1.金融商品仲介業者とは
IFAは金融商品仲介業を営む者(金融商品仲介業者)として、内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。金融商品仲介業者は、金融商品取引業者等(第一種金融商品取引業者、投資運用業者及び登録金融機関)からの委託を受け、当該委託者のために下記の業務のいずれかを行います。
①有価証券の売買の媒介(私設取引の運営を除く)
②取引所金融商品市場等における有価証券の売買又は市場デリバティブ取引等の媒介
③有価証券の募集若しくは売出し等の取扱い
④投資顧問契約又は投資一任契約の締結の媒介
金融商品仲介業制度は、投資家の金融市場への参加促進を目的(営業チャネルを増やす)に2003年、当時の証券取引法の改正によって制度化されました。2007年に証券取引法から金融商品取引法に改題されましたが、金融商品取引法でもこの制度が引き継がれています。
2.金融商品仲介業者の業務規制
金融商品仲介業者は、顧客からの委託契約の直接的な当事者になるわけではなく、あくまでも顧客と金融商品取引業者との有価証券の媒介を行うだけであるため、当該金融商品仲介業に関して顧客から金銭及び有価証券の預託を受けることは禁止されています。また、顧客に対して取引前に所属金融商品取引業者等の商号又は名称および代理権がない旨などを明らかにしなければなりません。その他にも、損失補てん等が禁止されるとともに、金融商品取引業者に対する顧客の勧誘等に関する禁止行為も定められています。
3.金融商品取引業者の損害賠償責任
金融商品仲介業者であるIFAが業務を行うためには、金融商品取引業者等(証券会社など)と業務委託契約を締結しなければなりません。業務委託契約数に制限はありませんので、複数の金融商品取引業者等と契約を結ぶことも可能です。つまり、顧客に対して金融のアドバイスを行うIFAは、顧客から金融商品の売買を行うための口座を開設等の申込みを受けた場合、申込内容と申込書類を業務委託契約を締結した金融商品取引業者に伝達及び送付し、当該金融商品取引業者によって口座開設されることとなり、顧客の有価証券や金銭等についても当該金融商品取引業者等で管理されることとなります。
なお、金融商品仲介業者が顧客に対して不当な投資勧誘を行ったことが原因で、顧客が損失を被った場合には、所属金融商品取引業者等は、当該金融商品仲介業者が顧客に加えた損害を賠償する責任を負うこととされています(金融商品仲介業者への委託につき相当の注意をし、かつ損害発生の防止に努めたときは除く)。
4.IFAになるために必要な資格
IFAになるために必要な資格が「外務員資格」です。外務員資格には「一種外務員」と「二種外務員」があります。「一種外務員」は全ての外務員業務を行うことができますが、「二種外務員」は、デリバティブ等を除いた一部の外務員業務のみ行うことができます。一種又は二種外務員資格を取得し、金融商品仲介業者である金融商品取引業者と業務委託契約を締結して業務を行います。もちろん、自らIFA法人を設立して業務を行うことも可能です。
5.IFAの将来性
日本証券業協会から公表されている「金融商品仲介業者の登録外務員数」によれば、2016年3,104人、2017年3,123人、2018年3,455人、2019年3,833人、2020年4,264人と近年増加傾向にあります。低金利の時代において、資産運用の必要性が以前にも増して高まってきていることが背景にあるものと思います。また、2022年度から高校において「資産形成」についての授業が行われることになっています。株式や債券、投資信託といった金融商品がより身近な存在として扱われることとなります。まさしく「貯蓄」から「投資」の時代が加速化されるものと思われます。
アメリカでは、独立系の金融アドバイザーの地位が非常に高く、個人の資産形成において必要不可欠な存在であると言われています。日本においても上記の要因からIFAの重要性がより高まっていくものと思われます。証券会社や銀行等の就職のために外務員資格を必要とした方も、経験を積んでいくことによって将来的にIFAとして幅広く活躍することも十分可能な時代になるものと思います。