簿記の精算表とは?作成の流れやコツ、3級レベルの実践問題を紹介!

簿記における精算表は、貸借対照表と損益計算書の作成において重要な役割を果たす資料です。

本記事では、簿記における精算表の概要や作成の流れに加え、日商簿記3級レベルの実戦問題を紹介します。簿記の精算表がよくわからない方や改めて知識を整理したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次 Contents

簿記の精算表とは?作成の流れやコツ、3級レベルの実践問題を紹介!


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簿記における精算表とは

簿記の精算表とは、残高試算表と決算整理仕訳(修正記入)の情報から、貸借対照表と損益計算書を作成するための資料です。

日々の取引は仕訳帳に都度記帳しますが、決算の際にはそれらを集計し、決算整理を行う必要があります。

精算表に必要な情報をまとめて記入することで、ミスや漏れを防ぎながら貸借対照表・損益計算書を作成できます。

また、精算表は決算に関わる重要な資料であるため、簿記検定試験においても出題頻度の高いテーマです。


関連記事:簿記の貸借対照表とは|損益計算書との違いや書き方、問題の解き方を解説


なお、精算表の書式はいくつかありますが、以下のような8桁精算表が一般的です。

8桁精算表



簿記における精算表作成の流れ

ここでは、簿記における精算表作成の流れを以下4つのステップで解説します。

  1. 残高試算表を作成し、精算表に転記する
  2. 決算整理仕訳を行い、修正記入欄を記入する
  3. 損益計算書・貸借対照表欄を記入する
  4. 当期純利益を算出する


残高試算表を作成し、精算表に転記する

精算表を作成するには、まず残高試算表を用意する必要があります。

残高試算表とは、各勘定科目の残高を一覧にした表です。

決算が年に1度であれば、その年のこれまでの取引が残高試算表に集約されることになります。

これにより、精算表の残高試算表欄が埋められます。


決算整理仕訳を行い、修正記入欄を記入する

次に必要な作業が、決算整理仕訳です。

決算整理仕訳とは、経営や財政の状況を正確に把握するために行う決算期特有の処理です。

例えば、減価償却費や貸倒引当金の計上などが決算整理仕訳にあたります。

新たな取引が発生したわけではないものの、資産や負債の価値を実態に合わせるため、決算前の調整が必要になるのです。

決算整理仕訳の内容は、精算表の修正記入欄に記入します。


損益計算書・貸借対照表欄を記入する

精算表の「残高試算表」と「修正記入」の欄が埋まったら、その情報をもとに損益計算書・貸借対照表の欄を記入します。

勘定科目のうち収益・費用に属するものは損益計算書、資産・負債・純資産に属するものは貸借対照表に転記しましょう。

転記の際には、残高試算表と修正記入の金額を加算または減算して記入します。

例えば、ある勘定科目について残高試算表・修正記入ともに借方に金額が入っていれば加算、残高試算表が借方で修正記入が貸方であれば、残高試算表の金額から修正記入の金額を減算、となります。


当期純利益を算出する

貸借対照表と損益計算書の欄が埋まったら、最後に当期純利益を算出します。

損益計算書欄の貸方と借方の合計金額の差が、当期純利益です。

借方よりも貸方の金額が大きい場合は、差額を当期純利益として損益計算書の借方へ記入します。

逆に、借方よりも貸方の金額が小さい場合は当期純損失となり、損益計算書の貸方に記入します。

以上が、精算表の作成手順です。


簿記の精算表を正しく作成するコツ

簿記の精算表を正しく作成するために重要なのが、決算整理仕訳の作業です。

勘定科目を間違えたり、借方・貸方を逆に記入したりといったミスがよく発生します。

決算整理仕訳のミスを防ぐには、貸借対照表と損益計算書の全体像をイメージしたうえで、扱う勘定科目が資産・負債・純資産・収益・費用のいずれに属するのか見極めることが大切です。

通常の仕訳と考え方は変わらないため、落ち着いて処理しましょう。


簿記3級レベルの精算表問題にチャレンジ!

