年度 | 受験申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2022年(令和4年度) | 60,479 | 47,850 | 5,802 | 12.13% |
2021年(令和3年度) | 61,869 | 47,870 | 5,353 | 11.18% |
2020年(令和2年度) | 54,847 | 41,681 | 4,470 | 10.72% |
2019年(令和元年度) | 52,386 | 39,821 | 4,571 | 11.48% |
2018年(平成30年度) | 50,926 | 39,105 | 4,968 | 12.70% |
2017年(平成29年度) | 52,214 | 40,449 | 6,360 | 15.72% |
2016年(平成28年度) | 53,456 | 41,053 | 4,084 | 9.95% |
2015年(平成27年度) | 56,965 | 44,366 | 5,820 | 13.12% |
2014年(平成26年度) | 62,172 | 48,869 | 4,043 | 8.27% |
2013年(平成25年度) | 70,896 | 55,436 | 5,597 | 10.10% |
過去10年の合格率を表にまとめました。行政書士の平均合格率は約10%で、「10人が受験して合格するのは1人程度」という難関試験の一つです。
試験合格に必要な勉強時間の目安は500時間~1,000時間程度といわれており、試験では専門的な法令の知識だけでなく、幅広い一般知識も出題されます。
他の法律系の資格と比較して難易度が低いといわれることもありますが、学習を継続できなかったり、専門的な内容についていけなかったりして、試験合格を断念してしまう人も少なくありません。
一方で、試験全体・科目ごとに明確な合格基準点が決まっているため、効率的な対策がしやすい試験でもあります。
勉強時間をしっかりと確保し、効果的な学習を続けられれば、行政書士試験の合格は十分に目指せるでしょう。
先ほど、行政書士は「他の法律系の資格と比較して難易度が低いといわれることがある」と紹介しました。
実際に他の資格と比較したときに、行政書士の難易度はどれくらいのレベルなのか気になるかもしれません。
そこで、行政書士試験をより具体的に理解しやすいように、偏差値で考えてみます。
前述の表から、行政書士の合格率は8~15%です。
仮にこの数字をもとに偏差値を考えると、上位15%の偏差値は約60、上位8%であれば約64となります。
つまり、合格率から見た行政書士試験合格に必要な偏差値は60~64程度といえます。
自身の高校受験や大学受験の記憶を思い出してみてもらうとわかりやすいかもしれませんが「決して合格できない難易度ではないが、かなりの勉強量が必要」な試験であることがわかります。
資格 | 合格率 | 勉強時間の目安 |
行政書士 | 9〜10%程度 | 500~1,000時間程度 |
社会保険労務士 | 5〜6%程度 | 500~1,000時間程度 |
宅地建物取引士 | 15〜17%程度 | 200~300時間程度 |
司法書士 | 4〜5%程度 | 3,000時間程度 |
税理士 | 10〜20%程度 | 2~3年程度 |
さらに具体的に行政書士の難易度を把握するために、そのほかの法律系の国家資格でそれぞれの合格率と勉強時間の目安について、表にまとめました。
受験者の母集団が違うため、単純に偏差値での比較はできませんが、資格ごとに必要な勉強時間の目安や合格率などからそれぞれの難易度が見えてきます。
一般的に行政書士試験よりも社労士試験のほうが、合格が難しい資格試験として位置づけられています。
なぜなら、行政書士と社労士は必要な勉強時間が同程度にもかかわらず、合格率が大きく違うからです。
例年、社労士試験の平均合格率は5~6%ほどで、行政書士よりも低い合格率となっています。
令和4年度(2022年度)の社労士試験では、合格率5.3%で、40,633名が受験し合格者は2,134名という結果でした。
さらに、行政書士試験には受験資格がありませんが、社労士試験には受験資格が定められています。
社労士試験の受験資格は、例えば以下のようなものがあります。
受験資格が定められている点を考慮しても、社労士は国家資格試験の中で難易度が高いほうと考えられるでしょう。
宅建試験と行政書士試験を比較すると、宅建試験のほうが試験合格の難易度が低いといえます。
なぜなら、宅建試験の合格率は15~17%を推移しており、行政書士試験よりも合格率が高いためです。
行政書士試験よりも宅建試験の合格率が高い要因の一つは、宅建試験は全問がマークシート方式である点。
