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簿記の資格が役に立つ仕事とは?3級・2級・1級それぞれの仕事内容を解説

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簿記の資格を取得していれば、仕事で活かせる機会は非常に多いです。経理や会計に直接携わる職種はもちろん、営業や企画といった仕事でも財務諸表から企業の状況を読み取る力は大いに役立ちます。

本記事では、簿記の資格が活かせる仕事について、具体的な内容や簿記のスキルに応じた違いを解説します。簿記資格をキャリアアップにつなげたいという方は、ぜひ将来の仕事のイメージをつかんでみてください。

そもそも簿記とは?どんな仕事をする?

簿記とは、お金やモノの出し入れを正確に記録・管理する作業のことです。

企業やお店では、材料や商品の仕入費用を計算し、経費の支出を管理し、従業員に支払う給与を計算し……といったようにさまざまな経理業務が発生します。

経理に携わる人は、企業内のお金の流れを正確に把握し、無駄な出費やずさんな資産管理を防ぐ役目を担うのです。

簿記スキルのなかでも、もっとも基本的かつ重要なのが「仕訳」です。

貸借対照表や損益計算書などの決算書は、日々の仕訳を集計して作成します。

経理に携わる人間にとって、仕訳の仕組みの理解は必須だといえるでしょう。

仕訳の作業をわかりやすく説明すると、取引の「原因と結果」の両方を記載することだといえます。

ある取引を行えば、必ず原因と結果が生じます。

例えば、「取引先A社から10万円の商品を仕入れた」としましょう。

簿記で表すなら「仕入10万円」、さらにその反対の科目として「現金10万円」と記載します。

お金がどこへ流れ、その結果どのような資金状況にあるのか、項目ごとにきちんと振り分ける作業が仕訳であり、簿記に携わる人間にはその知識と実務スキルが求められます。

関連記事:簿記とは何かを簡単にわかりやすく解説|基本的な仕組みから資格対策まで

簿記の資格が役に立つ仕事は?どんな種類がある?

簿記は、経理や会計、税務などに関連する資格です。

簿記資格が役に立つ仕事にどのような種類があるのか、順番に見ていきましょう。

企業の経理部門

企業の経理部門は、収支を正確に記録し、規定の書類に記載するのがメインの業務となります。

まさに簿記検定で得た知識とスキルを活用するのにふさわしい職場だといえるでしょう。

具体的には、会計ソフトを使った経理業務や、決算書の書類作成などを担当します。

一言で企業経理といっても、業種によって業務内容は異なります。

一般企業では商業簿記のスキルで十分ですが、製造業では原価計算(工業簿記)のスキルが欠かせません。

工業簿記とは、工場内で発生したコスト情報を製造原価の計算に盛り込み、各数値を算出することで、工場内におけるお金の流れを総合的に把握する作業です。

関連記事:簿記にはどんな種類がある?記帳方法や分野、検定試験の違いを解説!

