行政書士試験合格には行政法が重要!おすすめの勉強法を紹介

行政書士試験において、行政法は約37.3%を占めるほど配点が大きく、ある程度の正答率を保たなければならない重要科目です。

しかし、難易度が高く対策も難しいため、「どうやって勉強すればいいのかわからない」などと言われることも多い科目でもあります。

ここでは、行政法の詳細や「難しい」と言われる理由、おすすめの勉強法について詳しく紹介します。

行政書士試験の行政法とは

行政書士試験において、行政法は中心的な役割を担う非常に重要な科目です。

行政法は、行政書士が日々扱う以下のような業務に関係しています。

  • 各種許認可申請
  • 行政への異議申し立て
  • 情報公開 など

試験で問われる内容としては、「行政機関が意思決定を行う過程、住民が行政判断に異を唱えるための手段、公務員の法的責任」といった実務でも役立つ具体的な知識が多く含まれています。

 

このように、行政法の理解は試験突破のためだけでなく、資格取得後の実務においても欠かせません。

体系的に行政法を学び、しっかりと知識を身につけることが、効率的な学習と実践力の向上に直結します。

行政法は、行政書士試験の合格を左右すると言っても過言ではない科目になるため、ここでは出題範囲や配点を把握しておきましょう。

行政法の出題範囲

行政書士試験の行政法にて出題されている主な法令は、以下のとおりです。

  • 法理論(総則)
  • 行政手続法
  • 行政不服審査法
  • 行政事件訴訟法
  • 国家賠償法
  • 地方自治法
  • 行政代執行法

行政書士として業務を行ううえで非常に重要な法令であることから、試験においても行政法は出題数が多く、配点も大きくなっています。

行政書士試験|科目別の配点

行政書士試験の試験科目別問題数、配点は以下のとおりです。

 試験科目出題形式問題数配点出題形式
配点
試験科目
配点
法令等科目
(244点)
基礎法学5肢択一式2問4点8点8点
憲法5肢択一式5問4点20点28点
多肢選択式1問8点8点
行政法5肢択一式19問4点76点112点
多肢選択式2問8点16点
記述式1問20点20点
民法5肢択一式9問4点36点76点
記述式2問20点40点
商法5肢択一式5問4点20点20点
基礎知識
(56点)
一般知識5肢択一式1問以上4点4点以上56点
行政書士法等
行政書士業務と
密接に関連する
諸法令
5肢択一式1問以上4点4点以上
情報通信・個人情報保護5肢択一式1問以上4点4点以上
文章理解5肢択一式1問以上4点4点以上
 全合計点300点

※問題数と配点は試験実施年度ごとに変わる場合があります。
当該受験年度の正確な配点を保証するものではないため、あくまで目安として捉えてください。

行政法の出題数は、例年、5肢択一式問題が19問・多肢選択式が2問・記述式が1問です。

配点は合計112点で、法令等科目全体の244点のうち4割以上を占めます。

 

とくに記述式問題は1問ですが20点もの配点があり、5肢択一式問題に換算すると5問分の点数に相当します。

行政書士試験合格のために行政法は欠かせない科目であり、効率的な対策を行いつつ高得点を獲得できれば、行政書士試験合格へと大きく近づけるでしょう。

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行政書士試験で行政法を捨てるのはNG

試験によっては苦手科目などをあえて捨てて、その分ほかの得意科目などに集中することで、より高い得点の獲得を目指すといった戦略が使われることもあります。

しかし、行政書士試験において行政法を捨ててしまうのはNGです。

行政書士試験において行政法の配点は非常に高く、全体で300満点中112点を占めています。

つまり、行政法を捨てるということは全体の3分の1を捨ててしまうことを意味するため、合格が難しくなってしまうのです。 

行政法対策におすすめの勉強法

行政書士試験において行政法は非常に重要な意味を持つ科目です。

それだけに入念な対策を行うことが求められます。

行政法対策におすすめの勉強法は以下のとおりです。

  • 過去問を繰り返し解く
  • 条文・判例は意味を理解しながら覚える
  • 40字以内で解答をまとめる練習をする
  • 手を広げすぎない
  • 積極的に模試を受ける

ここではそれぞれの勉強法について詳しく紹介します。

過去問を繰り返し解く

行政法対策におすすめの勉強法1つ目は、過去問を繰り返し解くことです。

行政法は出題範囲が非常に広いため、出題範囲をすべて網羅して勉強することはまず不可能です。

 

また、行政書士試験では問題に対してどのような答えが求められているのかを短い時間で理解する必要があります。

実際に出題された過去問をこなすことによって、出題の傾向を知ることができ、問題文の意図を素早く読み取れるようになるでしょう。

条文・判例は意味を理解しながら覚える

行政法対策におすすめの勉強法2つ目は、条文や判例を丸暗記するのではなく、理解を優先することです。

過去問や練習問題を解く際、つい答えをそのまま暗記してしまいがちですが、それでは応用力が身につきません。

もちろん、条文や判例の基本的な内容を覚えること自体は必要です。

 

