活躍するのが司法書士です。
さらに、遺言書を作成したい方には、遺言作成の相談に対応したり、自筆の遺言書が見つかったときの手続きを行ったりもします。
債務整理
司法書士は、1社ごとの過払い金の元金が140万円以下で簡易裁判所で訴訟が行われる場合のみ債務整理の業務を行えます。
司法書士が対応可能な業務は、任意整理の代理人と自己破産・個人再生の書類作成代理人です。
弁護士は債権額や業務範囲に制限なく対応できますが、司法書士が対応できるのは元金140万円以下の場合に限定されます。
供託業務
司法書士が対応する供託業務は、有価証券や金銭などを国家機関の供託所である法務局に預けて、支払うべき相手に分配する手続きです。
供託業務は目的に応じて弁済供託や担保供託、執行供託、保管供託、没収供託などがあります。
司法書士は供託手続きの代行だけでなく、供託物の還付や取り戻しの手続きも対応します。
企業法務
企業法務は、企業に関する法律事務です。
企業活動するなかでさまざまな法律上の問題が起きた際に、司法書士が身近な法務アドバイザーとなって対応します。
社内に法務部を設置していない中小企業にとって、司法書士は重要な存在です。
株主や債権者への対応や法的文書の整備、ストックオプションの発行、事業継承などのさまざまな問題に関してもアドバイスできます。
司法書士と弁護士・行政書士の違い
司法書士の業務は多岐にわたるため、弁護士や行政書士と仕事内容が重複するケースもあります。
ここでは、司法書士と弁護士、行政書士との違いを見ていきましょう。
司法書士と弁護士の違い
弁護士は基本的人権を擁護して、社会正義を実現することを使命として活動する法律の専門家で、法律に関するすべての業務を独占的に認められています。
司法書士は、法律相談を受けて、依頼主の法的問題を解決するためのアドバイスや助言を行うこともありますが、できることに制約があります。
離婚問題を例に挙げると、司法書士は離婚に伴う養育費や財産分与、慰謝料などの支払いを求める書類の作成や書類作成のための相談に応じることはできません。
一方で、弁護士は法律全般を取り扱えるため、離婚に伴う養育費や財産分与、慰謝料などの書類作成や相談に対応できます。
また訴訟代理業務は、簡易裁判所で行われる訴額140万円以下の民事訴訟に対し認定司法書士しか対応が許可されていませんが、弁護士はすべての裁判所で訴訟代理業務に対応可能です。
司法書士と行政書士の違い
行政書士は主に、行政への許認可申請が必要な場合の書類作成や書類に関する相談業務を行う法律の専門家です。
司法書士と行政書士は相続関連業務や会社設立関連業務など同じ分野の業務を行う場合でも、業務範囲は同じではありません。
会社設立を例に挙げると、行政書士は定款の作成に対応することはできますが、法務局に会社設立の登記申請を行えるのは司法書士の独占業務です。
ただし、登記する際に会社の目的にリサイクル品販売を追加したい場合は、司法書士だけでは業務を完遂できません。
なぜなら、古物商許可申請は行政書士の独占業務だからです。
したがって、上記のようなケースでは司法書士と行政書士は業務を分担し、双方に依頼し合うケースもあります。
なかには両資格を取得して、幅広い取り扱い業務に対応する方もいます。

