行政書士試験は独学で合格できる?必要な勉強時間と独学の進め方

行政書士は独立して仕事をしやすい国家資格として、人気の高い資格の一つです。

「行政書士試験に独学で合格したい」と考えている方もいるでしょう。

ただし、身につけなくてはならない知識の量や分野が幅広く、難易度は高めです。しっかりと時間を確保し、効率よく対策することが大切です。

今回は行政書士試験の合格率や必要な勉強時間、おすすめの勉強法について紹介します。

 行政書士試験は独学で十分合格できる?

行政書士試験は法律系の国家資格試験です。あらゆる国家資格の中でも身につけなければならない知識の量や分野が幅広く、難易度は高めです。

一方で、同じく法律系国家資格試験である社会保険労務士試験や司法書士試験と比較すると合格しやすい試験でもあります。

もともと難関試験のひとつであり、さらに近年、行政書士試験の難易度は高くなりつつありますが、しっかりと対策を行うことで独学でも十分に合格することは可能です。

行政書士試験の合格率は?

試験の難易度を知るための基準のひとつとなるのが合格率です。

過去の行政書士試験の合格率を表にまとめました。直近の5年間の合格率は11~14%程度で推移しています。

年度受験者数合格者数合格率
平成28(2016)41,053人4,084人9.95%
平成29(2017)40,449人6,360人15.72%
平成30(2018)39,105人4,968人12.70%
令和元(2019)39,821人4,571人11.48%
令和2(2020)41,681人4,470人10.72%
令和3(2021)47,870人5,353人11.18%
令和4(2022)47,850人5,802人12.13%
令和5(2023)46,991人6,571人13.98%
令和6(2024)47,785人6,165人12.90%
令和7(2025)50,163人7,292人14.54%
【参考】一般財団法人 行政書士試験研究センター(https://gyosei-shiken.or.jp/)

合格率は毎年かなりバラつきがあり、低い年は10%を下回りますが、高い年は15%を越えることもあります。

行政書士試験に必要な勉強時間は500~1,000時間

行政書士試験は合格率が例年11~14%程度という難関試験のひとつですが、独学での合格も十分に可能です。これから行政書士試験にチャレンジする上で、まず知っておきたいのが必要な勉強時間です。

行政書士試験合格に必要な勉強時間の目安は約500~1,000時間です。もともとの知識量や勉強の効率によって個人差はありますが、他の法律系国家資格と比べると、比較的短い期間で取得を目指せる資格だといえます。

資格勉強時間の目安
行政書士500~1,000時間程度
社会保険労務士500~1,000時間程度
宅地建物取引士200~300時間程度
司法書士3,000時間程度
税理士2~3年程度

勉強時間が長くなる理由は、試験科目の多さにあります。行政書士試験は「法令等科目」(憲法・行政法・民法・商法・基礎法学)と「基礎知識科目」(一般知識・行政書士法等の諸法令・情報通信・個人情報保護・文章理解)の合計9科目から出題され、求められる知識の幅が広いためです。

科目別の勉強時間配分の目安

限られた時間で合格レベルに達するには、配点の大きい科目に時間を集中させることが大切です。配点比率と出題数から逆算すると、1,000時間学習する場合の科目別の配分目安は以下のようになります。学習の進み具合に応じて調整してください。

科目配分の目安(1,000時間の場合)
行政法350~400時間
民法250~300時間
憲法・基礎法学100~120時間
商法・会社法50~80時間
基礎知識科目80~120時間
記述式対策・模試・総復習100~150時間

ポイントは、配点全体の約6割を占める行政法・民法に学習時間の6~7割を充てることです。反対に、商法・会社法や基礎知識科目に時間をかけすぎないよう注意しましょう。

学習期間別のモデルケース

勉強時間を学習期間ごとに割り戻すと、1日あたりに必要な学習時間の目安が見えてきます。

学習期間1日あたりの勉強時間の目安
1年(12カ月)1.5~3時間
10カ月2~3.5時間
6カ月3~5.5時間

仕事をしながら目指す方は、平日は通勤時間や昼休みなどのスキマ時間で1~2時間、週末にまとまった時間を確保するスタイルが現実的です。試験は例年11月の第2日曜日なので、そこから逆算してスケジュールを組みましょう。