業種によって簿記の計算方法や必要なスキルが異なるため、自身の得意分野を見つけ、それが活かせる仕事を見極めることが大切です。

会計事務所・税理士事務所

簿記の資格検定を通して会計処理の基本をマスターすれば、活躍のフィールドは会計事務所や税理士事務所にも広がります。

会計とは、お金の出入りなどを記録・管理することです。

簡単にいえば、会計業務とは「収入と支出によってお金がどう増減したか」などを正確に記録する作業です。

個人・法人から専門的な会計処理を任される会計事務所において、簿記スキルは必須といえます。

会計事務所の補助スタッフとしての雇用であれば、会計士のアシスタントという位置づけになることが多く、企業の経理部門とは業務内容や求められるスキルが異なるでしょう。

しかし、基本的な簿記スキルが必要である点は同じです。

また税理士事務所では、個人・企業からの依頼で税務処理を担当したり、節税アドバイスを行なったりします。

法人税などの計算処理がメインの業務となりますが、その前段としての税引前当期純利益の計算には簿記検定で得た知識が役に立ちます。

税務処理においてはまず収支を計算し、利益を算出する必要があるため、財務諸表の作成とつながりの深い簿記の知識は大いに役立つでしょう。

その他

企業の経理部門や会計事務所、税理士事務所は、簿記の知識を直接活かせる職場です。

しかし、簿記の資格を所持していればその他の仕事でも十分に活躍が可能です。

例えば営業職の場合、簿記の知識があれば自社や取引先の経営・財務状況を把握したうえで的確な提案ができます。

また、コンサルティング業の場合であれば顧客企業の分析に簿記の知識は欠かせません。

財務状況を正確に把握したうえで資金繰りのアドバイスをするなど、相手の立場に立ったサポートができるでしょう。

さらに、独立や起業を目指す場合も同様です。

簿記の知識があれば、自社の経営・財務の状況をもとに適切な事業計画の作成や資金管理が可能になります。

仕事に活かせる簿記の資格は?3級・2級・1級の違いを解説

簿記の主な資格には、日商簿記・全商簿記・全経簿記という3つの種類があります。

大学生や社会人が就職や転職などキャリアに活かす目的で取得するなら、日商簿記がおすすめです。

日商簿記は企業の採用担当者からの認知度が高く、大きなアピールにつながるでしょう。

全商簿記や全経簿記は、主な受験者層が商業高校や経理・会計の専門学校に通う学生となっており、一般的な認知度は高くありません。

特別な理由がない限りは、日商簿記の取得を目指すのがおすすめです。

関連記事:日商簿記・全商簿記・全経簿記の違いとは?各資格の概要や難易度、合格率を紹介!

以下、日商簿記3級・2級・1級の取得者が担当できる仕事の目安を紹介します。

日商簿記3級レベルの仕事

日商簿記3級の試験では、小規模な株式会社において仕入や販売など外部との取引を記録し、決算書にまとめるための知識が問われます。

日商簿記3級は初心者でも合格を狙える難易度でありながら、基本的な経理・会計の知識を証明できる資格です。

ただし、学ぶ内容は小規模な企業の経理実務であるため、経理専門の担当者として規模の大きい企業で活躍するのに十分な知識・スキルとはいえません。

これから就職・転職をするなら2級以上へのステップアップを目指す、またはビジネスパーソンの教養として簿記のスキルをアピールするといった使い方がよいでしょう。

日商簿記3級の合格までに必要な勉強時間は、独学の場合は100〜150時間、講座やスクールを利用する場合は50~100時間程度が目安です。

関連記事:簿記3級とは|試験の概要や合格率の推移、勉強方法をまとめて解説

日商簿記2級レベルの仕事

日商簿記の試験では、「外部からの仕入と販売」を扱う商業簿記に加え、「自社での製造と販売」を扱う工業簿記が出題されます。

日商簿記2級を取得できれば、経理・会計の専門知識を有する人材とみなされるでしょう。

実務レベルで使える知識であるため、即戦力として活躍が期待されます。

日商簿記2級の合格までに必要な勉強時間は、3級合格レベルの知識があることを前提として、独学の場合は150〜250時間、講座やスクールを利用する場合は100~200時間程度が目安と考えられます。

独学での合格も不可能ではありませんが、効率的なカリキュラムで学べる講座などを利用することで合格の可能性が高まるでしょう。

経理の専門職としても十分活かせる日商簿記2級の資格ですが、連結決算などの複雑な処理が必要な大企業では物足りないと判断される可能性もあります。

経理・会計のスペシャリストとして大企業で活躍したい場合は、日商簿記1級を目指すのがおすすめです。

関連記事:簿記2級とは|試験の概要や合格率の推移、勉強方法をまとめて解説

日商簿記1級レベルの仕事

日商簿記1級の試験では、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算という4つの科目が出題されます。

より高度な知識が求められるのはもちろん、会計基準・会社法・財務諸表等規則など、企業会計に関する法規・ルールも学ぶ必要があります。

日商簿記1級を取得できれば、経理・会計のスペシャリストとして多くの企業から重宝されるでしょう。

複雑な連結決算などにも対応できることから、大企業への就職・転職を目指す際にも大きなアピールとなります。

日商簿記1級の合格に必要な勉強時間は、2級合格レベルの知識があることを前提として、独学の場合は500〜700時間、講座やスクールを利用する場合は400~600時間程度が目安と考えられます。