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司法書士になる方法は2通り
司法書士になる方法は、以下の2通りです。
- 司法書士試験に合格する
- 法務大臣の認定を受ける
司法書士の資格を取得する方法は試験に合格する流れが一般的ですが、方法はひとつではありません。
司法書士になる方法を具体的に見ていきましょう。
司法書士試験に合格する
司法書士になる方法として、多くの人が通る道が司法書士試験です。
司法書士試験には受験資格がありません。
年に1回7月に筆記試験と口述試験が行われており、筆記試験合格者のみ口述試験を受験可能です。
試験に合格すると、司法書士としての資格を取得できます。
もちろん司法書士は難易度の高い人気資格であり続けており、合格するにはスキマ時間も徹底活用して勉強時間をしっかりと確保する必要があります。
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試験合格後は、各司法書士会や日本司法書士会連合会などが主催する新人研修を受講します。
司法書士として業務を行うには、新人研修後に日本司法書士連合会への登録が必要です。
もし合格後すぐに研修を受けなかったとしても、司法書士試験合格を取り消されることはありません。
法務大臣の認定を受ける
司法書士は試験合格だけでなく、法務大臣の認定を受けて資格を得る方法もあります。
裁判官書記官や裁判官事務官、検事事務官、法務事務官として10年以上従事する、もしくは簡易裁判官判事・副検事として5年以上従事して、口述試験などによって法務大臣の認定を受けると司法書士になれます。
実際のところは、裁判所で働き定年退職した方が利用する制度です。
司法書士試験に合格する方法よりも難易度が高いため、多くの方は司法書士試験を受験して資格を取得しています。

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司法書士の試験情報
司法書士を目指すうえで、大きな関門となるのが年に1回実施される司法書士試験です。
ここでは試験の概要や出題科目、例年の日程などをご紹介します。
司法書士試験の概要
司法書士試験は毎年1回、法務省が実施する国家試験で、筆記試験と口述試験で構成されています。
筆記試験では択一式と記述式が出題され、民法や不動産登記法、会社法など幅広い法律知識が問われる試験です。
司法書士試験の合格率は約4~5%ほどと低めになっており、難関試験と言われています。
合格後は司法書士として登記や裁判事務を扱ううえで必要な専門知識を有していることが証明され、独立開業や企業法務など、キャリアの選択肢が広がる点も魅力です。

司法書士試験の試験内容は?科目別の配点と合格点・基準点
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司法書士試験の例年の日程
司法書士試験の例年の日程は表の通りです。
▼司法書士試験の例年の流れ
願書の配布期間 | 4〜5月 |
出願期間 | 5月 |
筆記試験 | 7月第1日曜日 |
択一式問題の正解及び基準点発表 | 8月上旬〜中旬 |
筆記試験合格発表 | 9月下旬または10月上旬〜中旬 |
口述試験 | 10月中旬〜下旬 |
最終合格発表 | 10月下旬または11月上旬〜中旬 |
司法書士試験は、筆記試験と口述試験の2つに分かれて行われます。
筆記試験の午後の部は択一式問題のみですが、午後の部は択一式問題に加えて、記述式問題も出題されます。

