日商簿記2級試験ではどんな問題が出る?実戦問題例つきで解説!【過去問は入手不可】

日商簿記検定2級に挑戦するにあたり、どのような問題が出るかはぜひ押さえておきたいところです。しかし、公式サイトでは過去問が公開されていないため、どう対策すればよいか迷う方もいるでしょう。

本記事では、日商簿記2級の出題範囲や問題構成の解説に加え、実際の問題例を紹介します。日商簿記2級の受験を検討している方は、ぜひ本記事を参考に2級のレベル感や問題形式のイメージを掴んでみてください。

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日商簿記2級の過去問は入手できない

資格試験の勉強というと、過去問を使った対策を思い浮かべる人は多いでしょう。

しかし、日商簿記で過去問が公開されているのは1級のみで、その他の級の過去問は非公開となっています。


2級の場合、公式サイトで模擬試験が提供されていますが、購入費用として16,500円(税込)かかります。

費用を抑えたい場合は、過去問の傾向を把握したうえで実践的な問題を制作している予備校や通信・オンライン講座の教材を使うのがおすすめです。


日商簿記2級ではどんな問題が出る?試験の概要を紹介

ここでは、日商簿記検定2級の概要や問題構成、出題範囲などについて解説します。


日商簿記2級試験の概要

日商簿記2級試験の概要は以下の通りです。

出題科目・範囲 商業簿記・工業簿記
試験時間 90分
検定料 4,720円(税込)

※ネット試験は別途事務手数料550円

試験形式 統一試験またはネット試験
合格基準 70%以上
目安合格率 15~30%前後
試験日程 年3回(6月・11月・2月)の統一試験、またはネット試験


3級では、商業簿記の基礎的な問題のみが出題されます。

一方、2級では商業簿記の出題範囲が広がるだけでなく、工業簿記も追加となります。


関連記事:簿記2級とは|試験の概要や合格率の推移、勉強方法をまとめて解説


日商簿記2級の問題構成や過去問の傾向は?仕訳問題が難しい?

日商簿記2級の試験問題は、以下の構成・配点で出題される傾向にあります。

問題 内容 配点
第一問 商業簿記仕訳(5問) 20点
第二問 【頻出論点】連結会計、株主資本等変動計算書 20点
第三問 【頻出論点】損益計算書、貸借対照表、本支店会計 20点
第四問 問一:工業簿記仕訳(3問)、問二:個別原価計算、総合原価計算、部門別原価計算 28点
第五問 【頻出論点】直接原価計算、標準原価計算差異分析 12点


第一問〜第三問が商業簿記、第四問~第五問が工業簿記の問題です。

合格基準が70%以上のため、大問ごとに大きなとりこぼしをしないよう、バランスのとれた学習が必要です。


仕訳問題は商業簿記で20点分、工業簿記で12点分の出題となっています。

出題範囲からランダムで出題されるため、多様な仕訳問題に対応する力が求められます。

仕訳はすべての問題の基礎ともいえるため、得点を安定させるための土台として対策を徹底しておきましょう。


日商簿記2級は統一試験・ネット試験どちらも可

2020年12月より、日商簿記2級と3級にネット試験が導入されました。

ネット試験とは、テストセンターに行き、パソコンを使って回答する形式の試験です。

統一試験とは異なり、受験者が好きな場所や日時を選べるというメリットがあります。


ただし、問題はすべてパソコンの画面上に表示されるため、問題用紙に直接メモをとったり、計算を書き込んだりできません。

メモや計算には白紙の計算用紙を使う必要があるため、日頃から慣れておくことが大切です。


また、勘定科目はプルダウンによる選択式となっているほか、金額はキーボードで入力して回答します。

ペーパー式の統一試験と回答の仕方が異なるため、受験を予定している方はあらかじめパソコンの操作に慣れておきましょう。


関連記事:日商簿記検定(3級・2級・1級)の概要と筆記試験・ネット試験の違い


過去問仕様の簿記2級実戦問題にチャレンジ!【ダウンロードも無料で可能】

ここでは、日商簿記2級レベルの実戦問題にチャレンジしてみましょう。

以下は、オンラインで学べる「スタディング簿記講座」で用意している実戦力UPテストの一部です。

ここで紹介している問題以外にも、無料登録するだけで実戦力UPテストや検定対策模試がダウンロードできるため、ぜひお試しください。


有価証券の処理に関する問題

有価証券に関わる次の資料にもとづいて、下記の各問に答えなさい。なお、会計期間はX5年4月1日からX6年3月31日までの1年間である。

資料

1. 期首において保有している有価証券の内訳

銘柄 取得日 取得原価 株式(口)数 前期末時価 保有目的
A社社債 X5年2月28日 @¥96 500口 @¥97 売買目的
B社社債 X4年10月1日 @¥97 2,000口 @¥96 満期保有目的


すべて前期中に取得したものであり、前期末までの処理は適切に行われている。なお、B社社債は額面総額 ¥200,000、満期日はX9年9月30日である。利率は年1%で、利払日は9月末の年1回である。


