オプション価格の決定要因には、原資産価格、権利行使価格、残存期間、ボラティリティそして短期金利の5つがあります。
① オプション価格と原資産価格の関係
原資産価格が上がれば、コールの場合には、権利行使価格を超える可能性が高まるためにオプション価格は上昇します。プットの場合は、権利行使価格を下回る可能性が小さくなるためオプション価格は下落します。
② オプション価格と権利行使価格の関係
現在の原資産価格と比べて高い権利行使価格のコールの場合には、原資産価格が権利行使価格を上回る可能性は小さくなるため、オプション価格は低くなります。プットの場合には、原資産価格が権利行使価格を下回る可能性が高くなるため、オプション価格は高くなります。
③ オプション価格と残存期間の関係
満期までの残存期間が短くなればなるほど原資産価格が権利行使価格を超えて上昇または下落する可能性が小さくなるため、残存期間が短くなれば、コールもプットもオプション価格は小さくなります。
④ オプション価格とボラティリティの関係
ボラティリティとは、原資産価格の値動きの激しさのことです。ボラティリティが高いほど原資産価格が権利行使価格を超えて上昇または下落する可能性が高くなるため、ボラティリティが上昇すれば、コールもプットもオプション価格は上昇します。
⑤ オプション価格と短期金利の関係
コールでは、買う権利を行使をした場合、資金調達を行って原資産を購入する場合と同じように考えることができます。よって、金利が上昇することにより資金調達コストも上昇するため、オプション価格は上昇します。プットでは、売る権利を行使した場合、その売却代金を資金運用に充当することができるため、金利の上昇によりコストの削減が期待できるため、オプション価格は下落します。
オプション価格の各要因に対する感応度は、ギリシャ指標で表され、代表的なものとしてデルタ、ガンマ、セータといったものがあります。
① デルタ
デルタとは、原資産価格が変化した場合、オプション価格がどのくらい変化するかをいい、オプション価格の変化÷原資産価格の変化で表されます。例えば、原資産である日経平均株価が20,000円でコール・オプションの価格が100円だと仮定します。デルタが0.25であれば、日経平均株価が500円上昇した場合、コール・オプションの価格は125円(500円×0.25=125円)上昇すると予測できますので、コール・オプションの価格は125円上昇して225円になるのではないかと予想することができます。
② ガンマ
ガンマとは、原資産価格が変化したときにデルタはどのくらい変化するかをいい、デルタの変化÷原資産価格の変化で表されます。例えば、原資産価格が下がりそうなため、プットを買うときには、デルタが大きくなるものを選ぶことが望ましく、そのときにガンマの数値が大きいものを選ぶといったときに使います。
③ セータ
セータとは、満期までの残存期間の変化に対してオプション価格がどのくらい変化するのかをいい、オプション価格の変化÷残存価格の変化で表されます。残存期間が短くなれば、コールもプットもオプション価格は小さくなりますので、セータの数値は一般的にマイナスをつけて表現されます。例えば、あるオプション価格のセータの数値がマイナス5・65であれば、1日に5・65円価格が下がることを表します。つまり、セータ×経過予定日数を計算することで、現時点からみた経過予定日のオプション価格を予想することができることになります。なお、オプション価格の時間価値は、満期が近づくにつれてその価値の減少速度は上昇しますので、セータの値の絶対値は大きくなります。
上記の指標以外に、ベガ、ロー、オメガといったものがあります。ベガはボラティリティの変化に対するオプション価格の変化の割合を表す指標、ローは短期金利の変化に対するオプション価格の変化の割合を表す指標です。また、オメガは原資産価格の変化率に対するオプション価格の変化率の割合を表します。
一種外務員試験では、オプション価格(プレミアム)の決定要因やオプションの感応度が〇×問題としてよく出題されますので、注意してください。
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