1.配当権利落ちとは
東証業務規定施行規則18条では、配当権利落ちについて規定されており、株式の普通取引では、「配当権利落ち日は、権利確定日の前日(権利確定日が休業日に当たるときは、権利確定日の2日前の日)とする。」と規定しています。
例えば、3月31日が権利確定日であれば、その前日の3月30日が権利落ち日となりますので、3月29日までに売買契約を締結すると、配当金等を受け取ることができます。
株式の普通取引は、売買契約締結日から起算して3日目(休業日を除く)の日に決済される取引であるため、上記の例に当てはめれば、3月29日に売買契約を締結すると、3月31日に売買代金を支払い、購入した株式を受け取ることができるのです。
最近では、株主優待の権利が魅力的な株式も非常に多いいため、それを目当てに株式を購入する投資家も多くなっています。
もちろん、この株主優待の権利についても3月31日が権利確定日であれば、3月29日までに売買契約を締結しておかなければなりません。
高配当や魅力的な株主優待の株式は、権利付き最終日に向けて購入のニーズが高まることにより、株価が上昇する傾向にあります。
権利付き最終日までに売買契約を締結していれば、その翌日(配当権利落ち日)に株式を売却しても配当や株主優待を受けることができますので、配当権利落ち以降は、配当や株主優待の権利だけを目当てとしていた投資家によって売り圧力が高まり、株価が下落する傾向にあります。
そのため、配当や株主優待の権利を得るために権利付き最終日に購入しても、その翌日以降、購入した株式の株価が下落すると、株価の価格変動によって損失が計上されるおそれがあります。
そこで、株価の価格変動リスクを回避するために信用取引を利用することがあります。信用取引は一種外務員試験の試験科目ですので、次に信用取引の利用について述べていきたいと思います。
2.信用取引の利用
信用取引は、一定の委託保証金を金融商品取引業者に預託し、購入のための買付代金や売却のための売付株式を金融商品取引業者から貸し付けてもらい取引を行うものです。
株価の下落による損失を回避するためには、売却のための売付株式を金融商品取引業者から貸し付けてもらう取引、いわゆる「空売り」という取引を行います。
権利付き最終日までにお目当ての株式を現物で購入するとともに同じ株式を「空売り」します。権利落ち日に現物で購入した株式を売却します。
その際、株価が下落していれば、損失が計上されます。
しかし、「空売り」していた株式を買い戻すことによって、株価の下落した分、利益が計上されることになりますので、現物で計上された損失は、「空売り」の買い戻しで計上された利益と相殺されることになります。
信用取引を利用することによって、価格変動リスクを回避することができたのです。
3.配当に関するその他の指標
高配当の株式であるかどうかは、東証一部市場の平均配当利回りと比べることで確認することができます。
配当利回りの計算問題は、外務員試験でもよく出題されますので、計算式を確認しておきたいと思います。
配当利回りは株式利回りともいい、「1株当たりの配当年額÷株価×100」で計算されます。
なお、東証一部市場の平均配当利回りは、おおよそ1.9%ほどですので、その数値を大きく上回っている銘柄が高配当銘柄ということになります。
また、配当についての指標は、配当利回りのほかに、配当性向や配当率といった指標があります。
配当性向や配当率の計算問題も外務員試験ではよく出題されますので、計算式を確認しておきたいと思います。
配当性向は、獲得した利益のうちどれほどの割合を株式に還元しているのかを示す指標です。
計算式は、「配当金(年額)÷当期純利益×100」となります。
配当性向が高いほど、株主に多くの還元がなされていると判断することができますが、配当性向が高い企業は、外部に流出する金額が大きくなるため、その分、内部に留保される金額が小さくなり、成長のための投資財源が減少するという側面もありますので、注意が必要です。
最後に、配当率は、獲得した利益ではなく、株主が拠出した資本金に対してどれだけの配当金を支払ったのかを示す指標です。計算式は、「配当金(年額)÷資本金(期中平均)×100」となります。
4.まとめ
テレビやネットなどの経済に関するニュースでは、専門的な用語が出てきます。その用語を調べることは、外務員試験の勉強に直接繋がります。日々のニュースに興味を持って楽しく勉強してください。