
日商簿記3級のネット試験では「試算表の問題が出ない」と一部でいわれています。
しかし、本当に対策なしでよいのか不安に感じる方もいるでしょう。
本記事では、日商簿記3級のネット試験に試算表の問題は出ないのか、出題傾向や対策も含めて解説します。
効率よく日商簿記3級の合格を目指したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
日商簿記3級のネット試験に試算表は出ない?
簿記を学習しているなかで必ず触れることになる「試算表」ですが、日商簿記3級のネット試験には出ないと一部でいわれています。
ここでは、以下の流れで現状をご紹介します。
- そもそもネット試験とは
- ネット試験と統一試験で出題範囲は変わらない
- 近年の出題傾向は?精算表が出る?
- 試算表そのものが出なくても知識として必須
そもそもネット試験とは
ネット試験とは、2020年12月に日商簿記3級および2級の試験に導入された新しい試験形式です。
指定されたネット試験会場のパソコンを使用して行われます。
ネット試験の開始は、新型コロナウイルス感染症の拡大がきっかけでした。
コロナ禍で2020年6月の統一試験は中止になり、11月の統一試験も人数制限のもと行われたのです。
その後、ネット試験が導入されたことで、より多くの方が日商簿記の試験を受験できるようになりました。
ネット試験と従来の統一試験との大きな違いは、試験形式や受験環境です。
統一試験は商工会議所の指定会場で紙とペンを使って実施されますが、ネット試験は指定のパソコンを使用して受験します。
また、ネット試験は受験者が全国のテストセンターから好きな場所を選び、空いている日程を確認して申し込むため、統一試験よりも自由にスケジュールを決めることが可能です。
いまやネット試験の受験者数は統一試験の受験者数を上回っており、受験者の利便性を高める新しい試験形式として普及しています。

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ネット試験と統一試験で出題範囲は変わらない
ネット試験と統一試験において出題範囲は変わらないため、受験勉強の方針を変更する必要はありません。
商工会議所のウェブサイトに掲載されている出題区分を把握したうえで、学習を進めましょう。
ただし、ネット試験はパソコンで実施されることから、試験の進行や解答方法には慣れておく必要があります。
近年の出題傾向は?精算表が出る?
近年の日商簿記3級の問題は、以下の構成で出題される傾向にあります。
問題構成 | 配点 | |
第1問 | 仕訳(15問) | 45点 |
第2問 | 問1:補助簿・勘定記入、問2:穴埋め形式の理論問題など | 20点 |
第3問 | 決算整理後試算表、精算表、貸借対照表、損益計算書などの作成 | 35点 |
日商簿記3級は、100点満点中70点以上を取れば合格となります。
試験の出題範囲は網羅的に学習する必要がありますが、効率的に合格を目指すなら時間をかけるべきポイントを押さえて対策を進めるのがよいでしょう。

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試算表そのものが出なくても知識として必須
試算表とは、日々の取引を科目ごとに記載した「総勘定元帳」をもとに作成する、各科目の合計や残高を集計した表のことです。
つまり、企業の財務状況を把握するのに用いられる重要な帳票です。
一部では日商簿記3級のネット試験に試算表は出ないといわれていますが、2022年4月1日施行の「商工会議所簿記検定試験出題区分表」では3級の出題範囲に含まれています。
また、「決算整理後残高試算表」としてであれば出題の可能性は十分にあります。
さらに、試算表は問題資料として与えられる機会が多く、精算表などほかの問題を解答する際にも必須の知識です。
試算表を学習することで会計の全体像が把握でき、仕訳帳や総勘定元帳、精算表といった帳簿・資料の関係性もわかるようになるでしょう。

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「出る・出ない」にかかわらず、日商簿記3級試験に合格するためには試算表の知識をしっかりとマスターしておくことが大切です。
日商簿記3級のネット試験対策はどうすればいい?
日商簿記のネット試験を受験するなら、以下2つのポイントを押さえておきましょう。
- インターネット上での解答に慣れる
- 別紙での計算を練習する
順番に解説します。
インターネット上での解答に慣れる
日商簿記3級のネット試験では、テストセンターのパソコンを使ってインターネット上で解答を入力します。
試験本番で慌てないよう、事前にオンラインの講座や問題集を利用し、ネット試験でのパソコンの操作や解答方法に慣れておきましょう。
普段からパソコンで解答を選択・入力していれば、余計なストレスを抱えることなくスムーズに解答できるでしょう。
特に普段あまりパソコンを使わない方は、事前に練習しておくことをおすすめします。
別紙での計算を練習する
統一試験と異なり、パソコンで実施されるネット試験では問題文の近くにメモや計算式を書けません。
ネット試験の会場では、計算用のA4サイズの紙2枚とボールペンが配布されます。
しかし、画面と計算用紙を交互に見ながら問題を解くのは、慣れていないと難しいでしょう。
画面で問題文を見ながらどのように計算用紙を使うか、事前にシミュレーションしておくことが大切です。
普段から問題を解くときに別紙で計算をしていれば、試験当日も落ち着いて臨めるはずです。
日商簿記3級ネット試験の過去問は手に入る?
日商簿記3級の過去問は統一試験・ネット試験ともに非公開であるため、残念ながら手に入りません。
しかし、前述の通り出題内容はある程度決まっているため、通信講座やオンライン講座、市販の模試を利用すれば十分な対策が可能です。
1度解いて終わりではなく繰り返し取り組むことで知識が定着し、頻出問題で着実に得点できるようになるでしょう。
ネット試験での受験を予定しているなら、オンラインで提供されている講座や問題集を利用するのがおすすめです。

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まとめ
本記事では、日商簿記3級のネット試験に試算表の問題は出ないのか、出題傾向や対策も含めて解説しました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
- 日商簿記3級は、統一試験に加えてネット試験でも受験できる
- ネット試験の出題内容は統一試験と変わらない
- 「試算表」は出題区分に盛り込まれているほか、会計の流れを理解するために重要な要素
- 出る・出ないにかかわらず試算表の考え方はマスターしておくべき
- ネット試験を受験するなら、オンライン講座などで操作に慣れておくことが大切
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スキマ時間で効率よく学べるほか、ネット試験に近い形で対策ができます。