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行政書士資格を就職・転職にどう活かす?事務所勤務編

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行政書士は就職先がないって本当?

行政書士の資格を取りたい、もしくは取ろうか迷っている方が気になるのは、資格取得後の就職状況です。行政書士として独立開業を考えている方も、一旦就職して人脈やスキルを磨きたいと考えている方もいらっしゃると思います。

結論から言うと、行政書士の求人は一般企業の求人と比べると少ないのが現実です。ただし、仕事が無いという意味ではなく、行政書士という仕事の特徴が大きく関わっています。具体的にその理由を2つ解説します。

一般企業で行政書士として雇ってもらえないから

行政書士の資格取得後、行政書士として仕事をするには、各都道府県の行政書士会に登録する必要があります。ここで注意が必要なのは、行政書士会に登録するには以下の4属性のみという条件です。

  • 個人開業
  • 行政書士法人の社員
  • 行政書士の使用人
  • 行政書士法人の使用人


大手・一般企業に勤めている場合、行政書士会に登録できないため企業内の行政書士として仕事をすることができません。

【参考】日本行政書士会連合会

行政書士の事務所は個人開業が多いから

行政書士は個人で独立開業できるという特徴から、個人で独立開業する方も多い資格です。その結果、事務所は数あれど、あまり他の行政書士を雇いたがらない傾向があります。

対策としては、雇いたくなる人材になることです。例えば行政書士以外の知識も身に付け、経験を積んでいく中で自分のアピールポイントを増やすことが大切です。

行政書士未経験者が資格を活かせる主な就職先

行政書士の求人は少ないと説明しましたが、デメリットばかりではありません。次に行政書士の資格を取得し、実務未経験の方が就職するには主にどのような場所があるのかを解説します。

就職先に応じて、行政書士の資格をどのようにアピールできるのかも合わせて解説するので参考にしてみて下さい。

法務事務所

法務事務所とは、行政書士などの弁護士以外の法務関係者が開業する事務所の名称としてポピュラーなものです。

(※法「律」事務所とよく混同されがちですが、法律事務所の名称は弁護士資格の独占であり、行政書士や司法書士の事務所に法律事務所という名称を付すことはできません。)

【参考】弁護士法第74条


自身は開業せず法務事務所で働く行政書士としては、「使用人行政書士」という働き方があります。

使用人行政書士とは、行政書士会に登録をするものの、自ら開業せず事務所に雇用されて働く行政書士のことです。行政書士会への登録費用などの負担はかかりますが、開業行政書士とは異なり事務所経費や経営状況をあまり気にすることなく働ける点が魅力です。

しかし、開業行政書士と同じ業務に従事することが求められる以上、事務処理の速さや正確さといった実務スキル、あるいはそのポテンシャルを備えた人間が望ましいことはいうまでもありません。


そこで、同じ行政書士試験の合格者であっても、「択一式の点数だけで合格基準点を突破した」あるいは「記述式問題で高得点を取った」ことなどを、具体的な点数を出してアピールすることは十分に可能でしょう。

もちろん、使用人行政書士ではなく普通のスタッフとして就職を希望する際にも、行政書士資格は有利に働きます。

また、一度社会に出てから行政書士資格を得た人も、例えば「営業経験」≒「交渉力がある」、や、「税務部門出身」≒「会社の事務処理や業務フローへの理解」が評価され、活躍の幅が広がることもあります。

【あわせて読みたい】行政書士と相性のいい資格って何?

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弁護士事務所

当然ながら弁護士の業務をする訳ではありませんが、いわゆるパラリーガル(法律事務員)としての勤務になります。

普通の法律事務所職員は、主に電話応対や裁判所への書類提出などのおつかい業務を仕事とすることが多いです(もちろんこうした業務をパラリーガルがやることもあります)。これに対してパラリーガルは、弁護士の指示を受けて事件の関係法令や判例を調査したり、契約書や書証といった各種法律文書の作成や校閲などの業務に従事する職業です。

法令や判例に触れる仕事である以上、事件に関係する法令や類似の判例を調査してまとめなおすなど、「法律を扱う能力」にある程度習熟していることが求められます。

行政書士試験は著名判例や条文を相当程度理解していなければ合格はできません。多くの法令や判例に触れるパラリーガルの仕事において、著名判例や条文を理解していることは、逐一調べる時間を短縮させ、作業効率を底上げするポテンシャルを備えていることを意味します。

また、単に法学部を出ただけではこうした能力を身につけたとは言いがたいのが現状です。その意味で、行政書士資格を有していることは、普通の法学部卒業生と圧倒的な差が生まれており、パラリーガルとして必要な能力を自分が身につけていることのアピールになるでしょう。

【あわせて読みたい】行政書士と弁護士って何が違うの?