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司法書士試験の出題科目
司法書士試験の出題範囲は、以下の11科目です。
主要科目
- 民法
- 商法(会社法)
- 不動産登記法
- 商業登記法
マイナー科目
- 民事訴訟法
- 民事執行法
- 民事保全法
- 供託法
- 司法書士法
- 憲法
- 刑法
出題数が多い科目を主要科目、出題数が少ない科目がマイナー科目と呼ばれています。
司法書士試験の難易度
司法書士試験は、難関国家資格のひとつです。
他の国家資格と比較しても合格率が低く、難易度が高い試験です。
次は司法書士試験の難易度を合格率と基準点・合格点、合格に必要な勉強時間の観点から見ていきましょう。
司法書士試験の合格率
過去5年間の司法書士試験の合格率の推移は表のとおりです。
▼過去5年間の受験者数と合格者数、合格率の推移
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和6年度 | 13,960人 | 737人 | 5.27% |
令和5年度 | 13,372人 | 695人 | 5.20% |
令和4年度 | 12,727人 | 660人 | 5.18% |
令和3年度 | 11,925人 | 613人 | 5.14% |
令和2年度 | 11,494人 | 595人 | 5.17% |
例年の司法書士試験合格率は5%前後です。以前は合格率が3%の年も多くありました。
受験資格のない法律系国家資格である行政書士の合格率は10%前後、宅建士の合格率が15〜17%であると考えると、難易度が高いことがわかります。
司法書士試験の基準点と合格点
司法書士試験には基準点と合格点が設けられています。
そのため、得意科目だけをがんばればいいわけではありません。
午前の部、午後の部でそれぞれ基準点と合格点を満たすには、出題範囲を網羅的に学習して対策する必要があります。
過去5年間の基準点と合格点の推移は表のとおりです。
▼過去5年間の司法書士試験の基準点
年度 | 午前の部・択一式 (105点満点) | 午後の部・択一式 (105点満点) | 記述式 |
---|---|---|---|
令和6年度 | 78点 | 72点 | 83.0点(140点満点) |
令和5年度 | 78点 | 75点 | 30.5点(70点満点) |
令和4年度 | 81点 | 75点 | 35点(70点満点) |
令和3年度 | 81点 | 66点 | 34点(70点満点) |
令和2年度 | 75点 | 72点 | 32点(70点満点) |
▼過去5年間の筆記試験の合格点
年度 | 筆記試験の合格点 |
---|---|
令和6年度 | 267.0点以上(350点満点) |
令和5年度 | 211.0点以上(280点満点) |
令和4年度 | 216.5点以上(280点満点) |
令和3年度 | 208.5点以上(280点満点) |
令和2年度 | 205.5点以上(280点満点) |
平成31年度 | 197.0点以上(280点満点) |
※令和6年度以降の筆記試験から、記述式の配点が140点満点になる旨が令和5年12月4日に発表されました。
上記の令和5年度までの合格点は、午前の部・択一式、午後の部・択一式、記述式の総得点280点をもとに設定された基準です。
司法書士試験に合格するには択一式問題は70〜80%以上、記述式問題は50%以上の得点を獲得しなければいけません。
ただし、司法書士試験の合否判定には相対評価も取り入れられています。
具体的にお伝えすると、毎年合格者の人数がある程度決められているため、その人数に合わせて合格点が上下します。
受験者全体のレベルが高い場合は合格点も高くなり、レベルが低い場合は合格点も下がります。
つまり、択一式問題と記述式問題のどちらも基準点をクリアし、合格点以上の総得点を獲得しなければ、司法書士試験には受かりません。
基準点と合格点の存在も、司法書士試験の難易度の高さに少なからず影響しているでしょう。
司法書士試験合格に必要な勉強時間
司法書士試験合格に必要な勉強時間は、約3,000時間といわれています。
3,000時間と言われてもいまいちピンと来ないかもしれません。
仮に3年で合格を目指す場合は1日2〜3時間ほどの勉強時間を確保しなければいけません。
また、1年で合格を目指す場合は、1日8時間以上の勉強時間が必要です。
他の資格と比較すると、司法書士試験の難易度がいかに高いかがわかるでしょう。
例えば行政書士試験合格に必要な勉強時間は500〜1,000時間、宅建士は200〜300時間です。比較すると、司法書士試験は他の資格と比較して、膨大な時間勉強を続けないと合格できないほど難しい資格であるとわかります。
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司法書士試験の難易度や合格率は?他資格と比較して難しさを分析
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半年間で合格!
\スタディング 合格者インタビュー/
司法書士の年収
厚生労働省のサイトでは司法書士の平均年収が「765.3万円(令和6年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)」となっています。
調査によって違いはあるものの、司法書士は1,000万円以上などの高年収も十分狙える仕事だといえるでしょう。
【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag「司法書士」
ただし、司法書士の年収は所属する事務所の規模や勤務形態によって異なります。どこかの事務所に勤務して司法書士として働く場合は、一般的な会社員と変わりません。
次のグラフは、勤務司法書士の年収分布を表しています。

日本司法書士会連合会「司法書士白書2021年版」の調査結果をもとに作成した上記グラフを見ると、年収300〜600万円の層が最も多いことがわかります。
なかには、年収1,000万円以上稼ぐ勤務司法書士も一定数いるようです。
司法書士は独立・開業ができる資格です。独立した司法書士の平均年収の傾向は、勤務型の司法書士とは異なります。
同じく司法書士白書2021年版によると、独立開業した司法書士の売上(収入)金額としてもっとも回答が多かったのは、「1,000〜4,999万円」で全体の35.0%でした。