初学者と学習経験者で必要な時間は変わる

法律をはじめて学ぶ初学者の場合は、法律用語や条文の読み方に慣れる期間が必要になるため、800~1,000時間寄りで見積もっておくと安心です。一方、法学部出身の方や宅建など他の法律系資格の学習経験がある方は、500~600時間程度で合格レベルに達するケースもあります。

いずれの場合も、「何時間勉強したか」より「過去問でどれだけ得点できるか」を基準に進捗を測ることが大切です。具体的な勉強の進め方は、次の「独学で合格するための勉強法」で詳しく解説します。

行政書士試験の独学 メリット・デメリットは?

独学で勉強することにはメリットとデメリットの両方があります。

これから行政書士試験合格を目指す際には、その両方を知った上で独学で勉強するのか予備校に通うのかを検討するとよいでしょう。

ここからは独学で勉強することのメリットとデメリットをご紹介します。

メリット

自分のペースで進められる

独学のメリットとして挙げられるのは、自分のペースで勉強を進められる点です。

予備校ではある程度予備校が決めたスケジュールに合わせて勉強を進めて行くことになります。

そのため、講義でついていけなくなるとプレッシャーを感じたり、時間に追われたりする恐れがあります。

自分のペースで勉強できればストレスも少なくなるため、結果として勉強を継続しやすくなるでしょう。

予備校でどれだけ効率的な講義を受けても、ストレスで挫折してしまっては意味がありません。

加えて、受験時期を含めたスケジュールや、1日の勉強時間も自由に決めることができます。そのため、仕事や別の学校に通いながらでも無理なく勉強できるのも独学ならではのメリットです。

勉強コストを抑えられる

予備校に通うと勉強にかかるコストは高くなってしまいます。一方、独学であればテキストの教材費などで済むため、大幅にコストを抑えることができます。

行政書士は人気の資格であり、独学で勉強する人も多く一般の書店でも専門のテキストが多数販売されています。価格帯も幅広いので工夫次第ではかなり予算を削減できるでしょう。

さらに近年では電子書籍方式のテキストも増えているため、場所を選ばずに勉強を行えます。

デメリット

勉強スケジュールを自分で管理しなければならない

独学のデメリットとして、勉強スケジュールの管理をすべて自分で行う必要があることが挙げられます

行政書士試験では多くの科目から出題されるため、広い範囲を計画的に勉強することが大切です。

最初の時点で適切にスケジュールを組み、常時しっかりと管理することができなければ、

試験までにすべての科目の勉強が終わらなかったり、過去問の実践や最終的なチェック・準備が不十分になったりする恐れがあります。

勉強する科目や範囲を確認したうえでスケジュールを組み、長期にわたって管理しながら勉強を進めていくことが大切です。

テキスト選びが大変

行政書士は人気の高い資格ということもあって、書店へ行けば多くのテキストが販売されています。

選択肢が豊富なのは魅力ですが、その中から自分に合ったものを選ぶのが難しいという点がデメリットともいえます。

膨大なテキストの中から自分に必要なテキストを選ぶのには手間がかかります。

また、法改正などによって出題される問題が変化することもあるので、古いテキストを選んでしまうと間違った知識を身につける恐れもあります。

独学のメリットとしてコストを抑えられる点を挙げましたが、テキストや問題集を必要以上に買いすぎるとかえってコストがかかる恐れもあるため注意が必要です。

対策としておすすめなのがスタディングの行政書士講座。講義・テキスト・問題集、学習に必要な全てがオールインワンで、過去問・記述式対策にも対応。スマホで学習するスタイルだから通学のスクールよりも圧倒的な低価格で、独学の補助ツールとしてぴったり。今なら無料登録でクーポンが貰えるオトクなキャンペーン中です。

