行政書士補助者は、主に大手の行政書士事務所や行政書士法人などに勤務しています。アルバイト・パート・正社員など、勤務形態はさまざまです。行政書士補助者として業務に従事するには、「補助者証」を身に付ける必要があり、ほかの一般事務スタッフとは明確に区別されます。
日本行政書士会連合会は、「行政書士会補助者規則(準則)」を打ち出して、補助者雇用のルールを細かく定めています。
以下、要約をまとめます。
行政書士補助者になるには行政書士の資格は必要ありません。ただし、行政書士補助者として仕事をする場合、補助者証を携帯することが求められます。
補助者証は雇用主となる行政書士が、所属する都道府県の行政書士会に登録申請を済ませて用意するため、補助者自身が手続きをすることはありません。
行政書士補助者の仕事は、雇用主である行政書士のサポート全般です。つまり、許認可申請・事実証明・権利義務関係の書類作成補助が主です。
そのほか、事務所での顧客対応や、官公署への請求業務なども任されることもあります。
行政書士が取り扱う書類のジャンルはさまざまです。雇用先の行政書士事務所のサービス内容や得意分野によって、補助者が担当する書類作成補助の内容も異なるでしょう。
たとえば、外国人の帰化申請や永住権取得などを得意とする事務所では、これらに関する書類作成サポートが中心となるはずです。
そのほかにも、法人設立や個人タクシー事業者の許可申請、遺言書作成、遺産分割協議書作成など、行政書士事務所の専門性に合わせて補助者の仕事内容が決定します。
補助者が行う業務は、すべて上司である行政書士の指導・監督のもとで進められます。補助者の意向や独断が許されないのはもちろん、補助者証を持たない一般事務のスタッフに同様の仕事を依頼することも認められません。
行政書士補助者になるためには、下記の書類が必要となります。
▼必要書類
行政書士補助者はこれらの書類を雇用主となる行政書士へ提出します。そして、行政書士事務所はこれらの書類を所属する都道府県の行政書士会に提出・登録申請をすれば手続き完了です。
行政書士補助者を辞める場合、補助者解職届1部を行政書士会に提出し、補助者証を返還します。注意が必要なのは、補助者証の有効期間は最初の発行の日から2年、以降5年更新と定められていることです。
有効期間中に更新しないと業務を行えなくなってしまうので、気を付けましょう。
行政書士補助者になれない人について、5つの欠格事由が定められています。
▼行政書士補助者の欠格事由
まずは自身が欠格事由に当てはまらないか、事前に確認しましょう。
行政書士補助者は、行政書士のサポート全般が主な仕事です。業務を円滑に行うために、具体的にどのようなスキルが必要か解説します。
行政書士補助者に必要なスキル1つ目は、事務処理スキルです。
書類作成にはExcelやWordを使用することが多いため、PCのExcelやWordによる事務処理などが行えるスキルが必要です。
基本操作を理解しておくことはもちろん、効率を上げるためにショートカットキーなどを用いて速く処理するスキルを身に付けておくことが大切です。
行政書士補助者に必要なスキル2つ目は、コミュニケーションスキルです。
書類作成を行うために、顧客とのやりとりや官公署への書類請求などでコミュニケーションをとる場面が多々あります。法律の知識が無い人に対してわかりやすく説明したり、専門的な知識を用いた官公署とのやりとりを行ったりと、スムーズに業務を遂行できるよう日々知識と経験を身に付けていくことが大切です。
行政書士補助者に必要なスキル3つ目は、運転免許です。
官公署に書類を代理提出しに行ったり、顧客の元へ出向いて直接書類を渡しに行ったりと、外出する業務を任されることもあるので、車の運転はほぼ必須です。中には求人の段階で応募条件として「運転免許証を持っていることが望ましい」としている行政書士事務所もあります。
行政書士補助者が働くのは、行政書士事務所です。
行政書士事務所は個人、もしくは2〜3名の少人数で経営している場合が多いことが特徴です。雇用形態は正社員もしくはアルバイトとして採用されることが多くみられます。少数精鋭で業務に取り組むため、最後まで責任を持って業務を行うことができる人や裁量を持って仕事をしていきたい人が向いている環境だといえます。
行政書士が補助者を雇用する場合、所属する都道府県の行政書士会に登録申請を済ませる必要があります。
申請を受けた同会は、行政書士事務所に「補助者証」を発行。それが補助者の身分証明書となります。官公署に出向いて必要書類の交付を求める際は、補助者証を提示しなければなりません。
行政書士補助者は、勤務中は常にこの補助者証を携帯する必要があります。補助者証があることで、役所の職員や顧客が安心して書類を提出したり、請求を受けたりすることができるのです。
行政書士補助者は、補助者徽章を身につけて職務に当たらなければなりません。
行政書士の徽章は秋桜(コスモス)の花弁が描かれ、真ん中に篆書体で「行」の文字が彫られていますが、補助者の徽章には補助者の「補」の文字が彫られています。
また、行政書士の徽章が金色であるのに対し、補助者の徽章は銀色です。一目見ただけで、行政書士と補助者の区別がわかりやすくデザインされています。
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行政書士補助者の募集情報は、行政書士事務所のホームページやインターネットの求人ウェブサイトなどでみつけられます。
行政書士試験に向けて勉学に励んでいる受験予定者、あるいは行政書士として独立開業を目指す方にとって、補助者という働き方は魅力的でしょう。
行政書士事務所に勤務すれば、さまざまな書類の作成実務が学べると同時に、業界用語などにも詳しくなれるメリットがあります。この経験は、資格取得後のスタートアップに生かされるはずです。
また、行政書士の経営を間近でみることでノウハウを学べるとともに、官公署職員との関係構築、コミュニケーションの取り方など現場ならではの経験・知識が獲得できるでしょう。
興味のある方は、ぜひ独立開業に役立つことがたくさん吸収できる行政書士補助者に立候補してみてはいかがでしょうか。
今回取り上げた行政書士補助者の業務範囲について、最後にポイントをおさらいしておきましょう。
行政書士補助者として従事する場合、行政書士資格は必要ありません。
しかし「将来的に行政書士の業務を行いたい」「行政書士として独立開業したい」と考えているなら、行政書士資格の取得は必須です。
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