ここでは、日商簿記3級レベルの精算表問題を紹介します。

簿記資格を勉強中の方、取得を検討している方は、ぜひチャレンジしてみてください。

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問題

次の決算整理事項にもとづいて、答案用紙の精算表を完成しなさい。なお会計期間は4月1日〜3月31日までの1年間である。

▼決算修正事項

  1. 売掛金¥200,000が普通預金口座に入金されていたが、未記帳であった。
  2. 残高試算表の仮受金¥100,000は商品引き渡し前に受け取った内金であることが判明した。
  3. 土地¥900,000を¥850,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることにしたが、未処理のままであった。

▼決算整理事項

  1. 現金過不足のうち¥2,000は通信費であることが判明した。残額は不明のため、雑損または雑益として処理する。
  2. 受取手形と売掛金の期末残高に対して 3%の貸倒引当金を設定する。
  3. 期末商品棚卸高は¥350,000である。売上原価は「仕入」の行で計算すること。
  4. 備品について減価償却を行う。(耐用年数:8年 残存価額:ゼロ 記帳方法:間接法)
  5. 支払家賃の前払分が¥120,000ある。
  6. 借入金は当期7月1日に借入期間1年、利率年1%で借り入れたもので、利息は返済日に1年分の利息を支払うことになっている。利息の計算は月割による。
  7. 収入印紙の未使用高¥25,000を貯蔵品勘定に振り替える。
  8. 消費税の処理(税抜方式)を行う。

精算表問題



解答

精算表問題解答


解説

▼決算修正事項

1 普通預金 200,000 売掛金 200,000

(B/S) 普通預金:¥1,000,000+¥200,000=¥1,200,000
(B/S) 売掛金:¥1,100,000-¥200,000=¥900,000

※売掛金の金額に修正があるため、貸倒引当金の算定に注意しましょう。


2 仮受金 100,000 前受金 100,000

(B/S) 前受金:¥50,000+¥100,000=¥150,000

仮受金の残高は0(ゼロ)となります。


3 未収入金 850,000 土地 900,000
土地売却損 50,000

(B/S) 土地:¥2,800,000-¥900,000=¥1,900,000
(B/S) 未収入金:¥850,000(売却価額)
(P/L) 土地売却損:¥850,000(売却価額)-¥900,000(帳簿価額)=▲¥50,000(売却損)


▼決算整理事項

1 通信費 2,000 現金過不足 3,000
雑損 1,000

(P/L) 通信費:¥230,000+¥2,000=¥232,000
(P/L) 雑損:¥1,000

現金過不足の残高は0(ゼロ)となります。


2 貸倒引当金繰入 23,000 貸倒引当金 23,000

(B/S) 受取手形:¥700,000
(B/S) 売掛金:¥900,000
(P/L) 貸倒引当金繰入:(¥700,000+¥900,000)×3%-¥25,000=¥23,000
(B/S) 貸倒引当金:¥25,000+¥23,000=¥48,000


3 仕入 400,000 繰越商品 400,000
繰越商品 350,000 仕入 350,000

(P/L) 仕入:¥3,200,000(当期商品)+¥400,000(期首商品)-¥350,000(期末商品)=¥3,250,000(売上原価)
(B/S) 繰越商品:¥400,000(期首商品)-¥400,000(期首商品)+¥350,000(期末商品)=¥350,000(期末商品)


4 減価償却費 187,500 減価償却累計額 187,500

(P/L) 減価償却費:¥1,500,000÷8年=¥187,500
(B/S) 減価償却累計額:¥375,000+¥187,500=¥562,500


5 前払家賃 120,000 支払家賃 120,000

(B/S)前払家賃:¥120,000
(P/L)支払家賃:¥1,110,000-¥120,000=¥990,000


6 支払利息 11,250 未払利息 11,250

当期の期間に該当する9ヶ月分(7/1〜3/31)を未払利息とします。

(B/S) 未払利息:¥1,500,000×1%×9ヶ月/12ヶ月=¥11,250

(P/L) 支払利息:¥11,250

7 貯蔵品 25,000 租税公課 25,000

(B/S) 貯蔵品:¥25,000

(P/L) 租税公課:¥207,500-¥25,000=¥182,500

8 仮受消費税 650,000 仮払消費税 320,000
未払消費税 330,000

(B/S)未払消費税:¥650,000-¥320,000=¥330,000

仮払消費税と仮受消費税の残高は0(ゼロ)となります。


まとめ

今回は、簿記における精算表の概要や作成の流れに加え、日商簿記3級レベルの実戦問題を紹介しました。ポイントをおさらいしておきましょう。

  • 精算表は、残高試算表と決算整理仕訳をもとに貸借対照表・損益計算書を作成する資料
  • 手順通りに進めることで、正確な貸借対照表・損益計算書ができあがる
  • 精算表作成の際には、決算整理仕訳で勘定科目や借方・貸方の選択を間違えないことが大切

精算表の問題は一見複雑そうですが、手順を正しく理解できれば難しいものではありません。

仕訳の基本を押さえながら、丁寧に計算を進めていきましょう。

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