行政書士試験の平均合格率は10%前後です。過去10年の合格率を表にまとめました。
年度 | 受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2023年(令和5年度) | 59,460 | 46,991 | 6,571 | 13.98% |
2022年(令和4年度) | 60,479 | 47,850 | 5,802 | 12.13% |
2021年(令和3年度) | 61,869 | 47,870 | 5,353 | 11.18% |
2020年(令和2年度) | 54,847 | 41,681 | 4,470 | 10.72% |
2019年(令和元年度) | 52,386 | 39,821 | 4,571 | 11.48% |
2018年(平成30年度) | 50,926 | 39,105 | 4,968 | 12.70% |
2017年(平成29年度) | 52,214 | 40,449 | 6,360 | 15.72% |
2016年(平成28年度) | 53,456 | 41,053 | 4,084 | 9.95% |
2015年(平成27年度) | 56,965 | 44,366 | 5,820 | 13.12% |
2014年(平成26年度) | 62,172 | 48,869 | 4,043 | 8.27% |
令和5年度(2023年度)行政書士試験では、46,991名が受験してうち合格したのは6,571名で、合格率は13.98%でした。
行政書士の試験科目は、民法や行政法、憲法、商法など法律系が大半を占め、普段の生活とはなじみのない法律用語をたくさん覚える必要があります。
一念発起して勉強をはじめてみたのはいいものの、専門的な内容について行けず、挫折してしまう人も少なくありません。合格するには、効率的な勉強方法の確立と、幅広い学習範囲を網羅できるだけの勉強時間の確保が不可欠です。
行政書士試験は「法令等科目」および「基礎知識科目」の2科目からなる試験で、基準となる点数を取れば合格できる「絶対評価」の判定方法を採用しています。ここでは細かな合格基準や試験内容についてみていきます。
令和5年度の試験までは「行政書士の業務に関連する一般知識等 」だった科目が令和6年度試験より「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」へと改正されることが令和5年9月28日に発表されました。
▼行政書士試験の合格基準
まずは合格基準について。行政書士試験は、次の要件を全て満たす形で得点を取る必要があります。
法令等科目と基礎知識科目の合格基準点をどちらも満たさなければ、合格することはできません。
また、試験全体で180点以上を取る必要があります。ちなみに、2023年(令和5年度)の試験の合格者平均得点は197点でした。
▼行政書士の試験科目別配点
行政書士試験の試験科目別配点は以下の通りです。
試験科目 | 出題形式 | 問題数 | 配点 | 出題形式ごとの配点 | 試験科目ごとの配点 | |
法令等科目(244点) | 基礎法学 | 5肢択一式 | 2問 | 4点 | 8点 | 8点 |
憲法 | 5肢択一式 | 5問 | 4点 | 20点 | 28点 | |
多肢選択式 | 1問 | 8点 | 8点 | |||
行政法 | 5肢択一式 | 19問 | 4点 | 76点 | 112点 | |
多肢選択式 | 2問 | 8点 | 16点 | |||
記述式 | 1問 | 20点 | 20点 | |||
民法 | 5肢択一式 | 9問 | 4点 | 36点 | 76点 | |
記述式 | 2問 | 20点 | 40点 | |||
商法 | 5肢択一式 | 5問 | 4点 | 20点 | 20点 | |
基礎知識科目(56点) | 一般知識 | 5肢択一式 | 1問以上 | 4点 | 4点以上 | 56点 |
行政書士法等行政書士業務と 密接に関連する諸法令 |
5肢択一式 | 1問以上 | 4点 | 4点以上 | ||
情報通信・個人情報保護 | 5肢択一式 | 1問以上 | 4点 | 4点以上 | ||
文章理解 | 5肢択一式 | 1問以上 | 4点 | 4点以上 | ||
全合計点 | 300点 |
※問題数と配点は試験実施年度ごとに変わる場合があります。当該受験年度の正確な配点を保証するものではないため、あくまで目安として捉えてください。
※「行政書士の業務に関連する一般知識等 」が令和6年度試験より「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」へと改正されることが令和5年9月28日に発表されました。基礎知識の各分野の問題数は未発表となっております。
行政書士試験では、過去問対策をしっかりすれば出題傾向を踏まえた勉強ができますし、民法や行政法などの重点科目を集中的に勉強すれば一発合格もそれほど困難ではありません。
よく出題される科目も分かっていて、なおかつ合格ラインもはっきりしていることから、他の国家資格試験より学習プランが立てやすい側面があります。
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▼試験日はいつ? 資格に有効期限はある?
