行政書士と司法書士の違い|仕事内容・難易度をわかりやすく比較

法律系の資格の中でも、行政書士と司法書士はとくに混同されやすい2つです。

いずれも国家資格であり、法律に関わる専門職として注目されていますが、実は業務内容や試験の難易度・年収などに大きな違いがあります。

自分に合った進路を考えるためには、それぞれの特徴を正しく理解することが不可欠です。

この記事では、行政書士と司法書士の仕事内容や試験制度、収入面などを比較・解説します。

これから資格取得を検討する方は、進路選びのヒントにしてみてください。

行政書士と司法書士の違いは?

行政書士と司法書士は、どちらも法律を扱う「業務独占資格」として国に認められた専門職です。

一言でいうと、行政書士は「官公署に提出する書類と許認可手続きの専門家」、司法書士は「登記をはじめとする法務局・裁判所の手続きの専門家」です。

まずは2つの資格の違いを、仕事内容・試験・働き方のさまざまな観点から一覧表で比較してみましょう。

比較の観点行政書士司法書士
主な仕事官公署(役所)に提出する書類の作成・提出代行、許認可申請、権利義務・事実証明に関する書類の作成不動産や会社の登記・供託の手続き、裁判所に提出する書類の作成
独占業務官公署提出書類や権利義務・事実証明に関する書類の作成登記・供託の手続き代理
裁判所での手続き訴訟代理はできない(特定行政書士は行政への不服申立て手続きに対応可能)認定司法書士は簡易裁判所の訴訟代理が可能(訴額140万円以下)
相談される場面の例飲食店や建設業などの営業許可、遺言書の作成、遺産分割協議書の作成相続した不動産の名義変更(相続登記)、会社設立の登記、成年後見
試験の合格率10〜14%前後4〜5%程度
勉強時間の目安500〜1,000時間程度3,000時間程度
受験資格制限なし(誰でも受験できる)制限なし(誰でも受験できる)
登録先都道府県の行政書士会都道府県の司法書士会

表のとおり、同じ書類の専門家でも提出先が違います。行政書士は市役所や都道府県庁などの官公署、司法書士は法務局や裁判所が主な舞台です。相続を例にすると、遺産分割協議書の作成は行政書士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士に依頼することになります。

試験の面では、合格率や勉強時間の目安を見ても司法書士のほうが難関です。行政書士試験は受験資格がなく科目も比較的絞られているため、法律系資格への最初の挑戦として選ばれることが多くなっています。

許認可や暮らしに身近な手続きを幅広く扱いたいなら行政書士、登記など不動産・会社の手続きを専門にしたいなら司法書士が向いているでしょう。業務が隣り合う資格なので、後述するダブルライセンスとの相性も良い組み合わせです。

それぞれの資格の仕事内容について詳しくは、以下の記事で解説しています。

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行政書士と司法書士の試験範囲の違い

行政書士と司法書士は、試験の難易度も異なります。

行政書士試験の法律科目は、基礎法学・憲法・行政法・民法・商法の5科目です。

対して司法書士試験は、憲法・民法・刑法・商法のほか、不動産登記法や民事訴訟法、商業登記法や供託法など細かい法律が出題されます。

行政書士試験司法書士試験
試験科目
(法律科目のみ)
憲法、行政法、民法、商法憲法、民法、刑法、商法
不動産登記法、商業登記法、供託法、司法書士法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法
試験形式【筆記試験】
5肢択一式
多肢択一式
記述式
【筆記試験】
多肢択一式
記述式
【口述試験】
口述式(個別面接形式)
試験日程11月の筆記試験1日ですべて実施7月の筆記試験の合格者のみ、10月の口述試験を受験可
合格に必要な得点の目安※全体の6割程度全体の7~8割程度
合格率約10~14%約5%

上表からわかるように、司法書士試験には筆記試験のみならず口述試験もあります。

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行政書士と司法書士の試験の難易度

行政書士と司法書士は、どちらも法律を扱う国家資格であり、受験資格に制限がない点や独立開業が可能な点では共通しています。

しかし、試験の難易度には明確な差があります。

近年における行政書士試験の合格率は、10〜14%前後です。

一方で、司法書士試験の合格率は毎年5%前後と非常に低く、国家資格の中でも最難関クラスに位置づけられています。

また、必要な学習時間にも大きな違いがあります。

  • 行政書士試験 500〜1,000時間程度
  • 司法書士試験 3,000時間程度

行政書士試験は「法律を広く学びたい人」や「比較的短期間で資格を取得したい人」に向いていると言えます。

司法書士試験は「法律知識を実務に活かしたい人」や「不動産登記や商業登記など、法的手続きの専門家を目指す人」に適した、高難度の試験と言えるでしょう。

行政書士や司法書士試験の難易度については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

司法書士と行政書士はどっちが稼げる?年収を比較

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」によると、行政書士の平均年収は583万円と紹介されています(令和7年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成された金額)。

また、同じページの「賃金分布(グラフ)※全国のみ」における所定内給与額別の人数割合は、20万円~30万円前半が分布の中心です。40万台、50万円台も以上も一定の割合を占めており、給与額の幅は広いことがわかります。

【参考】職業情報提供サイト「job tag」>「行政書士」

行政書士の年収として見た場合、年収にバラつきがありますが、雇用形態や独立開業の有無など働き方の自由度が高いことや専門分野の違い、業務の幅が広いことなどが要因として考えられます。

一方で、司法書士の平均年収は765万円と紹介されています(令和6年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成された金額)。

所定内給与額は、20万円台から60万円台まで、各10万円台ごとにほぼ均等に分布しています。

【参考】職業情報提供サイト「job tag」>「司法書士」

行政書士と司法書士の平均年収や収入アップのコツについては、以下の記事で確認できます。

行政書士と司法書士はダブルライセンスの相性がよい

業務範囲が近いようで異なる行政書士と司法書士ですが、両方の資格取得を目指す方も増えています。

どちらの資格を取るべきか悩む方もいるのではないでしょうか?

司法書士は試験の難易度が高い一方で、行政書士の方が取り扱える業務の幅は広いといわれています。

ただし、行政書士試験と一部の科目が共通しているため、行政書士試験の学習経験が司法書士試験の勉強に役立つケースもあります。

両方の資格取得を目指す場合は、まずは行政書士資格を取得し、そのあとで司法書士資格も取得するという方法も学習のモチベーションを保て、かつ学習効率もよいのではないでしょうか。

最も大切なことは、合格後に何をやりたいかです。

司法書士の仕事がしたいと決めている方は、試験の難易度にかかわらず司法書士試験から挑戦したほうが、夢の実現までは近道でありモチベーションも保ちやすいでしょう。

まとめ

行政書士と司法書士は、いずれも法律を扱う国家資格でありながら、業務の内容・試験の難易度・年収の傾向などに明確な違いがあります。

どちらを目指すかは、「自分がどんな働き方をしたいのか」「どの分野で活躍したいのか」といった将来像によって変わります。

まずは、それぞれの特徴を正しく理解し、自分に合った学習プランを立ててみましょう。

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