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外務員試験にも関連!注目されているSDGs

1.「サステナブルファイナンス」科目の新設

2022年7月以降に実施される外務員試験において、「サステナブルファイナンス」を新たな出題範囲にすることが日本証券業協会より発表されました。
そこで、現時点で公表されている試験実施までの今後の具体的な予定(案)を下記に示しておきます。

  1. 2022年2月刊行予定の外務員必携(2022年版)において、第1巻第1章Ⅱ部「サステナブルファイナンスの拡大と証券業界の取り組み」(仮)を新設予定とされています。
  2. 実際に試験に反映されるのは、2022年7月以降に実施する外務員資格試験とされています。
  3. 出題する問題の内容及び出題数については、ワーキンググループ等で今後検討されます。

ところで、なぜ、外務員試験において、「サステナブルファイナンス」という科目が新たな出題範囲とされたか については、以下のような社会的背景があるとされています。

  • 環境・社会・企業統治(ESG)を重視する投資家の増加。
  • 企業等のESGやSDGsを意識した情報開示の拡大。
  • 金融庁によるサステナブルファイナンスの推進や、金融資本市場を通じた投資家への投資機会の提供等の検討の実施。

上記の社会的背景を考慮したうえで、金融商品取引業者等の外務員についてもこうしたサステナブルファイナンスに関する一定の知識の必要性が増していることを踏まえうえで、サステナブルファイナンスに関する内容を、新たに外務員資格試験の出題範囲とされることとなりました。


2.SDGsとは何か

 SDGs(エスディージーズ)とは、Sustainable Development Goalsという英語の頭文字から取った略称です。
「SDGs」は、日本語では、「持続可能な開発目標」と訳されます。
SDGsは、2015年9月の国連総会で加盟国の全会一致で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文章に記載されており、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標とされています。
外務省のホームページにこの文章は掲載されています。
また、SDGsには、2030年までに全世界を対象とした17の国際目標と、それぞれの目標について169のターゲットが示されています。
温暖化、貧困、環境汚染などの問題は、各国共通の問題であり、今までのように個々の企業が利益重視でそれらの問題に対処することなく自由に活動を行うと、そのことが自らの経営リスクに繋がる可能性が非常に高まる時代となりました。
そのために、SDGsという世界共通の目標を全世界で取り組みましょうということになったのです。


3.証券業界の取り組み

日本証券業協会では、証券業界におけるSDGs推進に向けた取り組みをまとめたサイトとして、新しく「証券業界のSDGs」というサイトを作成して公開しています。そこでは、日本証券業協会のSDGsに対する取り組みとして下記の4つの取り組みが掲げられています。

  1. 貧困、飢餓をなくし地球環境を守る取り組み
  2. 働き方改革そして女性活躍支援を図る取り組み
  3. 社会的弱者への教育支援に関する取り組み
  4. SDGsの認知度及び理解度の向上に関する取り組み

また、調達資金がSDGsに貢献する事業に充当される債券(SDGs債という。)の発行も年々増加しています。


4.ESG投資とは

 証券投資については、ESG投資という言葉もよく聞かれます。
ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)のことで、ESG投資とは、財務的な情報だけでなく、環境、社会、ガバナンスという側面も考慮した投資のことです。
日本では、年金積立金の運用を行う年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年に国連責任投資原則(PRI)に署名したことを受け、ESG投資が広がっています。
国連責任投資原則(PRI)とは、2006年に当時のコフィー・アナン国際連合事務総長が投資家や金融機関に発したもので、6つの原則から構成されています。
第1原則は、「私たちは投資分析と意思決定のプロセスにESGの課題を組み込みます。」とされており、投資を行うに際してESGという側面も考慮することが示されています。

 SDGsは、2030年までに全世界で達成されるべき環境や社会などの目標が示されており、ESG投資は、投資という手段を用いてそれらの目標達成を支えているものと考えることができます。


5.最後に

 今後は、SDGsに取り組むことの重要性が高まってきます。企業は、単に利益を獲得することだけではなく、その利益を獲得するために環境面や社会面にどのように配慮したのかが問われるようになります。それらに配慮しなかった企業は、株主から相手にされず、そのことが株価にも影響を及ぼすようになるでしょう。証券市場の中心的担い手である外務員にとっては、ESG投資やSDGsに対する知識は当然必要なものとなるでしょう。また、一般企業や地方公共団体に勤める人たちにとっても知っておかなければならない知識だと思います。