記述式の問題がないので、勘に頼って問題に正解する場合もあり、正答率も高くなる傾向があるでしょう。
さらに、宅建試験で出題される科目は「権利関係」「法令上の制限」「税・その他」「宅建業法」の4つで、行政書士試験よりも科目数が少なくなっています。
また、合格に必要な勉強時間の目安も宅建士のほうが短くてすむとされており、200~300時間程度といわれています。
これは行政書士試験の勉強時間と比較して半分~3分の1ほどになります。
これらのことから、行政書士試験よりも宅建試験の方が合格を目指しやすい試験であるといえるでしょう。
司法書士試験の平均合格率は4~5%で、行政書士試験よりも司法書士試験の方が圧倒的に合格するのが難しい試験です。
令和4年度(2022年度)における司法書士試験の合格率は5.18%で、受験者12,727人のうち合格者は660人でした。
ここ10年間をさかのぼって見ても、合格率が6%を超えたことはなく、かなりの難関であることがわかるのではないでしょうか。
さらに、司法書士試験は出題範囲も広く、必要な勉強時間の目安は3,000時間程度といわれています。
行政書士に必要な勉強時間は500~1,000時間なので、3~6倍の勉強量が求められる計算です。
行政書士試験の法律科目は基礎法学・憲法・行政法・民法・商法の4科目であるのに対し、司法書士試験は憲法・民法・刑法・商法のほか、不動産登記法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、商業登記法、供託法、司法書士法の11科目から出題されます。
不動産登記法や商業登記法などのなじみが薄い科目でつまずきやすいことを考えても、行政書士試験よりも司法書士試験の方がハードルは高いでしょう。
年度によって差がありますが、税理士試験の合格率は、だいたい10~20%です。
一見すると行政書士の合格率より高く、取り組みやすい試験に感じるかもしれませんが、実際には行政書士よりも税理士のほうが難易度は高いといえます。
税理士試験は「科目合格制度」を採用しており、必須科目・選択必須科目・選択科目の合計5科目に合格しなければなりません。
一度の試験で5科目合格するのは大変難しく、年に1~2科目ずつ合格し、何年かかけて試験合格を目指すのが一般的です。
税理士試験の合格に必要な勉強時間は、1,800~2,500時間といわれています。
行政書士試験の合格に必要な勉強時間は500~1,000時間程度なので、その点を比較しても税理士試験のほうが難しいといえるでしょう。
さらに、税理士試験の合格基準は各科目とも満点の60%とされていますが、実際は上位10~15%が合格する相対評価による試験です。
明確な合格基準点がないため、試験中に6割以上解けている手ごたえを感じても、上位10~15%に入れなければ不合格になってしまう恐れがあります。
他の法律系資格と比較して、行政書士試験の難易度を把握したところで、行政書士試験の内容をおさらいしていきます。
行政書士試験の受験を具体的に考えてみましょう。
行政書士試験の出題範囲は大きく分けて「行政書士の業務に関し必要な法令等」と「行政書士の業務に関連する一般知識等」の2種類です。
「行政書士の業務に関し必要な法令等」は、以下の5科目から出題されます。
「行政書士の業務に関連する一般知識等」としては、以下の3つの分野から出題されます。
上記の分野における出題は、行政書士として業務を行うために最低限必要な素養を備えているかどうかを試すための問題です。
出題形式は、5つの選択肢の中から正答を選ぶ「5肢択一式」、4つの空欄に語群から語句を選ぶ「多肢選択式」、問題に対して40字程度の文章で解答を記述する「記述式」の3種類です。
試験科目 | 出題形式 | 問題数 | 配点 | 出題形式ごとの配点 | 試験科目ごとの配点 | |
法令等科目(244点) | 基礎法学 | 5肢択一式 | 2問 | 4点 | 8点 | 8点 |
憲法 | 5肢択一式 | 5問 | 4点 | 20点 | 28点 | |
多肢選択式 | 1問 | 8点 | 8点 | |||
行政法 | 5肢択一式 | 19問 | 4点 | 76点 | 112点 | |
多肢選択式 | 2問 | 8点 | 16点 | |||
記述式 | 1問 | 20点 | 20点 | |||
民法 | 5肢択一式 | 9問 | 4点 | 36点 | 76点 | |
記述式 | 2問 | 20点 | 40点 | |||
商法 | 5肢択一式 | 5問 | 4点 | 20点 | 20点 | |
一般知識等科目(56点) | 政治経済社会 | 5肢択一式 | 7(8)問 | 4点 | 28(32)点 | 56点 |
