2026(令和8)年度税制改正大綱のポイントをわかりやすく解説

2025年(令和7年)12月19日、政府より「令和8年度税制改正大綱」が発表されました。税制改正大綱とは、翌年度以降に実施される税制の方針や見直し内容をまとめた重要な文書で、政府はこれを基に税制改正法案を作成し、翌年1月召集の通常国会へ提出します。

今今回の大綱には数多くの見直しが示されていますが、外務員試験の学習や金融リテラシー向上の観点から特に注目すべき項目として、以下の3点が挙げられます。

  • 暗号資産取引の課税方式が総合課税から申告分離課税へ移行
  • NISA(少額投資非課税制度)の拡充と新たな未成年向け制度の創設
  • 極めて高所得者に対する税負担強化(累進性の見直し)

今回は、これらの内容について、それぞれ詳しく解説します。

松本 敏郎
スタディング外務員講座 主任講師

大手予備校にて15年間、日商簿記検定、税理士簿記論などの講師として多くの受験生を指導。その後、研修講師として大手予備校の教材作成を行うとともに、大学や商工会議所などを中心に日商簿記検定や一種外務員の受験対策講座を開講している。資格試験の指導一筋で、これまで25年以上絶えることなく受験指導を行っている。

一種外務員、日商簿記検定1級、ビジネス会計準1級、ビジネス・マネジャー、メンタルヘルス・マネジメントⅠ種、銀行業務検定財務2級、銀行業務検定法務3級
>>講師メッセージ

暗号資産取引が総合課税から申告分離課税へ移行

これまで暗号資産(仮想通貨)による利益は“雑所得”として扱われ、最大55%に達する総合課税が適用されてきました。この高い税率が、国内の暗号資産投資のハードルになっているとの指摘もありました。

令和8年度税制改正大綱では、この問題への対応として、株式などと同じ申告分離課税の導入が示されています。

主なポイントは以下のとおりです。

  • 税率は一律20%(所得税15%・住民税5%)に統一
  • 暗号資産の損失も翌年以降3年間繰り越し控除が可能
  • 適用時期は 金融商品取引法改正の施行日の属する年の翌年1月1日 と予定

これにより、暗号資産投資の税負担が大きく軽減され、国内市場のさらなる活性化が期待されています。

NISA(少額投資非課税制度)の拡充

現行のNISAは、18歳以上の居住者を対象とした資産形成支援制度として運用されています。

今回の改正大綱では、次世代の資産形成を支援する狙いから、非課税口座の開設年齢の下限撤廃が盛り込まれました。

▼ 新たな未成年向けNISAの特徴

  • 年間投資枠:60万円
  • 非課税保有限度額:600万円
  • 原則18歳まで払い出し制限(1月1日時点の年齢)
  • ただし、12歳以上で教育費など特定理由+本人同意があれば非課税で払い出し可能

これは、かつて存在したジュニアNISAの後継とも言える制度で、2027年(令和9年)1月1日開始予定です。

18歳に達すると自動的に通常のNISAへ移行し、成人向けの非課税枠(年間360万円・最大1,800万円)に統合されます。

▼ つみたて投資枠の対象商品の拡大

さらに、NISAの利用者ニーズに応えるため、対象商品も拡充されます。

  • 債券が運用資産の50%を超える投資信託も新たに対象に追加
  • 利用可能な指数(インデックス)は現行15種類から拡大
    ・国内株式指数の一部を新たに追加
    ・先進国・新興国の株価指数を用いた投資信託も対象に

この見直しにより、幅広い投資スタイルに対応できる制度へと進化します。

極めて高い水準の所得に対する負担の強化

所得税は累進課税が基本ですが、株式譲渡益に代表される分離課税(一律税率)が存在するため、超富裕層では税負担率が下がる逆転現象が課題とされてきました。

大綱では、税負担の公平性を確保するため、この仕組みを見直す方針が示されています。

主な改正点は以下のとおりです。

  • 基準所得金額から控除できる特別控除額を3.3億円 → 1.65億円に引き下げ
  • 適用される追加税率を 22.5% → 30%に引き上げ
  • 適用開始は 2027(令和9)年分以後

この改正により、高所得者に対する負担調整が図られ、税制全体のバランス改善につながると期待されています。

まとめ:2026年度税制改正大綱は資産形成と税負担のバランスを重視

令和8年度税制改正大綱では、資産形成の支援と税制の公平性向上が大きなテーマとなりました。

  • 暗号資産取引は一律20%の申告分離課税に移行し、投資しやすい環境に改善
  • NISAは未成年も対象となり、若年層からの資産形成を後押し
  • 超富裕層の税負担見直しにより、税制全体の公平性を強化

これらの改正は、投資環境の整備だけでなく、税構造全体の健全化にもつながる重要な内容です。外務員試験の受験者にとっても、金融実務に携わる方にとっても、押さえておきたいポイントと言えるでしょう。

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