しかし、重要なのは「なぜその条文が適用されるのか」「判例の論理は何を意味しているのか」を理解し、自分の言葉で説明できるようになることです。

意味をしっかりと把握して論理的に答えられるようになれば、問題の形式が変わっても柔軟に対応し、自力で正解を導き出せるようになります。

40字以内で解答をまとめる練習をする

行政法対策におすすめの勉強法3つ目は、40字以内で解答をまとめる練習をすることです。

行政法を攻略するにあたって、ひとつの壁となるのが記述式問題です。

用意された解答の中から正しいものを選択するのではなく、自分で答えを考えつつ40字程度の文章を作る必要があるため、難易度が高くなっています。

 

この記述式問題への対策として有効なのが、過去問や練習問題などをこなして40字以内で解答をまとめる練習をすることです。

「誰と誰が争っている」といった状況や、解決すべき問題は何なのかを素早く理解するトレーニングにもなります。

以下の記事では、行政書士試験の記述式対策について解説しているので、あわせてご覧ください。

手を広げすぎない

行政法対策におすすめの勉強法4つ目は、手を広げすぎないことです。

行政法は非常に幅広いことから、すべての法令に目を通して覚えようとすると膨大な時間がかかり、効率的とは言えません。

 

すべてを身につけようと手を広げてしまうと、ほかの科目に対する勉強に手が回らなくなってしまうリスクがあります。

行政法を勉強する際には手を広げすぎないように、過去問などを参考にして頻出の条文や判例などを中心に効率的に勉強することを意識してみてください。

積極的に模試を受ける

行政法対策におすすめの勉強法5つ目は、積極的に模試を受けることです。

行政法は出題される問題数も多いことから、時間配分も重要です。

そこで、積極的に模試を受けることで自然と時間配分の計算ができるようになります。

 

また、模試には試験の雰囲気に慣れるという意味合いもあります。

自宅でリラックスした状態であれば答えられても、本番では実力を発揮できないという方も少なくありません。

試験本番の雰囲気に慣れておくことで、より実力を発揮しやすくなるでしょう。

行政書士試験の行政法について過去問をチェック

行政書士試験において、高いウェイトを占める行政法。

攻略において重要となるのは、単に知識を頭に詰め込むだけでなく確実に問題を解いて得点に結びつける力を鍛えることです。

そこで効果的なのが、過去問の確認になります。行政法の出題方式は以下の3種類です。

  • 5肢択一式
  • 多肢選択式
  • 記述式

それでは、それぞれの過去問を見ていきましょう。

5肢択一式

理由の提示に関する次の記述のうち、行政手続法の規定または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1  行政庁は、申請により求められた許認可等の処分をする場合、当該申請をした者以外の当該処分につき利害関係を有するものと認められる者から請求があったときは、当該処分の理由を示さなければならない。

2  行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合でも、当該申請が法令に定められた形式上の要件に適合しないことを理由とするときは、申請者に対して当該処分の理由を示す必要はない。

3  行政庁は、理由を示さないで不利益処分をすべき差し迫った必要がある場合であれば、処分と同時にその理由を示す必要はなく、それが困難である場合を除き、当該処分後の相当の期間内にこれを示せば足りる。

4  公文書の非開示決定に付記すべき理由については、当該公文書の内容を秘匿する必要があるため、非開示の根拠規定を示すだけで足りる。

5  旅券法に基づく一般旅券の発給拒否通知書に付記すべき理由については、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して拒否されたかに関し、その申請者が事前に了知しうる事情の下であれば、単に発給拒否の根拠規定を示すだけで足りる。

【引用】令和3年度 行政書士試験問題 第12問

行政書士試験の択一式の対策として、過去問演習で誤りの選択肢も積極的に活用することが、合格への近道となります。

正誤の理由を検討し、頻出テーマやひっかけパターンの理解を深めましょう。

近年は個数問題など難易度の高い出題も増えているため、出題傾向を踏まえた学習が求められます。

多肢選択式

次の文章の空欄(ア〜 エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1 ~20)から選びなさい。

行政手続法14 条1 項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、
名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、
行政庁の判断の( ア )と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、
処分の理由を名宛人に知らせて( イ )に便宜を与える趣旨に出たものと解される。
そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、
当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る( ウ )の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、
当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。
この見地に立って建築士法・・・(略)・・・による建築士に対する懲戒処分について見ると、・・・(略)・・・
処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に・・・(略)・・・所定の戒告、
1 年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。
そして、建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件( ウ )が定められているところ、
本件( ウ )は、( エ )の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、
・・・(略)・・・多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。
そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、
処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件( ウ )の適用関係が示されなければ、
処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、
いかなる理由に基づいてどのような( ウ )の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは
困難であるのが通例であると考えられる。
(最三小判平成23 年6 月7 日民集65 巻4 号2081 頁)

1  公平      2  審査基準     3  名宛人以外の第三者  4  弁明
5  条例      6  意見公募     7  説明責任       8  根拠
9  慎重      10 紛争の一回解決  11 要綱         12 諮問
13 処分基準    14 利害関係人    15 議会の議決      16 規則
17 不服の申立て  18 審査請求     19 適法性        20 聴聞