行政書士試験に独学で合格するための勉強法

ここからは、独学で行政書士試験に合格するための勉強法を、学習の進め方・教材選び・スケジュール・陥りがちな失敗パターンまで具体的に紹介します。

独学の大原則は「行政法・民法中心」

行政書士試験では、行政法(22問・112点)と民法(11問・76点)の2科目だけで法令等科目244点のうち188点、約8割を占めます。独学で全科目を均等に勉強しようとすると時間がいくらあっても足りません。学習時間の6~7割を行政法・民法に充てるのが、独学合格への最短ルートです。

科目出題数配点
行政法22問112点
民法11問76点
行政法・民法計33問188点

基礎知識科目は、基準点(24点未満で不合格)を割らないことを目標に、文章理解と情報通信・個人情報保護を得点源にする「守りの対策」で十分です。

独学の学習ステップ

独学では「インプット → アウトプット」の反復を意識して、次の順序で進めるのが効率的です。

  • ステップ1:テキストを通読して試験の全体像をつかむ(完璧に理解しようとせず、まず1周する)
  • ステップ2:分野ごとにテキストを読み直し、対応する問題集をすぐに解いて知識を定着させる
  • ステップ3:過去問を出題範囲別に繰り返し解き、間違えた箇所は必ずテキストに戻って確認する
  • ステップ4:直前期は記述式対策・模試・弱点の総復習にあてる

「問題を解く→見直す→再確認する」のループを回すことが、独学で知識を定着させるいちばんの近道です。

教材選びのポイント

テキストは必ず最新版を使いましょう。法改正の影響を大きく受ける行政書士試験では、古いテキストで学習すると変更内容を見逃し、致命的な失点につながる可能性があります。本番で役立つ知識を効率よく身につけるには、出題傾向を分析して作られている大手資格予備校のテキストがおすすめです。

過去問集は「出題年度別」ではなく「出題範囲別」に整理されたものを選びましょう。行政書士試験では同じ知識が角度を変えて問われるため、出題範囲別に解くほうが知識の定着率を効率よく確認できます。本番のシミュレーションをしたい場合は、行政書士試験研究センターのホームページで無料公開されている年度別の過去問を活用しましょう。

六法は『ポケット六法』『デイリー六法』などの標準的なもので十分です。大学教授が執筆した重厚な研究書は、独学の限られた時間では消化しきれないため不要です。「法律の森」に迷い込まないことが独学では特に重要です。

学習スケジュール例

1年プランの場合は、基礎期(6カ月)でテキスト通読と分野別の問題演習、演習期(3カ月)で過去問の反復、直前期(3カ月)で記述式対策・模試・弱点補強、という配分が目安です。

6カ月の短期プランの場合は1日3~5時間の学習時間を確保し、最初から行政法・民法に絞り込んで進める必要があります。学習経験のない初学者の方は、余裕を持って1年程度の計画をおすすめします。

独学で陥りがちな失敗パターン

  • テキストを読むだけで満足し、問題演習が後回しになる
  • 商法・会社法や一般知識に時間をかけすぎて、行政法・民法が手薄になる
  • 古いテキスト・問題集を使い続けて法改正を見逃す
  • 記述式対策を直前期まで放置してしまう
  • 過去問の答えを暗記しただけで「理解したつもり」になる

独学は自分のペースで進められる反面、方向性のズレに気づきにくいのが弱点です。上記のパターンに当てはまっていないか、月に一度は学習計画を振り返りましょう。

記述式は「数をこなす」+条文理解

法令等科目の記述式(40字程度)は、行政法1問・民法2問で計60点と配点が大きく、独学者が差をつけられやすいポイントです。問題文を読解する力と、条文をどれだけ正確に理解しているかが問われます。同じ問題を完璧に近いレベルで理解するまで何度も解き、なぜその答えになるのかを条文・判例に戻って確認しましょう。