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司法書士のやりがい・魅力
司法書士は試験に合格すると、一生使える資格です。
どのような部分に司法書士のやりがいや魅力があるのかを見ていきましょう。
年齢や学歴などに関係なく誰でも挑戦できる資格
司法書士は年齢や学歴などに関わらず資格を取得して活躍できる資格です。
そのため、司法書士試験合格者の中には、社会人経験がある人が数多くいます。
また、漠然と将来に不安を抱き一生使える資格を取得したいとの思いで司法書士になって、活躍されている方もいます。
受験資格がないため、一定の資格や経験がないために資格試験受験を断られることもありません。
まさに、誰にでも挑戦の機会が開かれた資格といえます。
知見を生かして依頼者の権利や利益を守れる
司法書士は法律を武器に依頼者の権利や利益を守れる仕事です。
司法書士の代表的な業務のひとつである登記申請を例に挙げてみましょう。
不動産を購入した際は、不動産の物理的・外形的状況を記録した表題部の登記手続きをしなければいけません。
不動産の権利状況を記録した権利部に登記義務はありませんが、後々トラブルを防ぐ意味でも登記を行うのが一般的です。
もし不動産登記を行わなかった場合は、買主は土地を購入したのにも関わらず、不動産の権利を主張できなくなってしまいます。
そこで、司法書士が買主に所有権が移転した事実を登記することで、買主は権利を主張できるようになります。
司法書士はこのようにして依頼者の権利や利益を守り、依頼者のために方の手続きをしたことで感謝される仕事です。
人の役に立つのが好きな人は、大いにやりがいを感じられるでしょう。
独立・開業できる
司法書士は独立・開業しやすい資格です。
資格取得後すぐは司法書士事務所や法律事務所などに就職するのが一般的ですが、その後は独立を目指す方が多くいます。
年収1,000万円以上稼ぐ方も少なくありません。
独立すると仕事量は自分で調整できるため、やり方次第では高収入を狙えるのもやりがいのひとつです。
資格取得後は経験や理想のライフスタイルに応じた働き方を選択できます。

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司法書士に向いている人の特徴
司法書士は法律の専門家であると同時に、依頼者とのコミュニケーションや綿密な業務管理が必要とされる職業です。
ここでは、特に司法書士に向いていると言われる人の特徴を見ていきましょう。
責任感があり丁寧に取り組める人
司法書士は不動産登記や会社設立といった重要書類を扱うため、細部まで正確性を求められます。
記入漏れや書類不備があると依頼者に大きな損害を与えかねないため、責任感があって仕事に丁寧に取り組めることは大きな強みとなります。
また、納期を守るスケジュール管理能力も欠かせません。
こうした慎重さと整理力を兼ね備えた人は、司法書士としての業務を円滑に進めやすいでしょう。
勉強を怠らない努力家な人
司法書士は試験に合格して終わりではなく、法改正や判例変更など常に新しい知識を学び続ける必要があります。
実務の中で「疑問点が出たらすぐ調べる」といった習慣も重要です。
自発的に情報を収集し、勉強を続ける努力家タイプの人ほど、実務における対応力や説得力が増し、依頼者からの信頼を得やすくなります。
独立志向がある人
司法書士は独立・開業しやすい士業とされ、一定の実務経験を積んだ後に自分の事務所を構える道も選択可能です。
専門分野を活かして自由度の高い働き方ができる一方、営業や経営に関する知識が必要となる場合もあります。
それでも自分の裁量で業務を進められるため、独立志向が強く、自分の力で事業を発展させたい人には大きな魅力がある職業と言えるでしょう。