行政書士の試験日や受験資格、申込方法については以下の通りです。
試験日時 | 毎年11月の第2日曜日 13時〜16時 |
試験方法 | 筆記 |
受験資格 | 年齢・学歴・国籍に関係なく、どなたでも受験可。 |
申込方法 | インターネット、もしくは郵送による申込みの2種類。 |
試験場所 | 日本全国で受験可。毎年7月の第2週に公示される。 |
受験料 | 10,400円 |
資格の有効期限 | なし |
2023年(令和5年度)の申込期間は、郵送では2023年7月24日~2023年8月25日の消印まで有効、インターネットでは2023年7月24日の9時〜2022年8月22日の17時までとなっていました。
郵送とインターネットでは申込期間が異なる点に注意しましょう。
また、資格には有効期限はありません。
行政書士試験の合格率は10%前後で推移しており、合格できるのは約10人に1人という難関試験のひとつです。
決して簡単に合格できる試験というわけではありません。
その一方で、合格点は明確に決まっており、しっかり努力し万全な準備をして臨めば、合格できる資格試験ともいえます。他の法律系の資格と比較すると難易度が低いと言われることもあります。
そこで、ここでは行政書士の合格率だけでなく、他の資格と比較しながら合格の難易度について詳しくご紹介します。
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はじめにそれぞれの合格率と勉強時間の目安について、表にまとめました。
資格 | 合格率 | 勉強時間の目安 |
行政書士 | 9〜10%程度 | 500~1,000時間程度 |
社会保険労務士 | 5〜6%程度 | 500~1,000時間程度 |
宅地建物取引士 | 15〜17%程度 | 200~300時間程度 |
司法書士 | 4〜5%程度 | 3,000時間程度 |
税理士 | 10〜20%程度 | 2~3年程度 |
続いて、行政書士以外のそれぞれの資格について個別に見ていきます。
毎年8月下旬に実施される社労士試験の合格率は5〜6%程度で、500〜1,000時間の勉強時間が必要だと言われています。
また、社労士試験には「4年制大学で一般教養科目を修了」「短期大学を除く大学で62単位以上を修得」「短期大学または高等専門学校卒業」「司法試験予備試験に合格」などの受験資格が設けられており、誰でも受験できるわけではありません。
社労士試験の出題科目は、主にふたつで、「労働保険」と「社会保険」です。その中から全10分野が出題されます。
試験方法は選択式と択一式があり、それぞれ配点は40点、70点の合計110点満点。毎年変動しますが、各科目とも最低得点ラインが決められており、どれかひとつでもそれに達しなければ合格できません。
令和5年度(2023年度)の社労士試験では、42,741名の方が受験し、合格者は2,720名。合格率6.4%という結果でした。
平均合格率は行政書士試験より低く、4%〜6%台で推移しています。平成27年度(2015年度)は合格率2.6%にとどまりました。
受験資格が定められているところを見ても、社労士は国家資格試験の中でも難易度が高いほうと言えます。
ただし、社労士試験も行政書士試験と同じく、合格ラインが設定されており、そこに到達できれば問題ありません。
合格基準は毎年変わるものの、一般的に65%以上の正答率で合格できます。
宅建試験には特定の受験資格は設けられておらず、誰でも受験することができます。
必要な勉強時間は200〜300時間程度と言われています。
なお、宅建試験はすべてマークシート方式で、記述式がないのが特徴です。
その点は行政書士試験と比較して取り組みやすさを感じるかもしれません。
宅建の試験では行政書士試験のように、明確な合格ラインが設定されていません。
合格最低得点は毎年変わり、32〜35点で推移しています。
宅建試験は50点満点ですので、7割以上の得点がおよその目安となります。
令和5年度(2023年度)の宅建試験では、233,276名が受験して合格者は40,025名。合格率は17.2%、合格点は36点でした。
