
2027年1月からスタートする「こどもNISA」の口座開設受け付けが、10月1日から各証券会社で始まりました。
「こどもNISA」は、2023年に終了した「ジュニアNISA」の後継ともいえる制度で、未成年の子どもを対象とした少額投資非課税制度です。制度の目的や仕組みには共通点が多いものの、ジュニアNISAで課題とされた点が見直され、より利用しやすい内容となっています。
今回は、現行NISAやジュニアNISAとの違いを踏まえながら、「こどもNISA」の概要やメリット・デメリットについて解説します。

松本 敏郎
スタディング外務員講座 主任講師
大手予備校にて15年間、日商簿記検定、税理士簿記論などの講師として多くの受験生を指導。その後、研修講師として大手予備校の教材作成を行うとともに、大学や商工会議所などを中心に日商簿記検定や一種外務員の受験対策講座を開講している。資格試験の指導一筋で、これまで25年以上絶えることなく受験指導を行っている。
一種外務員、日商簿記検定1級、ビジネス会計準1級、ビジネス・マネジャー、メンタルヘルス・マネジメントⅠ種、銀行業務検定財務2級、銀行業務検定法務3級
>>講師メッセージ
現行のNISAとは
NISA(少額投資非課税制度)は、家計の安定的な資産形成を支援するために設けられた制度です。通常、株式や投資信託などの運用で得られる配当金や譲渡益には税金がかかりますが、NISA口座で運用した場合は一定の範囲内で非課税となります。
2024年から始まった新しいNISAは、口座を開設する年の1月1日時点で18歳以上の人が対象です。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できることが特徴で、年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円となっています。
また、生涯で利用できる非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)に設定されており、この範囲内で非課税のメリットを受けながら資産形成を行うことができます。
ジュニアNISAとは
現在のNISAが18歳以上を対象としているのに対し、かつては未成年者向けの「ジュニアNISA」がありました。
ジュニアNISAは、0歳から17歳までの未成年者を対象とした制度で、年間80万円まで投資でき、最大400万円まで非課税で保有できる仕組みでした。非課税期間は5年間とされていました。
しかし、ジュニアNISAには「原則として18歳まで払い出しができない」という大きな制約がありました。教育費などで資金が必要になっても自由に引き出せないことから使い勝手が悪く、利用者数が伸び悩んだため、2023年12月末をもって制度は終了しました。
こうした課題を踏まえて新たに創設されたのが、「こどもNISA」です。
「こどもNISA」の誕生と概要
「こどもNISA」は、2027年1月からスタートする0~17歳を対象とした少額投資非課税制度です。
制度創設の背景には、子どもの将来に向けた資産形成を支援する目的があります。大学進学や就職などのライフイベントで必要となる資金を長期的に準備できるようにするだけでなく、子どもが早い段階から投資や経済の仕組みに触れ、金融リテラシーを身につけることも期待されています。
投資対象は、現行NISAの「つみたて投資枠」と同じ対象商品(投資信託)です。年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円となっており、長期・積立・分散投資による資産形成を後押しする制度設計になっています。
また、ジュニアNISAで課題とされた払い出し制限も見直されました。災害時などのやむを得ない事情に加え、12歳以降は教育資金を目的とした払い出しが認められています。学校の入学金や授業料など、子どものための支出に限られますが、一定の条件のもとで資産を活用できるようになりました。
「こどもNISA」のメリット・デメリット
メリット
「こどもNISA」の最大のメリットは、長期間にわたって非課税で資産形成ができることです。
例えば0歳から利用を始めた場合、大学進学などで資金が必要になる時期まで、最長18年間にわたって非課税で運用できます。長期間積立投資を行うことで、複利効果を活かした資産形成も期待できます。
また、親のNISA口座と併用できる点も魅力です。両親と子ども1人の家庭の場合、両親のNISAと合わせて活用することで、家族全体の非課税投資枠を拡大し、効率的な資産形成を行うことが可能になります。
さらに、祖父母から教育資金の援助を受ける場面でも活用が考えられます。贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、こどもNISAの年間投資枠である60万円であれば、基礎控除の範囲内で贈与された資金を運用することもできます。
デメリット
一方で、資金の引き出しに条件がある点には注意が必要です。
12歳以降は教育費や生活費など一定の目的であれば本人の同意を得たうえで払い出しできますが、それ以外の用途で引き出した場合には運用益が課税対象となります。災害など特別な事情がある場合を除き、自由に使える資金ではないことを理解しておきましょう。
また、投資信託で運用する制度であるため、預貯金や学資保険のような元本保証はありません。市場環境によっては元本割れが生じる可能性もあります。
教育資金という使途が明確なお金だからこそ、運用期間やリスク許容度を踏まえた商品選びが重要になります。
まとめ|「こどもNISA」の特徴とジュニアNISAとの違い
「こどもNISA」は、2027年1月からスタートする0~17歳を対象とした少額投資非課税制度です。ジュニアNISAの後継ともいえる制度ですが、教育資金目的の払出しを認めるなど、これまで指摘されていた利便性の課題が見直されています。
本記事のポイント
- 現行のNISAは18歳以上が対象で、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を利用できる
- ジュニアNISAは18歳未満向けの制度だったが、18歳まで原則払出しができないことなどを理由に2023年末で終了した
- こどもNISAは0~17歳を対象とし、年間投資枠60万円、非課税保有限度額600万円の制度として2027年1月から開始される
- 12歳以降は教育資金目的での払出しが認められ、ジュニアNISAより利用しやすい制度となっている
- 長期・非課税で資産形成できるメリットがある一方、払出しの制限や元本割れのリスクには注意が必要である
こどもNISAの導入によって、
- 子どもの教育資金や将来資金を長期的に準備しやすくなる
- 親のNISAと併用することで、家族全体の資産形成の選択肢が広がる
- 子どもが早い段階から投資や経済の仕組みに触れ、金融リテラシーを身につけるきっかけになる
といった効果が期待されています。
なお、「こどもNISA」は2027年1月から開始される制度であるため、2027年以降の外務員試験では出題対象となる可能性があります。現行NISAやジュニアNISAとの違いを含めて、制度の特徴を整理しておきましょう。
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