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司法書士資格の活かし方
司法書士はその専門知識を活かして、さまざまな職場や働き方を選ぶことができます。
ここでは、以下5つの選択肢を見ていきましょう。
- 司法書士事務所で働く
- 合同事務所で働く
- 法律事務所で働く
- 一般企業の法務部で働く
- 独立・開業する
司法書士事務所で働く
司法書士事務所は、登記をはじめとする各種手続きや相談業務を日常的に扱うため、幅広い実務経験を積むのに適した環境です。
先輩司法書士のサポートを受けながらスキルを磨けるうえ、登記だけでなく債務整理や成年後見など多彩な案件に触れる機会もあります。
早期に実務経験を積みたい人にとっては、理想的な就業先と言えるでしょう。

司法書士の就職先や就活のポイントを紹介!受かる人の特性は?
司法書士の就職先や就職活動については、一般企業の就職とは違い、あまり知られていません。晴れて司法書士試験に合格したものの、この先どのように就職活動を進めてい…
司法書士の就職先や就職活動については、一般企業の就職とは違い…
合同事務所で働く
司法書士が複数集まった合同事務所や、弁護士・税理士など他士業と共同で運営する事務所で働くパターンもあります。
他の専門家との連携による複合的な案件対応が多いため、自然と広い視点や知識が身に付きやすいのが魅力です。
将来的に独立を考える場合でも、他士業の働き方やクライアント対応のノウハウを学べるため、大きな財産となるでしょう。
法律事務所で働く
法律事務所で弁護士と協力して仕事をする場合、訴訟支援や契約書作成、交渉の補助など、裁判や法的手続きの現場に近い業務を担当することが多くなります。
司法書士特有の登記や供託分野の知識を生かしつつ、弁護士をはじめとする他の法曹と共に多種多様な案件に関わるため、総合的なリーガルスキルを磨きたい人に向いているでしょう。
一般企業の法務部で働く
近年は、司法書士としての知識やスキルを活かして一般企業の法務部で活躍するケースも増えています。
具体的には、会社設立や取引契約に関する手続き、コンプライアンス体制の整備などが主な業務です。
社内の法務担当者として経営に近い立場で働くことができるため、企業の意思決定プロセスを学びながら、幅広い法律実務に携われるのが魅力です。
独立・開業する
司法書士は独立しやすい士業のひとつとされ、実務経験を積んでから開業を目指す方も少なくありません。
地域密着型の業務が多いため、相続や遺言、債務整理など身近な法的トラブルを解決し、地元からの信頼を得られるといったやりがいもあります。
営業や経営管理も自分で行う必要がありますが、自分自身の専門性を存分に発揮でき、やりがいを感じやすい働き方だと言えるでしょう。
まとめ
司法書士の仕事内容や試験概要、難易度、年収などをお伝えしました。
この記事のポイントは、以下の5つです。
- 司法書士とは法律上の手続きを専門に行う法律家
- 主な仕事は登記や供託手続きの代理、法務局や裁判所、検察庁に提出する書類の作成など
- 司法書士は弁護士や行政書士とも似ているが対応業務の範囲が異なる
- 司法書士試験に受験資格はないが、試験の難易度は高い
- 独立・開業にすると努力次第で高収入を狙える
司法書士は年齢や学歴に関係なく受験できるため、誰もが目指せる資格です。
難易度は高いですが、着実に勉強を続ければ合格できる可能性は十分にあるでしょう。
スタディングの司法書士講座は、スマートフォンやパソコンでいつでもどこでも受講できるオンライン講座です。
司法書士の資格取得を考えている方は、勉強方法のひとつとしてスタディング 司法書士講座をご検討ください。
![]() | この記事を監修した人 山田 巨樹 講師(司法書士・スタディング 司法書士講座 主任講師)司法書士試験合格後、1998年から大手資格学校にて司法書士試験の受験指導を行う。その後、大手法律事務所勤務を経て独立し、東村山司法書士事務所を開設。2014年、「スタディング 司法書士講座」を開発。実務の実例を交えた解説がわかりやすいと好評。 |