簿記3級・2級頻出の基礎用語一覧
ここでは、日商簿記3級や2級にもよく出る簿記の基礎用語について、以下の順で解説します。
- 仕訳
- 借方・貸方
- 資産
- 負債
- 純資産
- 収益
- 費用
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 総勘定元帳
- 残高試算表
- 精算表
- 決算整理仕訳
- 当期純利益
仕訳
仕訳とは、企業における日々の取引内容を帳簿に記録することです。
適切な勘定科目を選択し、借方・貸方に振り分けることで、最終的に正確な財務諸表ができあがります。
例えば、商品を売却して現金を受け取ったときの仕訳は、現金という「資産の増加」を借方、売上という「収益の発生」を貸方にそれぞれ金額とともに記載します。
簿記の目的は、企業における経営・財務の状況を第三者にもわかるよう、貸借対照表や損益計算書といった財務諸表にまとめることです。
日々の取引を正確に仕訳することが、正確な財務諸表の作成につながります。
借方・貸方
仕訳においては、取引の内容を借方と貸方に振り分け、2つの側面から記録します。
取引を2つの面から記録するのは、企業や簿記の資格試験で広く利用されている「複式簿記」の基本ルールです。
関連記事:簿記にはどんな種類がある?記帳方法や分野、検定試験の違いを解説!
借方は資産の増加や費用の発生を示し、左側に記載します。
一方、貸方は負債や資本の増加、収益の発生を示し、右側に記載します。
例えば、現金で商品を仕入れる場合、仕入という「費用」を借方、現金という「資産」を貸方に記載することで、費用の増加や資産の減少を表すのです。
取引を2つの側面から記録するため、借方と貸方の合計金額は常に一致します。
資産
資産とは、企業が所有する財産のことで、すでに保有しているものだけでなく、将来的に収益をもたらすと期待されるものや権利も含みます。
資産のグループに入る項目としては、現金や受取手形、売掛金、商品、土地などが挙げられます。
資産は企業の経営において、企業の価値や財務状況を示す指標です。
資産の増加は借方に、減少は貸方に記録され、最終的には貸借対照表の借方にある「資産」の欄にまとめられます。
負債
負債は、企業が負っている債務のことで、将来的に第三者に対する返済が必要なものです。
負債のグループには、支払手形や買掛金、未払費用、社債などが含まれます。
例えば、企業が銀行から融資を受けている場合、その融資額は借入金として記録されます。
十分な資産を保有していても、その大部分が負債によって賄われていれば、財務状況として健全とはいえないでしょう。
負債の増加は貸方に、減少は借方に記録され、最終的には貸借対照表の貸方にある「負債」の欄にまとめられます。
純資産
純資産は、資産から負債を差し引いたもの、つまり返済義務のない資本(元手)です。
純資産のグループは、資本金や資本剰余金、利益剰余金などで構成されます。
純資産の増加は貸方に、減少は借方に記載し、最終的に貸借対照表の貸方にある「純資産」の欄にまとめられます。
返済義務のない資本(元手)がどの程度・どのような形で存在するのか把握できるため、財務の健全性を評価する重要な指標の1つです。
収益
収益は、一定の期間における企業活動のなかで得た収入のことです。
収益のグループには、売上や受取利息、雑収入、固定資産売却益などが含まれます。
収益の発生は貸方に記載し、借方には売上に伴って増える現金や売掛金など「資産の増加」を記録するのが一般的です。
最終的には、損益計算書の貸方にある「収益」の欄に記載され、費用との差額がその期間の利益となります。
費用
費用は、企業活動において支払った経費や負担のことを指します。
費用のグループには、仕入など対外的に支払うものに加え、給与など従業員向けに支払うものもあります。
費用の発生は借方に記載し、貸方には費用の支払いに伴って減少する現金や売掛金など「資産の減少」を記録するのが一般的です。
最終的には損益計算書の借方に記載され、収益との差額がその期間の利益として算出されます。
貸借対照表
貸借対照表はバランスシート(BS)とも呼ばれ、企業における経営・財務の状況を示す重要な資料です。
貸借対照表は、特定の日付(おもに決算日)における企業の資産や負債、純資産の状況を表します。
借方に会社の保有資産と運用状況を示す「資産」が表示され、貸方に資金の調達状況を示す「負債」と「純資産」が表示されます。
「資産=負債+純資産」という関係性になっており、貸借対照表を見ることで企業の状態を財政面から評価することが可能です。
関連記事:簿記の貸借対照表とは|損益計算書との違いや書き方、問題の解き方を解説
損益計算書