スキマ時間を有効活用する

必要な勉強時間500~1,000時間を確保するには、机に向かう時間だけでは足りないことがほとんどです。通勤時間や昼休み、待ち時間などのスキマ時間を積み重ねましょう。例えば毎日往復1時間の通勤時間と昼休みの30分を勉強にあてるだけでも、1日のノルマの半分に到達します。

スキマ時間の活用には、スマホ学習に特化したスタディングの行政書士講座もおすすめです。講義・テキスト・問題集がオールインワンになっており、独学の補助ツールとしても活用できます。

独学が向いている人の特徴

行政書士試験は独学でも十分に合格を目指せる試験ですが、独学での学習が向いている人にはいくつかの特徴があります。以下にそのポイントを挙げます。

  • 法律の学習経験がある方
  • 継続して学習時間を確保できる方
  • 自己管理能力が高い方

法律の学習経験がある方

法律に関する学習経験がある方は、行政書士試験の主要科目である憲法・行政法・民法などの理解がスムーズに進む傾向があります。

過去に法律用語や判例に触れた経験がある場合、専門的な内容にも抵抗感が少なく、効率的に学習を進められるでしょう。

ただし、法律の学習経験がない方でも、基礎から丁寧に学べる教材を活用し、計画的に進めれば合格を目指すことは十分可能です。

法律初心者の方は、まずは基礎をしっかり固めることを意識し、段階的に学習を進めることが重要です。

継続して学習時間を確保できる方

行政書士試験は出題範囲が広く、学習量も多いため、継続的に学習時間を確保することが求められます。

ただし、必ずしも毎日まとまった時間を取る必要はありません。

忙しい方であれば、スキマ時間を活用して少しずつ学習を進めたり、休日に集中して取り組むといった工夫が有効です。

大切なのは、試験日までに必要な知識を着実に積み重ねるための「継続力」です。

自分の生活スタイルに合わせた学習計画を立て、無理なく進められる環境を整えることがポイントです。

自己管理能力が高い方

独学では、学習計画の立案や進捗の管理、さらにはモチベーションの維持まで、すべて自分で行う必要があります。

そのため、自分自身を律し、計画的に学習を進められる方は独学に向いていると言えます。

特に、どの教材を使い、どの順序で学習を進めるか、また、どのタイミングで復習や問題演習を行うかといった具体的な学習方針を自分で決められることが重要です。

たとえば、「今日はこの分野を学習する」「この週末は過去問を重点的に解く」といった目標を立て、それを着実に実行できる人は、独学でも成果を上げやすいでしょう。

また、学習スケジュールが思い通りに進まないこともありますが、その際には柔軟に計画を見直し、必要に応じて優先順位を変更するなど、冷静に対処する力も求められます。

独学は孤独な学習になりがちですが、自分のペースで学びを進めつつ進捗を振り返り、改善を繰り返していける方であれば、十分に合格を目指せます。

まとめ

行政書士試験は独学でも合格を目指すことができる資格です。今回ご紹介した独学で行政書士試験に合格するためのポイントについておさらいしておきましょう。

  • 行政書士試験合格のために必要な勉強時間は500〜1,000時間。期間は1〜2年が目安。
  • 1年間で合格を目指すのであれば毎日2.7〜3時間ほどの勉強が必要。
  • 配点の大きい行政法と民法に重点を置くことが大切。
  • スキマ時間をうまく活用することで忙しい方でも独学での合格は可能。

行政書士試験は合格率が例年11~14%程度と、難関と呼ばれる試験のひとつです。しかし、しっかりと計画を立てて勉強することで独学でも十分に合格できます。余裕を持ったスケジュールを立ててスキマ時間もうまく活用して取り組んでみましょう。

なお、独学ではなく通信講座の利用も検討したい方は、主要なオンライン講座5社を比較した次の記事も参考にしてください。