簿記2級に出てくる数学知識
基本的に、簿記と数学はまったく異なる分野です。簿記2級を含む簿記検定では数学に関する問題も出題されるものの、その知識は正解値を算定するための手段に過ぎません。簿記で大切なことは、あくまで仕訳の仕組みを理解し、商業簿記や工業簿記における正確な数値を導き出す技術の取得にあります。
簿記2級では、中学数学で習った一次関数や一次方程式の知識を使って解を求める計算問題が出題されます。そのため、簡単な関数グラフを作成できる程度のスキルは必要です。計算問題に関しては、電卓が使用できるため、数式のルールを覚えておけば解答も難しくないでしょう。
計算は電卓を用いれば難しくありませんが、関数で解答を導き出す類いの問題では、中学の頃学習した記憶を思い起こして、関数の問題に取り組む練習が求められるでしょう。
数学と簿記の違い
そもそも、数学と簿記は、何のために理解するのかという目的が異なります。数学は、さまざまな原理や法則を理解し、思考を深めながら問題を解く姿勢が重視される学問。つまり、高度な思考力と理論構成力の習得が、数学を学ぶ目的といえます。
対して簿記は、会計や財務、税務といったビジネス上必要とされる計算処理技術を身につける目的で学びます。必要なのは、学問的な知識ではなく実務スキル。思考力を鍛えることが目的ではないため、計算では電卓の使用が許されるのです。
また、簿記における解を求めるまでのプロセスは、至ってシンプルです。基本的には和差積商(+-×÷)を覚えておけば問題ありません。しかも、ほとんどが足し算・引き算ですので、実質的には算数レベルの知識で十分でしょう。高度な数学知識を持っているからといって、簿記業務でそれが役に立つという話ではありません。
電卓の使い方をマスターする
簿記では、数学の知識より電卓を上手に使いこなすテクニックのほうが重視されるでしょう。電卓は簿記検定で必須アイテムとなりますので、受験前に電卓の効果的な使い方をマスターしてください。
簿記の電卓使用で大切な機能は、「MR」と「M+」です。これを使いこなせれば、わざわざ数字をメモして計算する必要はありません。
例えば、「(1567×345)+(984×5438)-(15×3)」という計算式であれれば、次のように電卓をたたきます。
- (1567×345)(M+)
- (984×5438)(M+)
- (15×3)(M-)
- MR
この4ステップで、複雑な計算式もシンプルに処理できるのです。
(計算結果は5,891,562です。)
- 「M+(メモリープラス)」:直前の数値や計算結果を足す際に使用
- 「M-(メモリーマイナス)」:直前の数値や計算結果を引く際に使用
- 「MR(メモリーリコール)」:計算結果を求める際に使用
これらの機能のほか、複数の数式結果を合計する際に使用する「GT(グランドトータル)」や、+・-の符合を入れ替える「+/-(サインチェンジ)」などの機能付き電卓もあります。数字に苦手意識を持つ方、計算処理が不得手な方は、できるだけ使いやすい電卓をみつけて試験に臨んでください。
参考サイト: