
「行政書士業界で活躍している女性はどれくらいいるんだろう?」
「女性は行政書士として活躍できるのかな?」
結論から言うと、現在行政書士業界において活躍する女性の比率は決して高くはありません。しかし、今後は増加していく傾向にあると予測できます。
本記事では、女性行政書士の割合について複数のデータから現状と今後について考察し、女性が行政書士として働くことのメリットや魅力について解説します。
女性行政書士の割合はどのくらい?
まず、行政書士業界における女性の比率やその傾向を最新のデータから確認していきましょう。以下2つの指標から考察していきます。
- 登録者から見る女性の割合
- 受験者・合格者から見る女性の割合
登録者から見る女性の割合
行政書士登録者のうち女性の割合は15%程度と決して多いとは言えません。
月刊日本行政2024年1月号によると、令和5年11月末日時点で行政書士登録している人数は52,060 名( 男性 43,762 名、 女性 8,298 名)。2024年現在、業界で実際に活躍している女性行政書士の比率は高くないことがわかります。
受験者・合格者から見る女性の割合
近年の行政書士試験の受験者数、合格者数の推移は以下の通りです。
| 受験者数 | (内女性) | 女性の割合 | 合格者数 | (内女性) | 女性の割合 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和5年 |
46,991 人 |
15,351 人 |
32.7% |
6,571 人 |
1,935 人 |
29.4% |
| 令和4年 |
47,850 人 |
15,223 人 |
31.8% |
5,802 人 |
1,506 人 |
26.0% |
| 令和3年 |
47,870人 |
14,737人 |
30.8% |
5,353人 |
1,453人 |
27.1% |
| 令和2年 |
41,681人 |
12,115人 |
29.1% |
4,470人 |
1,182人 |
26.4% |
| 令和元年 |
39,821人 |
11,349人 |
28.5% |
4,571人 |
1,066人 |
23.3% |
受験者、合格者ともに男性の比率の方が高いですが、女性の比率が年々高まっているのがわかります。今後も女性の受験者、合格者は増えていく傾向にあると予測できます。
行政書士の主な仕事内容
行政書士の業務は多岐にわたり、書類作成、手続代理、相談業務が中心です。それぞれの業務内容を詳しく解説します。
書類作成業務
行政書士の主な書類作成業務は以下の通りです。
- 官公署に提出する書類の作成
- その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成
- 許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について官公署に提出する書類の作成(※特定行政書士法定研修を修了した特定行政書士のみ可能)
- 契約その他に関する書類を代理人として作成すること
行政書士が作成できる書類の種類は1万以上もあります。
手続代理業務
行政書士の主な手続代理業務は以下の通りです。
- 官公署に提出する書類の提出手続の代理
- 許認可等に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続、その他の意見陳述のための手続の代理
- 許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続の代理(※特定行政書士法定研修を修了した特定行政書士のみ可能)
このように、行政書士は行政手続きにおける専門家として代理業務を行うことができます。
相談業務
行政書士の相談業務とは、行政書士が作成できる書類の作成について相談に応じることです。
顧客と話し合って信頼関係を築きつつ、適切なアドバイスを行う必要があります。
争いのない範囲であれば、行政書士は市民にとって気軽に相談しやすい相手です。
不服申立て手続き(特定行政書士のみ)
平成26年に行政書士法が改正されたことによって、行政書士が可能な業務の幅が広がりました。
それが行政庁などの許認可への不服申し立て手続きです。
この業務を行うためには各都道府県で行われている4日間の研修に参加して試験に合格し、特定行政書士の認定を受ける必要があります。
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行政書士資格が女性におすすめな理由
行政書士資格は女性におすすめできる資格の1つです。主な理由を4つ解説します。
- 受験資格に制限がない
- 一度取得すると一生有効
- 独立開業しやすい
- 女性行政書士に需要がある
受験資格に制限がない
行政書士試験には受験資格に年齢や回数の制限がありません。
受験にあたって何らかの資格も必要ないため、好きな年に受けられます。
仮に合格できなくても、翌年度以降再チャレンジが可能です。
そのため時間を作って短期集中でも、仕事や家庭で忙しい中で少しずつ自分のペースで学習を進めても大丈夫です。
自分に合ったスタイルで資格取得を目指すことができます。
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一度取得すると一生有効
行政書士の資格に有効期限はありません。一度試験に合格するとその資格は生涯有効で、何年後、何十年後でも行政書士登録が可能です。
そのため、
- 子育てしながら少しずつ学習して資格取得→子育てが落ち着いたら資格登録
- 働きながら学習して資格取得→第二の人生として資格登録
など、試験に合格しておくことでライフステージによって望ましいと思える柔軟な働き方を可能にできます。
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独立開業しやすい
行政書士は独立開業がしやすい職種の1つと言えます。
そして独立開業した場合、自ら事務所を経営することになるためどのように働くか自分の裁量で決められます。
例えば、一人でひたすら仕事を取ってプレーヤーとして稼ぐこともできれば、事務員や他の行政書士を雇用して経営に徹する選択肢も選べます。
もしくは逆に稼働を絞り、家事・子育てと両立しながら事務所経営できるというのも女性にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
会社員であれば稼働時間の調整にも限界がありますが、自分で事務所を経営している場合はいつ、どのくらい働くのかも自由であるため、融通のきくワークスタイルが実現できると言えます。
女性行政書士に需要がある
今後増えていくであろう女性行政書士は、女性の資格者であることが強みになるようなことも期待されます。
例えば、家庭環境などナイーブな問題を抱えている依頼者の場合、「女性の方が相談しやすい」といった需要もあるでしょう。
行政書士の業務内容は非常に多岐にわたるため、中には女性依頼者から需要の高い業務も想定されます。「同性の方が相談しやすい」という要望に応えられるのも、現在は少数派である女性行政書士の強みと言えます。
また、行政書士業務全般として女性ならではの細やかな気遣いが業務に活かされ、付加価値として強みになっていくようなケースも想定されるかもしれません。
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女性が行政書士として働くデメリット
女性が行政書士として働くことのメリットは多いですが、一方でデメリットもあります。主なデメリットを3つ紹介します。
- 官公署や顧客回りなど体力を使う業務もある
- 自分から積極的に営業する必要がある
- 行政書士の業務が最優先である
官公署や顧客回りなど体力を使う業務もある
行政書士の仕事はデスクワークが多いイメージがあるかもしれませんが、意外に外回りが多く体力勝負の仕事でもあります。
例えば、行政書士の主要な業務の1つである官公署への書類提出業務は、平日の日中に官公署に直接出向く必要のある業務です。また、顧客との打ち合わせに際しても、顧客の自宅やオフィスに出向くようなケースも多く想定されます。
デスクワークメインの働き方を思い描いている場合、注意が必要です。
自分から積極的に営業する必要がある
独立開業した場合、自ら積極的に営業をし、顧客を獲得していく必要があります。
獲得した顧客から依頼された行政書士業務に最優先で取り組む傍ら、ホームページの更新やSNSでの更新などによる集客、案件の募集、時には自ら見込み客のところに出向いて営業活動を行わなければならないこともあります。
特にスタッフも雇わずに一人で開業した場合、これらすべてのことを並行して一人でこなさなければならず、行政書士としての能力はもちろんのこと、営業力、仕事をマルチタスクでこなす処理能力など様々な能力が必要です。
事務所を経営していくために積極的な営業活動が必要な点も、行政書士として働くデメリットと言えるでしょう。
行政書士の業務が最優先である
行政書士の業務では急いで申請しなければならない書類の作成・提出や、時には顧客からの突然の要請に対応するようなケースも想定されます。
独立開業することである程度自分の裁量で働き方を決められるのが行政書士のメリットの1つですが、顧客あっての仕事である以上、時には顧客最優先で緊急で動かなければなりません。
必ずしも家事や子育てを最優先にできるとは限らないため、注意が必要です。
女性行政書士の平均年収は?
