【実践問題つき】日商簿記3級の過去問はどんな内容?試験の概要や出題傾向を解説!

日商簿記3級は、簿記初心者が最初の目標として目指すのにおすすめの資格です。そして、3級合格を目指すにあたっては「どのような問題が出題される傾向にあるのか」は必ず押さえておきたいポイントです。


本記事では過去問が非公開となった日商簿記3級について、試験の概要や出題傾向を紹介します。過去問仕様の実践問題も掲載しているので、ぜひ参考にして本番のイメージを掴んでみてください。

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日商簿記3級の過去問は入手できない

資格試験に挑戦するうえで、過去問を使った対策は欠かせません。

過去問をとおして問題の出題形式や傾向などを知ることで、より効果的・効率的に得点アップが狙えるからです。

しかし、日商簿記3級に関しては過去問の入手ができません。


日商簿記試験の過去問は、第158回以降は1級のみ公開となっています。

3級は非公開であり、試験会場でも試験問題や計算用紙、解答用紙がその場で回収されることから、過去問のコピー等を入手することも不可能です。

そのため、過去の出題傾向を研究したうえで作成された「模試」などを活用して傾向の把握や理解度の確認をするのが現実的だといえます。

日商簿記試験の内容や傾向はある程度決まっているため、実際の過去問を利用できなくても大きな支障はありません。


日商簿記3級について

試験の内容について解説する前に、日商簿記3級がどのような資格か、さらに近年導入されたネット試験(CBT方式)について説明します。


簿記3級とはどんな資格?

日商簿記3級は、日本商工会議所が主催する資格試験の1つです。

現在、日商簿記には、1級・2級・3級・簿記初級・原価計算初級5つの級位があります。

このうち、3級は基本的な商業簿記を習得し、小規模企業において適切な経理処理を行うことができるレベルとされています。


経理業務に携わる人であれば、中小企業か大企業かを問わず、簿記3級レベルの知識は必要不可欠です。

直接経理業務に携わらない人でも、ビジネスパーソンとして身につけておいて損はない資格といえます。多くの場合、3級以上を履歴書に記載するため、最初に取得する資格としてもおすすめです。


【基本情報】

主催団体日本商工会議所
受験資格特になし
試験科目商業簿記(3題以内)
試験時間60分
受験料2,850円(税込)



【2023年度統一試験のスケジュール】

試験日受験申込開始時期
【164回】2023年6月11日4月下旬頃から
【165回】2023年11月19日10月上旬頃から
【166回】2024年2月25日1月中旬頃から

※申込受付の期間・方法は商工会議所によって異なります。詳細は各商工会議所に問い合わせてください。


ネット試験(CBT方式)も選択可能

簿記3級の試験は、従来型の試験(統一試験)だけでなく、「ネット試験(CBT方式)」も選択できます。

ネット試験は随時受験申し込みができ、好きなタイミングで受験することができます。受験資格や試験科目、試験時間は統一試験と同じです。

商工会議所が指定したテストセンターに行き、テストセンターにあるパソコンを使って解答します。

主な特徴は以下のとおりです。

対象資格2級・3級・簿記初級・原価計算初級
受験日時テストセンターの空き状況にあわせて随時実施
申込開始時期随時受付
合格発表時期試験終了後、即時判定
申込方法インターネット受付
受験料2,850円(税込)+ 事務手数料550円(税込)
受験票発行なし
変更・キャンセル受験日の3日前まで、受験日・時間・会場の変更およびキャンセルが可能


なお、ネット試験は年4回の施行休止期間があります。それぞれ10日程度の期間は受験日に設定できませんので注意が必要です。


関連記事:日商簿記検定 筆記試験とネット試験のちがい


【過去問に見る】日商簿記3級の出題傾向

以下、日商簿記3級の出題傾向を解説します。

日商簿記3級の試験は3つの大問で構成されています。配点は第1問が45点、第2問が20点、第3問が35点の100点満点です。

設問 問題構成 配点
第1問 商業簿記仕訳(15問) 45点
第2問 問1:補助簿・勘定記入など、問2:穴埋め形式の理論問題 20点
第3問 決算整理後試算表・精算表 35点


第1問は商業簿記仕訳の15問で構成されています。


第2問は2つの小問に分かれています。補助簿・勘定記入では、商品有高帳や固定資産台帳、前払利息勘定、未払利息勘定、仮払法人税勘定などの扱いを問われる可能性が高いです。

また、伝票や決算仕訳が出ることもあるようです。理論問題は、当てはまる用語・文章を選ぶ選択式です。


第3問では、決算整理後試算表や精算表などの処理が問われる傾向にあります。


問題の構成は基本的に毎回同じであるため、頻出の論点をしっかり押さえて勉強することで、より確実に合格へと近づけます。

過去問仕様の問題を繰り返し解いて、確実に得点できるよう対策しておきましょう。


関連記事:簿記3級とは|試験の概要や合格率の推移、勉強方法をまとめて解説


過去問仕様の簿記3級実戦問題にチャレンジ!【無料ダウンロード可能】

先述のとおり、簿記3級の過去問は入手できないのが現状です。

そのため試験対策としては、過去問を研究してできるだけ本番に近い形式・内容で作成された実践問題を使うのがおすすめです。


ここでは、オンラインで学べる「スタディング簿記講座」の検定対策模試の一部を実践問題として紹介します。

実際の試験に近い形式・内容となっているため、どのような問題が出題されるのか確認し、本番のイメージをつかんでみてください。


なお、本記事で掲載している問題以外にも、スタディングでは実戦力UPテストや検定対策模試を無料でダウンロードいただけます。


第1問

次の取引について仕訳をしなさい。ただし勘定科目は各取引の ⒜~⒠の中から最も適切なものを選び解答すること。


▼第1問-1

【問題】

1.K商店に¥600,000を貸し付け、利息¥36,000を差し引いた残額を現金で渡した。ただし、K商店から貸し付け時に同店振り出しの約束手形¥600,000を受け取っている。