一般企業の法務部

まずはじめに、インハウス(企業内)の行政書士は認められていません。すなわち、行政書士として企業に雇われ、企業内で行政書士としての業務を行うことはできないのです(ただ、勤務先が良いというのであれば、個人が自宅で行政書士をやりながら勤務先の仕事をするのは差しつかえありません。しかも、勤務先から出た業務を行政書士の名において請け負ってすることはやぶさかではありません。要は勤務先の会社名ではできないということを意味しています。例えば、行政書士として自宅を事務所にしながら建設会社に勤め、建設業許可申請を個人で請け負って代理申請して、毎月の給料とは別に行政書士としての報酬を頂くことは良いわけです)。

そのため行政書士資格を活かして一般企業に勤める際には、資格はあくまで自己アピールや配属希望の補強材料として活かす形になります。

一般企業が直面する法律問題というと、憲法や行政法といった公法系科目より、民法や商法といった私法系科目が中心になります。

行政書士試験でそれら私法系科目で高得点を取ったのであればそれをアピールすることもいいかもしれません。法務部のある企業であれば、それらをアピールすることで法務部勤務への道が開けるかもしれません。

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行政書士資格は就職に有利?

行政書士試験合格の実績や、資格の保有は、一般企業へのアピールとしても有効です。

一定の法律知識をもっていると評価する企業も多数ありますので、法務部、総務部などへの転職、就職、キャリアアップの可能性が広がります。また、企業に勤めながら、安定した環境でステップアップしていくことも期待できます。

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行政書士資格を有利に働かせる方法とは?

行政書士の資格を取得できたとしても、ただ持っていれば有利に働くわけではありません。

行政書士としての仕事に就く訳ではなく、法人に就職し、組織内で法律の専門家として活躍する人も、実は数多くいます。

その際、単に資格保有欄に「行政書士資格保有」と書くだけでは、せっかく頑張って取得しても勿体無いです。

大切なのは、①行政書士がどのような資格で、②それを備えた自分にはどのような能力が備わっているのか③それが企業にどう役に立つのか、これらを自分の言葉で説明できるようになることです。

そして、①②③をどう説明するかは、就職・転職先の仕事内容によって異なってきます。そこで以下では、行政書士有資格者の就職・転職先としてポピュラーなものをいくつか挙げていくので、自己アピールの方法について考えていきましょう。

行政書士の就職先を選ぶポイント

「行政書士の就職先が少ないならたくさん応募すればいい」と考えている場合には注意が必要です。ところ構わず応募すると、労働環境の悪い事務所に当たってしまうことがあります。

労働環境が悪く、経験も積めないという悲劇が起こらないように、就職先を選ぶときに大切なポイントについて解説します。

報酬の高さに惑わされない

行政書士に限ったことではありませんが、報酬の高さだけで就職先を選んでしまうのは非常に危険です。もちろん、報酬を高く設定している事務所の中には、業績が安定して伸びているため優秀な人材を雇いたいと考えている事務所もあります。

一方で、社員がすぐに退職してしまうなど何らかの事情があり、高額の報酬で人材を確保せざるを得ない事務所もあるので、面接の際に必ず社内の雰囲気を確認するようにしましょう。

やりたい仕事内容を明確にしておく

行政書士の仕事は幅広いため、自分が将来どのような分野で活躍したいのかを、応募前に明確にすることが重要です。遺言・相続、許認可申請、中小企業支援など具体的にやりたい業務を棚卸ししておくことで、人材を募集している事務所との相性も見えてきます。

また、未来はどのように変わっていくのか、どのような業界が成長していくのか、社会全体のことを見据えてキャリアプランを立てることが大切です。

【まとめて読みたい】行政書士資格をどう活かす? 独立・開業編

まとめ

  • 行政書士は「求人が少ない」「就職できない」という噂があるが、一般企業よりは少ないのが現状

  • 行政書士未経験者の就職先として、法務事務所や弁護士事務所、一般企業の法務部などが挙げられる

  • 行政書士資格は法律知識があることをアピールできるため、就職や転職、キャリアアップの可能性を広げられる

  • 就職先を選ぶ時は、やりたい仕事内容を明確にすることが重要

このように行政書士資格の取得は、独立開業に役立つだけでなく、就職・転職の際にもアピールすることができます。しかし、ただ資格欄に書くだけで採用の決め手になるという保証はありません。職業、職種のニーズに合わせて、①行政書士がどのような資格で、②それを備えた自分にはどのような能力が備わっているのか③それが企業にどう役に立つのかを上手にアピールしていくことで、法律を取り扱う様々な職業への道が開けます。


ここに紹介した職業以外にも行政書士資格を上手くアピールできる職業が見つかるかもしれません。

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