東京証券取引所の市場区分の再編について

外務員講座 松本講師によるコラム
2022年4月以降、東京証券取引所の市場区分が再編されることになり、今まで慣れ親しんできた「東証1部上場企業」といった名称もなくなります。外務員試験においても2022年4月以降の試験からは、新区分の名称で出題されることになります。今回は、東京証券取引所の市場区分の再編について簡潔に説明していきたいと思います。

東京証券取引所の市場区分の再編

 2022年4月以降、東京証券取引所の市場区分が再編されることになり、今まで慣れ親しんできた「東証1部上場企業」といった名称もなくなります。外務員試験においても2022年4月以降の試験からは、新区分の名称で出題されることになります。今回は、東京証券取引所の市場区分の再編について簡潔に説明していきたいと思います。

 現在の東京証券取引所市場は、「市場第一部」、「市場第二部」、「JASDAQスタンダード」、「JASDAQグロース」、そして「マザーズ」で構成されています(プロ向け市場である「TOKYO PRO Market」を除く)。「市場第一部」や「市場第二部」には、有名な大企業や中堅企業などで構成され、「JASDAQ」や「マザーズ」には、成長性の高い新興企業などで構成されています。また、それぞれの市場に属している会社数(2020年末時点)は、「市場第一部」が2,187社、「市場第二部」が476社、「JASDAQスタンダード」が668社、「JASDAQグロース」が37社、「マザーズ」が347社となっています。特に「市場第一部」に上場している会社が非常に多いのがわかります。

なぜ「市場第一部」に上場している会社が多いのか

 では、なぜ「市場第一部」に上場している会社が多いのか。それは、新規上場基準に比べて上場廃止基準が非常に低いことが原因です。つまり、一旦、「市場第一部」に上場してしまえば、なかなか下に下がらないのです。例えば、「市場第一部」に新規に上場するためには、株主数は2,200人以上必要なのに対して、廃止基準では400人未満とされています。流通株式数では、新規上場するために2万単位以上必要なのに対し、廃止基準では2,000単位未満とされています。また、時価総額(株価×発行済株式数)では、新規に上場するために250億以上必要なのに対し、廃止基準では5億円未満とされています。

 現状の「市場第一部」上場企業の中には、時価総額が100億円を下回っている企業も少なくないのです。その点を考慮すると「市場第一部」に上場しているからといって、日本を代表するとても優良な企業なのかという疑問が生じます。株式市場に参加する投資家にとってその点が、非常にわかりづらいものとなっています。

 また、現在、中堅向けの企業に対しては、「市場第二部」や「JASDAQスタンダード」といった市場が設けられていますが、それらの市場の違いがとてもわかりづらいものとなっています。そのことは、成長性の高い新興企業向けの企業に対する「JASDAQグロース」や「マザーズ」といった市場についても同じことが言えます。このように「市場第一部」に関する問題点や市場間の基準の曖昧さなどから東京証券取引所市場の再編は必然であったのかもしれません。

新市場の区分

 新市場は、「プライム」、「スタンダード」、「グロース」という3つの市場に再編されます。現在の東京証券取引所市場との対応関係でいえば、「プライム」市場は、「市場第一部」上場企業の中から条件をクリアした優良な企業で構成され、「スタンダード」市場は、「プライム」市場から漏れた「市場第一部」上場企業、「市場第二部」上場企業、そして「JASDAQスタンダード」上場企業で構成され、「JASDAQグロース」と「マザーズ」上場企業が「グロース」市場に構成されることになります。

 新市場では海外マネーを呼び込みために、流通性が重要視されていることが特色です。流通株式時価総額では、「プライム」市場では100億円以上、「スタンダード」市場では10億円以上、「グロース」市場では5億円以上とされています。流通株式数は、上場株式数から役員保有株式数、役員以外の特別利害関係者保有株式数、自己株式数などを差し引いた株式数のことです。時価総額全体に占める流通株比率では、「プライム」市場で35%以上、「スタンダード」市場で25%以上、「グロース」市場で25%以上とされています。

 市場再編の移行スケジュールでは、2021年6月末を判定の基準日とし、7月末までに各企業に適合状況を通達することとなっています。しかし、「市場第一部」上場企業が仮に「プライム」市場の基準を満たしていなくても、2021年末までに改善計画書を提出すれば、「プライム」市場に移行できるとされています。

TOPIXの改革

 今回の市場再編と合わせて、東証株価指数(TOPIX)の改革も行われる予定です。改革スケジュールでは、2021年6月末に流通時価総額100億円未満の銘柄を抽出し、2022年10月末までにまだ流通時価総額100億円未満であれば、「ウエイト低減銘柄」に指定され、構成比率が引き下げられます。以降、四半期ごとに引き下げられ、2025年1月末に「ウエイト低減銘柄」が完全に除外されます。2025年1月までに東証1部の3割に当たる約600銘柄が除外される可能性があるとの報道もあります。「市場第一部」から「プライム」市場への移行については、仮に基準を満たしていなくても、改善計画書を提出すれば、「プライム」市場に移行できるとされています。しかし、「プライム」市場に移行できた企業であっても東証株価指数(TOPIX)の組入銘柄からは除外される可能性があるのです。

 今回の東京証券取引所の市場区分の再編は、とてもインパクトのあるものですので、今後も一連の報道に注視していきたいと思います。

松本敏郎プロフィール画像
松本 敏郎(まつもと としろう)プロフィール
大手予備校にて15年間、日商簿記検定、税理士簿記論などの講師として多くの受験生を指導。その後、研修講師として大手予備校の教材作成を行うとともに、大学や商工会議所などを中心に日商簿記検定や一種外務員の受験対策講座を開講している。資格試験の指導一筋で、これまで25年以上絶えることなく受験指導を行っている。
一種外務員、日商簿記検定1級、ビジネス会計準1級、ビジネス・マネジャー、メンタルヘルス・マネジメントⅠ種、銀行業務検定財務2級、銀行業務検定法務3級
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