国家資格の中でも人気の高い税理士。本格的に税理士試験の学習を目指す前に、簿記検定へのチャレンジで着実に実力をつけていく方法を選ぶ方も珍しくありません。
なぜなら、税理士試験では「簿記論」「財務諸表論」といった会計知識が問われるからです。簿記検定2級・3級があるかないかで、税理士試験の学習理解度や学習ペースに大きな差が生まれるでしょう。
もちろん、出題科目が同じでも、難易度や出題パターン、重視すべきポイントは異なります。それでも、簿記検定へのチャレンジが税理士試験の予行練習となり、弾みになることは確かです。税理士試験は大学で専門分野を学んだ受験生でも、単年度合格は難しいといわれる難関試験。まずは自信をつける意味で、簿記検定から挑戦する道も検討してよいでしょう。
なお、税理士試験は規定の受験条件を満たさなければ受験できません。法学部や経済学部出身者でない方は、日商簿記1級や全経簿記検定上級の取得によって条件をクリアできます。この点をみても、税理士試験と簿記検定の親和性の高さが分かるでしょう。
簿記の学習は、公認会計士を目指すうえでもプラスに働きます。公認会計士の学習内容は、簿記2級程度の会計知識を持っていることが前提で構成されています。その試験科目も、財務会計論や管理関係論など、簿記と密接な関係にある科目が中心です。比較的高度な内容となっており、まったく簿記の知識がないと学習についていくことは難しいかもしれません。公認会計士の学習に入る前に、会計や財務の基礎を簿記検定の学習から吸収し、理解を深めることが、資格取得の第一歩といえます。
簿記を学ぶか学ばないかは、どのような方法でアプローチしていくかの違いといえます。まっさらな状態で、いきなり難易度の高い公認会計士にチャレンジする方法と、自分の中である程度会計知識を固めてから学習に臨む方法。いずれの選択がベストか、見極めをつけてください。一見すると後者のほうが遠回りのようにみえるものの、着実にステップアップする実感が持てて、バランスよく学習量を配分できる点で、そのメリットは見逃せません。手堅く学習計画を進めたい方は、後者のスタイルが妥当といえるでしょう。
経営コンサルティングを任される中小企業診断士にとって、決算書などを読み解く能力はマストともいうべきスキルです。それは、財務・会計の知識を問う試験内容をみれば分かります。
中小企業診断士試験には1次試験・2次試験があり、両方とも「財務・会計」科目から問題が出題されます。経営診断が求められる立場だけに、財務諸表や投資評価、企業評価の算定に関する知識は欠かせません。これらの内容は、簿記原理や会計帳簿、決算処理など簿記検定の問題を解くことで理解が深まります。
レベル的には、中小企業診断士は日商簿記1級と同等レベルといわれます。簿記1級を取得すれば中小企業診断士合格の道は大きく開かれるでしょう。しかし、簿記1級のレベルは相当高く、合格までに要する時間も学習量も並大抵ではありません。負担もかなりのもので、遠回りする可能性もあります。基本的には、簿記2級レベルでも対応可能といわれますので、無理をして1級まで視野に入れる必要はないでしょう。
簿記検定は、会計の基本を学ぶうえで理想的な資格。1級・2級・3級とあり、自身のレベルに合わせて学習が進められます。地道な学習で身に付けた知識が、レベルの高い会計系国家資格の取得に向けたステップとなるのです。
簿記・税理士・公認会計士・中小企業診断士を同じ会計系資格というカテゴリーで考えると、国家資格の取得戦略で簿記検定を有効活用する視点が生まれます。資格の取得は、自分の夢や目標をかなえるための手段に過ぎませんが、大きな目標のために使える要素があれば、貪欲に活用していきましょう。
参考サイト:
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishike...
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