合格率は15%〜17%くらいで、年度の違いで大きな開きは見られません。
試験までに7割正答できるレベルまで持っていければ、合格がかなり近づきます。
試験範囲がかなり広いのが難点ですが、それほど難易度が高い試験ではありませんので、計画的に学習を進めれば確実に合格は近くなります。
司法書士試験の平均合格率は4~5%程度で、必要な勉強時間の目安は3,000時間程度と言われています。
司法書士試験は、「択一式」と「記述式」に分けて行われます。
午前・午後2回にかけて行われる択一式の基準点に達しなければ、記述式に進むことはできません。
つまり、試験の途中である程度振るいにかけて最終的な合格者を決めるのが、司法書士試験の特徴でもあります。
令和5年度(2023年度)における司法書士試験の受験者数は13,372人で、合格者数は695人。合格率は5.20%となりました。
ここ10年間のデータを見ても、合格率が6%を超えた年はありません。
こうした現実的な数字に加え、試験の仕組みや学習範囲、レベルの高さを考えれば、司法書士は行政書士より数段難しい国家資格試験であることがわかると思います。
税理士試験の合格率は年度により多少のバラツキがありますが、10%から20%で推移しています。
必要な勉強時間の目安は1,800〜2,500時間ほどと言われていますが、税理士試験は科目合格制度という特徴があります。
必須科目・選択必須科目・選択科目を計5科目合格すると、税理士として合格となります。
1回の受験で5科目同時に合格することは非常に難しく、多くの場合は年に1~2科目ずつ、数年をかけて最終的な合格を目指します。
科目ごとに必要とされる勉強時間は、必須科目の簿記論で450時間、財務諸表論で450時間です。
選択必須科目である所得税法と法人税法はそれぞれ600時間、そして選択科目は150〜450時間となっています。
また、各科目とも満点の60%が合格基準とされていますが、実際には上位10%から15%が合格する相対評価による試験になっています。
行政書士は宅建より難易度が高いものの、司法書士や社労士、税理士と比べると難易度が低くなっています。
法律系・会計系の資格は非常に取得が難しいものも多く、こうした背景から「(相対的に)他の資格と比べると難易度が低め」と言われています。
しかし、行政書士の試験範囲は広く、合格率も決して高いわけではありません。
確実に合格を目指すのであれば十分な勉強時間を確保し、しっかりとした対策を行う必要があります。
ここでは行政書士試験に合格するために特におすすめの勉強法をピックアップしてご紹介します。
分野 | 形式 | 科目 | 出題数 | 配点 |
法令等 | 択一式 | 基礎法学 | 2問 | 160点 |
憲法 | 5問 | |||
行政法 | 19問 | |||
民法 | 9問 | |||
商法 | 5問 | |||
多肢選択式 | 憲法 | 1問 | 24点 | |
行政法 | 2問 | |||
記述式 | 民法 | 2問 | 60点 | |
行政法 | 1問 | |||
基礎知識 | 択一式 | 一般知識 | 1問以上 | 56点 |
行政書士法等行政書士業務と 密接に関連する諸法令 | 1問以上 | |||
情報通信・個人情報保護法 | 1問以上 | |||
文章理解 | 1問以上 | |||
合計 | 60問 | 300点 |
※「行政書士の業務に関連する一般知識等 」が令和6年度試験より「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」へと改正されることが令和5年9月28日に発表されました。基礎知識の各分野の問題数は未発表となっております。
先述の通り、行政書士試験では法律系の科目に対する理解度が重視されます。
法令等科目の中でも、特に配点が大きいのが、行政法と民法です。
同試験では、法令等科目の満点は244点ですが、行政法(112点)、民法(76点)のふたつで188点にも上り、実に75%以上を占めます。
法令等科目は122点以上の得点が最低条件のため、いかに行政法と民法で高い得点を出すかが合否のカギとなるのです。