2. 期中取引

  1. X5年6月12日、A社社債500口を額面@¥100につき@¥96で売却し、売却代金は端数利息とともに受け取り、ただちに当座預金に預け入れた。なお、利払日は3月末の年1回で、利率年2%、端数利息は1年を365日として日割りで計算する。
  2. X5年9月1日、売買を目的としてC社株式500株を@¥110で購入した。なお、代金については、手数料¥1,000とともに、小切手を振り出して支払った。
  3. X5 年9月30日、B社社債の利札の支払期日が到来した。
  4. X6年1月15日、C社より配当金領収証¥1,000の送付を受けた。


3. 決算整理事項等

  1. 期末において保有している有価証券の時価
    銘柄 B社社債 C社株式
    当期末時価 @¥99 @¥105
  2. 満期保有目的債券に関する処理
    B社社債について、取得原価と額面金額との差額は金利の調整と認められ、償却原価法(定額法)を採用している。
  3. 有価証券利息の未収計上を行う(月割計算)。なお、B社社債については、期首に未収有価証券利息が¥1,000 計上されている。
▼問1(勘定記入)

【問題】

答案用紙にある勘定への記入を行いなさい。


【解答欄】

売買目的有価証券

4/1 前期繰越 48,500 6/12 諸口 (  )
9/1 当座預金 (  ) 3/31 有価証券評価( ) (  )
3/31 次期繰越 (  )
(  ) (  )


【解答】 売買目的有価証券

4/1 前期繰越 48,500 6/12 諸口 (48,500)
9/1 当座預金 (56,000) 3/31 有価証券評価(損) (3,500)
3/31 次期繰越 (52,500)
(104,500) (104,500)


【解説】

A社社債に関する仕訳・計算は以下の通りです。

借方 貸方
6/12 当座預金 48,200 売買目的有価証券 48,500
有価証券売却損 500 有価証券利息 200
  • 帳簿価額:@¥97×500口=¥48,500
  • 売却代金:@¥96×500口=¥48,000
  • 有価証券売却損:¥48,000-¥48,500=△¥500
  • 有価証券利息:@¥100×500口×2%×73日(4/1~6/12)÷365 日=¥200


B社社債に関する仕訳・計算は以下の通りです。

借方 貸方
前期末決算整理 未収有価証券利息 1,000 有価証券利息 1,000
4/1 再振替仕訳 有価証券利息 1,000 未収有価証券利息 1,000
9/30 現金 2,000 有価証券利息 2,000
決算整理 未収有価証券利息 1,000 有価証券利息 1,000
決算整理 満期保有目的債券 1,200 有価証券利息 1,200
  • 9/30:¥200,000×1%=¥2,000
  • 3/31:未収有価証券利息 ¥200,000×1%×6ヶ月÷12ヶ月=¥1,000
  • 3/31:償却原価法 ¥200,000-(@¥97×2,000口)×12ヶ月÷60ヶ月=¥1,200


C社株式に関する仕訳・計算は以下の通りです。

借方 貸方
9/1 売買目的有価証券 56,000 当座預金 56,000
1/15 現金 1,000 受取配当金 1,000
決算整理 有価証券評価損 3,500 売買目的有価証券 3,500
  • 9/1:取得原価 @¥110×500株+¥1,000=¥56,000
  • 3/31:評価損 @105×500株-56,000=△¥3,500


▼問2(損益計算書および貸借対照表の金額算定)

【問題】

当期の損益計算書および貸借対照表の各項目の金額を算定しなさい。


【解答欄】

満期保有目的債券 (   ) 有価証券利息 (   )
売買目的有価証券 (   ) 受取配当金 (   )
未収有価証券利息 (   ) 有価証券売却( ) (   )
有価証券評価( ) (   )


【解答】

満期保有目的債券 (195,800) 有価証券利息 (3,400)
売買目的有価証券 (52,500) 受取配当金 (1,000)
未収有価証券利息 (1,000) 有価証券売却(損) (500)
有価証券評価(損) (3,500)


【解説】

満期保有目的債券の金額については前期末の帳簿価額は、取得原価¥194,000(※1)に償却原価による¥600(※2)を加算した金額になります。

※1:取得原価 @¥97×2,000口=¥194,000

※2:償却原価法 ¥200,000-(@¥97×2,000口)×6カ月÷60ヶ月=¥600

  • 未収有価証券利息:¥200,000×1%×6ヶ月÷12カ月=¥1,000
  • 満期保有目的債券:前期末(¥194,000+¥600)+¥1,200(3/31)=¥195,800
  • 有価証券利息:¥200(6/12 A社社債)+¥2,000(9/30 B社社債)+¥1,000(3/31 B社社債)+¥1,200(B社社債)-¥1,000(4/1 B社社債)=¥3,400


まとめ

今回のポイントをおさらいしておきましょう。

  • 日商簿記2級の過去問は公開されていない
  • 過去問の傾向を把握したうえで制作された予備校や講座のテキストを使うのがおすすめ
  • 日商簿記2級の受験方法には、統一試験とネット試験がある
  • 合格基準は70点、目安合格率は15~30%前後
  • 仕訳問題は商業簿記で20点分、工業簿記で12点分出題される傾向
  • 仕訳はすべての問題の基礎ともいえるため、しっかり対策しておきたい

日商簿記2級を取得すると、経理業務を任せられる人材として評価されやすくなるため、キャリアアップを目指す方におすすめです。


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