⒜現金 ⒝受取手形 ⒞受取利息 ⒟手形借入金 ⒠手形貸付金


【解答欄】

借方科目 金額 貸方科目 金額
 
 


【解答】

借方科目 金額 貸方科目 金額
(e)手形貸付金 600,000 (c)受取利息 36,000
(a)現金 564,000


【解説】

1.①K商店に¥600,000を貸し付け、利息¥36,000を差し引いた残額を現金で渡した。ただし、K商店から②貸し付け時に同店振り出しの約束手形¥600,000を受け取っている。

①貸付時の仕訳を作成します。

貸付金 600,000 受取利息 36,000
現金 564,000


②貸付時に約束手形を受け取っているので手形貸付金を使用します。

貸付金

手形貸付金

600,000 受取利息 36,000
現金 564,000



▼第1問-2

【問題】

2.先日社長が立て替えて支払ったタクシー代¥5,000の精算と本日夜の得意先に対する接待資金の概算額¥30,000を合わせて現金で支払った。

⒜旅費交通費 ⒝仮払金 ⒞交際費 ⒟立替金 ⒠現金


【解答欄】

借方科目 金額 貸方科目 金額
 
 


【解答】

借方科目 金額 貸方科目 金額
(a)旅費交通費 5,000 (e)現金 35,000
(b)仮払金 30,000


【解説】

2.①先日社長が立て替えて支払ったタクシー代¥5,000の精算と本日夜の得意先に対する②接待資金の概算額¥30,000を合わせて現金で支払った。

①タクシー代の精算を行います。

旅費交通費 5,000 現金 5,000


②概算額の支払いは仮払金を使用します。

仮払金 30,000 現金 30,000



▼第1問-3

【問題】

3.先週、現金の実際有高と帳簿残高を照合したところ、帳簿残高よりも実際有高の方が¥2,160多く、すぐに原因がわからなかったことから、適正な仕訳処理を行っていた。本日、その原因が得意先に対する掛代金の回収分であることがわかった。

⒜現金 ⒝雑益 ⒞売掛金 ⒟買掛金 ⒠現金過不足


【解答欄】

借方科目 金額 貸方科目 金額
 
 


【解答】

借方科目 金額 貸方科目 金額
(e)現金過不足 2,160 (c)売掛金 2,160


【解説】

3.①先週、現金の実際有高と帳簿残高を照合したところ、帳簿残高よりも実際有高の方が¥2,160多く、すぐに原因がわからなかったことから、適正な仕訳処理を行っていた。②本日、その原因が得意先に対する掛代金の回収分であることがわかった。

①先週の現金超過時の仕訳は以下のとおりです。

現金 2,160 現金過不足 2,160


②現金超過分が売掛金の回収と判明したため、売掛金を貸方に記帳します。

現金過不足 2,160 売掛金 2,160


第2問

【問題】

問1 次の問題資料から最も適切な語句⒜~⒠ならびに適切な文章⒜~⒠を選択し、解答しなさい。


1.売上高から、商品有高帳の払出欄で算定される(①)を控除して(②)が算定される。

⒜繰越商品 ⒝売上総利益 ⒞売上原価 ⒟当期純利益 ⒠費用総額


2.様々な使用目的でICカードに入金を行った場合は(③)勘定を使用して仕訳する。

⒜雑費 ⒝仮受金 ⒞仮払金 ⒟消耗品費 ⒠クレジット売掛金


3.損益計算書と貸借対照表を総称して(④)とよぶ。

⒜主要簿 ⒝精算表 ⒞補助簿 ⒟財務諸表 ⒠試算表


4.簿記上の取引に該当するのは下記⒜~⒠のうち(⑤)である。

⒜取引先の忘れ物を先方の依頼により、送料着払いにて郵送した。

⒝商品を開発するため、他の企業と共同で研究を行うことに合意した。

⒞ヘッドハンティングにより報酬等を取り決め、A氏を採用することが決定した。

⒟銀行と当座借越契約の締結を行った。

⒠当社の所有する車両が事故で全損となった。


【解答欄】

 


【解答】

1.売上高から、商品有高帳の払出欄で算定される(①(c)売上原価)を控除して(②(b)売上総利益)が算定される。

2.様々な使用目的でICカードに入金を行った場合は(③(c)仮払金)勘定を使用して仕訳する。

3.損益計算書と貸借対照表を総称して(④(d)財務諸表)とよぶ。

4.簿記上の取引に該当するのは(a)~(e)のうち(⑤(e)当社の所有する車両が事故で全損となった。)である。


【解説】

1.売上高-売上原価=売上総利益

2.様々な目的で使用するICカードにチャージを行った場合は仮払金を使用します。

3.損益計算書と貸借対照表を総称して財務諸表といいます。

4.車両が事故で全損した場合は資産が減少するため、簿記上の取引に該当します。


まとめ

今回のポイントをおさらいしておきましょう。

  • 日商簿記3級合格のためには、過去問をベースにした対策が不可欠
  • しかし、日商簿記3級の過去問は公開されていない
  • 過去問を研究して作成された実践問題や模試を解くのが有効

日商簿記3級の難易度は、簿記初心者でも計画的に学習を進めることで合格を目指せるレベルです。就職や転職の際にアピールとして使えるだけでなく、2級や1級を目指すうえでの足がかりにもなるため、簿記に興味がある方はぜひ日商簿記3級に挑戦してみてください。

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