情報通信・個人情報保護 | 5肢択一式 | 4(3)問 | 4点 | 16(12)点 | ||
文章理解 | 5肢択一式 | 3問 | 4点 | 12点 | ||
全合計点 | 300点 |
※試験実施年度ごとに変わることもあり、当該受験年度の正確な配点を保証するものではありません。あくまで目安として捉えてください。
行政書士試験に合格するためには、以下の3つの要件を全て満たす必要があります。
科目ごとの合格基準を満たさなければならないので、仮に「法令等科目160点+一般知識等科目20点=180点」であった場合でも不合格です。
獲得得点は180点で試験全体の得点要件を満たしていますが、一般知識等科目の得点要件を満たせていないためです。
また、「法令等科目122点+一般知識等科目24点=144点」の場合も、科目ごとの得点要件は満たしていますが、試験全体の得点要件は満たせていないので、不合格になります。
行政書士試験に合格するためには、3つの合格基準を満たせるような試験対策が求められます。
行政書士試験合格のために必要な勉強時間の目安は、500〜1,000時間です。
行政書士試験は年に一度実施されるため、1年間で試験合格を目指すとなると、毎日平均2.7時間の学習時間を確保する必要があります。
行政書士試験の勉強だけに集中できる環境であれば、毎日2.7時間の勉強を継続するのはそれほど難しいことではないでしょう。
しかし、仕事や家事、育児、他の学業などを行いながら毎日2.7時間の学習を継続するのは至難の業であるといえます。
効率的に勉強を進めるために、科目ごとに優先順位をつけて勉強を行うのが大切です。
行政書士試験合格のためには、法令等科目の対策を重点的に進めましょう。
先ほど紹介した合格基準と照らし合わせると、一般知識等科目が満点の56点でも、法令等科目が合格基準をなんとか満たす122点であれば不合格です。
なぜなら、合計得点が178点で、全体の得点要件である「180点以上」を満たせていないためです。
反対に一般知識等科目がギリギリの合格ラインである24点であっても、全体の得点要件である180点は十分に満たせます。
法令科目の合計点数244点のうち、156点を獲得すれば合格になるからです。
このように、行政書士試験は法令等科目を重視している傾向があります。
一般知識等科目の対策に時間を費やしすぎず、法令等科目の学習に重きを置くことが、試験攻略のカギといえるでしょう。
行政書士試験の内容を復習したところで、次に合格するために必要な知識を紹介していきます。
必要なポイントをQ&A形式でわかりやすく解説していくので、どのように合格するかイメージしながら読んでみましょう。
A. 年齢や学歴などの制限が設けられていないため、誰でも受験することが可能です。
社労士試験や税理士試験などの資格試験には受験資格が設けられている場合があります。
しかし、行政書士試験は学歴や年齢、職業を問わず誰でも受験でき、どんな人にもチャンスがある試験であるといえます。
A. 難しくなっているとも簡単になっているともいえません。
「行政書士試験は難しくなっているのでは?」という声も聞かれますが、同じように「行政書士試験が簡単になっている」という意見も聞かれます。
よって、行政書士試験は難しくなっているといいきることはできません。
しかし、行政書士試験の合格率は約10%で、試験合格が難しいのは事実です。
試験が難しいのは、主に3つの要因が考えられます。
1つ目は、出題範囲が多岐にわたる点です。
基礎法学や憲法から民法、政治経済社会、情報通信・個人情報保護など、あらゆる分野の知識を身に付けなければなりません。
一つの試験科目だけでも範囲が広いので、戦略的に対策を行う必要があります。
2つ目は、科目別合格がない点です。
税理士試験などは科目ごとに合格があるので、1年に1~2科目ずつ合格し、何年かかけて試験合格を目指せます。
しかし、行政書士試験は、仮に一般知識等科目で合格点に達しても、法令等科目が不合格であれば、試験は不合格です。
科目別合格はないので、また次の試験で一般知識等科目の合格を目指さなければなりません。
3つ目は、法律の専門知識が必要である点です。
行政書士試験の出題においては、問題数でも配点の上でも法令等科目の比重が高い傾向にあります。
特別な受験資格が必要ないので、今まで法律に全くなじみのなかった人が受験する場合もあるでしょう。
そのような場合、法律の専門的な知識を身に付けるのは、難しいと感じてしまうかもしれません。
A. 一定の条件を満たしていれば、試験免除制度の対象になります。
行政書士試験に合格しなくても、以下の条件を満たせば資格の取得が認められます。
ただ、行政書士試験よりも難関の資格を取得しなければならないこと、公務員として17年以上(中卒者の場合は20年以上)従事する必要があり、上記の条件を満たすのは容易なことではありません。
