簿記1級と税理士の簿記論の難易度比較 どちらが難しいの?

学習内容が難しいと試験が難しいが混同して語られるから分かりにくい簿記1級と簿記論の違いを理解しよう
簿記1級と簿記論どっちらが難しいの?

簿記1級と簿記論どっちらが難しいの?

  1. 簿記1級と簿記論(税理士試験)の違い
  2. 最終的には「自分にとって」どちらを目指すべきか?が分かれる
  3. まとめ

簿記1級と簿記論(税理士試験)の違い

「簿記1級と簿記論(税理士試験)どちらが難しいのか?」は多くの人が考えることです。

受験者心理として難易度の違いは興味があるところではあります。そこで、ここでは気になる簿記1級と簿記論の違いを詳しく解説します。

最終的にみなさんが自己決定できるようになることを目指して説明していきたいと思います。


一般論として簿記論の方が難しいと言われるが本当か?

よく比較される簿記1級と税理士の簿記論ですが、一般的に「簿記論の方が難しい」という意見が多い気がします。もちろん、多くの人がそう感じているなら、それは一つの正解かもしれません。

しかし、もし本当に簿記論が誰から見ても難しいのであれば、この論争が続くとは思えないので、「そう言い切れない理由があるのでは?」と考えてしまいます。極端に差があればこういう議論が起こらないからです。

そこで、ざっくり「どっちが難しい?」ではなく、両者の違いを個別に比較して、その違いから探っていきたいと思います。そうすることで、どちらが難しいにせよ、その理由が見えてくるかもしれません。


簿記1級と簿記論の違いを理解しよう

試験範囲が重なり、同じ「簿記」を扱う試験ということから比較されるのですが、細かく見ていくとそれぞれ違いがあります。

まずは、2つの試験の違いをいろんな切り口で並べてみました。ここから見えてくることがないか検証していきたいと思います。

【簿記1級と簿記論の比較】

簿記1級 簿記論
誰でも受検できる 受験資格が必要
年2回試験(6月・11月) 年1回試験(8月)
合格率10%前後 合格率15%前後
受験者数:約1.8万人/年(2回合計) 受験者数:約1万人/年
事実上の相対試験(競争試験) 事実上の相対試験(競争試験)
受験者層の中心は簿記2級合格者と公認会計士に向けて学習している人 受験資格が必要なので、受験者層の中心は簿記1級合格者、学識資格がある人、実務経験がある人
理論問題がほぼ必ず出る ほぼ出ない( 財務諸表論があるため)
簿記1級は解ける問題しか出ない 簿財はたまに解けない問題や超難問が出題されることがある
簿記1級は原則全部解く試験 税理士試験は「全部解かない・後回し」問題が存在する試験
時間内に全問解ける 時間内に全問解けない(ことが普通)
連結会計が頻出 連結会計は出題実績があまりない

まだまだ違うところはありますが、上記で主な違いを比較してみました。

これらを一つひとつ見て考えます。

全部は書きませんが、例えば以下のような感じです。

  • 合格率は明らかに違いがあり、簿記1級の方が合格率が低い
    →ということは、簿記1級の方が難しいのか?
  • 簿記論は受験資格があるので、一定レベル以上の受験者であることが考えられる
    →ということは、簿記論のほうが競争のレベルが高い?(簿記1級合格者が多く受験している)
  • 簿記1級では理論が出題されるが、簿記論では出ない
    →ということは、簿記1級のほうが大変?
  • 簿記論では難問が出題されることがある
    →ということは、簿記論の方が出題内容が難しい?
  • 簿記論では、あまり出題されない範囲がある
    →ということは、簿記論の方が範囲が狭くて簡単?