損益計算書はPLとも呼ばれ、企業の特定期間(通常は期首から期末までの1年間)における収益と費用、およびその差額としての利益を示す資料です。
損益計算書では、本業から生み出される営業利益、その他の活動を含めた経常利益を算出し、そこから特殊な要因で発生した収益と費用を加算・減算することで最終的な利益(当期純利益)を計算します。
損益計算書の借方には「費用」と「利益」、貸方には「収益」が表示されます。
ただし、費用が収益を上回る場合には利益ではなく「損失」となります。
損益計算書は、当該期間における企業の事業規模や収益性を把握するための重要な資料です。
資産や負債の状況がわかる貸借対照表とあわせ、企業を評価する際には欠かせないものだといえます。
総勘定元帳
総勘定元帳は、企業活動で使用するすべての勘定科目について、取引の記録をまとめて管理するための帳簿です。
個々の取引を細かく記録する仕訳帳と異なり、総勘定元帳では勘定科目ごとにまとめて記録するため、各勘定科目の全体的な動きがわかりやすくなります。
総勘定元帳は、期末に行う決算整理や財務諸表の作成にも欠かせない重要な帳簿の1つです。
残高試算表
残高試算表は、期末に各勘定科目の残高をまとめ、勘定科目ごとに借方と貸方の金額を差し引きし、集約した資料です。
貸借対照表や損益計算書を作成する際には、まず残高試算表によって年間の取引記録をまとめるのが一般的な流れです。
残高試算表の段階で借方と貸方の合計金額が一致しない場合、日々の仕訳や集計にミスがあると考えられます。
正確な財務諸表を作成するためには、まずミスのない残高試算表を作成することが大切です。
精算表
精算表は、財務諸表の作成に必要なすべての取引記録をまとめるための資料です。
決算整理前の残高試算表に、決算整理仕訳を追加して作成します。
期中に記録していなかった会計処理を加えることでより正確な財務諸表の作成が可能となるため、決算資料作成において重要な役割を担います。
日商簿記などの資格試験においても、応用問題として精算表の作成が出題されるケースは少なくありません。
関連記事:日商簿記検定(3級・2級・1級)の概要と筆記試験・ネット試験の違い
決算整理仕訳
決算整理仕訳は、期中における仕訳ミスの修正や決算前に必要な会計処理を行うための仕訳です。
例えば、貸倒引当金の設定や減価償却費の計上など、具体的な取引は発生していないものの会計上必要な処理が挙げられます。
決算整理仕訳によって、企業における経営・財務の状況がより正確に反映されます。
当期純利益
当期純利益は、企業が特定の期間内で得た最終的な利益のことを指し、損益計算書上で収益から費用を差し引いて算出します。
企業経営を継続するためには利益を出し続ける必要があるため、損益計算書のなかでもっとも注目される指標の1つだといえるでしょう。
生み出された当期純利益は、株主への配当や利益剰余金としての純資産の積み上げに使われることとなります。
簿記の代表的な勘定科目一覧
ここでは、簿記の代表的な勘定科目をグループごとに一覧表にしました。
貸借対照表に記載される「資産・負債・純資産」と、損益計算書に記載される「収益・費用」の関係性を頭に入れることで、必要な勘定科目を自然と扱えるようになります。
分類 |
概要 |
勘定科目の例 |
資産 | 所有する財産や、将来的に代金を受け取る権利など | ・現金 ・受取手形 ・売掛金 ・商品
・土地 |
負債 | 将来的に支払う義務があるもの | ・支払手形 ・買掛金 ・未払費用 ・社債 |
純資産 | 返済義務のない、企業が有する純粋な資産 | ・資本金 ・資本剰余金 ・利益剰余金 ・自己株式 |
収益 | 企業が特定の会計期間において得た収入 | ・売上
・受取利息 |
費用 | 企業が特定の会計期間において支払った代金 | ・仕入
・給料 |
まとめ
本記事では、日商簿記3級や2級でも頻出の簿記の基礎用語について、初心者の方向けにわかりやすく解説しました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
- 仕訳とは、企業における日々の取引内容を帳簿に記録すること
- 借方は資産の増加や費用の発生を示し、左側に記載
- 貸方は負債や資本の増加、収益の発生を示し、右側に記載
- 資産・負債・純資産は貸借対照表に記載される
- 収益・費用は損益計算書に記載され、差額が当期純利益となる
- 精算表は、残高試算表に決算整理仕訳を追加して作成する
- 当期純利益は、株主への配当や利益剰余金としての純資産の積み上げに使われる
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