行政書士として早く活躍したい場合は、行政書士試験に合格する道を選ぶほうが現実的といえるでしょう。
A.行政書士試験に短期で合格するためには、以下3つのポイントを意識することが大切です。
それぞれ詳しく解説していきます。
▼行政法と民法を重点的に
行政書士試験の短期合格を目指す上で最大のポイントは、法令等科目の中でも「行政法」と「民法」の対策を重点的に行うことです。
行政法においては、法令等科目における全46問のうち22問を占めており、配点は112点となっています。
民法においては、11問が出題され、配点は76点です。
仮に行政法と民法に全問正解すれば、合計得点は188点となり、他の科目で得点できなくても、法令等科目の合格基準点である180点を楽々と満たせます。
このように、行政法と民法は配点の面でも出題数の面でも、大きなウェイトを占めていることがわかります。
行政法と民法の知識定着をはかり、安定的に得点を獲得できるようになれば、行政書士試験合格に大きく近付くでしょう。
▼配点が高い記述式を対策
記述式の問題を攻略するのも、行政書士試験の短期合格を目指す上では外せないポイントです。
記述式の問題は行政法と民法の分野から3問出題され、配点は1問20点と高得点。
300点満点中60点が記述式の問題となるので、できるだけ多くの正解を獲得したいところです。
記述式に正解するために必要になる力は、回答に必須な「キーワード」がしっかりと引き出せること。
そのために必要な知識は、多肢択一式や多肢選択式の問題を解くための知識と変わりません。
問題の意図にあわせたキーワードを組み合わせて、文章を作れるようになれば、自然と正解できるようになります。
そのため、まずは用語の意味を十分に理解し、多肢択一式や多肢選択式の問題で知識を得てから、記述式の問題に挑戦しましょう。
そして、キーワードを組み合わせるプロセスを身に付け、記述式問題の正解を重ねることが大切です。
▼一般知識等の対策はほどほどに
行政書士試験合格のために「一般知識等科目の対策も万全に行いたい」と考える人もいるかもしれません。
しかし、 一般知識等の対策をほどほどにしておくことが合格のカギです。
一般知識等科目は試験範囲が幅広く出題範囲が予測できないので、万全な対策をするのが、かえって非効率になってしまうからです。
しかし、なにも対策しないわけにもいかないので、科目ごとの具体的な対策方法を紹介していきます。
「政治・経済・社会」の科目にいたっては、どの分野が出てくるか全く予想できません。
そのため、日常的に新聞やインターネットから情報を集めて、時事問題や社会情勢に詳しくなっておきましょう。
「文章理解」の科目にいたっては、文章問題を繰り返し解き、読解力を身に付けましょう。
その際は、接続詞や論理の流れを意識して解答すると、正解がしやすいです。
「情報通信・個人情報保護法」の科目は、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」や「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」、「公文書管理法」の条文を読み込んでおきましょう。
出題されやすい分野となっているので、目的や趣旨、要件、効果をまとめておけば有効な対策になります。
A. 難易度はかなり高いですが、十分に目指せる範囲です。
行政書士試験は独学でも合格を目指せますが、難易度はかなり高いでしょう。
独学で勉強すれば、費用負担も少なく、自分のペースで学習を進めることが可能です。
自分にあった教材を選べるのもメリットといえるかもしれません。
しかし、自分にあった教材を一から探すのは難しいもの。
教材を探すこと自体が負担になってしまうこともあります。
さらに、独学であればモチベーションを保つのは非常に難しいでしょう。
スキマ時間は必ず勉強にあてるようにしたり、どのように勉強するのか学習計画を細かく作成しておいたりして、勉強を継続できるような環境を作るのが大切です。
今回取り上げた行政書士試験の偏差値について、重要なポイントをおさらいしておきましょう。
行政書士試験は特別な受験資格がなく、誰でも挑戦できる試験です。
適切な対策を行い、モチベーションを保ちながら勉強を継続することで、合格を目指せるでしょう。
スキマ時間を活用して、効率的に勉強を進めたいのであれば「スタディング 行政書士講座」がおすすめです。
要点を押さえたわかりやすい映像授業をスマホで見られるので、自然と勉強が続けられるでしょう。
忙しくても効率的に
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