などなど・・

こうしてみると、一概にどっちが難しいと言えないのではと思います。


一概にどちらが難しいと言えない理由

ここまで見てきたように、どちらかが確実に難しいと言える状況ではなさそうです。

その理由は、「学習内容が難しい」、「試験問題が難しい」や「競争が激しい」などが混同して語られるから分かりにくいのだと思います。

そこで、少し乱暴なまとめ方をすると、次のような違いがあるように思います。

  • 簿記1級は広い範囲で解けないといけない問題で競争する必要がある(広い)
  • 簿記論は、多少出題範囲(範囲は8~9割被るが出題されるテーマという意味)が狭いが、難しい問題が出題される(深い)
  • 競争する相手(他の受験者)のレベルが違う可能性がある

どちらの試験も事実上の競争試験であることから、「人より解けないといけない」という点で、上記のどちらが自分にとって有利(あるいは不利)あのかで、その人にとっての難易度が違ってくるのではないでしょうか。

例えば、(しっかり勉強した人なら)誰もが解ける問題を、人より早く正確に解く自信があるなら簿記1級が向いているでしょう。

一方で、個別の論点について、深く・細かく勉強するのが得意な人は簿記論が向いているかもしれません。

仮に、どちらかが簡単だとしても、競争試験なので、他の人にとっても簡単ということになります。

このように、人によって得意・不得意があると思いますので、ここでの結論は、「人によってどちらが難しいが変わる」としたいと思います。


最終的には「自分にとって簿記1級と簿記論のどちらがふさわしいか」

このように、どちらが難しい?の議論は、それぞれ自分に当てはめて考えていただくとして、そもそもこの疑問は、「どっちを受験するか」問題だと思います。

その場合、単に簡単な方を選ぶのではなく、「資格を取って何をしたいのか」で選ぶべきではないでしょうか。

当たり前ですが、税理士になりたかったら税理士試験を避けられませんので、どっちが難しいかに関係なく簿記論(税理士試験の必須科目)に合格する必要があります。

税理士を目指すなら

税理士を目指すなら次のような受験パターンが一般的です。受験資格の有無によって異なります。

(受験資格があれば)簿記2級→税理士試験
(受験資格がなければ)簿記1級合格で受験資格を取得→税理士試験


公認会計士を目指すなら

公認会計士を目指す場合は、いきなり公認会計士予備校などで勉強されることが多いですが、そうでない場合は、次のようなパターンが一般的です。

簿記1級→公認会計士試験
※公認会計士を目指して勉強中の人が力試しで簿記1級を受けることが多い。


経理のスキルを磨いてキャリアアップを目指すなら

会社の中で、経理の知識とスキルを磨いてキャリアアップを目指す方も多いと思います。その場合は、簿記2級から簿記1級へ進むのが王道です。
大企業では社内税理士という方も沢山いらっしゃいますが、社員として将来経営に携わっていきたいということであれば、簿記1級がおすすめです。
通常の会社は税理士と契約して申告等を行っていますので、自分が税理士である必要はありません。それより、普段の業務や事業に対して、経理の立場で分析したり、正確な(会計的にもビジネス的にも)情報をまとめるスキルを磨くのが良いと思います。
そういう意味では、より経理実務に近い簿記1級がおすすめです。

簿記2級→簿記1級


まとめ

簿記1級と簿記論 どっちが難しい?

  • (勉強した人なら)解ける問題を、人より早く正確に解く自信があるなら簿記1級が向いている。
  • 個別の論点について、深く・細かく勉強するのが得意な人は簿記論が向いている。

いずれも実質的な競争試験なので、結局条件は同じで「人より点数を取る必要がある」という意味で、得意不得意の違いになってしまう。

簿記1級と簿記論で悩んだら、最終的に何をしたいのかで決めるべき

  • 税理士を目指すなら簿記2級から簿財に行った方が結果早い(要受験資格)
  • 公認会計士を目指すなら簿記1級。(簿記1級と公認会計士の会計系科目と学習内容が重複する)
  • 経理のスペシャリストになりたいなら簿記1級(実質的にも周りの認知度から見ても簿記1級がおすすめ)

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