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過去問から見る行政書士試験
短期合格に向けた各科目別傾向と対策


行政書士試験は科目数が多いですが、短期合格のためにはそれぞれの科目でどのような対策をすればよいでしょうか。
行政書士試験の合格に向け効率よく学習を進めるには、配点の高い行政法・民法に多く時間を割くことを基本方針として、科目特性に応じて条文、過去問判例等の学習をバランスよく行うことが大事です。本記事では、それぞれの科目の傾向と対策についてお答えします。


はじめに ~学習の基本方針

行政書士試験の配点をおさらいすると、「法令等科目(244点満点)」と「一般知識等科目(56点満点)」があり、前者を122点以上、後者を24点以上それぞれ得点し、さらに合計で180点以上得点することが合格の条件です。

法令等科目の中でも行政法(112点満点)と民法(76点満点)は、特に配点が大きく、この2科目でしっかり得点できることが合格の必達目標です。

もっとも、行政法と民法で大きく得点できても、他の科目がさっぱりでは、リスクも高く、また実務でも困るでしょう。 そこで、行政法・民法はもちろん、他の科目についても試験問題の傾向を分析し、効率的に点が取れるようになるための対策を考えてみましょう。


法令科目

基礎法学

基礎法学の出題傾向

例年、「5肢択一式」で2問、計8点の配点で出題されています。

出題内容としては、日本の裁判制度(平成23年度)、司法制度改革(平成25度)、判決・決定・命令の区別(平成27年度)など、法律の内容そのものというよりは、日本の司法がどのように運用されているかといった、法律の周辺知識が問われる傾向にあります。有名判例の判決文の穴埋めが出たこともあります(平成28年度)。

基礎法学の対策

行政書士試験の基礎法学では、大学で法律を学んだ人でも知らない知識が問われることも多く、その割には配点が低いので、過剰に時間を使い、対策をすることはあまり得策ではありません。

一般的な参考書に乗っている知識を身につけた上で、過去問を確実に解けるようにしましょう。その後は、模試や予想問題を使っての対策だけで十分といえます。


憲法

憲法の出題傾向

例年、「5肢択一式」で5問、「多肢選択式」で1問出題されています。配点は計28点と、後述の商法より少し多い程度です。

しかし、商法よりも学習内容的には取り組みやすいというところもあり、初学者でも点数が伸びやすい傾向にあります。したがって、憲法はある程度、力を入れて対策する必要があります。

憲法の対策

人権については、プライバシー(平成23・26・28年度)、信教の自由(平成28年度)、労働基本権(平成24年度)など様々な権利について幅広く出題されています。

したがって、過去問を解けるようにすることはもちろんのこと、過去問に出ていない判例についても、知識として頭に入れることが重要です。

また、判例については判決文要約の並び替え(平成26度)など、意表を突いた形式の出題がされたこともあります。

そのため、判例を読む際には、「憲法違反が認められたか、認められなかったか」という結論部分だけではなく、「どういう論理でその結論に達したか」まで突き詰めて頭に入れておく必要があります。

統治機構については、議員の権能(平成25年度)、内閣(平成26年度)など憲法の条文知識がそのまま出されることも少なくありません。
そのため、条文を音読して知識として暗記することも有効な対策です。憲法の条文数はわずか103条ほどなので、音読にもさほど時間はかかりません。


行政法

行政法の出題傾向

例年、「5肢択一式」で19問、「多肢選択式」で2問、「記述式」で1問出題されています。配点は112点と全科目中最大であり、この行政法で合格レベルに達する点を取れることが合格の必要条件といえます。

行政法の出題範囲を細分化すると、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法などに分けられます。そもそもの出題数が多いため、いずれの法律も毎年最低1問は出題されると考えておくのがよいでしょう。したがって、まんべんなく学習する必要があります。

行政法の対策

過去問を見ると、特に行政手続法、行政不服審査法、地方自治法においては、条文知識をそのまま問われている設問が多く、これらには条文素読が有効です。もっとも、行政法の条文は非常に抽象的なので、最初に音読して暗記しようとしても、理解が伴わずにほとんど頭に残らないおそれがあります。そこで、まずは行政法について体系的に説明している教科書や予備校テキストを読んで、「なぜその法律が必要なのか」「その条文はどんな場合に適用され(要件)、どういう形で事案の解決をもたらしてくれるのか(効果)」などを理解してください。

その後で条文を音読すると、試験本番で思い出せる知識として、頭に残ってくれます。「理解を伴った暗記」でなければ、試験本番では役に立たないと考えてください。

一方で、行政事件訴訟法や国家賠償法では、判例の趣旨に照らし正しいもの(誤っているもの)を選ばせる設問が目立ちます。これについても、行政法について体系的に説明しているテキストを読んだ後で、判例集などを読んで知識として頭に入れることが重要です。その上で過去問を解くと、出題される判例がある程度絞り込めるので、その判例を重点的に学習すれば、高得点も狙えるようになるでしょう。


民法

民法の出題傾向

例年、「5肢択一式」で9問、「記述式」で2問出題されています。配点は76点と行政法に次いで多く、この科目で合格レベルの点数を取ることも、行政書士試験合格の必要条件といえます。

民法は条文数が1044条(32条の2など枝番号の条文もあるので実際には1044条より多い)と非常に多く、学習内容は膨大です。また、私人間の権利義務関係を規律するもっとも基本的な法律という特性上、勉強する上で具体的な事例がいくらでも出てくる法律でもあります。

