1.他の多くの資格試験の基礎になります
外務員試験の試験科目は、金融商品取引法や金融商品の勧誘・販売に関係する法律などの法令・諸規則、株式業務や債券業務などの商品業務、そして株式会社法概論、財務諸表と企業分析などの関連科目があり、試験ではそれらの科目について幅広く問われます。それらの科目の基礎的な知識が、外務員の資格試験の勉強をすることで身につけることができるのです。この外務員試験の試験科目と他の資格試験では、共通している部分が多くあります。例えば、FP(ファイナンシャル・プランナー)試験では、試験科目の1つに金融資産運用というものがあります。その科目の中には、マーケット環境の理解、投資信託、債券投資、株式投資といった内容があります。それらの内容の基礎的な部分は外務員試験の内容でもあります。また、公認会計士や税理士を目指す方にとっては、外務員試験の試験科目である株式会社法概論、財務諸表と企業分析そして証券税制などが役に立ちます。外務員試験の勉強をすることで、FP(ファイナンシャル・プランナー)、公認会計士、税理士といった資格試験の基礎を身につけることができるのです。
2.金融リテラシーが身につく
従来は、貯蓄というものは銀行や郵便局に預け入れることが中心でした。しかし、現在では銀行や郵便局にお金を預け入れてもほとんど金利が付かないどころか、単にお金を預け入れただけでは、振り込みや引き出しによって生じる手数料等でマイナスになってしまうおそれがあるのです。そこで、近年、政府も家計の資産形成を促す目的でNISA・つみたてNISA、iDeCo 等、家計の資産形成を促す制度整備を進めてきました。それらの金融商品知識を知っている人は、自らの資産を拡大させ、それらの金融商品知識を知らない人との間で差が生じるようになってきています。政府も「未来投資戦略 2017―Society 5.0 の実現に向けた改革―」(2017 年6月公表)において、「家計における少額からの積立を利用した長期・分散投資による資産形成を促す観点から、つみたて NISA を含め、NISA 制度全体の更なる普及・促進を図るとともに、家計の実践的な投資知識の深化につながる金融・投資教育等を充実させる」ことを掲げています。今後ますます金融リテラシーの重要性が高まってきます。外務員試験の勉強をすることで、金融リテラシーの基礎を身に付けることができます。
3.異業種による金融業への参入
セブンイレブンに行けばその店舗の中にはセブン銀行があり、イオンに行けばその店舗の中にはイオン銀行があります。ソニーにはソニー銀行があり、楽天には楽天銀行(証券)があります。そして、それらの銀行では投資信託が販売されています。投資信託とは、投資家から集めた資金を投資のプロが運用し、その運用成果を各投資家に分配する商品です。その投資信託を販売するためには、外務員の資格が必要となります。上記のような異業種による金融業への参入の目的としては、金融サービスを提供することにより本業の顧客の囲い込みを高めることや金融サービスによって得たデータを本業のマーケティングなどに活かすことといったものが挙げられます。個人情報などのデータはこれからのビジネスにおいて非常に重要なものとなります。そのことを考えれば、これからも異業種による金融業への参入が増えてくる可能性が十分あります。仮に今現在、金融業とは全く関係ない業種に就職していたとしても、今後どうなるかわからないのです。金融業に全く関係ない企業が、将来金融業に参入することも十分考えられるのです。金融業に参入すれば外務員の資格は必ず取得しなければならなくなるでしょう。その点を考えれば、外務員の資格はすべての業種において取得しておかなければならない資格だと言えるのではないでしょうか。
4.まとめ
外務員の資格は、銀行や証券会社などの金融業に勤める人たちの資格だと思っている方がたくさんおられると思います。しかし、上記で述べたように、他の多くの資格試験の基礎になること、金融リテラシーが身につくこと、そして異業種による金融業への参入という点からもわかるとおり、決して外務員の資格は、金融業に勤める人たちだけの資格ではないのです。外務員の資格はとても取りやすい資格の1つだと思います。だからこそより多くの方にその存在を知ってもらい、外務員の試験に挑戦してもらいたいと思っています。