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「つみたてNISA」口座の増加

1. 投資意識の必要性

 銀行への預金は元本が保証されており、元本割れというリスクはありません。
しかし、現在の普通預金の金利はおおよそ年0.001%のため、仮に100万円を預け入れても1年間に受け取ることができる利息はわずか10円(税引後8円)に過ぎません。
そのような現状の中、将来に備えてお金を増やすためには、「投資」という意識を持たなければなりません。
確かに投資には元本割れというリスクが伴います。
しかし、金融庁の報告によれば、分散・積立投資を20年間行った場合には、元本割れはなく、年率2~8%の収益を得ることができることを示しています(金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」より)。
つまり、長期にわたり、積み立て投資を行い、投資先を分散させることで投資によるリスクを低減させることができるのです。
「つみたてNISA」は、長期・分散・積立投資を行う金融商品として非常に注目されています。


2.「NISA」について

 「NISA」は、Nippon Individual Savings Accountの略称で、イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAということで、「NISA」という名称がつけられています。
金融庁のホームページでは、「NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。」と示されています。
通常、株式や投資信託の配当金(分配金)の値上がり益に対しては、20.315%の税金がかかります。
仮に一般口座によって資金を運用し100万円の利益を得た場合、約20万円の税金が課せられますので、実際に手元に残る金額は約80万円となります。
しかし、NISA口座で資金を運用し、100万円の利益を得た場合、この金額は非課税となるため、手元に残る金額は100万円となるのです。この差は非常に大きいと言わざるを得ません。

 なお、「NISA」には、「一般NISA」、「つみたてNISA」そして「ジュニアNISA」の3つの種類があります。「ジュニアNISA」は、日本に住む未成年(0歳から19歳)のみが利用できる金融商品であり、2023年で廃止される予定となっているため、成人の方が利用できる「NISA」は、「一般NISA」と「つみたてNISA」の2つとなります。
「一般NISA」は、年間120万円までの投資で得られた利益が5年間非課税になる制度で、「つみたてNISA」は、年間40万円までの投資で得られた利益が20年間非課税になる制度です。「NISA」口座は、一人一口座のみとされているため、「一般NISA」口座と「つみたてNISA」口座を同時に利用することはできません。


3.ドルコスト平均法

 「つみたてNISA」は、自分の指定した金額を指定した日に指定した金融商品を購入します。
購入する金融商品は、金融庁が定めた投資信託やETFといった商品となります。
購入する金融商品は値動きが生じるため、価格が高いときに購入するときもあれば、価格が安いときに購入するときもあります。
購入する金額は一定額のため、価格が高いときには少ししか購入できず、価格が安いときには多く購入することになります。
このように購入することによって、平均購入価格が抑えられることになります。
なお、このような購入方法のことを「ドルコスト平均法」といい、この方法によって金融商品を買い付けることにより、利益を得る可能性が高まるのです。


4.「つみたてNISA」の概要

「つみたてNISA」の概要は以下のようになります。

① 投資可能期間
2018年~2037年(2024年の制度改正後では、2042年まで延長される予定です。)
② 非課税期間
投資した時から最長20年間
③ 年間投資上限額(非課税枠)
40万円(非課税投資枠は20年間で最大800万円)
④ 非課税対象商品
金融庁が定めた一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益

 非課税枠については注意が必要です。「つみたてNISA」の年間非課税枠は40万円です。
仮にその枠内で30万円の金融商品を購入すれば、残りの非課税枠は10万円となります。
30万円の金融商品を購入した年内にその商品を売却したとしても、その年の非課税枠は10万円のままであり、40万円には復活しないことに気をつける必要があります。
また、年内に使い切れなかった非課税枠については、翌年に持ち越すこともできません。

 2024年以降、「一般NISA」は「新NISA」として制度が変更されます。2024年以降のNISA制度については、次回以降解説していこうと思います。