【引用】令和3年度 行政書士試験問題 第43問

多肢選択式の問題は一見すると難しく感じられますが、実際には空欄(ア~エ)一つにつき部分点部分点が与えられるため、すべてを正解できなくても得点を積み重ねることが可能です。

文章理解の問題のように、消去法や読解力を生かすことで正解に近づける場面も多くあります。

正確な知識を得ていることが望ましいものの、曖昧なままでも得点チャンスがあることを意識して最後まで問題を解きましょう。

記述式

私立の大学であるA大学は、その設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反しているとして、
学校教育法 15 条 1 項に基づき、文部科学大臣から必要な措置をとるべき旨の書面による勧告を受けた。
しかしA大学は、指摘のような法令違反はないとの立場で、勧告に不服をもっている。
この文部科学大臣の勧告は、行政手続法の定義に照らして何に該当するか。
また、それを前提に同法に基づき、誰に対して、どのような手段をとることができるか。40 字程度で記述しなさい。
なお、当該勧告に関しては、A大学について弁明その他意見陳述のための手続は規定されておらず、運用上もなされなかったものとする。

(参照条文)
学校教育法
第 15 条第 1 項 文部科学大臣は、公立又は私立の大学及び高等専門学校が、設備、授業その他の事項について、
法令の規定に違反していると認めるときは、当該学校に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。(以下略)

【引用】令和3年度 行政書士試験問題 第44問

ゼロから文章を作成する記述式は、正確な知識と本質的な理解が求められるため、構えてしまう方も少なくありません。

しかし、出題される内容は基本的に択一式と同じ範囲からであるため、択一式で身につけた知識を応用すれば対応できます。

 

実際の合格者でも、完璧な解答を書いているとは限りません。

大切なのは、得点につながるキーワードを押さえ、確実に部分点を積み重ねる姿勢です。

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行政書士試験の行政法に関するよくある質問

最後に、行政書士試験の行政法に関する質問をまとめました。

  • 行政法が「難しい」と言われるのはなぜ?
  • 行政書士の行政法に必要な勉強時間はどのくらい?
  • 行政書士試験は独学でも受かる?

それぞれの質問に回答します。

行政法が「難しい」と言われるのはなぜ?

行政書士試験において、行政法はとくに難しいと言われている科目です。

その主な理由としては以下の点が挙げられます。

  • 普段なじみのないものだから
  • 範囲が広いから

行政法は、行政機関の手続きや権限などを定めたものであるため、私たちの生活ではあまり登場しません。

そのため、用語や制度にピンとこないことが多く、理解やイメージが難しくなりがちです。

 

また、行政法は複数の法律から構成されており、手続法・不服申立て・行政事件訴訟法など多岐にわたります。

合格を目指すには、幅広い知識をバランスよく身につけなければなりません。

行政法は、なじみがないうえに範囲も広いため、難しいと感じる受験生が多い科目ですが、難しく感じる理由を知れば対策も立てやすくなります。

出題傾向をつかみ、重点を絞って学習することが攻略のカギと言えるでしょう。

 

なお、以下の記事では行政書士の試験全体の難易度について詳しく解説しているので、目を通してみてください。

行政書士の行政法に必要な勉強時間はどのくらい?

行政法に必要な勉強時間は、初学者の場合で180〜360時間程度が目安とされています。

行政法は出題数が全60問中22問と、もっとも多く、合否を左右すると言っても過言ではない大切な分野です。

行政手続法や行政事件訴訟法、判例・条文の知識など、幅広い内容をバランスよく学ぶ必要があるため、十分な学習時間の確保が欠かせません。

 

また、行政法は憲法や民法とのつながりも強く、横断的な理解が求められる点も、他科目より時間がかかる理由のひとつです。

効率よく学ぶために、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、地方自治法などの頻出テーマを重点的に押さえましょう。

問題演習を繰り返しながら、選択肢の出題パターンに慣れておくと実戦力が高まります。

行政書士試験は独学で受かる?

行政書士試験は、独学でも十分に合格を目指せます。

市販のテキストや過去問を使って合格する人も多く、法律の知識がない初学者でも、計画的に学習すれば合格は可能です。

 

ただし、独学では教材選びや学習管理をすべて自分で行う必要があり、継続力や自己管理が求められます。

独学で不安を感じる場合や、限られた時間の中で効率よく学びたい方には、要点が整理された教材や学習サポートを活用できる通信講座の利用も有効な選択肢です。

以下の記事では、行政書士試験に独学で合格を目指すための勉強法や時間術を解説しているので、あわせて読んでみてください。

まとめ

今回は行政書士試験でもとくに重要となる行政法の攻略について詳しく紹介しました。
とくに重要なポイントについておさらいしておきましょう。

  • 行政法は行政に関する法律を問われる科目
  • 行政書士試験において行政法の配点は約37.3%も占めている
  • 行政法を捨ててしまうと行政書士試験合格は難しくなるのでNG
  • 行政法は範囲が広いことから、手を広げすぎず効率的に勉強することが重要


行政書士試験の中でも行政法はとくに難易度が高く、受験者を悩ませがちな科目です。

しかし、しっかりと準備し、攻略できれば合格が一気に近づくでしょう。

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