反対に言えば、行政法と民法を徹底的に学習し、得意科目にできれば、合格が大きく近づきます。
すべての勉強期間を通して、ふたつの科目に重点的に取り組んでください。
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法令等科目の範囲から出題される記述式では、40字程度の文章を作成して解答しなければなりません。
問題文を読解する力はもちろん、条文をどれだけ深く、正確に理解しているかが問われます。
法律に触れて正しく内容を理解し、過去問を中心に問題を多く解くことが合格への近道と言えるでしょう。
肝心なことは、同じ問題を完璧に近いレベルで理解するまで、何度も解くことです。
苦手分野や分からない問題をひとつでも減らせば、大きな自信につながります。
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先述の通り、行政書士試験合格のための必要な勉強時間は約500〜1,000時間。
独学では、他の勉強方法より質で劣る部分を量でカバーするしかありません。
そのためには「スキマ時間の勉強法」の確立が望まれるでしょう。
通勤・通学時間や何かの待ち時間、あるいは勤務中の休憩時間など、5分、10分でもスキマ時間を見つけて復習に使ったり、条文の確認に充てたりすれば、その積み重ねで大きな学習効果が期待できます。
独学志向であれば、まさに「時は金なり」の姿勢で臨んでください。
行政書士試験は独学で合格する可能性はあるのでしょうか?
ここでは、必要な勉強時間の目安と一緒に解説していきます。
行政書士試験は独学でも十分に合格を目指すことができます。
ただし、合格率10%前後の試験を突破するのは簡単ではありません。
しっかりと計画的に勉強をしていく必要があります。
すでにご紹介した通り、行政書士試験に合格するために必要な勉強時間の目安は約500〜1,000時間。
仮に1年間で1,000時間勉強するとすれば1日に2.7〜3時間を確保する必要があります。
そのため、仕事などをしながら行政書士試験の合格を目指すのであれば少なくとも1年、勉強だけに専念することができる方でも半年前には勉強をスタートするべきでしょう。
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行政書士の年収に関しては統計が取られたことがなく、公式なデータはありません。
一般的には約500〜600万円が平均年収と言われていますが、実際には年収300万円未満〜1,000万円以上と金額に幅があります。
行政書士の年収にバラつきがあるのは、業務の幅が広く、働き方の自由度も高いためだと考えられます。
社労士もしくは司法書士を目指す過程のステップとして、行政書士試験に挑戦する方も少なくありません。
行政書士は1万種類以上の書類を扱える書類作成の専門家ですが、独占業務を持たない点を補強するために、司法書士や社会保険労務士を取得して差別化を図るケースも目立ちます。
行政書士は司法書士と同じく、法律系の資格であり、試験範囲で民法や憲法、商法などの科目が重複します。
いきなり難易度の高い司法書士試験を狙うより、比較的勉強しやすい行政書士試験の勉強からはじめて段階を踏んでいけば、予行演習になると同時に知識もスムーズに習得できるのではないでしょうか。
ここまで行政書士試験の難易度や合格するために必要な勉強時間、勉強方法などについて詳しくご紹介してきました。
それでは重要なポイントをおさらいしておきましょう。
行政書士試験は決して簡単な試験ではないので、しっかりとした対策が必要です。
資格取得を目指す人には、「スタディング 行政書士講座」をおすすめします。通勤時間や家事の合間など、スキマ時間を活用しながら勉強することができるシステムと、短時間で合格するための効率的な勉強カリキュラムを用意しています。
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行政書士の仕事や試験に関する情報は以下の記事で詳しくご紹介しています。