女性行政書士のみに限った平均年収の公的統計は、現時点では公開されていません。
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」によると、行政書士の平均年収は591万円と紹介されています(令和6年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成された金額)。
また、同じページの「賃金分布(グラフ)※全国のみ」における所定内給与額別の人数割合は、20万円~30万円前半が分布の中心です。40万台、50万円台も以上も一定の割合を占めており、給与額の幅は広いことがわかります。
【参考】職業情報提供サイト「job tag」>「行政書士」
行政書士の年収として見た場合、年収にバラつきがありますが、雇用形態や独立開業の有無など働き方の自由度が高いことや専門分野の違い、業務の幅が広いことなどが要因として考えられます。
女性の行政書士が年収をアップさせるには?
営業して顧客を増やしていく
女性の行政書士が年収をアップさせる方法1つ目は、営業して顧客を増やしていくことです。
独立開業して収入を増やすために重要となるのが営業です。
どれだけ能力の高い行政書士であっても、認知されていなければ仕事は来ません。そこで、積極的に営業活動を行うことが大切です。
人脈作りに不安がある場合には、独立開業する前に行政書士事務所や法務事務所で働くことで多くの人と繋がることができます。
ダブルライセンスで業務の幅を広くする
女性の行政書士が年収をアップさせる方法2つ目は、ダブルライセンスで業務の幅を広くすることです。
行政書士だけでなく、他の資格を取得してダブルライセンスになることによって業務の幅が広がります。
できる仕事が増えればそれだけ収入アップしやすくなるでしょう。
おすすめなのは社会保険労務士(社労士)や司法書士といった法律関係の資格です。
行政書士試験と内容が重なる部分もあるため、同時に目指したり行政書士として働きながら勉強したりしやすいメリットがあります。
また、行政書士は相続関係などで不動産に関わる機会も増えます。
そこで、不動産業界で強い宅地建物取引士(宅建士)の資格を取得することで、さらに行政書士としての仕事の幅を広げることが可能です。
高単価な業務を多くこなす
女性の行政書士が年収をアップさせる方法3つ目は、高単価な業務を多くこなすことです。
行政書士の業務にはさまざまなものがあり、内容によって報酬額に差があります。
当然、高収入な仕事はそれだけ難易度が高く手続きも複雑ですが、積極的に選ぶことによって収入アップを目指せます。
また、難易度の高い仕事をこなすことは行政書士としてのスキルアップにも繋がります。
低単価の仕事だけをこなしていると、時間ばかりかかって収入は増えない事態に陥る可能性もあります。
もちろん、顧客のニーズが最優先ですが時には単価ベースで仕事を選択することも大切でしょう。
ライバルの少ない分野に特化する
女性の行政書士が年収をアップさせる方法4つ目は、ライバルの少ない分野に特化することです。
多くの仕事を得るための方法として、特定の分野に特化するというものが挙げられます。あまり一般的ではなくても、ライバルの少ない分野に特化すれば多くの仕事を獲得できるチャンスが広がるのです。
情勢に合わせて需要が高まってきた分野などに特化できれば、大幅な収入アップも夢ではありません。
【あわせて読みたい】行政書士の年収は?稼げる業務や収入・給料アップの方法を徹底解説
女性行政書士の求人はある?
現在、女性行政書士の求人は多いとは言えません。資格取得で得た知識を活かして就職活動をするのであれば、法律事務所や一般企業のスタッフ・アシスタントなどの職種が就職しやすいと言えるでしょう。
しかし、行政書士の資格そのものを活かしたければ、行政書士事務所に行政書士として就職し、業務実績を積むことがおすすめです。実績・経験を積みながら行政書士としての認知・信用を高めておくことも独立後のスタートダッシュに繋がります。
まとめ
行政書士の女性比率や女性が行政書士として働く魅力・やりがいを解説しました。
- 2023年現在女性の行政書士比率は低いが受験者・合格者の割合は増えており、今後業界で活躍する女性の増加が見込まれる
- 行政書士試験は受験資格の制限がなく、合格すれば生涯有効なので女性のキャリア選択としても非常におすすめ
- 女性が行政書士として働くメリットは、収入面でも時間の融通の面でも大きい
- 女性行政書士は女性ならではの強みを生かすこともできる
- 行政書士は体力・気力勝負になるためある程度の覚悟が必要
今後、女性行政書士の数も増えてくる可能性が高いと言えます。女性行政書士の需要増加も見込まれ、非常に魅力的な選択肢なのでぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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