そうすると勉強を進めていくうえで、「○○の場合はこうだけど、△△の場合はどうなるんだろう?」「××の場合は?」というようにどんどん深みにハマっていき、試験にはおよそ出てこないような、重箱の隅をつつくような勉強をしてしまいがちな科目でもあります。

民法の対策

民法は記述式が2問出題されていることや、A,B,Cといった具体的な人物が登場する事例問題が複数出題されるのが、民法の科目特性です。そのため条文や判例を単一の知識として暗記するだけでは正答を導けません。①条文や判例を理解したうえで、②具体的な事例を把握し、③適用すべき条文や判例を思い起こして(事例によっては判例と同じようには適用できない場合もあります)、④妥当な結論を導く、という一連のプロセスを意識した学習が必要になります。こうした一連のプロセスは過去問や予想問題集といった事例演習によってのみ実践できるので、ある程度知識のインプットを終えたら、アウトプットとしてこれらの事例問題に積極的に取り組むようにしてください。


商法

商法の出題傾向

例年、「5肢択一式」が5問出題されます。配点は20点とそう高くはありません。しかし、全問間違うことはもったいないので何としても避けたいところです。

商法は、特に初学者にとって、とっつきにくい科目であるにもかかわらず、配点が低いので得点効率が悪く、学習を後回にされがちです。まったくしないで試験に臨む方も少なくないほどです。

商法の対策

商法が敬遠されがちな理由としては、条文が1000条近くあることや、株式会社の仕組みや運用のイメージがつかみにくいことなどが考えられます。しかし、株式会社の設立手続(平成28・27・26・24・23年度)、取締役に関する問題(平成25・23年度)など、過去問を分析すれば複数回出題されている分野が絞り込めるので、そこに集中して勉強をするのも一つの手段です。 (※株式会社の設立手続がほとんど毎年のように出ている理由は、行政書士が会社の定款や発起人議事録の作成など、会社設立に関する仕事を業務範囲としていることも関係していると考えられます。)


一般知識

政治・経済・社会の出題傾向と対策

世界各国の政治体制(平成23年度)、日本の戦後復興期の経済(平成28年度)など多種多様な出題されます。政治・経済・社会のカテゴリに限定されているかと思えば、日本の島(平成27年度)など高校の地理のような問題も出題されたこともあり、出題される問題を絞り込むことは不可能です。

そのため、過去問や予想問題など、机に向かってペンを走らせる形での学習が点数に結びつく可能性は低いかもしれません。

しかし、対策がまったくないかというと、そんなことはありません。ここは発想を変えて、日常生活の中に試験対策を溶け込ませるのです。具体的には、新聞を読む習慣をつける、分からない言葉があったらスマホなどで調べるようにする、などです。


情報通信・個人情報保護の出題傾向と対策

情報通信と個人情報保護は、一般知識等のカテゴリに含まれていながら、「個人情報の保護に関する法律」「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」「公文書管理法」といった具体的な法律からの出題が多数あります。

したがって、法令等科目同様、条文を音読して、条文ごとの目的や趣旨、要件や効果を抑えておくことが何よりの対策になります。

こうした具体的な法律からの出題が多いということは、一般知識等科目の中で情報通信・個人情報保護がもっとも対策しやすく、勉強が得点に結びつきやすいということを意味します。したがって一般知識等科目の対策時間の多くは、この情報通信・個人情報保護に充てるようにしてください。


文章理解の出題傾向と対策

受験生が対策に迷う科目です。過去に出題された問題が著作権の関係で過去問集やインターネットに載っていないことが多く、出題される問題文を予測することも不可能だからです。

もっとも、出題の形式はある程度決まっています。要旨把握、空語補充、並び替えです。

要旨把握の対策

まず要旨把握は文章を読ませて、その要約としてもっとも適したもの(適していないもの)を選ばせるものです。一文一文を読み下していくごとに、その文が筆者の主張であるか、そうでないかを区別していくことで、要約に使える要素を含んだ文を選び取っていきましょう。

空語補充の対策

次に空語補充は接続詞などを穴埋めさせるものです。接続詞にはそれぞれ役割があります。「しかし」であれば前の文と反対の事柄や主張を述べる際に使いますし、「また」なら前の主張と並列的な主張や、前の主張の補強を行う際に使います。前の文と後の文で言っていることが同じか異なるか、異なるならどう異なるかを意識して文章を読むようにしてください。

並び替えの対策

そして、並び替えは文章をバラバラにしたものを正しい順番に並び替えさせるものです。何より大事なのは、先頭に来る文と最後に来る文を確定してしまうことです。選択肢から絞り込めることもありますが、基本的には接続詞を含まない文が最初になります。先頭と最後を確定すれば、あとは論理の流れとして正しいものを選べば、正解にたどり着くことができます。


おわりに ~正しい方向性での学習の大切さ

行政書士試験の何よりも怖いところは、法律や政治経済社会というものは勉強しようと思えばそれこそ無限に勉強できてしまう、という点にあります。

そのため、勉強の方向性を間違えてしまうと、試験にはおよそ出てこないような、重箱の隅をつつくような勉強にハマってしまうことがあります。合格者よりはるかに勉強量をこなしているのに、いつまで経っても合格できないという泥沼に陥ってしまうおそれがあるのです。

今回ご紹介した「傾向と対策」をご自身でしっかり噛み砕いて理解し、正しい方向性での勉強を心がけましょう。

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