独学ですべての出題範囲を習得するのは難しいため、オンライン講座やスクールなどを利用するのが一般的です。

関連記事:日商簿記1級の難易度や必要な勉強時間は?取得するメリットや科目別攻略法も紹介

そもそも簿記の資格を取得するメリットとは

ここでは、改めて簿記の資格を取得するメリットを以下のポイントでおさらいします。

  • どんな仕事にも活かせる
  • 就職・転職で有利になる
  • さらなる難関資格につながる
  • 起業や投資で有利になる

どんな仕事にも活かせる

経理や会計に直接関係しない仕事であっても、ビジネスにおいては必ずお金のやり取りが発生します。

財務諸表などを読み解き、自社や競合他社、取引先の状況を的確に把握するスキルは、どのような仕事でも役に立つのです。

特に管理職の立場になる場合、自社の経営・財務の状況を把握することは必須といえます。

簿記は昇格研修の科目としても採用されることが多く、ビジネスパーソン全般にとって不可欠なスキルとして広く認識されています。

就職・転職で有利になる

日商簿記検定は社会的な知名度が高く、人気のある資格です。

経理職としての採用を狙う方もそうでない方も、簿記資格を所有していれば就職・転職で有利に働くでしょう。

簿記のスキルを経理業務やビジネス全般に活かせるのはもちろん、より難易度の高い2級や1級を取得することで、学習意欲の高さや継続力のアピールにもつながります。

さらなる難関資格につながる

簿記検定で培った知識を活かすことで、さらに難易度の高い資格へのステップアップが可能です。

例えば、日商簿記1級を取得したあとに税理士や公認会計士に挑戦する方は少なくありません。

試験科目として簿記や会計が登場するため、アドバンテージを持った状態で試験対策を始められます。

なお、日商簿記1級に合格すれば、税理士の受験資格が得られます。

まずは日商簿記1級に挑戦し、合格後に税理士を目指すというのも1つの選択肢です。

関連記事:日商簿記1級の難易度とは?税理士(簿記論)やその他の資格と比較解説!

起業や投資で有利になる

簿記の知識は、就職や転職だけでなく起業をする際にも役立ちます。

会社を経営するにあたって、経営状況やお金の流れなどを正しく把握することは欠かせないからです。

また、立ち上げ当初は取引の記帳などを自身で行う機会もあるでしょう。

簿記の知識があれば、外部に委託しなくても仕訳や利益・税金の計算などが可能です。

さらに、財務諸表を理解する力は投資にも活かせます。

公表されている資料をもとに経営状況を分析できれば、より的確な判断ができるようになるでしょう。

簿記の資格を活かした仕事は将来なくなる?

AIの進化により、一部では「簿記の仕事は将来なくなるのでは?」といった意見があります。

たしかに、簿記の仕訳などは定型的な業務が多く、AIで代替できる作業もあるでしょう。

人を雇用するよりも、AIやシステムを導入したほうが長期的にはコストが安くなる可能性があります。

また、機械による仕事であればヒューマンエラーのリスクもありません。

しかし、簿記のスキルを要するすべての業務がAIで代替できるわけではありません。

例えば、自社の財務状況を鑑みたうえでの高度な判断などは、上層部や関連部署へのヒアリングをもとに慎重に行う必要があります。

今後、AIを使った会計処理が一般化したとしても、より高度な業務や判断ができる人材であれば、仕事がなくなることはないでしょう。

AIに仕事を奪われないためには、さらに上位の級を目指すなど、専門性を磨き続けることが大切です。

まとめ

今回は、簿記の資格を活かした仕事について解説しました。

ポイントをおさらいしておきましょう。

  • 簿記とは、お金やモノの出し入れを記録・管理する作業
  • 簿記の資格は経理部門や会計・税理士事務所だけでなく、あらゆる仕事で活かせる
  • 日商簿記3級から履歴書に書けるが、キャリアアップを目指すなら2級以上がおすすめ
  • AIが発達しても、高度な簿記スキルを備えていれば仕事を奪われることはない

これから簿記を学ぶのであれば、日商簿記の資格取得を目指すのがおすすめです。

簿記の実践的な知識が身につくほか、認知度の高い資格であるため就職や転職などのキャリアアップに活かせます。

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